私が育ってきたことを思い出すとき、夕食後には必ずフルーツがありました。
イチゴだったり、ブドウだったり、プリンスメロンだったり、スイカだったり、ハッサクだったり、りんごだったり、温州みかんだったり。
母がフルーツ好きだから、私の家はそういう食生活だったのだと思います。
その母が施設に入居しています。
どうやら、施設の食事にはフルーツは出てこないようです。
食後に好きなフルーツを食べてもらえたらいいなと思って、時々届けます。
先日、スイカを届けた時、「では3時のおやつの時に…」とスタッフさんが言っていました。
母が自分の冷蔵庫で管理して自分で食べるタイミングを決められるときはよいのですが、そうではなくなり、フルーツなど届けられた食品がスタッフさんの管理下に置かれる場合、私が予想する食後のフルーツとしては提供してもらえないようです。
食後にフルーツを、3時のおやつにはスイーツを…と思って届けても、そうはいかないのだろうと思います。
考えてみたら、食事の後に、更に個別にフルーツを配膳するのはスタッフさんの仕事量を大きく増やしてしまうことになります。
だから、「これは食後に」と私はお願いできずに帰りました。
施設でお世話になるということは、(ベストを望むことはもちろんしませんが)ベターも望んでも虚しいのだと思います。
こうすれば、更にいいだろうという思いを馳せる余裕が、或いは思いがあってもそうする余裕が、忙しすぎるスタッフさんにはないでしょうから。
母の部屋に入れさえすれば、その時間帯を狙ってフルーツを持って行き、母の目の前に置いて食べてもらうことができるのに、コロナ禍で面会さえも不自由になっていて、なんとも辛いことです。
かつて、自分の母が施設に入っていた友人から、毎日食事タイムに施設に行き、自らがスプーンを手にして母の口に食事を運んでいたと聞いたことがあります。
頭が下がりました。そこまではできなくても…、ベターも望めないコロナ禍です。