家訓は「遊」

幸せの瞬間を見逃さない今昔事件簿

ミツバチを誘う

2014-02-28 07:49:14 | Weblog
「懲りてないのね」妻に言われた。

ミツバチを飼おうとしている。

去年妻の目の前で蜂に刺され鼻筋の近くの刺された箇所を妻に絞り出してもらったことがあるから女性としての発言でそうなるらしい。

確かに、そういう意味では懲りない人間の私。

ニホンミツバチは巣箱を用意すれば入ってくれるようだ。

もちろんうまくすればだが。

箱と、ちょっとした工夫で新鮮なはちみつが入手できる。

野菜や果物は春野の動物や昆虫との戦いになる。

毎日そこで暮らしていない私には不利なことだらけだ。

だがミツバチは箱の中で勝手に暮らしてくれる。

私には、ぴったりではないか。

箱を作ったり、その設置も面白そうだし。

早速調べてみた。

意外にも箱は売られている。

そんなにミツバチの飼育を目指している人が多いとも思えないのだが。

ホームセンターで箱の材料となる板を探す。

薄い板なら、どこにも売っているのだが厚い物が見つからない。

厚い板を製材してもらおうとすると売っている箱の方が安くつく。

「いっそ出来上がりの箱を買うか」とも考えたが、それでは面白みが半減してしまう。

製材屋に知り合いがいたり端材を入手できる年寄りが箱にして売っているから安く売ることができるらしい。

だが意外にも近所の古臭いホームセンターで足場用の厚い杉板を見つけてそれをカットしてもらうことで目処がついた。

ネットを教科書がわりにして制作する。

設置台としては塗装屋さんからもらった一斗缶を使う。

すこし地面に埋めて缶の中に石や土を詰めた。

毎日見に来るY爺さんの意見も取り入れる。

「もうできたか?」と言って見に来る。

のんびりと、しかも下手に作るのが私の工作だ。

次第に出来上がってくるとY爺さんも楽しそうになってきた。

設置が済むと「あれっ入ってる入ってる」と喜びの予行演習までしてくれる。

ニホンミツバチの群れを引き寄せる匂いを発するラン科の植物も友人から都合してもらえるようになった。                                                                  
ミツバチのフェロモンと同じ作用を持つと言われている金稜辺(キンリョウヘン)という植物だ。

