孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

中国  止まらない人口減少・婚姻数減少 当局は離婚申請厳格化も 背景に若者の就労環境の悪化

2024-08-25 22:11:45 | 中国

(婚姻数は10年で半分ほどにまで減少【5月22日 テレ朝news】)

【婚姻数 23年は一時的要因で増加したものの、24年上半期は再び減少 ここ10年で半減】
周知のように、中国国家統計局は2023年1月、人口がここ数十年で初の減少に転じたことを明らかにしました。今年1月に発表した23年の人口も前年を約200万人下回っっています。

中国政府は長年続けてきた人口抑制策の一人っ子政策から、人口増加政策に政策を逆回転させ、人口減少を反転させようとしていますが、いまのところ目立った効果は出ていません。

出生数の基礎となる婚姻数は長期的に減少していましたが、厳格な行動制限を伴う「ゼロコロナ」政策終了の影響や、辰(たつ)年の24年に子どもを産むと縁起がいいという風習などで、23年の婚姻数は10年ぶりに増加しました。しかし、それも一時的な現象で、24年上半期は再び減少傾向に戻っています。

****中国の婚姻数、再び減少 前年比49万組減 最少更新の可能性*****
中国の婚姻数が再び減少に転じている。2024年上半期の中国の婚姻数が343万組となり、前年同期比49・8万組減少したことが民政省の発表で明らかになった。

23年の婚姻数は厳格な行動制限を伴う「ゼロコロナ」政策終了の影響などで10年ぶりに増加したが、一時的なものにとどまった模様だ。中国内の専門家は今年の婚姻数について1980年以降最少を更新する可能性があると指摘している。

中国の婚姻数は、13年の1346万組をピークに減少し、22年には683万組とほぼ半減していた。今年は「ゼロコロナ」政策下の22年上半期と比べても30・2万組減っており、中国の非婚化の進行が鮮明になっている。

背景として指摘されるのが、価値観の多様化のほか、高騰する教育費など子育てコスト、国内経済の低迷に伴う若者の就労環境の悪化などだ。SNS(ネット交流サービス)には「金もなく家もなく仕事もない。自分が生きるだけで精いっぱい」「この社会で誰が結婚する勇気があるというのだ」といった声が相次いでいる。

中国の地方政府も育児休暇の延長や結婚奨励金などさまざまな支援策を打ち出しているが、非婚化や少子化に歯止めがかかっていない。【8月9日 毎日】
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そうした非婚化の流れのなかで、女性側は「強気」のようです。

****結納金高騰で“結婚離れ”すすみ10年で半減…「家と車と1000万」と話す女性も 中国****
人口が減少に転じた中国で、結婚する人の数はこの10年で半分にまで減っています。そこには意外な理由がありました。

■結納金が高騰 平均400万円に…4億円のケースも
(中略)
結納金が高騰
きれいに並べられたたくさんの札束。結婚前に新郎が新婦側に贈るいわゆる結納金です。今、中国では、この結納金が高騰しているといいます。

独身女性  「(Q.あなたを妻にしたい場合はいくらかかりますか?)家一軒、車一台、それに加えて50万元(約1000万円)の結納金ですね」
 
4億円の結納金も
江西省では、10年前は100万円〜150万円程度だった結納金が、今は平均400万円にまで値上がりしています。去年は、富裕層の男性が4億円の結納金を用意したこともあったそうです。

■女性の意識の変化も…「キャリアや将来を犠牲」
結納金だけでなく、住宅や車も新郎が用意するのが一般的だといいます。こうした状況に男性側からは、次のような声が聞かれました。

独身男性  「女性は男性と同じくらい収入を得ています。なのに、なぜ男性だけが苦労して働いて、お金を稼いで家や車を買わないといけないんですか?不公平じゃないの?」

結婚の減少は少子化に直結するため、今年2月、中国の最高裁は高額な結納金を制限する法律を打ち出しました。
しかし、結婚減少の原因は、高騰する結納金だけではなく、女性の意識の変化にもあるようです。

中国人インフルエンサー 「女性は結婚のために自分のキャリアや将来を犠牲にすることは望んでいません。今の人にとって、結婚はもう高いリターンのある投資じゃなくなっています」(「グッド!モーニング」2024年5月22日放送分より)【5月22日 テレ朝news】
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【当局は離婚申請厳格化を検討 巷では女性向け「離婚指南」氾濫】
当局は結婚を増やすべく、婚姻届出を簡素化する一方で離婚申請を厳格化するという法案も検討しているようですが、ネット上で批判を浴びています。

****中国、婚姻届提出簡素化へ法案 離婚は困難に****
夫婦の婚姻届出を簡素化する一方で離婚申請を厳格化する中国の改正法案がインターネット上で批判を浴び、15日に最も注目を集めたトピックとなった。 この草案は今週、中国民生省が公表。9月11日まで一般の意見を募っている。

