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(3月12日、台湾軍の予備役訓練(台湾北部・南勢埔)を視察した蔡英文総統。【3月31日 BUSINESS INSIDER】)
【中国 ペロシ米下院議長訪台に激しく反発 とりあえずはコロナ休戦】
アメリカはトランプ前政権、バイデン政権ともに、中国との対立が深まるにつれて、それに比例するように中国を睨んだ台湾への関与を加速させています。
****米、台湾にパトリオット訓練=総額117億円支援を承認、中国反発****
米国務省は5日、台湾への地上配備型迎撃ミサイルシステム「パトリオット」に関連する訓練や配備、保守などの技術支援サービスや機器の売却を承認し、議会に通知した。売却総額は推定9500万ドル(約117億円)。
国防総省傘下の国防安全保障協力局は声明で「この売却は台湾の安全保障を向上させ、地域の政治的安定や軍事バランスの維持に寄与する」と説明した。
中国外務省の趙立堅副報道局長は6日の記者会見で「断固反対し強烈に非難する」と反発。売却計画や米台軍事関係の停止を求め、「中国は有力な措置を取る」と対抗策を示唆した。【4月6日 時事】
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当然に中国は反発を強めていますが、更に、大統領権限の継承順位第2位というバイデン政権発足以降、最高レベルの要人となるナンシー・ペロシ米下院議長が近く台湾を訪問することが報じられ、中国のアメリカ非難はヒートアップしました。
とりあえずはペロシ米下院議長の新型コロナ感染で訪台は延期されましたので、中国の非難も小休止でしょうか。
****米下院議長の訪台に中国激烈反応、「コロナ陽性で延期」―米国華字メディア****
台湾メディアは7日、ナンシー・ペロシ米下院議長が近く台湾を訪問すると報じた。(中略)。以下は多維新聞記事の抄訳だ。
中国の王外相はフランスのボンヌ大統領外交顧問との電話会談の際に、ペロシ下院議長の訪台について「台湾問題で、『一つの中国』という(越えてはならならない)レッドラインを公然と踏みにじる挙動だ。もしも米国が独断専行するならば、中国は必ずや、断固たる対処をする。一切の結果の責任は米国にある」と述べたという。
中国政府外交部(中国外務省)の趙立堅報道官も、ペロシ議長の訪問について「一つの中国の原則と中米両国の三つの共同声明の定めに甚だしく違反するものだ」「中米関係の政治的基礎に重大な打撃を与える」などと米国側を強く批判した。
米国憲法などの定めによれば、大統領が執務を継続できなくなった場合に職務を引き継ぐのは副大統領であり、副大統領も職務執行が不能ならば、下院議長が大統領の執務を引き継ぐ。つまり下院議長は米国の政治で3番目に高い地位と言える。
直近では、1997年にニュート・ギングリッチ下院議長が訪台した事例がある。しかしギングリッチ議長は共和党に所属し、当時のクリントン民主党政権とは対立していた。つまり米国国内の政治的状況が作用する側面も強く、ギングリッチ議長の訪台は、当時の米国政権の意向を反映したものとは言えない側面があった。
しかしペロシ下院議長はバイデン大統領と同じ民主党に所属する。つまり米現政権の意志として、政界で極めて高い地位にある人物が台湾を訪問することになる。
中国メディアの環球時報の前編集長である胡錫進氏はペロシ議長の訪台について「中国は引き下がらない。前例のない対処をする」「ペロシ議長の台湾訪問が正常に行えないようする。例えば台湾上空を飛行禁止にして空から封鎖する」「解放軍の戦闘機を当日、台湾上空を通過させる。台湾軍の攻撃により解放軍機が墜落すれば、ミサイルを発射した台湾軍基地に壊滅的な打撃を当たる」などと論じた。
胡錫進氏にはあまりにも過激な論調が多く、「大言壮語」などと揶揄(やゆ)されてきた。しかし総合的に見れば中国では民間も当局も激高しており、「一戦も辞さず」の状況とも言える。このことで、中国政府が踏み越えることを認めないレッドラインが、かなり具体的に見えてきた。
ペロシ議長は新型コロナウイルス感染のために訪台を延期することになったが、米・中・台を巡る極度な緊張が一時的に緩和されただけで、問題が解決されたわけではない。
