孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

中国  新型コロナ感染拡大 住民不満は限界 当局対応「適正化」も ただし「ゼロコロナ」は維持

2022-11-16 23:14:33 | 中国
(【広東省 #広州市 でロックダウンに対して住民が暴動 #shorts #ビデオ #中国 - YouTube】
先月から封鎖が続く広州市海珠区で、住民が警察のバリケードを破壊する様子)

【中国 14日のコロナ新規感染者1万7772人 4月以来の高水準】
中国の「ゼロコロナ」政策については11月4日ブログ“中国 党大会後も続く「ゼロコロナ」 高まる住民不満 近く「大幅修正」との発言も”で取り上げましたが、その当時の感染状況は“中国国家衛生健康委員会は4日、新型コロナウイルスの新規市中感染者が3日に3871人と、5月初旬以降で最多になったことを明らかにした。5月初旬には上海で新型コロナが猛威を振るい、北京市も感染対策を急いでいた。”【11月4日 ロイター】というものでした。

現在は・・・検査態勢を縮小しているにもかかわらず、14日の1万7千人超と、上記の4~5倍のレベルに新規感染者数が更に増大しています。

****中国コロナ感染者、検査縮小でも増加 広州は初の5000人超え****
中国の新型コロナウイルス新規感染者は、関連規制の緩和で多くの都市が検査を縮小しているが増加している。

14日に確認された新規感染者は1万7772人。前日の1万6072人を上回り4月以来の高水準となった。

首都北京市の新規感染者は462人。前日の407人から増加した。
南部の大都市、広州市は新規感染者が初めて5000人を超えた。

JPモルガンのアナリストは、広州の感染曲線は3月から4月にかけての上海と同様で、これまでならロックダウンが発動されてもおかしくないとし、「規制緩和を推進する政府の決意が試される」と指摘した。

上海市の新規感染者は16人と、比較的低水準にとどまっているが、集合住宅全体が封鎖されている。【11月15日 ロイター】
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オミクロン株の感染力の強さの前には、習近平政権が中国体制の欧米に対する優位性を示すものと誇った「ゼロコロナ」政策も歯がたたないようです。

【厳しい規制に対する住民不満等に「適正化」で調整 「ゼロコロナ」は堅持】
厳格な、あるいは強引・無謀な「ゼロコロナ」による様々な軋轢・トラブル・住民不満については、これまでも取り上げてきましたが、コロナとの闘いが長引くにつれ、「ゼロコロナ」の負の側面が大きくなっています。

さすがに習近平政権も住民不満増大や経済減速という負の側面に配慮せざるを得なくなり、軌道修正の兆しは見えますが、体制の優位性と結び付けてしまっただけに「ゼロコロナ」の看板を降ろすことには政治リスクが伴いますので、「ゼロコロナ」の基本路線は維持されたままです。

****感染1万人超の中国、相次ぐ封鎖措置に不満噴出…習政権は「ゼロコロナ政策」を断固継続****
中国政府は11日、中国本土で10日に確認された新型コロナウイルスの市中感染者が1万535人に上ったと発表した。市中感染者が1万人を超えたのは4月29日以来となった。

感染者の増加傾向に歯止めがかからず、危機感を強めた習近平シージンピン政権は10日、共産党最高指導部の会議で、わずかな感染も許さない「ゼロコロナ政策」を継続する方針を確認した。

市中感染者は、10月の党大会期間中は数百人台で推移していたが、同月22日の閉幕後に急増。感染者は全国31の省・直轄市・自治区の全てで確認されている。

習総書記(国家主席)が主宰した10日の会議では、ウイルスの変異や本格的な冬の到来で、「感染の範囲と規模がさらに拡大する可能性がある」と強い危機感を示し、ゼロコロナ政策を「断固貫徹しなければならない」と強調した。

中国では、厳格な移動制限や隔離を伴うゼロコロナ政策の画一的な運用で、企業活動や社会生活が大きく制限され、各地で不満が噴出している。

特に北京市では、感染者が出た地域から市内に入ることを厳しく制限している。中国に進出する日系企業でつくる中国日本商会によると、10月以降約1か月にわたり北京に戻れない社員もいる。同商会は11日、「合理的でない移動制限は経済活動に負の影響しかもたらさない」と制限の緩和を求める要望を市政府に出した。

