家訓は「遊」

幸せの瞬間を見逃さない今昔事件簿

赤と黒と白の器展

2012-10-26 07:38:40 | Weblog
友人の陶芸家が静岡で個展を開いた。

「赤と黒と白の器」というタイトルだ。

彼の庵を訪問したとき、まだ窯を開けてなかったので今回の作品がどんな出来なのかは知らなかった。

大通りから1本入ったところで高級住宅地らしい大きな屋敷ばかりの連なる中にガラス張りの会場はあった。

通り沿いとは打って変わって閑静な住宅街だ。

会場の前には庭も設えてある。

入っていくと彼は驚いた。

「こんなところまで、わざわざ済みません」と言う。

いつもは椅子に座ってロクロを回しているため会場でポツンと客を待つのにくたびれているらしい。

「手持ち無沙汰で」と嘆く。

まさに手を動かす仕事の彼が手を動かさないのだから気の毒だ。

今回の作品は、とても出来がよく高級感の漂う物が多かった。

高級住宅地だから、それなりの作品を作ろうと思っていたわけではないと思うが、それでもしかし、かなりハイクラスの家に合う物が多い。

生まれて初めてサラリーマンのように通勤を味わっている。

その通いでも疲れてしまっているようだった。

この地にお馴染みさんが出来れば彼の創作意欲にも何かしらの刺激が加わるに違いない。

かといって「儲けてやる」というような単純さは持ち合わせていない頑固者だ。

ここのところ作風が変わってきた。

彼にとっては疲れることかもしれないが、こういう経験をたくさんしてもらって大いに変わっていって欲しいとファンは願う。


押し売り送還

2012-10-25 07:10:29 | Weblog
春野から帰宅する途中もうすぐ自宅という所で近所のオバチャンを見つけた。

彼女は現在別のところで暮らしているが自宅を処分していないので時々元のところに戻ってきて掃除などして帰っていく。

大きなリュックサックを背負い道路わきのフェンスに腰掛けて誰かを待つような顔つきだ。

妻も同時に見つけた。

「乗せていってあげようか」と妻。

「おお、いいよ」と私。

ただし車の荷物を下ろさないと乗せる場所がない。

急いで荷物を玄関に入れて、もう一度施錠しなおして出かけた。

交差点で移動中のオバチャンを見つけた。

妻が車から下りて話をしに行った。

「スーパーに行くんだって」と窓を開けて運転している私に言った。

私はスーパーの駐車場に車を入れて待機した。

戻ってきたオバチャンと妻。

走り出したトタン。

「どこに連れて行ってくれるの?」とおばちゃん。

今日は片付けもののために自宅に宿泊するつもりで出てきたという。

ちょっと買い物に行ってすぐに帰宅するつもりだったようだ。

背中に背負っているリュックサックは背骨が曲がっているため後向きに荷重を掛けるためのものだという。

せっかく出てきたのに私たちが送り返すところだった。

どうせ乗せたのだからと我が家の裏のオバチャンの家まで送り届けた。

近所の別のオバチャンがウロウロして待っていた。

一緒に夕食をとる約束をしていたのに帰ってこないからだ。

「連れ帰るところでした」と私。

「あーぁ。そうだったの」と近所のおばちゃん。

4人で大笑いして別れた。


子供受けする音楽

2012-10-24 07:15:33 | Weblog
静岡文化芸術大学の生徒達が主になって「はままつ文化サポート事業」として行った「バンバン!ケンバン♪はままつ」で初めて出あったグループがある。