ミツバチの巣を狙うスズメバチをどうするかが今後の対策だ。

またスムシという未知の虫も巣を狙って繁殖するという。

混じりけなしの本物のはちみつを手に入れることを夢見て箱の守り役に徹する。

里山で自宅ではできない体験ができる。

明日からスズメバチを捕獲するペットボトル罠の作成に入る。



ストーブを使い分ける猫

2014-02-24 08:27:00 | Weblog
我が家のマロちんは最近ストーブの違いが分かり、それを使い分けるようになった。

ストーブは昔ながらの赤い火が見える式と温風が吹き出る式だ。

どちらも灯油式だが同じ部屋に置いてある。

といっても3部屋を開けきってあるので、2個のストーブを焚いても熱すぎることはない。

テーブルの下に丸椅子を置いてあるのは、そこにマロちんが、ちょこんと座ってストーブに当たるためだ。

なぜ、どのようにして、その違いを知ったのかは分からない。

温風に当たって温まると次に芯が赤くなるストーブの前に置かれた座布団に寝転がる。

こちらは手足を伸ばして当たるので、よりリラックスしているように見えるが早く暖まりたいときには温風ヒーターが欠かせないようだ。

と同時に、よく水を飲むようになった。

温風ヒーターが喉の渇きを誘発するらしい。

温まりすぎると今度は外に出てみたくなり「窓を開けて」とせがむ。

窓のところに移動して鳴くから、すぐに分かる。

しかし何度かの経験でマロちんがすぐに戻ってくることを知っている。

だから「気のせいだから開けないよ」と言ってやる。

するとしばらく窓のところに居たマロちんは再びストーブの前に戻ってきてゴロリと寝そべる。

一日に何度か、それを繰り返す。

我々が外出して戻ってくると部屋が冷え切っていて、その時には両方同時に点ける。

マロちんは点けたストーブのうち温風ヒーターを選ぶことになる。

ただでさえ猫は寒がりなのにマロちんは16歳。

人間なら80歳あたりらしいから無理もない。

猫は暖かい場所や涼しい場所をよく知っている。

しかしストーブの違いに気がついたのは生活に知恵だと思う。

日中は日のあたる場所に移動して夜は押入れの中に入る。

マロちんに洋服の暖かさや薪ストーブの暖かさを教えてあげたい。

ドスンという音と響き

2014-02-23 10:14:05 | Weblog
夜10時電話が鳴った。

膝にマロ君を抱く妻が出られなくて私が受話器をとった。

しかし既に相手は切ったらしく「ツー」という音しか聞こえなかった。

その後の電話もないしケータイへもかかってこない。

その後しばらくして「ドスン」という音が聞こえた。

聞こえたというより響いた。

我が家の建物が揺れるということはないので、どこか近所に何か落下したのかなと感じた。

だが先ほどの電話が何かを伝えようとしてくれたのかなとも思えた。

とすると我が家の何かが外れそうになっていて、それが落ちたとか・・・・。

妻が閉めてあった雨戸を開けた。

その段階で麿ちんは、どこかに消えた。

きっと異様な音と響きを感じ、さらに我々の、ただならぬ動きを察して避難したのだろう。

窓からベランダに出てみた。

南隣のご主人が懐中電灯を手に自分の家の周りを観察している。

東隣のご主人が雨戸を開けた。

「なにかドスンという音がしましたよねぇ」という私の問いに答えたのは南隣の家の、もう一軒東側の家の息子さんだ。

2階の窓から顔を出して私に話しかける。

「どのあたりから聞こえました?」

ふだん口をほとんど聞かないのに珍しいなと感じた。

「我が家の東側で聞こえたよ」と答えた。

我が家の東側の家の、もう一軒東側の戸建アパートの住民は男ふたりが外に出て懐中電灯で家の周りをグルグルと見回っている。

どうやら、どの家も自分の家に何かが起きた、と感じたようだ。

だがどの家も異常は見つけられない。

我が家の北側の道路を挟んで向かいの家のご主人も外に出ている。

私も玄関から外に出て話をしてみた。

「ウチに何かが落ちたのかと思って」と言って自宅周りの様子をうかがっている。

彼に、この辺りの皆さんが自分の家に何かがあったのかと思って外に出てきたことを知らせた。

「どの家もなんともないからヨシとしますか」と言って私は家に戻った。

しばらく次の展開を見守ったが、その後は何も起こらなかった。

音の原因も判らず報道も一切ない。

「あれはなんだったのか」

今も不思議でならない。

ベッドの下に避難していたマロちんも恐る恐る出てきた。