広東省広州市では、感染が広がっている地区を丸ごと封鎖。感染者の立ち寄りが疑われるビルや住宅街が次々封鎖されるなど、混乱が続く。中国のSNS上では、同省で使う人が多い広東語で、厳格なゼロコロナ政策への不満や不安が相次いで書き込まれている。

不満の広がりや経済への影響を背景に、中国政府は11日、封鎖措置を乱発しないよう地方政府に求めるなど感染対策を「適正化」すると発表した。だが、SNS上では「適正化など信じられない」と政府への不信感が渦巻く。
 
「適正化」の中には、入国者に対する事実上10日間の隔離期間を8日間に短縮する措置も含まれる。ビジネス関係者の往来増を期待しているとみられる。【11月11日 読売】
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「適正化」が今後の本格的な「緩和」、「セロコロナ離脱」につながるのか・・・様々な憶測がなされています。

****中国がコロナ対策で規制を緩和、「ゼロコロナ策」からの離脱の前触れなのか****
中国政府は11日、新型コロナウイルス感染症対策の新たな「20の措置」を発表した。隔離期間の短縮など、規制を緩和した特徴がある。同措置を受けて、中国が「ゼロコロナ」政策の堅持を断念する前触れなのかどうかの、さまざまな観測が発生している。

「20の措置」は、感染者との濃厚接触者に対して、これまで7日間だった集中隔離期間を5日間にする。自宅隔離期間は3日間で変更されなかったが、隔離期間全体で2日間短縮されたことになる。新型コロナウイルス感染者を搭乗させた航空会社への罰則は撤廃された。

「二次接触者」の特定も撤廃され、感染リスク地区の分類も従来の「高」「中」「低」から「高」と「低」の2種に簡素化して、規制措置を適用する人の数を最小限に抑えることにした。

「20の措置」が発表された後に、人民元の為替レートは7週間ぶりの高値になった。上海・深セン300指数は午後の取引で2.8%上昇し、香港ハンセン指数は7%以上上昇した。ハンセン指数の上げ幅は、1日内の反発としては今年3月以来の値だった。また、中国の旅行検索エンジン「去哪爾網」では、11日の国際便検索数が前日の3倍に急増した。

ただし中国では、中央政府が定めた政策を実行するのは地方政府である場合が多く、地方政府は「地元の実情に合致した施策」を進めるために、相当に大きな裁量が認められる場合が一般的だ。そのためSNSには「20の措置」について「どのように実施するかは、すべて地方(政府)が組める。従って楽観はできない」との書き込みも寄せられた。

中国外交部(外務省)の趙立堅報道官は11日の定例記者会見で、「20の措置」について「感染症対策の最適化を図る措置が発表されたことで越境旅行が改善され、ビジネスパーソンによる中国への投資や起業に利便性がもたらされるだろう」と述べた。ただし趙報道官は続けて「科学的かつ正確に感染症を抑止するためであり、感染症対策を緩めることでは決してない」として、中国は今後も感染症対策を徹底すると強調した。(中略)

「20の措置」は、中国で新型コロナウイルス感染症が約3年前に発生して以来、これまでで最も大胆な規制緩和だ。ロイターはシティバンクの分析を引用し、この新たな政策は「ゼロコロナ」政策の終わりの始まりを示しており、今後数カ月間でワクチン接種の推進が加速するのに伴い、全面的な開放に向けた準備が進むとの見方を示した。

ただし多くの専門家は、中国がただちに全面的な開放に向けて進む可能性は低く、早くとも2023年3月の全国人民代表大会と政治協商会議の後になると考えているという。【11月13日 レコードチャイナ】
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“早くとも2023年3月の全国人民代表大会と政治協商会議の後”・・・・中国人民の苦難はしばらく続きそうです。

【「保身」に走る地方政府の「現実」対応 一方で「財政悪化」という「現実」も】
問題は、上記記事にあるように地方政府の対応です。
中央が「適正化」を云々しても、実際に感染が拡大すると地方政府幹部はその責任を問われます。そのため、地方政府は自らの「保身」のために住民無視の厳しい規制・「過剰対応」に走りがちです。

****コロナ「過剰対応」続く中国、妊婦が4時間搬送待ちし流産・1人感染で23万人外出禁止****
中国政府が新型コロナウイルス感染対策を「適正化」すると発表したにもかかわらず、外出制限で病院搬送が間に合わずに妊婦が流産したり、ロックダウン(都市封鎖)が行われたりするなど、地方政府による過剰な対応が続き、インターネットには当局を批判する投稿が相次ぐ事態になっている。