栗コーダーカルテットとロバの音楽座だ。

両方とも会場こそ違っているが保育園状態のホールで行われた。

どちらも愉快で明るく楽しい音楽。

栗コーダーカルテットは「マヨネーズ 第二番」から始まった。

ざわざわしていたホール内が一瞬静かになり音楽に聴き入る。

だが、そこは子供達。

再びざわざわ、ごそごそ。

「あー」という声まで飛び出す。

司会者は「今、あーって言った子も・・・・」すぐに話題に取り入れてホールの一体感を呼び起こす。

ロバの音楽座は子供も勿論大人も、けっこうはまっている人が多いと見た。

もう曲を知っていて拍手の場所や受け答えが出来ているし、だいいちその瞬間を待っている。

その笑顔は子供と一緒だ。

場内が一緒に歌う機会があった。

私の後からも天使のような歌声が聴こえてきた。

帰りがけに見たら独りで来ている中年の女性だった。

ロバの音楽座の楽しみ方を知り尽くしているように感じた。

パフォーマンス付きの音楽で楽器は中世の時代の物だったりするのだから、お得感は満載だ。

これで育つ子供は豊かな感性を持つことになろう。

少しぐらいガサガサ、ゴソゴソしていたほうが彼らの演奏は、やりやすいのかもしれない。

栗コーダーカルテットのメンバーには私の高校の後輩がいて楽器は浜松のメーカーの物も使っている。

ロバの音楽座のオルガンも浜松製だと紹介した。

楽器作りの町だが音楽の町としても有名になってほしい。

バッハの後のギョウザ

2012-10-23 07:05:02 | Weblog
バッハとギョウザは全く関係ない。

先日「むつぎく」というギョウザ屋を久しぶりに探した。

高校生の頃むつぎく中毒を起こしている友達がいて彼と2,3会食べに入ったかな。

で当時のかすかな記憶を辿って探してみたのだが分からなかった。

たまたま居合わせた宅配便のお姉さんに聞いてみた。

「もうここにはないんですよ。南駅の南側にロイヤルオストがあって、その裏にあります」と教わった。

浜松駅の南口と言わずに南駅と言うあたり彼女の年齢が私と大差ないことを物語っている。

その時には「むつぎく」の開始時刻まで、まだ1時間以上あったので後日ということになっていた。

あまり徒歩で繁華街まで来ることがないのでバッハを聞きにきた、この日に「むつぎく」に寄ろうという事になった。

バッハの余韻がまだ覚めやらぬ時間にギョウザを食べに行く。

良い音楽の後に美味しい食べ物ということは分かるが、よりによって格調の高さを、そこまで下げるか、と感じていた。

でも「美味しさは格調に勝つ」と信じた。

店はとうに営業している時間なのだが準備中の看板。

しかし店の外には行列。

間近まで寄ってみると、やはり客は入っている。

ま、いいや。

とりあえず並んでみた。

どこかに名前でも書いて待つのかなと思っているうちに案内のお姉さんが出てきて「4名さまどうぞ」と言って中に招き入れた。

その後そのお姉さんは「何名様だか教えてください」と言って列の後まで歩いてくる。

「4 2 2 1 3 2ですね」と言って店の仲に戻っていった。

しばらくすると再び案内に出てきた。

「4名様と2名様どうぞ」と言う。

「2 1 3 2と聴いてあるので、そのあと何名様ですか?」と列を後にむけて歩く。

ちゃんと覚えていたことに驚いた。

先頭になった私たちにメニューを差し出し「お決まりですか?」と聴く。

「16個と12個と生ビール中ふたつ。ビールは、ここに持ってきてくれるの?」と聴いたが笑ってごまかされた。

間もなく入店できた。

出て行く客がないのに入れることが不思議だった。

皿の真ん中に、もやしが乗っている典型的な浜松ギョウザスタイルだ。

「ふくみつ」に慣れた私たちの感覚とすると少しあっさりし過ぎかな。

タレは予め作られていて酢と醤油は加減できない。

16個はすんなり胃袋に収まり、なんだか寝た子を起こす感じにもなった。

続いて近所の韓国料理屋まで行って飲み足した。

さすがに本物の韓国人の作る韓国料理はひと味もふた味も違う。

音楽会をはしごして呑み会もはしごした。

ミサ曲ロ短調

2012-10-22 07:35:07 | Weblog
友人が合唱団の一員として出演するロ短調ミサを観にいって来た。

初音のキリエのキの音でイキナリ感激した。

とても長い曲で合唱の間に二重唱や独唱が入る。

二重唱や独唱には楽器が加わる。

その人間の声と楽器の音が、すばらしい調和をみせる。

長い曲だが、この曲を全曲暗譜して歌詞も全部暗唱しているという人を3人知っている。

それほど魅力的な曲なのだと思う。

途中で緊張が、解けたわけではないが私たちに招待チケットをくれた彼をはじめメンバーが少し老いたことが気になり始めた。

「あの人とあの人も、ずいぶん痩せたなぁ」とか

「白髪が増えたし額が広くなったなぁ」とか音楽以外に気をとられた。

客席には、まあまあの人数が入っていたが、その年齢層はとても高く若い人たちが少ないことが気になった。

プロとアマチュアの差を感じてもいた。

やはり全く違うといってもいい。

