
鳶口と書いて「とびぐち」と読む。
丸太を移動させたり火消しの道具としても古くから利用された。
その鳶口を使用している。
最近丸太の皮むきをしているが、どうしても丸太の下側部分の皮がむけない。
そこで鳶口の出番となるのだ。
丸太の下に鳶口をあてがい、テコを利用して「エイヤッ」と柄を下向きに動かす。
すると何百キロあるのか分からないほどの重い丸太が「グリッ」と回るのだ。
丸太に鳶口の刃の痕は少々残るが皮はむける。
骨董屋から仕入れた私の鳶口は柄と金具部分が、うまく合っていない。
金具部分の留め金がイイカゲンなビスで留めてあるからだ。
ビスを引き抜き金具をハンマーで叩き外した。
再度金具を柄に叩き入れて今度は柄の上部に鉄製のクサビを打ち込んだ。
勿論そのクサビも自分で製作した。
鉄板を任意の長さに切り先端をグラインダーで尖らすだけだ。
クサビは柄の中に食い込み柄の上部を押し広げて金具と柄がキチッと一体化する。
そうなれば、もうどんなに酷使しても立派な働きをしてくれる。
もう一本の鳶口は別の用に使った。
この鳶口は金具の部分が長いタイプだ。
鳶というより鶴の口ばしのようだ。
それで雑木の根っこを取るのだ。
雑木は地面から上の部分を切り取っても根が残り、やがてそこから再び芽を出すことになる。
細い茎の雑木でも根は深く、そして横にも広がっている。
手で取ろうとしても無理だ。
そこで鳶口を使う。
茎の部分に鳶口を引っ掛けて掘り起こす。
バリバリという音を立てて、なおも地面にへばり付こうとする根をはがす。
根は横にピピピと芋づるのように持ち上がる。
地中深く食い込んだ太い根が「バキン」という音と共に、その全形を現す。
ここでもテコの強さ便利さを知った。
電気もガソリンも要らない。
昔ながらの効率の良いやり方だ。
これから多数の丸太の移動をしなくてはいけない。
鳶口の使用頻度は益々増えていくだろう。
トビといってましたが トビグチが正しい方ですね
ツルは硬い土を掘る道具ツルハシ
昔の器具を使ってみると、たいしたものだと実感します。