内陸部の重慶市内の区政府は14日、妊婦が流産した事案について調査を始めたと発表した。米政府系のラジオ自由アジア(RFA)などによると、感染対策で外出が制限された地区に暮らす妊婦が12日、体調不良を訴えて管理者に車の手配を依頼したが、搬送まで4時間を要し、流産したという。

東北部の黒竜江省鉄力市では、13日から3日間、事実上のロックダウンに入った。12日に感染者が1人見つかったため、約23万人の住民にPCR検査時以外の外出を禁じ、タクシーやバスの運行も停止している。

中国政府は11日、感染対策を「適正化」すると発表し、地方政府に対して、無分別な封鎖措置を禁じ、妊婦や基礎疾患のある人々には状況に応じて対応することなどを求めた。「ゼロコロナ」政策に対する人々の不満を軽減する狙いがあったとみられる。

しかし、感染拡大による処分を恐れる地方幹部が過剰な対応を継続しているのが実情で、ネット上では「まだこんな悲劇が起きているのか」などと批判的な投稿が相次いでいる。【11月14日 読売】
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もっとも、地方の「保身」からの過剰反応という「現実」の一方で、従来の地域住民全員を対象に行っていた定期的なPCR検査が「財政悪化」という「現実」から廃止されるという緩和に向かう側面もあるようです。

****中国 「ゼロコロナ」新方針で地域住民「全員対象」のPCR検査廃止の都市続々 背景に財政悪化の指摘も****
新型コロナの感染を徹底的に抑え込む「ゼロコロナ」政策をとる中国。感染者の洗い出しのため、地域住民全員を対象に行っていた定期的なPCR検査をやめる都市が増えています。背景には地方財政の悪化も指摘されています。

こちらは中国のインターネットに投稿された河北省石家荘市の映像です。動画を投稿した人は、店舗に入る際に求められていた72時間以内のPCR検査の陰性証明が14日から必要なくなったと伝えています。

証明の必要がなくなったきっかけは、中国政府が今月11日に発表した新型コロナに関する新たな方針です。

感染が発生していない地域については、新たに感染者が出ても感染源や経路が特定できていれば、市や区といった行政区の「全員を対象」にした検査は行わないと定めました。

これを受け、石家荘市のほか、南部の広東省広州市や、東北部の遼寧省大連市など、市民全員を対象にした定期的なPCR検査を廃止すると発表する都市が各地で相次いでいます。

ただ、今回の方針について政府は、政策の「緩和」ではなく、あくまで「ゼロコロナ」政策を堅持すると強調しています。

中国の証券系シンクタンクは検査には、人件費など最大で年間およそ34兆円の費用がかかると試算。

中国メディアによりますと、公衆衛生の専門家が「大規模なPCR検査は多くの地方の財政に大きな圧力をかけている」と話すなど、今回の検査廃止の背景には地方政府の財政悪化を指摘する声も上がっています。【11月15日 TBS NEWS DIG】
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【広州市では暴動、警察との衝突も】
「適正化」後の様々な反応、憶測もあるなかで、基本的には厳しい規制が続いており、住民不満も限界状態。
感染拡大の中心地ともなっている広州市では暴動に至り、警察と衝突する事態にも。

****中国・広州市でコロナ封鎖抗議の住民が暴動、警察が高圧放水で鎮圧…香港メディア****
中国の広東省広州市で14日夜、新型コロナウイルス感染対策に基づく厳格な封鎖措置に住民が抗議し、暴動に発展した。香港メディア・香港01は、住民が警察車両や封鎖に使われていたフェンスを倒すなどし、警察が高圧放水で鎮圧を図ったと報じた。けが人も出ている。

暴動が起きたのは市中心部南方の海珠区で、5日以降、公共交通機関の運行を停止し、事実上のロックダウン(都市封鎖)状態となっていた。インターネット上では、大勢の住民が大声を上げて封鎖区域外に飛び出し、防護服姿の職員ともみ合う様子を撮影した動画が拡散された。

中国メディア・財新によると、封鎖区域の住民が中に入れず、路上で夜を明かしている。人口約1880万人の広州市では、14日の新規感染者数が5124人と過去最高になった。【11月15日 読売】
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【SNSで流出する実態 当局側の規制強化】
“当然ながら”情報統制が厳しい中国ではこうした状況をメディアは一切報じていませんが、暴動の様子が動画でSNSで国外に流れてもいます。

