(国際女性デーにあわせ開かれた「ウィメンズ・マーチ東京」で、プラカードを掲げてデモ行進する女性たち 【3月8日 朝日】)
【トランプ大統領 女性に途方もない敬意?】
一昨日ブログ“「国際女性デー」40周年 堀北真希さんの引退報道”http://blog.goo.ne.jp/azianokaze/d/20170307でも取り上げたように、昨日3月8日は国連が定める「国際女子デー」でした。
女性蔑視的言動が目立つアメリカ・トランプ大統領は「私は女性と、女性たちが社会と経済の仕組みに果たす多くの不可欠な役割に対し、途方もない敬意を抱いている」「国際女性デーに際し、ここ米国と世界中の女性の重大な役割を、共にたたえよう」とのツイートをしたようですが、これらツイートへの反応の大半は、トランプ大統領が進める医療・移民関連の政策が女性や家族に及ぼす影響を批判するものだったとか。【3月9日 AFPより】
全米各地では、トランプ大統領の移民政策への抗議活動「移民のいない1日」をモデルにした「女性のいない1日」と称したデモや集会が開催されています。
****全米各地で「女性のいない日」デモ、トランプ氏の政策に抗議****
全米各地で「国際女性の日」の8日、経済的な不平等やトランプ米大統領の中絶や医療に関する政策に抗議し「女性のいない1日」と称したデモや集会が開かれた。
主催者側によると、全米50郡以上で開催されたこの日のデモは、2月16日に行われたトランプ氏の移民政策への抗議活動「移民のいない1日」がモデルだという。
ニューヨークのセントラルパークでの集会に仕事を休んで参加したトリニダード・トバゴ出身のリラさん(73)は、トランプ氏は「私の大統領ではない」と語り、「彼が言うことは、ごみ」と非難した。
デモや集会は、首都ワシントンやアトランタ、シカゴ、サンフランシスコなどでも行われ、バージニア州やメリーランド州、ノースカロライナ州では少なくとも3つの学区が人員不足で休校となった。(後略)【3月9日 ロイター】
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アメリカ以外でも,女性に対して厳しい現状の変革を訴える多くの取り組みがなされています。
****「国際女性デー」全世界の女たちは勇敢に戦った****
<国際女性デーの創設から約一世紀。世界各国の女性たちは未だ平等から程遠い現状を創意豊かに訴えた>
3月8日は国際女性デー。世界で記念行事やイベントが催され盛り上がった。その起源はそもそも1908年、ニューヨークの縫製工場で働く1万5000人の女工たちが公平な労働条件を求め行進したこと。翌年はアメリカの市民団体も参加、これが初の公式な国際女性デーになった。1913年までは2月の最終日曜日を国際女性デー、その後3月8日に移行した。
1917年の3月8日は、サンクトペテルブルクでロシア革命の発端となる女性の行進が行われた日でもある。社会主義や冷戦を連想させるようになった国際女性デーはアメリカでは流行らなくなったが、近年、欧米諸国にもムーブメントが復活。政治的なルーツに回帰した。
ドナルド・トランプ米大統領がホワイトハウスで昼食会を開いたアメリカでは、人権団体「ウィメンズ・マーチ」の呼びかけで、家庭や職場に「女性がいない日」として「料理や子育てなどの無休の仕事や、有給の仕事を休もう」と訴えるストライキやデモが決行された。女性の不在で活躍を実感してもらう主旨だ。全米各地で開催され、ワシントンでは、国会議事堂前に集まったデモ参加者の中に米議会議員の姿もあった。
ロシアでは、フェミニストたちが1917年を真似て、クレムリンに「権力を200年握る男性を打倒せよ!」と書かれた横断幕を掲げ青い発煙筒を焚き、政治から男性を追い出すよう呼びかけた。人権団体によると、この騒動で記者を含む7人が一時拘束された。
ポーランドでは、女性(と男性)が、ますます厳格になった中絶法や、最近アンジェイ・ドゥダ大統領が、家庭内暴力から女性を保護する法律を「余計だ」と決定したことなど、与党による女性の権利の扱いに対する抗議が続いた。
ジョージア(旧グルジア)の首都トビリシでは、女性に立ちはだかる「ガラスの天井」を表して、女性たちがガラス板を下から持ち上げるパフォーマンスが行われた。
アイルランドでは、黒い服に身を包んだ女性たちが、中絶を違法とすることに反対の声を上げた。(母親の命が危険に瀕している場合を除く)
そしてニューヨークの街中には、主催者が着用を呼び掛けたテーマカラーの赤い服を着た1万5000人が集結した。まるで一世紀前を彷彿とさせる光景が広がった。【3月9日 Newsweek】
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【中絶禁止国へ派遣される妊娠中絶船】
中絶の問題は、アメリカでいつも社会を二分する論争になるように、女性問題が先鋭化するテーマでもありますが、最近目にした記事によれば、違法とされている国の沖合の公海上で中絶を行う「妊娠中絶船」などもあるようです。
当然に、現地当局とのトラブルにもなります。
