孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

アフガニスタンでの女性権利保護、気候変動に関する行動を求める側の言行不一致・欺瞞

2021-11-03 21:30:13 | 女性問題
(1日、英グラスゴーでの国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)首脳級会合で行動の重要性を演説するジョンソン首相 【11月2日 時事】)

【「ソーセージパーティー」でタリバンに女性権利を求める各国・国際機関代表団の欺瞞】
アフガニスタンで教育や就業の面で女性の権利が認められていないことについては、多くの報道があります。
下記記事はそうしたものの一例です。


****「なぜ勉強できないの?」 学校を追われたアフガン少女たち****
アフガニスタンのアメナさんは、通っていた女子高校が今年5月、イスラム過激派組織「イスラム国」の爆弾攻撃を受け、同級生数十人の死を目の当たりにした。それでも教育を受け続ける覚悟だった。
 
ところが、中等教育を受けているほとんどの女子と同様、アメナさんは今、授業からまったく締め出されている。アフガニスタンで政権を奪還したイスラム主義組織「タリバン」は9月に学校再開を命じたが、女子生徒は除外された。

「勉強したいし、友達に会いたいし、明るい未来がほしいです。でも今はそれができません」。首都カブール西部にある自宅でアメナさんはAFPに語った。「最悪の状況です。タリバンが来てから、とても悲しいし、怒っています」
 
国連児童基金(ユニセフ)の幹部が15日語ったところによると、タリバン暫定政権の教育相は同機関に対し、すべての女子生徒が中等教育を受けられるようにする枠組みを近く発表すると述べたという。
 
だが今のところ首都カブールを含むアフガン全土で、女子生徒の大部分は授業を受けられていない。
 
一方、小学校は全ての子どもに対して再開した。また私立大学には女子も通うことができるが、服装や行動について厳しい制限が課せられている。

■「希望がない」
アミンさんはジャーナリストになることを夢見ていたが、今では「アフガニスタンに希望はない」という。
 
家ではきょうだいに勉強を助けてもらっている。学校襲撃で心に傷を負った妹はカウンセリングを受けている。アミンさんは時折、このカウンセラーからも勉強を教わっている。

「兄弟が本を家に持ってくるので、それを読んでいます」と語る。「それから、いつもニュースを見ています」
 なぜ男子だけが勉強することができて、女子には許されないのか、理解できないとアミンさんは訴える。「社会の半分は女子で、残りの半分が男子。なんの違いもありません」

「なぜ私たちは勉強できないのでしょうか? 私たちは社会の一員じゃないのでしょうか? なぜ男子だけに将来があるのでしょうか?」

■消えた夢
米軍主導の多国籍軍が旧タリバン政権を追放したのは、2001年。それから何年もたって生まれたザイナブさん(仮名、12)は、タリバンの5年におよぶ圧政の記憶もなく、学校通いを楽しんでいた。それも復権したタリバンの命令が出るまでだった。
 
先月、男子だけが学校に戻る様子を窓から見てがく然とし、「恐ろしい気持ち」になったという。
「毎日、どんどん悪くなっています」とザイナブさん。身の安全のために本名は伏せて取材に応じた。
 
姉のマラレーさん(仮名、16)は涙ながらに「絶望と恐怖」を感じていると明かした。今は掃除や皿洗い、洗濯など家事を手伝って過ごしている。
 
母親の前では涙をみせないようにしている。「母はたくさんのプレッシャーを背負っていますから」と説明した。
 
マラレーさんは女性の権利を向上させ、彼女の権利を奪う男性たちを説き伏せることを夢見ていた。
「学校、そして大学に行くのは私の権利です」とマラレーさん。「私の夢や計画はすべて、消えてしまいました」 【10月26日 AFP】
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女子教育についてもタリバンはイスラム法の許す範囲で云々とはいうものの、その実態は上記のような状況です。

ただ、今回取り上げるのは、そうしたタリバンの言行不一致ではなく、タリバンを批判して女性の権利を保護するように求めている欧米諸国や国際機関などの国際社会の"欺瞞"とも言うべき姿勢です。

なお、下記記事表題にもある「ソーセージパーティー」は男性のみの集まりを指す隠語で、その由来は・・・想像できるかと思います。

****タリバンも各国代表団も男性だけ 「ソーセージパーティー」に批判*****
スラム主義組織タリバンが実権を握るアフガニスタンの国際社会への受け入れに動く各国当局や支援団体が、タリバン側との協議に男性だけを派遣し、女性を排除していることに批判が出ている。
 
タリバンは8月の実権掌握以降、暫定政権から女性を排除、女性の労働や教育を制限しており、国際社会から批判されている。
 
各国政府や支援団体の代表団は、国際社会からの承認を希望するタリバン側と首都カブールで協議しているが、その席に女性の姿はほとんど見られない。

■「ソーセージパーティー」
国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチのヘザー・バー氏は、ハッシュタグ「sausageparty(ソーセージパーティー、男性だけの集まり)」を付けて、タリバンが投稿した代表団との協議の際に撮られた一連の写真を掲載した。
 
バー氏はAFPに対し、「各国、特に支援団体は模範とならなければならない」と語った。「男性だけの集まりが普通のことだとタリバンに思わせるべきではない」
 
タリバンは外国の代表団との非公開協議の際の写真をソーシャルメディアに多数投稿しているが、女性は一人も写っていない。
 
英国のサイモン・ガス首相特使らは10月、タリバン暫定政権のアブドル・ガニ・バラダル副首相、アブドル・サラム・ハナフィ氏と会談したが、会談場所の豪華な部屋に女性の姿はなかった。
 