辛坊治郎氏は「これまでの中国であれば、あり得ない」とも指摘しています。
“あり得ない”のは暴動が起きたことではなく(中国では、土地収用をめぐる問題などで住民デモと警察が衝突するということは以前からよくある話です。)、動画が国外に流出することです。

****中国コロナ封鎖で住民暴動 「これまでの中国であれば、あり得ない。この動画で中国の実態が分かる」辛坊治郎、広州住民の暴動動画流出で指摘*****
(中略)中国の広東省広州市で15日夜、新型コロナウイルス感染症対策の封鎖措置に住民が抗議し暴動に発展した。香港メディアによると、住民が警察車両や封鎖に使われていたフェンスを倒すなどし、警察が高圧放水で鎮圧を図った。

辛坊)中国ではいまだに「ゼロコロナ」政策です。感染者が見つかると、街ごと、また町内一帯をフェンスで封鎖しています。そうすると自宅に帰れない人や、自宅から出かけられない人が発生します。それで怒った住民たちがフェンスを倒すなどして、警察と衝突したんですね。

警察官の中には「いつまで、こんな馬鹿なことをやっているんだ」と個人的には懐疑的な人もいるのでしょうが、命令を受ければ個人的な意思とは関係なく封鎖を死守しようとするわけです。

日本であれば、メディアが現場に駆けつけ、報道されて大騒ぎになりますが、中国では徹底した報道管制が敷かれています。

しかし、その中国でも最近、抜け穴ができてきました。欧米の交流サイト(SNS)の大半は中国では使えませんが、国内のSNSを使って暴動の様子を映した動画などを流す人が現れてきたのです。これまでの中国であれば、あり得ないことです。

しかし、ここまでスマートフォンが普及すると、今回の暴動のように、その動画が世界へ漏れ出すようになりました。こうした動画によって、今の中国の実態が世界の人々にも分かるようになってきたわけです。【11月16日 ニッポン放送 NEWS ONLINE】
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中国に限らず、SNSの普及で、強権支配体制に対する抗議行動のあり様がSNSを活用した形に様変わりしていることはよく指摘されるところですが、弾圧の様子なども動画ですぐに世界中に拡散します。

その点では、強権支配者にとっては“やりづらい”世の中になったとも言えますが、それで諦めるほど“やわ”ではありません。
そうしたSNS、ネット利用を封じ込めるような強力な規制も行われています。

****中国、ネット法規を厳格化 共産党大会前に統制加速****
中国政府は8月1日、インターネットの統制を強めるため、交流サイト(SNS)の新たな管理規定や改正独占禁止法を施行した。秋ごろに開かれる5年に1度の共産党大会を前に社会を安定させるため、反政府的な言論やネット企業の巨大化を阻止する取り組みを加速させる。
 
たなSNS規定は「社会主義の価値観を発揚し、国家の安全を守る」ことを目的に、身分確認を徹底する。サービス提供業者は、利用者の氏名、身分証番号、職業などをこれまで以上に厳格に審査しなければならない。

改正独禁法は「データやアルゴリズム(計算手法)、技術、資本の優位性を利用した独占行為」を禁じた。【7月31日 共同】
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****中国「エアドロップ」機能を制限 習近平氏批判のスローガン拡散を問題視か****
中国で共産党大会の前に習近平国家主席を批判するスローガンが掲げられたことを受け、中国政府がアップルに対しiPhoneで画像などの共有ができる機能を制限するよう求めたことがわかりました。

台湾の中央通信社によりますとアップルは中国政府からiPhoneの画像やファイルを他人と自由に共有することができる「エアドロップ」の機能を制限するよう求められ、9日から中国国内で使用されるiPhoneの機能を制限したということです。

北京市では先月、共産党大会の開幕前に習近平主席を批判するスローガンが掲げられましたが、中央通信社は、この動画がエアドロップを通じて多くの人に拡散されたことを問題視した習近平指導部が制限をかけたのでは、という見方を伝えています。

スローガンの映像は中国国内では一切報道されていないほか、通信アプリ「ウィーチャット」などで拡散された動画はすぐに削除されるなど厳しい統制が敷かれています。【11月11日 TBS NEWS DIG】
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中国の情報統制・ネット規制については様々な問題が指摘されるところですが、話が長くなるのでまた別機会に。
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