中国の王外相はフランスのボンヌ大統領外交顧問との電話会談の際に、ペロシ下院議長の訪台について「台湾問題で、『一つの中国』という(越えてはならならない)レッドラインを公然と踏みにじる挙動だ。もしも米国が独断専行するならば、中国は必ずや、断固たる対処をする。一切の結果の責任は米国にある」と述べたという。
中国政府外交部(中国外務省)の趙立堅報道官も、ペロシ議長の訪問について「一つの中国の原則と中米両国の三つの共同声明の定めに甚だしく違反するものだ」「中米関係の政治的基礎に重大な打撃を与える」などと米国側を強く批判した。
米国憲法などの定めによれば、大統領が執務を継続できなくなった場合に職務を引き継ぐのは副大統領であり、副大統領も職務執行が不能ならば、下院議長が大統領の執務を引き継ぐ。つまり下院議長は米国の政治で3番目に高い地位と言える。
直近では、1997年にニュート・ギングリッチ下院議長が訪台した事例がある。しかしギングリッチ議長は共和党に所属し、当時のクリントン民主党政権とは対立していた。つまり米国国内の政治的状況が作用する側面も強く、ギングリッチ議長の訪台は、当時の米国政権の意向を反映したものとは言えない側面があった。
しかしペロシ下院議長はバイデン大統領と同じ民主党に所属する。つまり米現政権の意志として、政界で極めて高い地位にある人物が台湾を訪問することになる。
中国メディアの環球時報の前編集長である胡錫進氏はペロシ議長の訪台について「中国は引き下がらない。前例のない対処をする」「ペロシ議長の台湾訪問が正常に行えないようする。例えば台湾上空を飛行禁止にして空から封鎖する」「解放軍の戦闘機を当日、台湾上空を通過させる。台湾軍の攻撃により解放軍機が墜落すれば、ミサイルを発射した台湾軍基地に壊滅的な打撃を当たる」などと論じた。
胡錫進氏にはあまりにも過激な論調が多く、「大言壮語」などと揶揄(やゆ)されてきた。しかし総合的に見れば中国では民間も当局も激高しており、「一戦も辞さず」の状況とも言える。このことで、中国政府が踏み越えることを認めないレッドラインが、かなり具体的に見えてきた。
ペロシ議長は新型コロナウイルス感染のために訪台を延期することになったが、米・中・台を巡る極度な緊張が一時的に緩和されただけで、問題が解決されたわけではない。
しかし米国政府がこの「モラトリアム」を利用して情勢を見極め、崖っぷちで踏みとどまれるかどうか、そのことによって、今回ほどには深刻な結果をもたらさない「台湾カード」を切り続けられるようにできるかどうかは、バイデン政権の知恵だけでなく、米国による秩序の安定にも関わっている。(後略)【4月10日 レコードチャイナ】
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ペロシ米下院議長のコロナ感染は本当なのか・・・中国のあまりの激高に、冷却のための体のいい言い訳としてコロナを利用したのかも・・・というのは下種(げす)の勘繰りというものでしょう。
【「中国にはこの秋、台湾を武力侵攻する計画があった」とのFSB内部リポート】
中国・習近平政権ができるものなら武力による台湾侵攻してでも統一を果たしたい・・・と考えているというのは、周知のところですが、現在起きているロシアのウクライナ侵攻がそのことにどのように影響するかについては、いろいろと議論があるところです。
ロシアの侵攻がスムーズにいっていれば、「次は台湾だ」という話にもなったかもしれませんが、逆にロシアが苦戦して、欧米から孤立し厳しい制裁を課されるという現状では、また違った影響も考えられます。
****これではできない「台湾武力侵攻」、プーチンの失敗で大誤算の習近平****
中国にはこの秋、台湾を武力侵攻する計画があったが、ロシアの苦戦ぶりをみてその機会を失ったと考えているという。情報元は、ロシア連邦安全局(FSB)のアナリストが書いたとされる情報分析リポートだ。(中略)
台湾のネットメディア「新頭殻」がこのFSB内部リポートを引用して、中国が「秋に全面的に台湾統一に出ると計画していた」と報じた。