彼らのおかげでハイクラスのアマチュアが「聴ける」音楽を楽しめることになる。

心地よい音楽は終わった後に空腹をもたらす。

精神に栄養を与えた後は肉体にも栄養を与える。

バッハの音楽を聴いた後とは思えない浜松ギョウザの店に急いだのであった。


姿の見える透明人間ピアニスト

2012-10-21 08:05:23 | Weblog
静岡文化芸術大学の中央ホールでピアノコンサートが行われた。

ジャズピアノ・リモートライブというものだ。

ホールにはグランドピアノが置かれ、その奥には大きなスクリーンが配置されていた。

脇にはエンジニアらしき人物がパソコン2台と小さな機械を置いてスタンバイしている。

司会のお姉さんが出てきて挨拶をしてコンサートは始まった。

スクリーンには「掛川にいます」と言うピアニストが映し出される。

やっと分かった。

掛川にいるピアニストが弾く、そのままを目の前のピアノで再現しようというのだ。

「枯葉」という曲から始まった。

弾いているのはスクリーンの彼。

音はスピーカーではない紛れもなく目の前のピアノ。

ピアノだけが自動演奏するのは以前から目にしている。

しかし演奏者が別のところにいて同時にその再現を見るのは初めてだ。

鍵盤は勝手に動き回りペダルも上下する。

技術的には難しくはないのかもしれないと思った。

すでに自動演奏という形で透明人間のピアニストがいるのだから。

しかし、今回の技術なら演奏者の姿をスクリーンで見ながら世界のどこの場所にいても生ピアノの音という形で聴ける。

ピアノと、その装置のある場所がコンサート会場となる。

ひょっとしたら我が家のピアノでも著名なピアニストの演奏が聴かれる日が来るかもしれない。


四人ランチ

2012-10-16 06:58:53 | Weblog
毎月一回は母と姉と妻の4人でランチする。

もう何年続いているのだろう。

メニューは母を中心にするから和食がほとんどだ。

店の場所も車で30分以内というところだ。

また腰が弱いのでテーブル席か、もしくは掘りごたつに限られる。

今回は先日知人に教わった店に行ってきた。

民家を一部店舗に改装して間もない。

真新しい店内は清潔感に溢れている。

一度下見に来た。

板前さんと話をしたら私の小学校と中学校の後輩である事がわかった。

そんなことで予約をするときに「○○小学校から○○中学校に行った○○です」

と言ったら瞬時に思い出して「ああ。ありがとね」と返ってきた。

メニューを見て少し寂しかったので茶碗蒸しと鯛のあら煮を頼んだ。

お茶を出してくれたおばちゃんが聞いた。

「大将。茶碗蒸しと鯛のあら煮は、いいですか?」

夜のメニューとなっていてランチメニューでは基本的に出さないようだったがOKしてくれた。

ランチメニューだけで食べ始めていたところに鯛のあら煮が運ばれてきた。

「頼んでよかった」

4人で小皿に分けてつついた。

以前は煮魚など好きではなかったのだがウマーイ」

醤油と甘みのバランスが暖かくて柔らかい鯛の身と相まって絶妙な味となる。

ご飯をいただくと、それまた格別に美味しい。

ついつい2回おかわりして3杯メシだ。

駐車場も店の横以外に広くあるようなので、もし一杯になっていても大丈夫だ。

また行くことは確実だ。



ドクターヘリ

2012-10-14 16:12:38 | Weblog
もうすぐ昼ごはんという時救急車の音が近づくのが分かった。

それは、よくあることだが今回は違った。

ヘリコプターの音がドンドン大きくなり終にはケタタマシイ音になった。

窓から隣接する小学校を見てみると砂埃がモウモウで何一つ見えなかった。

屋上まで駆け上がってみるとドクターヘリが運動場に着陸していて校舎の横には救急車と消防車が止まっていた。

救急車の中では、たぶんヘリで駆けつけた医師が処置をしているのだろう。

消防隊員はヘリが離陸する時に舞い上げる砂埃を減らそうとヘリの周りに水を撒く。

学校の中と回りには野次馬が駆けつけている。

隣保に住む主婦は、いち早く学校内に入り込み指揮を執りそうな勢いだった。

我が家と同じく屋上から成り行きを見つめる人たちも多かった。

「こんなところに屋上があったのか」とあらためて知ることになった。

患者の母親だろうか赤い服の長身の外国人女声が救急隊員と話をしている。

準備が整い自体が動き始めた。

ストレッチャーに乗せられた患者の子供は無事ヘリに乗せられた。

パイロットがエンジンが掛かった後も機体の点検を何度かして乗り込んだ。

救急車は邪魔にならない位置まで移動した。

エンジン音が変わり始め回転数が上がっていく。

水を打っただけあって砂埃の量は、かなり減った。

ヘリが浮き上がると手が届きそうな高さで移動を始めて我が家の上を通過して東の空に消えていった。

ドクターへリの存在と、それを運営する人たちの連携を見るとシステムの素晴らしさを感じた。

排気音の力強さが患者が助かるような気にさせてくれた。



講師はカイチュウ博士

