家訓は「遊」

幸せの瞬間を見逃さない今昔事件簿

こんな奴と下校したい

2024-04-27 09:50:16 | Weblog

一緒に道路を歩いていると、やおら小石のような物を拾って、それを地面に置き踏ん付けていた。

何かの種に見えたらしく靴で踏んで割れるかどうか試そうとしていた。

それは、とても硬くてスニーカーで踏んで割れるようなモノではなかった。

それはムクロジという植物の種だった。

ムクロジの種は羽子板の羽の先端に付けてある黒い球だ。

少し進むと今度は道路に流れる水の流れが滞っている。

山から落ちてきている水が集まって流れが出来ている。

それが同じく山から落ちてきた枯れ葉や石で遮られているのだ。

棒切れを拾って石や枯れ葉を取り除くと流れが再開した。

棒を拾って作業しているのは私の妻だ。

春野で作業が終了すると一緒に約1時間散歩をすることが多い。

まだ我が家を出たばかりなのに、もう立ち止まって、いわゆる道草を食っている。

山は四季によって変化し続けている。

それを目の当たりにすると、どうしても自分の中の好奇心が勝手に動作を始める。

水路の再開は、小学校の頃よく雨上がりの下校時に傘の先端で道に線を引き楽しんだものだ。

この頃は道路の舗装が進み、この状況に出会うことはほとんどない。

道路に赤い花のカタマリが見られる。

空木(ウツギ)の木が上に在って、そこから落ちているのだ。

というように上を見たり下を見たり音を聴いたり匂いを嗅いだり、自然は次々と興味を引き続ける。

橋や災害防止の構築物などは人間の為す素晴らしい物だと思うが、いろいろな物が捨ててあるのはとてもがっかりする。

その中間というか気田川の上に川をまたいでこっち岸からあっち岸まで鯉のぼりが泳いでいる。

時期が終われば取り外すし問題はないと思う。

だが鯉のぼりより、やはり岸から這い上がる藤に白や藤色の花の咲いた姿の方がきれいで嬉しい。

何より一緒に歩く者の違いが最も大事だと感じる。


二人の釣り師とボラ

2024-04-22 16:16:28 | Weblog

竜洋町にできた「イチゴ空中農園いわた」というイチゴ専門の農園に行った。

段ボールのフタのような物に入っていて1500円で食べきれないほどある。

そこではいちご狩りもできるのだが4月1日~5月6日までは一般(中学生以上)2000円ということだ。

「45分間食べ放題」ということなのだがさきほど食べきれないほどのイチゴを見た後では、さすがにあの量を500円分上回って食べられる気はしない。

別の野菜を買いに「しおさい竜洋」という日帰り風呂とレストランと売店のある建物に行った。

ここは竜洋海洋公園オートキャンプ場が隣にあるので、それぞれの施設が賑わっている。

私は妻が買い物をする間に散歩をする。

1時間あれば遠州灘の釣りを見て帰るくらいはできるから楽しく歩ける。

今日は駐車場から歩き始めてすぐに釣り師が目に入った。

まずは傘を被った昔風の釣り師のところに見に行った。

「何狙いですか?」と聞きに行くと何やら様子がおかしい。

「えっ、釣れているんですか?」と聞くと「そうみたい」と答えた。

短い竿が弓なりになっていて重いものが引っ張っているのは見て取れた。

しばらく遊ばせて疲れさせてから上げるのだという。

釣り師と釣り竿でつながった魚がガンバっている間にも釣り師の下で魚が跳ねた。

反対側でも跳ねた。

「ボラですか?」と聞くと「ボラだね」と言う。

ボラは臭い、とも聞くので「ここで釣れた魚は食べられるのですか」と聞いてみると「ああ。上手いね。ここで釣れたボラを食うとその辺のスーパーで買ってくることはできないよ。」と言う。

「私も釣りをしたいと思っています」と言うと「この位置がいいよ。エサはアオムシ。竿は短いほうがいい」と教えてくれた。

帰り支度をしているので「もう終わりですか」と言うと「これ一匹ありゃあ、もういい」と言って仕舞うのに忙しそうだった。

次にしおさい湖に行った。

先ほどの釣れたシーンを見ていたかもしれない場所だ。

リールで遠くに投げ込んで釣っていた。

「ボラ狙いですか」と聞くと「「そうだよ」と答えた。

「さっきあちらの釣り師さんは40㎝以上の奴を釣りましたよ」というと「僕も釣れたよ。そのヒモの下にある」と言うので承諾をもらってあげてみると「居る居る大きなビクの中に4匹ほど40㎝前後のボラが入っていた。

見ているうちにもう一匹掛かって釣り上げるところを目の当たりにした。

今度は少し小さいが25㎝ほどのボラだった。

妻のところに戻った時ほとんど歩数が伸びず時間だけが経過していた。


名花と名車

2024-04-08 10:35:04 | Weblog

今年の桜は満開を長く続けていてくれる。

桜が咲いてからは強い雨もなかったし強風もなかった。

私は名車を購入した知人の誘いで桜鑑賞と味覚を楽しみに、そして名車の走りを感じに行った。

名車はドアを斜め上に開けるのだ。

助手席側のドアノブを引くと上に上げる感じ。

座席位置が低いので右足を入れると、続いてそのままドカッと椅子に滑り込む。

重くはないドアを下すと「ボスッ」という音と共に空気抜きのために開けられていた窓がスッと閉まる。

運転手は自分の座席をレバーひとつで定位置に戻し、ボタン一つで動き始める。

しばらく無音で滑り出すが、その次の瞬間「ガオーッ」と爆音が聞こえる。

そうこの車はハイブリッドなのだ。

エンジンを勝手に掛け暖機する。

大きな音なのだが暴走族のような耳障りな音ではない。

いかにも走りそうな、そしていかにも気持ちの良いコーナリングをしそうな雰囲気だ。

しかし如何せん車高が低いので、道路の凹凸が気になる。

それから車幅がトラックほども有るので狭い道を走行する時は気が気ではない。

エンジンが黙っている時には音楽は気持ちよく響くが一旦エンジンがかかると、その咆哮でもうエンジン音以外何も聞こえない。

音楽が聞こえないということに関してはオープンカーと同じ。

もっと言うと今乗っている古い安物の車と同じだ。

田舎のそば屋で腹ごしらえをして、そこの駐車場で写真を撮り川沿いに植えられた桜を見に行った。

ソメイヨシノは桜色という薄いピンクのはずなのに白だった。

俄か写真家がたくさん居て、それぞれが写真を撮る角度を工夫している。

また大事な人の後ろに桜を配して桜も人も美しく撮れるように頭をひねる。

街中の駐車場は行くときも渋滞帰りにもまだ渋滞していた。

美しい物は人の心を揺さぶり「見に行く」という行動に駆り立てる。

夜桜というひと味違う楽しみ方もあるから夕方からでも渋滞を我慢する価値があるのである。

私は知人の家まで駆け付けたメイトというオートバイにまたがりヘルメットのスクリーンを開けて心地良い風を感じながら帰宅した。

自宅に到着するといろいろな疲れがどっと出て無性に缶ビールを呑みたくなった。