雪かき

2014-02-11 07:58:04 | Weblog
生まれて初めて雪かきをした。

なにしろ浜松育ちだから雪とは無縁に育った。

青空が見えて陽も差し始めたから積もった雪が溶けるのは時間の問題だ。

たぶん午後3時頃になれば、ほとんど溶けるだろう。

しかしもう宿に居たくない。

一刻も早く帰宅したい。

宿のスタッフが車の周りの雪をどけてくれた。

でもそれだけじゃ私は帰れない。

宿のスタッフは、ほとんど4輪駆動車だし雪用のタイヤを装着している。

「この程度なら走れるだろう」

と考えているようだが私は着実に安全を確保したい。

となれば自分でするしかない。

幸い軽自動車が通ったタイヤ痕がある。

それを元に、もう少し幅を広めて雪をどける。

そして曲がり角を少し広めにどける。

また私の車は車止めのコンクリートにガリガリと当たるほど低い。

タイヤの通る部分だけでなく中央部分も低くする。

駐車場を出て橋の上、坂道から国道への出口まで徹底的に取り払う。

犬の足跡を見つけたら、なんだか急に元気が出た。

妻は道産子。

「雪かきは子供の担当だったの」と言って活き活きやっている。

私は運転担当だから、しかたなく、しかし抜かりなくやる。

雪は既に氷になってコンクリートにガッチリこびり着く。

スコップを道路と雪の隙間に向かって思い切り差し込む。

外れると雪の上部分だけ削り取り、ほとんどは残ってしまう。

うまく差し込めると思った以上の量の氷と、その上の雪が外れてくる。

重いほどの量をどけると嬉しい。

「セーターを脱いだほうがいいよ」と言われて脱いだ。

顔から汗が滴り落ちていたのだ。

体から湯気がモウモウと立ち上っていた。

約2時間の作業の副産物だ。

そのかいあって坂道も、ゆっくりとではあっても確実に登りきった。

「帰れる」と確信した瞬間だった。

帰宅すると既にお尻が筋肉痛になっていた。

健康になるためではない筋肉痛。

役立つ筋肉痛。

思いのほか早く出たその筋肉痛が若さの証明にも思えて嬉しくなった。



雪解けを待つ

2014-02-10 08:40:59 | Weblog
伊豆にある船原温泉に来ていた。

朝起きてみると庭の全てが真っ白になっていた。

予約してあった大露天風呂に二人で入る。

大きな木が雪の重みで倒れ川に橋を架けた状態になっていた。

白一色のなかにも川は黒く静かに模様を付ける。

川の中の岩に積もった雪の上に真っ黒のカワガラスが見えた。

嬉しそうに尾を縦に振っては動き回る。

食材が届かず、そして職員が出勤できず朝食は40分遅れた。

出勤してきた受付の女性はスタッドレスのタイヤを装着しているが、それでもチェーンを着けたかったという。

雪は降り続く。

チェックアウト時刻にふた組が帰っていく。

彼らが出た1時間後宿の人たちが雪かきをして、やっと今道路に送り出したと教えてくれた。

この宿は国道から急坂を下って入る。

その急坂が登れないのだ。

彼らはスタッドレスタイヤを装着しているが、それでもこの有様だ。

そして私の車はノーマルタイヤ。

ここでチェーンを買ってみても次に使う機会はほぼない。

出てくる前にスタッドレスタイヤに履き替えることも思いついたが、それももったいない気がした。

我々が帰宅しなければ自宅に1匹で待っている猫のマロちんが心細いに違いない。

だがここで無理して出て行っても迷惑をかけることになるだろう。

事故に遭わないためには、じっとしていることがベストだ。

連泊を決心した。

連泊を宿に伝えると心が落ち着いた。

昼食時にビールを飲む。

「これで今日は車に乗れないぞ」

2泊目の料金は湯治だと思うことで気が楽になった。

宿はキャンセルが相次ぎ誰もやってこない。

我々だけが独占して設備を使える。

貸切は風呂だけでなく宿の全てという感じになった。

5箇所ある風呂は全て入り、その後のアルコールも楽しんだ。

お尻の皮膚が露天風呂の底のコンクリートで擦れてヒリヒリする。

二日目のご馳走は正直言って「粗食に変えて欲しい」感覚。

部屋で退屈と向き合うのも辛いものだ。

屋根から落ちる雪は地響きを伴う。

妻の作った雪だるまは、一気に雪の塊に飲み込まれた。

背筋の凍る熱い風呂

2014-02-02 08:38:24 | Weblog
昨夜は「飲み放題」メニューでたくさん飲んだ。

部屋に戻って風呂上がりのエビスビール缶から始まった。

