テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

森の向こうに不思議な国が……?

2009-08-27 22:21:19 | ブックス
 夏と秋がバトル中の東京・多摩地方から、
 こんにちは~、日焼けが怖いネーさです。

「こんにちわゥ~、テディちゃでスッ!」

 ではまたもクマ一族の御話を……ではなくて、
 本日はウシさんの物語を御紹介いたしましょう。
 こちらを、どうぞ~!


 
         ―― COW HOUSE  カウハウス ――


 
 著者は小路幸也さん、’09年6月に発行されました。
 『東京バンドワゴン』シリーズや『うた魂♪』を著した小路さんらしく、
 読み手を《音楽》の魔法にかけちゃう御本です。

「おんがくゥ?
 うしさんのォ、おはなしィでしょッ?」

 牛さんと音楽――
 何の関係もなさそうなこのふたつの間に橋をかけるのが、
 主人公の畔木(くろき)くん。

 ことの始まりは、初夏の或る日の、昼下がりでした。
 鎌倉にある古い邸宅を訪れた畔木くんは驚きます。

 あれ?
 敷地の内に人がいる?

「ふァ~?
 ひとがァいちゃいけないィのでスかァ?」

 邸内には誰もいないはず、だったのです。
 この古~い豪邸は、
 畔木くんの勤める会社が所有する物件。
 管理人として今日から赴任してきた彼以外、
 出入りする者もない、
 無人の建物だと聞いていたのに……。

「うッ! まさきゃッ??
 それッてェ、お、おばけッ!!」

 オバケが昼間にテニスコートでテニスをするものでしょうか?
 楽しそうで、しかも、
 ボールを追いかけている御老人は
 プロはだしの腕前のようです。

 いったい、あの人物は何者?
 いえ、いったいこれはどういうこと?

 新米管理人の畔木くんは、
 ボールを打ち合う二人――御老人と中学生ぐらいの女の子を目にし、
 脳みそを『?』でいっぱいにしながら
 邸内に踏み入りますが……
  
「わきゃッたでスよッ!
 そこはァ、なるにあ、なのでス!」

 いえいえ、鎌倉の御屋敷にナルニアへの扉はありません。
 けれど、畔木くんが出逢うのは、
 不思議とお伽話めいた人びとです。

 この物語自体も、一種のファンタジーなのでしょうか?
 現実には有り得ない、夢ものがたり?
 畔木くんが見る、ひとときのまぼろし?
 世界はこう在って欲しいと願う彼の、
 理想郷がここ、この御屋敷であるのかも……?

 テニス御老人と女の子は、
 どんな理想郷へ畔木くんを導いてくれるのか――
 静かな、
 しかし、冒険としか言いようのない日々が、
 古い御屋敷の中で彼を待っています。

「むゥ! やぱりィ、なるにあ、でスよゥ!」

 『東京バンドワゴン』ファンの御方はもちろん、
 音楽好きの御方にぜひ!の御本です。
 『のだめ』好きな御方にも、おすすめですよ~♪

「なつやすみのォどくしょにィ、おにあいィでス!」 
コメント
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