【白人割合は1割未満 大きな格差】
今、南アフリカに向かう飛行機の中にいます。(正確に言えば、経由地のシンガポールに向かう機内です。)
ヴィクトリアの滝や喜望峰などを観光するツアーです。サファリ観光もあるみたい。
ヴィクトリアの滝観光ではジンバブエのホテルに宿泊します。
アフリカはエジプト以外(エジプトもアフリカだとすれば)初めて。いつもの個人手配の旅行はハードルが高いように思われ、安心なツアーを選んだ次第。
それにしても、やはり遠い。
シンガポールまで7時間、そこからヨハネスブルグまで10時間、おまけにシンガポールで8時間の乗継待ち。
気が遠くなります。
いささか難行苦行の趣もありますが、たまにはアフリカを見てみるのもいいかな・・・ということで。
南アフリカに関する記事は殆ど見かけませんが、たまたま出発前に下記のような人口に関する記事が。
****南ア人口、22年時点で6200万人に増加=国勢調査****
南アフリカ統計局が10日発表した国勢調査によると、国内人口は昨年時点で6200万人となり、2011年の5180万人から増加した。
人口の約8割が黒人、白人は1割以下だった。
昨年時点の移民は240万人超。隣国ジンバブエからの移民が最大の45.5%を占め、次いでモザンビーク、レソトとなった。
統計局は「国家間の移動は主に、経済機会の模索や政情不安が理由だが、環境面での危険が理由になるケースも増えている」と指摘した。
南アの国勢調査は、1994年のアパルトヘイト(人種隔離)政策撤廃後の民主選挙以来4回目。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)でデータ収集が滞るなどし、10年超ぶりの実施となった。【10月11日 ロイター】
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白人は1割以下・・・以前、7~8%程度という数字も見たような気もします。
もちろん、アパルトヘイトが終わり、数では圧倒的な黒人が政治的主導権を握っているとは言え、経済的面では未だ白人が大きな力を有しており、また経済格差も大きなものがあるのでしょう。
かつてアパルトヘイトに苦しみ、マンデラ元大統領を指導者とする運動でアパルトヘイトを終わらせたこと、アフリカにあっては有数の経済大国でBRICSのメンバーであること(現在は経済規模ではナイジェリアが上回っているようです)・・・そんな程度しかイメージがありませんので、南アフリカの簡単な概要を。
****「南アフリカってどんな国?」2分で学ぶ国際社会****
アフリカ南部
南アフリカってどんな国?
南アフリカはアフリカ大陸の最南端に位置する国で、ナミビア、ボツワナ、ジンバブエ、モザンビーク、エスワティニ、レソトと国境を接しています。
標高1200m以上の高原が海岸近くまでせまり、平野は多くありません。
東部は海洋性の温帯で、西部は乾燥しています。テーブルマウンテンのあるケープタウンの周辺の海岸は地中海性気候で、ワインの生産が盛んです。
ケープタウンのボルダーズビーチには、ケープペンギンが生息しています。その北方のクランウィリアムは、この地域のみに自生するルイボスティーというハーブティーで有名です。
アパルトヘイトの歴史
17世紀半ばからオランダ、19世紀前半からはイギリスの植民地となりました。ダイヤモンドが発見され、入植したオランダ系(ボーア人)とイギリス系との間で対立が激化し、ボーア戦争へと発展しました。
1910年に、イギリス自治領の南アフリカ連邦として自治を獲得しました。白人優遇策が採られ、1948年、アパルトヘイト(人種隔離)法が制定されました。
これに対して、ANC(アフリカ民族会議)が武力闘争を行い、国際世論を味方につけ、ようやく1991年に撤廃されました。
1994年、全人種が参加する初めての総選挙が行われ、ANCを率いてきたネルソン・マンデラが大統領に選出されました。
世界最悪のジニ係数
マンデラは、すべての人種を尊重する「レインボー・ネイション」建設を宣言し、新政府はアフリカ系を優遇する企業を援助したり、初等教育や社会保障の充実を推進しました。
その結果、アフリカ系の企業幹部の比率が約4割に達するなどして、アフリカ系にも富裕層が誕生しました。
しかし、ヨーロッパ系とアフリカ系の間には、平均収入で5倍近い差があり、アフリカ系の失業率は3割にも上るといわれ、格差を示すジニ係数は世界で最悪に近いです。
とくに大都市の治安の悪さが深刻になっています。
ダイヤモンドや金など、豊富な鉱産資源
