先日、万葉文化館を訪れた時、道路から文化館へ下って行く歩道に沿って、梅の木が植えられていたのを思い出しました。
その時は、まだ梅の開花は見られなくて、これが咲いた時、またここに来てみたいなぁと思いながら帰ってきました。
その梅が今開花して、明日香の風景の中に、春を注ぎこんでいました。
田起こしを始める頃でしょう。
田圃に何げなく置かれた耕運機と、いくらか咲いた梅の枝が、長閑な早春の明日香です。
文化館は屋根だけ見せて、梅の木の向こうに、銀色の瓦屋根を覗かせています。
さらに遠くの山並みが、青空の下に見えて、何も遮る建物がないのも、明日香らしい落ち着いた感じがします。
白壁の家の集落は、以前に蝋梅を撮りに行ったところじゃないかと、暫く眺めていました。
緩やかな勾配の歩道は、膝に痛みを感じさせなくて、もう少し、もう少しと梅の香に誘われるように歩きました。
「明日香逍遥」そんな言葉が浮かんできます。
梅林ではないけれど、このように長閑な雰囲気を田畑と共に、目的もなく、しいて言うならば、
明日香路の明日香風の中にいる、こんな時間が、最も贅沢な流れの中にいるように思います。