****オランダの「妊娠中絶船」がグアテマラに入港、海軍が活動阻止****
オランダの女性権利団体が所有する「妊娠中絶船」が中米グアテマラの港に到着し、地元キリスト教団体などの激しい反発を招いている。グアテマラ海軍は23日、「中絶船」を監視するため巡視船を派遣した。
物議を醸しているのは、オランダの非営利団体(NGO)「ウィメン・オン・ウェーブス(Women on Waves)」が所有する船。
首都グアテマラ市南方のサンホセに入港した船に乗っている活動家らは、中絶が禁止されているグアテマラの女性たちを支援すると宣言。法律違反を回避するため同国沖の公海上で5日間にわたり中絶手術を無料で行うと表明していた。
これに対しグアテマラ海軍は、ジミー・モラレス大統領の指示に基づき「この団体が国内で活動することを許可しない」との公式な申し立てを検察当局へ送ったことを明らかにした。
一方、ウィメン・オン・ウェーブスは声明で、海軍が同団体の船を不当に拿捕(だほ)したと主張。「グアテマラは自国の女性が安全に中絶する権利を規制している。その規制に対する合法的な抗議を(軍が)妨害している」と非難した。
グアテマラでは、母体の命に危険が及んでいる場合を除き、中絶は禁止されている。ウィメン・オン・ウェーブスによると、同国では違法で危険な中絶が毎年およそ6万5000件も行われているという。
ウィメン・オン・ウェーブス創設者で中絶医のレベッカ・ゴンペルツ氏はAFPに対し、今回の活動は2012年にモロッコで行った活動以来だと明かした。モロッコでも妊娠中絶は違法かつ社会的タブーとされており、この時も海軍が中絶船の入港を阻止するため港を封鎖するなどした。【2月24日 AFP】
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【トルコでは女性らの催しが武装集団に襲撃される】
話を「国際女性デー」に戻すと、トルコでは女性らの催しが武装集団に襲撃される事件も起きています。
****女性デー催しに襲撃、学生けが 武装集団が侵入 トルコ****
トルコ・イスタンブールのビルギ大学で8日、国際女性デーを祝うイベントに参加した学生に対し、ナイフで武装した若い男の集団が襲いかかり、少なくとも女子学生1人が顔にけがをした。目撃者によると、襲撃した男たちはアラビア語で「アラー・アクバル(神は偉大なり)」と繰り返し叫んでいたという。
複数のトルコメディアが報じた。大学当局の発表によると、15〜20人の男たちが警備を破って許可なくキャンパス内に入り、テントにいた学生たちに襲いかかった。通報を受けて警官が駆けつけ、襲撃者のうち6人を拘束した。
トルコメディアによると、負傷した女子学生は同大4年のイレム・エスメルさん。顔を蹴られて右目下に青あざができ、まぶたが切れた。エスメルさんは病院で治療を終えた後、「顔を隠した集団が、聖典コーランの戒律を叫びながら襲いかかってきた。テーブルをひっくり返され、私は地面に倒れたところ、顔を蹴られた」と語ったという。
男女格差を数値化した世界経済フォーラムの「ジェンダーギャップ指数」では、トルコは144カ国中130位に低迷している。男女間の格差解消が国の課題だが、その取り組みに保守的な男性の間には反発も強い。【3月9日 朝日】
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【カナダ・トルドー首相夫人の提案には反感も】
一方、トランプ大統領向こうを張るようなリベラルな難民対応で存在感を示すカナダ・トルドー首相ですが、首相夫人の「国際女性デー」に対する提案には批判も多かったようです。
****国際女性デーは「男性も祝われるべき」加首相夫人の提案に批判集まる****
国連が定める「国際女性デー」を翌日に控えた7日、カナダのジャスティン・トルドー首相の妻であるソフィー夫人が、男性も同じく祝われるべきだと提案したことが、ソーシャルメディア上で波紋を広げている。
ソフィー夫人は自身のインスタグラムのアカウントにトルドー首相と手をつないで見つめ合う写真を投稿し、「国際女性デーを迎えるに当たっては、私たちの人生において、私たちが本当の自分でいることを後押しし、敬意を持って女の子や女性たちに接する男の子、男性たちも称賛しよう」というメッセージを添えた。
またソフィー夫人は、女性たちに男性パートナーとの画像を投稿するように呼び掛けたが、この彼女の投稿に対して多くの率直な批判が集まった。
バンクーバーのある女性はインターネット上に「(ソフィー氏の主張は)問題があり過ぎて、どこから始めたらいいかわからない」と前置きし、「国際女性デーは、大同してフェミニズムを称賛し、女性たちおよび、女性と自認する人びとが日常的に目の当たりにする女性嫌悪が今も衰えていないということを認識すると同時に、女性たちが平等を求めて歩んできた道のりに感謝する日」であり、「決して男性に関わる日ではない」と投稿した。【3月8日 AFP】