当局者はAFPに対し、英国側の出席者がいずれも男性だったのは偶然だと説明した。
 
パキスタンも、国際社会から支持が得られるようタリバンに助言しているが、外相と情報機関トップがカブールを訪問した際の写真や動画で確認できるのは男性だけだった。
 
カタールの首都ドーハで昨年行われたアフガン政府とタリバンとの和平交渉に参加したフォージア・クーフィ氏は「各国指導者は女性の権利について語るのなら行動を伴わなければならない。単なる政治的発言ではなく、信念であることを示さなければならない」と訴えた。
 
赤十字国際委員会や国連児童基金(ユニセフ)、国境なき医師団とタリバン側との会談の写真も公になっているが、いずれも代表団は少人数で、偶然全員が男性だったとしている。
 
国際赤十字・赤新月社連盟は、代表団の女性メンバーが会談直前に参加できなくなったため、男性だけになってしまったと説明した。
 
アフガンは極端な例かもしれない。だが、女性が男性と同席できないのはアフガンに限らない。
バー氏は「男性しかいない場で女性の権利をめぐる問題について懸念を提起するのは極めて奇妙だ」と述べた。
 
こうした批判を受け、国連は、全員女性から成る初の代表団をアフガンに派遣し、タリバン側と女性の教育問題について議論する計画を発表している。 【11月2日 AFP】
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各国・国際機関代表団に女性の姿がない・・・それは、そうしたレベルへの女性の参画が進んでいないという現実の一側面を示すものであり、そのことも改革を必要とする大きな問題です。

ただ、そういう現実があるにしても、女性の権利をなかなか認めないタリバンと会談し、女性の権利を認めるように求める場に女性がいないというのは「奇妙」なことでもあります。

意図的にでも女性メンバーを参加させて、タリバン側の認識の非を明らかにすべきところですが、各国・国際機関代表団にはそいう考えもなかったようです。

「ソーセージパーティー」で女性の権利について語る・・・笑止です。

【COP26 「行動を伴わない言葉は無意味だ」と言いつつ、各国首脳や企業家らは、専用機や自家用機を利用】
英グラスゴーで開催中の国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)で、地球と人類の将来に漢詩て真摯な議論がなされている・・・はず。

イギリス・ジョンソン首相も、口先だけではない「行動」の重要性を力説しています。

****ジョンソン英首相、グレタさんまねる 気候変動で行動呼び掛け―COP26****
ジョンソン英首相は1日、英グラスゴーで開催中の国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)の首脳級会合で、スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリさん(18)の口まねをし、各国首脳に行動を呼び掛けた。
 
ジョンソン氏は演説で「もしわれわれが行動を起こさなければ、気温上昇を1.5度以内に抑えるという約束は、言葉を換えれば、『何とかかんとか』以外の何物でもなくなるだろう」と訴えた。グレタさんの名前には言及しなかった。
 
グレタさんは9月の気候変動に関する若者の国際会議で、世界の指導者たちが口約束ばかりで行動を欠いていると批判。その際に「より良い再建、何とかかんとか。グリーン経済、何とかかんとか。2050年までの排出ゼロ、何とかかんとか」などとジョンソン氏らの掲げるスローガンを引用しながらやゆしていた。【11月2日 時事】
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「行動を伴わない言葉は無意味だ」と息巻くジョンソン首相は正しい・・・・しかし、その実態は・・・・

****COP26に専用機など400機 首脳、企業家ら 偽善との批判も*****
「グラスゴー上空には偽善と熱気が漂っている」(英紙デーリー・テレグラフ)――。英グラスゴーで開かれている国連気候変動枠組み条約第26回締結国会議(COP26)に出席した各国首脳や企業家らは、専用機や自家用機を利用。その数は計約400機に上り、英メディアなどで批判的に取り上げられている。
 
英紙ガーディアンによると、英国のジョンソン首相は、グラスゴーからロンドンに戻る際に4時間半かかる電車ではなく、専用機を使う。
 
英首相官邸は、専用機の燃料の一部は環境配慮型だとしているが、ジョンソン首相は1日の首脳級会合のあいさつで「気候変動対策に取り組む時に、行動を伴わない言葉は無意味だ」と息巻いた。だが「説得力に欠ける」との非難を受けそうだ。
 
航空機は乗客1人当たりの二酸化炭素(CO2)排出量が鉄道より多くなることから、欧州では短距離の移動に鉄道の利用を促す機運が高まっている。
 
また、同じ航空機でもたくさんの乗客を運ぶ民間機と比べ、専用機は乗客1人当たりの排出量がさらに増える。このため輸送に関する英国の環境活動家、マット・フィンチ氏は英メディアに対し「プライベートジェット機は輸送手段の中でもっとも汚染度が高い。気候変動会議の行き来に使うのは、完全に間違ったメッセージの発信になる」と訴えた。
 
デーリー・テレグラフは「その最たるものがバイデン米大統領だ」とする。大統領専用機「エアフォースワン」と、それに同行する4機の大型ジェット機が米欧間を往復すると、約1000トンのCO2が発生すると指摘した。
 
さらに、欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長も専用機で現地入りしたとし「彼女はブリュッセルからパリやロンドンといった短距離を含め、海外出張の半分以上に『エアタクシー』を使っている」批判した。
 
英紙インディペンデントは2日のCOP26の会合で、自然の回復などに20億ドル(約2280億円)の拠出を発表した米インターネット通販大手アマゾン・コム創業者、ジェフ・ベゾス氏がプライベートジェット機でやって来たことを紹介。ただ、ベゾス氏が気候変動対策のために設立した基金の担当者は、同紙に対し「環境配慮型の燃料を使い、排出されるCO2も全て相殺している」と答えた。【11月3日 毎日】
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専用機仕様でねん出した時間を使って、より効果的な行動を起こす・・・・ということであれば、目くじらをたてることもないでしょうが・・・どうでしょうか?
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