それによると、習近平はこの秋に台湾全面進攻を計画していた。その勝利によって、党大会で政権3期目連任を確実なものにできると考えていた。しかし、ロシアのウクライナ侵攻が失敗して挽回できなくなったとみるや、習近平は台湾武力侵攻の機会がすでに存在し得ないと気づいた。さらに米国がこれを機に中国を脅して、習近平の政敵に有利な条件を与えることになった、という。(中略)
これが本物の内部文書であるとすれば、プーチンと習近平はもともと連動して軍事進攻を行う計画を持っていた、ということだろうか? だとすれば、昨年(2021年)11月に台湾武力侵攻反対派の筆頭である劉亜洲が「失踪」させられたこと、そして全人代閉幕と同時に飛び出した、国務院直属シンクタンクの著名学者、胡偉が発表した「ロシアと縁を切れ」という提言との関連性をどう整理すればいいのだろう。
「一刻も早くプーチンを切り捨てよ」と提言
胡偉の提言というのは、3月11日頃から中国内外で話題になった、「プーチンを切り捨て、米国サイドに立つべきだ」とした政府への提言文書のことである。(中略)
こういう状況で中国がこれまでの路線を進めると、ロシアが倒れたのちに西側勢力は中国にロックオンし、中国に対する戦略的包囲網をさらに強化し、軍事的包囲網だけでなく、西側の制度と価値観の挑戦に直面する、と予測した。
だから、できるだけ早く「ロシアという荷物を降ろすべきだ」と、プーチンを切り捨てるよう提言。1〜2週間のうちに即断しなければ中国にも挽回の猶予がない、と判断を急がせている。
中国が「世界平和維持の立役者」に?
さらに胡偉によると、中国は目下、曖昧路線、中間路線をとろうとしているが、この選択はロシア、ウクライナのどちらも満足させていない。それよりも「中国は世界のメーンストリームサイドになって、孤立を避ける選択をすべきだ」「この立場は台湾問題にも有利だ」と言う。(中略)
さらにうまくいけば、中国は「世界を核戦争から救った立役者」になるかもしれない、と胡偉は指摘する。「中国は世界で唯一この種の能力を持つことのできる国家であり、この優勢を発揮しなければならない。プーチンが中国の支持を失えば、おそらく戦争は終結するしかない。少なくともさらにエスカレートさせることはない。このことから、中国は国際的・普遍的な賞賛を勝ち得て、孤立局面から脱出する助けになるだけでなく、世界平和を維持した立役者となって、米国と西側との関係改善の機会を探すことも可能となるのだ」──。
この胡偉の大胆な提言は、中国のネットで一時的に広がったのちにすぐに削除され、今は見ることができない。つまり、この提言は中国当局としては公認されておらず、この意見に中国世論が感化されることを望んでいないということだ。(中略)
習近平を追い落とす絵が描かれている可能性
こうした情報を整理し、想像をたくましくして、次のような仮説を考えてみた。
習近平はプーチンに対し個人的にも思い入れがあり、全面的支援をするつもりだった。あるいはプーチンのウクライナ侵攻に呼応して秋に台湾進攻を計画していたかもしれない。この計画に反対する劉亜洲は発言を封じられて昨年11月以降、「失踪」した。習近平はプーチンに対して冬季五輪閉幕まで進攻作戦を延期するよう頼み、プーチンも承諾した。
だが、五輪後に行われたロシアのウクライナ電撃進攻作戦は明らかに失敗した。党内、官僚、軍内の反習近平派がこれを理由に、反プーチン親米路線への転換を望み、秋に習近平がやりたがっていた台湾進攻阻止を訴えている。(中略)
党内アンチ習近平派と米国側が手を組んでプーチンと習近平をセットで失脚させる絵を描いている可能性もある。(後略))【3月17日 福島 香織 JBpress】
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上記は、FSB内部リポートに関する真偽も定かでありませんし、“党内アンチ習近平派と米国側が手を組んで”云々も福島氏のたくましい想像の域をでません。
【そうそう容易ではない中国の台湾侵攻】
いずれにしても「台湾侵攻」というのは中国にとってそうそう容易にできるものではなく、また、国際社会・アメリカにとって軍事的・経済的に重要な台湾と東欧の一小国ウクライナを同列に論じることはできないとの指摘も。