2012-10-10 07:11:01 | Weblog
講師は自らの体内にサナダムシを飼っている医師藤田紘一郎氏だ。

自らのお腹の中に長さ12メートルのサナダムシが棲息していると思うだけでゾットするのだが。

カイチュウがアレルギーを抑えるという話は知っていた。

人体から栄養をもらいカイチュウの出すフンにアレルギーを抑える物質があるという人間と虫との共生関係が成り立つという。

栄養状態の悪かった昔は「虫下し」を飲んでカイチュウを排除したが栄養過多の現代は、むしろカイチュウとの共生をするほうが快適かもしれない。

腸内細菌は100兆個で2Kgが腸内で以下のような活動している。

1 病原菌の排除 2 消化の助けをする 3 ビタミン合成 4 シアワセ物質(ドーパミン セロトニン)を脳に運んでいる 5 免疫力の70%を作る

現在は、この腸内細菌が戦前の3分の1しかいないという。

ウンチの大きさが1950年と2000年を比較すると3分の1になっているというのだ。

ウンチの大きさは食物繊維の摂取量の目安であり、また腸内細菌の死骸の数でもある。

大きいほどガンにかからない、ウツにかからないということになる。

赤ちゃんが何でも口に入れたがることは知っている。

それは大腸菌を増やそうとしている行動ということだ。

やたらと不潔を嫌う風潮があり正常な行動を規制することによってアレルギーを起こす元になっていることもあるらしい。

TVコマーシャルで、ばい菌をやっつけるイメージで商品を買わせようとしている。

うっかりその手に乗ると、たいへんな目に合う。

免疫力の残り30%は心の問題であり ストレスを減らし 笑って楽しく 運動をして ポジティブに生きる ことでアップすることができるそうだ。

「自分の意志で飲む酒は休肝日を作ってはいけません」

「自分の失敗を人のせいにしましょう」

「無理にでも笑うと脳はガンを殺すNK細胞を出す」と言う。

休肝日を作り、人のせいにしてはいけないと思い、無理になんて笑う必要はないと考えていた私。

それでも免疫力は強いと思っている。

笑いに包まれながら自己反省をしてみると、ほぼ先生の「良い」とされる生活をしているからだ。

快食 快眠 快便 多い友人 これだけでも優等生過ぎるかな?

木更津での藍染め展

2012-10-09 07:05:49 | Weblog
朝6時過ぎに海岸を散歩できるのはシアワセだ。

潮の香りと波音の中を歩きにくい砂浜を渡って岩場に着く。

濡れている岩に抜けたコンブがまとわり付いている。

平日から2時間遅れの朝食にありついて遅すぎるチェックアウトを済ます。

房総半島の南側の海岸沿いを走って鴨川に。

そこから有料道路を使って藍染め展の会場である木更津市の矢那へ。

都会に近い里山にある旧家が使われている。

妻の出品した反物を見た後私は建物の方が興味深いので外に出て勝手に散策をしていた。

すると会場の駐車場係をしていた人物が話しかけてきた。

彼は、この家の次男で、この180年以上経った古民家を快適な住まいに換えた人でもあった。

巨大な古民家をジャッキで持ち上げて移動し基礎をやり直して建物を戻す。

さらに水廻りなどは現代的な物を使用するために造りなおす。

新の良いところ旧の良いところを両方生かした万能な活きた家にした。

苦心して新しく造った部分は古民家と全く違和感のない仕上がりとなっている。

抱えきれないほど太い梁が3重の重なり合い、それが3組も重なっているという。

残念ながら、かやぶきの当時とは違い天井板を張ってあるので天辺までは見られなかった。

現代物の薪ストーブが導入されているが煙突は古民家と、これまた違和感のない化粧を施され「さすが」と思えた。

「社長」と呼ばれていた、その人物に直接お茶を入れていただいて名物の味噌饅頭をご馳走になった。

雨がぱらつく中、古民家を後にして「海ほたる」のマリンコートで昼食にした。

雲間から照射する太陽の光が航行している船を照らし、その雲から羽田に降りる飛行機が輝きながら降りてくる。

腹を減らした人たちのごった返すレストランでカレーを食べた。

人間嫌いではないが多く集まりすぎた人間の中にいるのは嫌いだ。

早々に車に乗り新しいカーナビの案内で順調に右に左に進路を変える。

大黒ふ頭で、どういうわけか高速道路から下ろされてしまった。

ナビの言うとおりに移動するのが「変だ」と気付きナビの案内を疑う。

やはり私のカンは当たった。

その後2度ほどナビに騙されて、それでもナビを当てにして運転した。

足柄で昨日の早朝と同じくスターバックスでコーヒーを飲んだ。

外で飲んでいると「コーヒーカスが多く入ってしまいましたので、お取替えさせてください」と言ってきた。

「いいですよ」と言って飲み掛けのコーヒーを渡した。

「お待ちどうさまでした」と言ってミルクとシュガーを持ってきた。

私の飲んでいたコーヒーをこぼすときに観察したようだ。

「いつまで経っても戻ってこないから、とり上げられたかなと思った」と言うと笑いながら感じの良い青年は「失礼しました」と言って戻っていった。