経済を支えてきたのは豊富な各種の鉱産資源です。ダイヤモンドのほか、金、クロム鉱、プラチナ、マンガン、バナジウムの生産量は世界一で、埋蔵量も世界上位に位置しています。
ほぼ中央部に位置するキンバリーでは、ダイヤモンドの露天掘りが19世紀半ばから行われた結果、直径約500m、最深部約200mという、人間が掘った世界最大の穴があります。
この国のダイヤモンドは地中かなり深く掘らなければなりません。周辺諸国から鉱山で働く移民が多数やってきますが、職を奪われるとして、移民の排斥が深刻になっています。
ラグビーが国民的スポーツ
国民統合にスポーツが寄与しています。最も盛んなスポーツはラグビーで、世界トップクラスの実力を誇っています。
1994年の民主化で国際大会に復帰した翌年、W杯の開催国となり、見事に初優勝を果たしました。2007年と2019年のW杯にも優勝しています。サッカーW杯も2010年にアフリカ大陸で初めて開催されました。
面積:121.9万㎢ 首都:プレトリア
人口:5697.9万 通貨:ランド
言語:バンツー諸語、英語(11の言語が公用語)
宗教:キリスト教86%
隣接:ナミビア、ボツワナ、ジンバブエ、モザンビーク、エスワティニ、レソト
(注)『2022 データブックオブ・ザ・ワールド』(二宮書店)、CIA The World Factbook(2022年2月時点)を参照
(本稿は、『読むだけで世界地図が頭に入る本』から抜粋・編集したものです。)
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貧困・格差がもたらす治安の悪さ今回の観光でも注意するようにきつく言われています。
【悪化している教育の成果】
アパルトヘイトが終わって次第に事態は改善していく・・・・と期待されていましたが、現実は厳しいようです。
****南アフリカで9~10歳の8割が読解に困難 最新の国際調査****
南アフリカでは9~10歳の子供の10人に8人が、読解に困難を抱えていることが、国際的な調査で明らかになった。
国際教育到達度評価学会(IEA)が主導する「国際読解能力研究(PIRLS)」では、2021年に世界57の国と地域の40万人の児童を対象に、読解能力のテストを行った。日本は参加していない。
南アフリカは、参加国の中で最下位だった。読み書きができない子供は、前回調査の76%から81%に増加している。
南アフリカのアンジー・モチェクガ教育相は、この結果は新型コロナウイルスのパンデミックによる学校閉鎖が原因だとしている。
また、この結果は「がっかりするほど低い」とした上で、同国の教育システムは貧困や不平等、インフラ不足といった歴史的にも大きな困難に直面していると述べた。
多くの小学校で「読む指導は大抵、口頭で読み上げる能力だけが重視され、読解力や書かれた単語の理解が無視されている」と、モチェクガ氏は説明した。
PIRLSの最新調査では、南アフリカの子供の81%が、11個ある公用語のいずれでも読解ができなかった。
PIRLSは、9~10歳の子供を対象に、識字率と読解能力の傾向を調査している。調査は5年ごとに学年末に行われ、中間点を500点として、ランク付けが行われる。
アフリカからは南アフリカのほか、モロッコとエジプトの3カ国だけが参加した。
最新調査では、シンガポールが587点でトップ。これに香港(573)、ロシア(567)、英イングランド(558)が続いた。
最下位だった南アフリカは288点と、次点のエジプト(378点)に大きく離された。
また全体の傾向として、ほぼ全ての参加国で男子よりも女子の方が読解能力が高いことが分かった。ただし、この性差は前回調査よりも小さくなっているという。
南アフリカでは、人種隔離政策「アパルトヘイト」の結果、黒人と白人の子供の間に大きな不平等があり、教育システムが直面する困難が長期化している。
政府は教育分野に最も多くの予算を割いているだけに、今回のような調査結果は失望につながるだろう。
適切な教材の不足や、トイレなど学校のインフラ不足などが、こうした危機を招いている。【5月17日 BBC】
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かなり衝撃的な結果です。しかも「読み書きができない子供は、前回調査の76%から81%に増加している。」
もちろんアパルトヘイトのもたらした貧困・格差に大きな原因があることは間違いないでしょうが、すでに終了して30年ほどが経過していますので、その後の政治のあり方にも大きな問題があったと言わざるを得ないでしょう。
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