****ロシア・ウクライナ戦争で中国も台湾に侵攻すると安易に考えない方がいいこれだけの根拠****
ロシアがウクライナに戦争を仕掛けたことで、次は中国が台湾に軍事攻撃を仕掛ける番だという論調が日本国内で見られる。(中略)
しかし、私は断言する。今の中国には、台湾を侵攻するだけの能力もなければ、意思もない。
能力とは、一にも二にも軍事力だ。戦闘機を例にとってみよう。(中略)軍事に詳しい専門家によると、アメリカ製のF−16たった1機で20機ものJ−20(中国の主力戦闘機・殲−20)を撃墜できるという軍事シミュレーションの結果もあると言う。(中略)
台湾はそのF−16をはじめ、アメリカから数億から数十億ドル単位で戦闘機や武器を購入している。台湾の2022年の防衛費は約1兆8600億円。九州本島とほぼ同じ面積に対してこの莫大な防衛費である。
そんな台湾を中国共産党の人民解放軍が明日にも侵攻するかも、などというのはおとぎ話なのだ。台湾が独立を宣言しない限り、少なくとも向こう10年、中国が台湾に侵攻することはないだろう。
中国にもその意思はナシ
次に、意思だ。仮に習近平国家主席が台湾に軍事侵攻し、ウクライナ戦争のどさくさに紛れて祖国統一を実現したいと考えていたとしても、今の中国共産党指導部の中には台湾侵攻を考えている人は少数派だ。チャイナ7とも呼ばれる中国共産党政治局常務委員7人のうち多くは、中国が今も発展途上国であり、アメリカ製の武器に人民解放軍が太刀打ちできないことを理解している。
ただし、「台湾が独立を宣言しない限り」という条件は付く。台湾が独立を宣言することはすなわち国家分裂に当たり、これは、中国共産党として許すことはできない。(中略)
習は軍の意思決定機関である中央軍事委員会の主席を兼務しているが、実は軍人としての功績はない。無謀な台湾侵攻を訴えても、職業軍人から猛反対に遭うのは目に見えている。軍を掌握していることと実際に軍を動員することは別次元の問題で、中国の仕組みはそうは甘くない。
台湾政府も「ウクライナとの比較はできない」
さて、ここからが肝心な話。日本ではほとんど報じられていないが、ウクライナと台湾を重ね合わせて考えることについて、実は台湾政府自身によって見当違いであることが表明されている。
対中国政策を所管する大陸委員会のトップ(閣僚級)を務める邱太三・主任委員は25日、メディアの取材に対し、「地政学から言ってもウクライナと台湾を比べることはできない」と明言し、その理由として以下の3点を挙げた。
第一は、台湾がアジア太平洋地域の第一列島線上で最も重要な場所を占めているため。第一列島線とは日本から台湾、フィリピンへと続く軍事的防衛ラインで、中でも台湾は真ん中に位置するため、戦略的価値が最も高い。
第二に、台湾は世界20位前後のGDPを持っており、経済で言えば特に半導体供給地として極めて重要であるため。農業や天然ガスしか産業がないウクライナとは比べられない。(中略)
そして第三に、(中略)中国大陸と台湾の間には台湾海峡が横たわっている(中略)
このような理由から台湾とウクライナは比較できないとすることで、中国が台湾に軍事的手出しはできないことを暗に言ったことになる。
台湾内で一笑に付されているような議論をまことしやかに日本国内で議論する人たちは、ただの野次馬、もしくはわざと危機感を煽って日本の軍事力をよりいっそう増強させようとする意図があるとしか思えない。(後略)【3月1日 武田一顕氏 デイリー新潮】
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“台湾内で一笑に付されている”と言えるかは異論もありますが、中国・習近平政権にとって台湾侵攻のハードルは非常に高いのは間違いないでしょう。失敗したら政権崩壊です。
“台湾の最新世論調査「中国は軍事侵攻しない」が約6割の“意外”。なぜか日本は「侵攻懸念」が8割超で…”【3月31日 BUSINESS INSIDER】
【ウクライナ侵攻による台湾側の核抑止論】
台湾が“一笑に付していない”話としては、核抑止力の議論も。
****台湾で浮上しつつある「抑止力」の議論****
3月2日付のTaipei Times紙の社説が、ロシアによるウクライナ侵略を受け、台湾の抑止力向上の必要性を説き、台湾による核兵器計画の再開にまで踏み込んだ提言をしている。