食事時に今度はエビスのビンビール。

そして日本酒の冷と熱燗。

上品な器に、とびきり美味しいつまみが並んでいる。

これで呑みが進むのは、もうこれは、どうしようもない。

一体どの位の量を呑んだのかハッキリとした記憶がない。

記憶が飛ぶに相応しい量なことは確かだ。

布団に入ると数秒で眠りに就いた。

そして翌朝6時43分に目が覚めるまで一切起きることはなかった。

同室の仲間が電灯を消してくれたこともトイレに起きたことも知らない。

部屋の中はイビキの四重奏だったらしい。

だがそれにも増して動物園から聞こえる雄叫びや吼えの類の音声を発した人物は別室で一人で寝てもらった。

幸い私がそれを聞いたのは目が覚めてからだけだった。

起きていきなり朝風呂に向かう。

私と、もう一人が部屋からまず出た。

風呂の手前のトイレで「ちょっと失礼」と私だけ入った。

トイレから出て風呂のノレンをくぐって引き戸をすべらす。

先に入っている友人のスリッパがないし中に姿もない。

昨日二回も風呂に入ったので、もう体を洗うことはせず掛け湯だけして露天風呂に行った。

友人は別のトイレに行っているらしい。

この露天風呂は温度が高い。

長湯はできない。

昨夜のアルコールが、脳細胞のみならず体の隅々に残留しているようだ。

結局友人は風呂に来なかった。

着替えて外に出て恐る恐るトイレを見てみた。

まさか、そこで倒れていないだろうとは思ったが若干の不安はあった。

ヤレヤレと安堵していると後ろから「俺先に帰るから」と仲間が言いに来た。

風呂の中にいる人たちに伝えといてと言う。

そこでやっと気がついた。

私の入った風呂は昨夜の12時をもって女湯に替わっていたのだ。

振り返れば確かにノレンの色がピンクになっている。

緑のノレンの風呂にいる仲間に伝えに行った。

「オレ女湯に入っちゃった」

先に入った友人は私が掛け湯をしている音を聞いて「ひょっとしたら」と考えたそうだ。

「女の人が、あんなにザバザバかけるかなぁ」と。

その後彼らが風呂から出る頃には女湯から数人の話し声が聞こえたという。

雨とモーガン

2014-02-01 08:07:15 | Weblog
モーガンで雨に合うのは、もう慣れた。

今回は既に屋根をつけたままにしてあるから、そのまま走っていく。

前日は晴天で屋根の付いていることが残念なほどだ。

翌日は曇から予想通り雨に変わった。

まだ心に余裕があった。

ブレード部分が16センチしかないワイパーだが小さいなりにもフロントガラスに着いた水滴を落とすし私が雨で濡れることは全くない。

エアコンがないので室内のくもりはデフロスターから出る熱風とスライド式の窓から入り込む風で自然乾燥させるしかない。

しかしそれも走り続けていれば問題はない。

沼津市から富士市を抜けるあたりで雨がひどくなった。

この国1は、まるで高速道路?と思えるほど車の流れが速い。

後ろから押され狭い車線の横からの圧迫を感じながら前の車について行くしかない。

もはや余裕など吹っ飛び必死という走り方だった。

そんなときフェンス越しの対向車のトラックから大量の水が降りかかった。

一気にフロントガラスに注がれ前が見えなくなっただけでなく勢いのある水がガラスと屋根の間隙を押し広げて侵入してきた。

フロントガラス内側にジャッと漏れた後ポタポタと続く。

ETCのアンテナがあるので急いで拭き取る。

屋根は、もちろんパンパンに張ってあるしガラスとの間には雨水の侵入を阻むパッキンが施されている。

しかし水という変形が容易な物体は、そこを難なく通過し私を恐怖に落し入れた。

その後何度か対向車の水攻めに合い決心した。

対向車の影響の少ない高速道路に乗ろう。

それまでは、このまま国道でのんびり帰宅しようと決めていたのだが。

高速道路に入ったがトラックの後ろをついていくと、もうもうと湧き上がる煙のような水が視界を最悪に遮る。

後ろから追い越してくるトラックが私の車を風圧でグラリとさせたあと、やはり視界が雲の中状態にする。

ここものんびり走るというわけにはいかなかった。

しかし対向車の水攻めからは免れることができた。

おとなしく定速で走るトラックの後ろについて高速道路を安定走行できるようになったが、ちょうど雨も小降りになってきた。

高速道路を出るまでワイパーを止めることはなかった。

しかし帰宅して車庫に入れるときには雨はもう止んでいた。

逃げ帰った。

この言葉が相応しい私の帰路だった。