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男性と女性を対立的な存在として扱うべきではなく・・・というソフィー夫人の主張はわからないではありませんが、イケメンで、有能で、理解がある、誰しもうらやむような男性と暮らすソフィー夫人と、多くも問題で虐げられ、傷つき、苦しんでいる現実世界の女性たちとでは、取り巻く環境に違いがありすぎる・・・という感も。
【日本でも抗議デモ 参加者は約300名・・・】
日本の首相夫人も「国際女性デー」の取り組みに参加しています。
参加はしていますが、世間の関心はもっぱら“例の問題”です。昭恵夫人も自虐的にそこに触れ・・・
*****国際女性デーに昭恵夫人*****
安倍総理大臣の妻、昭恵夫人は国際女性デーのきのう、東京都内のイベントに参加しました。
昭恵夫人は総理夫人としての活動について、「私に注目してもらえれば、活動自体が注目される」と話しました。一方、森友学園の問題については何も話しませんでした。
(安倍昭恵 総理夫人)「いい形で放送していただきますよう くれぐれもよろしくお願いいたします」【3月9日 TV東京】
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それはともかく、東京都内では抗議デモも行われたようです。
****「女が生きるのまじでつらい」国際女性デー、都内でデモ****
「我慢するのはもう限界!」。国際女性デーの8日、女性が抱えるさまざまな「生きにくさ」を共有しようという「ウィメンズ・マーチ東京」が東京都内で開かれ、約300人の女性らが歩きながら、声をあげた。
女性を蔑視するような発言をしたトランプ米大統領への抗議デモを組織した団体が、国際女性デーに合わせたデモを世界に呼びかけ、賛同した国内の複数の女性団体が企画した。
「女が生きるのまじでつらい」「私のしんどさ声に出そう」――。「連帯」を示す赤い服やピンクの毛糸の帽子をかぶった女性らが、ラップ調のコールを繰り返しながら東京・渋谷を歩いた。「女=補助職じゃない!」「セクハラNO」「労働時間の短縮で男も育児に参加して」などのプラカードを掲げた人もいた。
ウィメンズ・マーチ実行委員会の濱田すみれさん(32)は「生きにくさを感じてもやもやしている人が、国際女性デーに『生きにくい』ということだけでも声に出せる場にしたいと考えた」。仕事帰りに参加した国分寺市の団体職員、田中麻理さん(29)は「子どもをほしいと思っているが、保育園は足りず、長時間労働で男性の家事・育児参加が進まないので八方ふさがりだと感じる」と話した。
この日、グーグルの検索のロゴが「国際女性デー仕様」に変更され、エジプト初の女性パイロットや韓国初の女性弁護士など、様々な女性をスライドショー形式で紹介するデザインになった。【3月8日 朝日】
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全国各地で草の根的に地道に活動に取り組んでいる女性は大勢おり、別に派手な抗議デモだけが意思表示方法ではありませんが、「保育園に落ちた 日本死ね」という現状の割には、参加者が約300人というのは、ちょっと寂しい感もあります。
日本の女性は“かわいい文化”にどっぷりつかり、頭の中にあるのはファッションと恋愛だけ、“女子力”アップに精を出す・・・なんてセクハラ・女性蔑視的なことは言いません。言いませんが、どうなんでしょうか・・・。
ちなみに、人権に対する認識が高いとされる北欧のスウェーデンでは、ロシアに対する脅威もあって、最近徴兵制が復活しましたが、徴兵の対象には女性も含まれます。男女平等というのは、そういうことでもあります。
【日本の女性問題を凝縮した数字が“女性議員割合193カ国中163位”】
日本女性の女性自身の問題、周囲・社会の問題を凝縮した結果が下記のような数字です。
****女性議員の割合、中国は世界平均上回る、日本は193カ国中163位****
2017年3月8日、世界の国会議員が参加する列国議会同盟(IPU)がこのほどジュネーブで発表した2016年の各国議会(一院制の議会または下院)の女性進出に関する報告書によると、世界全体の女性議員の割合は23.3%で、前年より0.7ポイント増えた。
中国の国会に当たる全人代の女性議員の割合は23.7%で世界平均を上回っている。国際在線が伝えた。
IPUのマーティン・チュンオン事務総長は「中国における女性議員の増加は、世界平均の引き上げに重要な影響を与えている。中国の割合は世界平均を上回る素晴らしいものだが、もっと引き上げることも可能だ。中国政府の男女平等促進への努力に期待している」と語った。
日本メディアによると、日本は193カ国中の163位で、前年の156位から順位を落とした。主要7カ国(G7)では、ドイツ23位、カナダ62位、米国104位などで、日本は最下位だった。1位はアフリカのルワンダで、下院の定数80人のうち女性が49人を占めている。【3月8日 Record China】
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