(中略)本社説は、「今日のウクライナが明日の台湾」にならないために、国防上核兵器を含む高度の抑止力を保持すれば、中国が将来、「台湾統一」を目指して台湾に軍事侵攻することを躊躇することとなるかもしれないと述べ、台湾にとっての今後の課題に言及している。
実行は容易ではないであろうが、検討に値する興味深い内容である。本社説によれば、台湾は秘密裏に核兵器開発計画(新竹計画:Hsinchu Project)をもち、1964年に最初のテストを実施した。しかし、88年、米国からの圧力でこれを中止した。その結果、台湾は今日、核兵器を保有していないだけではなく、米国の核の傘にも入っていない。
(中略)本社説の述べる今後の台湾にとっての抑止力向上の選択肢は次の3点である。
(1)台湾にとって、1つ目の選択肢は、現在、台湾の保有する中距離ミサイル(「雲峰」)の射程距離(2000キロメートル)を延長し、重要な通常戦力による抑止力として使用することだ。こうすれば、北京、上海なども射程距離内に入る。
(2)第2の選択肢は核兵器の「持ち込み」である。米国の核ミサイルを台湾に配備することは、もう一つの選択肢となる。米台間に外交関係のあった時期ではあるが、62年まで米空軍は TM-61マタドール・核搭載ミサイルを台南空軍基地に配備していた。
(3)台湾自身が、米国の支援のもと、あらためて核兵器開発計画を再開することは、第3の選択肢である。
ロシアのウクライナ侵略が中国の「台湾統一」に今後如何なる影響を及ぼすかは、現段階では想像の域を出ない。しかし、あらゆる可能性に対峙できるように準備を行うことは台湾の防衛にとって、喫緊の課題だろう。
最近の台湾の世論調査を見る限り――世論調査は変わりやすいものではあるが――ウクライナ危機のあと、台湾の多数の人々の、第一の関心事項は「いざとなった時、米国は来てくれるだろうか?」という問いかけであるように思われる。(後略)【3月24日 WEDGE】
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【ウクライナ侵攻による中国の核兵器増強論】
「核抑止力」の話は中国でも出ているとか。アメリカがウクライナ支援で軍を出さないのはロシアに核があるせいである。だから中国もアメリカを抑止できるような核兵器の高度化を図る必要がある・・・という議論です。
****中国が核兵器を増強、台湾巡る米との対立念頭に****
中国は、より強力な核兵器を保有することが、台湾をめぐる紛争が起きた場合に米国が直接介入することを防ぐ一つの方法だと考えている
中国が核兵器の増強を図っている。中国政府の意向を知る複数の関係者が明らかにしたもので、背景には米国による脅威の評価の変化がある。核兵器の増強に新たな光が当てられたことで、米中間の緊張が高まりそうだ。
(中略)米国がウクライナで直接介入することに慎重な姿勢を見せていることで、中国は抑止力としての核兵器開発を一段と重視する決断に強く促されたようだと話す関係者もいる。中国指導部はより強力な核兵器を保有することが、台湾を巡る紛争が起きた場合に米国が直接介入することを防ぐ一つの方法だと考えている。(中略)
中国指導部に近い関係者らによると、トランプ前政権とバイデン政権の下で対中政策がよりタカ派姿勢を強めているため、米国が中国共産党政権の転覆を狙う可能性があるとの恐れも中国が核兵器に力を入れる原動力になっている。
米軍当局者と安全保障専門家は、中国の核兵器増強について、不意打ちの核攻撃も辞さないことを意味する可能性があると懸念する。中国指導部に近い関係者らは、核を先制使用しないことを約束していると話す。
同関係者らによると、中国は安全保障面で必要以上の武装を保持することはしない計画だ。また、中国軍は、自国の核兵器はあまりに時代遅れであり、米国の潜在的な核攻撃に対する抑止力としては効果的ではないと考えているという。(後略)【4月10日 WSJ】
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中国が核兵器の増強に走り、(現時点では現実性は小さいですが)台湾でも核保有の議論が高まれば、「じゃ、日本は?」という話にもなりますが、状況を正確に判断し、慎重さを要する話です。