中国では人口が2年連続で減少しており、当局は若者の結婚と出産の奨励に苦戦している。 法案では、結婚に関して夫婦の戸籍所在地での対応を義務付けていたこれまでの法律の地域的な制限を撤廃する。

離婚には30日間の冷却期間が設けられ、どちらかの当事者が離婚を望まない場合は申請を取り下げて手続きを終了することが可能になる。

中国の短文投稿サイト、微博(ウェイボ)では「愚かなルールだ」という書き込みがあり、数万件の「いいね」を集めた。

西安交通大学・人口発展研究所の教授は、この規制は「結婚と家族の重要性」を促進し、衝動的な離婚を減らし、社会の安定を維持して当事者の合法的な権利保護を強化することを目的としていると、中国共産党系メディアの環球時報に語った。【8月15日 ロイター】
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離婚を減らそうと画策する当局ですが、一方で巷では・・・

****中国で女性向け「離婚指南」氾濫 スマホの訴訟手引きも****
中国で離婚を考える女性を後押しする風潮が広がる。交流サイト(SNS)には離婚体験を語る動画や文章が氾濫。スマートフォンを利用した訴訟向けの証拠集め、離婚後の過ごし方といった“マニュアル”も充実している。経済や精神的に自立した生き方を選ぶ女性が増えていることが背景にありそうだ。

「家庭内暴力で離婚。その後、未経験から年商1億元(約20億円)を達成」。女性向けの服をオンライン販売する広東省深センの女性経営者は、離婚を乗り越え成功をつかんだ境遇を売りにした。

中国のインターネット上には離婚女性に共感する意見も多い。離婚証明書をSNSに投稿するなどして知名度を高め、ビジネスにつなげる事例も少なくない。

上海市で飲食店を経営する女性(39)は2018年、動画投稿アプリで浮気した夫と別れる方法を検索。離婚には証拠が必要だと知り、夫のスマホを調べ、上海ディズニーランドを訪れた履歴や2人分の宿泊、食事の決済画面を撮影。夫に突き付け離婚を決断させた。【8月24日 共同】
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離婚申請を厳格化というのもかなり際どい対策ですが、もっと出生数増加に直接的に効果があるものの、禁じ手に近いのが「中絶禁止」。

****低すぎる出生率で迷走...中国政府は「中絶禁止」に向かうのか****
(中略)
「女が家庭を守る」伝統に回帰
中国はまた、習近平(シー・チンピン)国家主席が言う「新時代の結婚・出産文化」を育成するため、「若い女性が家庭に戻り、フルタイムで出産・育児と年長者の世話をするよう奨励している」と、グリーンハル(ハーバード大学教授)は言う。「(今の中国は)女性が家庭を管理し、男性が稼ぐ伝統的な国家にかなり近いものをつくろうとしている」

中国政府は既に「医学的に必要ではない」中絶を制限する政策を導入し、男女の産み分けを防ぐ目的で胎児の性別判明後の中絶も制限していると、グリーンハルは指摘する。

中国では1950年代から中絶規制が緩和された。1人っ子政策が続いていた数十年間は、地方当局が「違法な」妊娠の中絶を女性に強要していた。

中国政府は中絶禁止まで踏み込むだろうかと王(カリフォルニア大学教授)に質問すると、「ほとんど想像できない」という答えが返ってきた。「今の中国は高学歴社会でもある。若者たち、特に若い女性は自分たちの権利に敏感だ。人々の意思に反するやり方は政治的な自殺行為になる」

中国が検討していない政策の1つは、移民の増加による生産年齢人口の確保だ。「日本や韓国も歴史的に移民受け入れが非常に少なく、それが全人口と生産年齢人口の減少を加速させた要因の1つになった」と、アジアの高齢化問題に詳しいニューサウスウェールズ大学シドニー・ビジネススクール(オーストラリア)のフィリップ・オキーフ教授は本誌に語った。

「たとえ中国が移民の拡大に意欲を示し、外国から中国に移住する意思と能力を持つ労働者がいたとしても、中国の労働力の絶対的な規模を考えれば、移民の受け入れによって状況を変えるのは難しいだろう」

さらにオキーフはこう言葉を続けた。「中国にとってもっと現実的な当面の目標は、合計特殊出生率が0.72の韓国や0.97のシンガポールのような近隣諸国のレベルまで落ち込まないように、現在進行中の出生率低下に歯止めをかけ、安定させることかもしれない」【4月22日 Newsweek】
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【思い通りの仕事に就けない若者を指す「爛尾娃」という呼称が流行語に】
もちろん、出生数・婚姻数が増えない背景には、価値観の多様化、高騰する教育費など子育てコストといった理由に加えて、若者の生活苦があります。景気の悪化が取り沙汰される中国経済にあって、特に若者の失業率が高いことが問題視されています。「金もなく家もなく仕事もない。自分が生きるだけで精いっぱい」という状況では結婚・出産も困難です。

