前日の夜のことです。「明日まちなみ伝承館でお茶会をしますので、ぜひ来てくださいね。雨でもあります。」日曜日は雨の予報が出ていたので、雨でも…と付け足してくれたお茶の先生のご招待の電話に、お茶の嗜みのない私のことは知っていてくれてのお誘いに、「お伺いします。」と予定のないことを確かめて、お返事をした。
「お花見の茶会」という言葉に伝承館の枝垂れが咲いていることを確信した。
29日の日曜日は、終日春雨が降りしっとりと落ち着いた日になった。
東浄川が吉野川に合流する最後の橋のたもとに、伝統的建造物の新町通りの拠点となっている、まちなみ伝承館の敷地の枝垂桜が、春雨の中で、まだ花も落とさず満開状態を保っていた。
お花見茶会はこの桜を正面にした所が会場で、お花の時期に合わせた趣の深いお茶会だ。
雨の1日を日本を象徴する桜を眺めてのお茶会は、日本情緒の豊かさに浸るいい時間だ。
柳の新芽が伸びて、枝垂桜とのコラボがいい。どちらも優しさを表現しているようだ。
柳も枝垂れも、春雨にはお似合いだ。
枝垂れの伸びた枝は柵の外にまで下がっている。どこまで伸びていくのか、声がけをしたくなる。
「お茶会しています。どうぞ・お入りください。」表の戸に貼り紙があった。赤い毛氈のお茶席が、なんだか私には似合わないように思って、知人にそんな話をすると、みんなそんなのだから、自由に気楽にしてくださいねと説得された形で緋毛氈の一つの席に着いた。
お菓子は花見の三色団子。甘いお菓子の後のお抹茶は、とても美味しかった。
後ろ姿の美しく若い方が、私にお茶をたててくれた人だった。
表の桜の美しさを語り合ったり、お茶碗について先生に尋ねている人など、とても和やかで優雅な雰囲気なので、この席に来させていただいたことは、日頃 がさつな私にとって何よりの、落ち着きのある日本的な時を頂いたように思えた。
左でお茶を頂いている人の、視野に入っている風景は、右の桜のある一角だ。それこそお花見のお茶席だ。桜の向こうは、吉野川の堤防である。この堤防に4月の中頃になると、鯉のぼりが泳ぐようになる。
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この町の桜行脚をしたいと、お天気の日に市内の桜を求めて歩いてきた。4623