****中国大卒者に空前の就職氷河期、妥協やニート生活も****
中国では失業者の増大に伴って、数百万人の大学新卒者が空前の就職氷河期に直面している。ある人は低賃金の仕事を受け入れざるを得なくなり、両親の年金を当てにした「ニート生活」をする若者も出てきた。

2021年以降、中国経済を悩ませているのは不動産セクターに積み上がった膨大な未完成の建設物件、いわゆる「爛尾楼」だ。今年になってソーシャルメディアでは、この言葉にならって思い通りの仕事に就けない若者を指す「爛尾娃」という呼称が流行語になっている。

今年、仕事を探している過去最多の大卒者が参入した労働市場は、新型コロナウイルスのパンデミックに起因する混乱や、金融とハイテク、教育分野に対する政府当局の締め付けによってすっかり活気を失ってしまった。

約1億人に上る16─24歳の若者の失業率が初めて20%を超えたのは昨年4月のことで、同6月には過去最悪の21.3%に上昇。すると当局は突然、統計算出方法を見直すためとして公表を停止した。

それから1年を経て、再集計されたこの失業率は7月に17.1%と今年最悪に跳ね上がり、夏場には新たに1179万人が大学を卒業した。

習近平国家主席は、若者の仕事を見つけ出すことが最優先課題だと繰り返し強調。政府も就職フェア開催や採用拡大する企業への支援など若者の就職につながる措置を打ち出している。

それでもミシガン大学のユン・チョウ助教は「かつての大卒者に約束されていたより良い仕事、社会的地位上昇、生活水準の向上見通しはいずれも、今の多くの大卒者にとって、ますます手が届かなくなっている」と指摘した。

仕事にあぶれた若者の中には、故郷に帰って働かずに両親の年金や貯蓄で暮らす完全な扶養家族に戻る人々もいる。

修士号を持っていても逆風を免れるわけではない。 非常に激しい競争を勝ち抜いて中国の高等教育課程を登り詰めた先に、爛尾娃たちが見ているのは、低迷する経済状況にあって自分たちの資格は仕事の確保につながらないという現実だ。

彼らの選択肢は限られ、高給の仕事探しで希望条件を引き下げるか、食べていくために何でも良いから就職するかを迫られる。時には犯罪にまで手を染めてしまう。

昨年、高い教育水準を誇る中国外交学院で修士号を得たゼフィア・カオさん(27)は、地元の河北省に戻り、就職活動を取りやめた。期待ほどの賃金が手に入れられないと分かり、自らの学歴の価値に疑問を感じたからだ。

カオさんは「3─4年前に大学を卒業した後働いていても、私の給与は恐らく現在の修士号でもらえるのと同じだろう」と語り、数年後に事態が改善することを願って博士号取得を検討している。

中国河北医科大学を最近卒業したアマダ・チェンさんは先週、たった1カ月間働いただけで、ある国有企業のセールスの仕事をやめた。試用期間開始からの15日で、1日12時間も勤務させられながら、1日当たりわずか60元(8.40ドル、約1200円)しか支払われず「1週間ずっと泣いて暮らした」という。

チェンさんは自分の技能を生かすために品質検査か研究がしたかったが、130件も応募したのにオファーがあったのはほとんどがセールスか電子商取引関係の仕事だった。 彼女はキャリアパスを全面的に見直し、モデル業への転身も考えている。

<専攻分野の重複も>
大卒者の就職難は目新しい現象というわけではない。 1999年に中国政府は、高等教育を受けた労働力を拡充して経済成長を加速させる狙いから大学生の定員数を劇的に増やした。

結果的に大卒者が求人数を上回り、2007年には当局が就職事情について懸念を表明。その後この問題はやや和らいだとはいえ、毎年大量の大卒者が市場に参入することで完全に解消されることはなかった。

大卒者の専攻分野と市場のニーズの関係でも先行きは不透明だ。

今年北京郵電大学の3年生を終えたショウ・チェンさんは人工知能(AI)が専門だが、十数件応募してもまだインターンシップ先が見つかっておらず、就職について悲観的なままだ。「この先もっと悪くなるかもしれない。結局(この分野に)入ってくる人がどんどん多くなっている」と語った。

中国政府系の学術論文によると、大学・専門学校の卒業者数は今年から2037年まで労働需要を上回り、その後は出生率低下の影響で供給超過幅が急速に縮小する見通し。大学新卒者数は34年に1800万人程度でピークを迎える公算が大きいという。【8月25日 ロイター】
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ニート生活ができる、大学院に残る選択ができるというのは、それを支えられる親世代の生活がひと昔前に比べると豊かになっている・・・ということでもあるでしょう。
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