テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

― “人造”のアリア ―

2014-09-25 21:37:32 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 わあァ~んッ! おわッちゃッたよゥ~!」
「がるる!ぐるるるぅ~!」(←訳:虎です!悲しいよぅ~!)

 こんにちは、ネーさです。
 大のお気に入りだったNHK・BSのドラマ『ベランダー』の最終回に、
 ついつい溜め息……終わらないでほしかったなぁ~…。
 本日の読書タイムでは、こちらも、
 終わらないで~!と叫びたくなる徹夜本を御紹介いたしましすよ。
 さあ、どうぞ~!

  



               ―― 機巧のイヴ ――



 著者は乾緑郎(いぬい・ろくろう)さん、2014年8月に発行されました。
 『 The Contrivance Doll EVE 』と英語題名が付されたこの御本、
 いま読書界で大きな話題となっていますね。

「じだいィしょうせつゥ??」
「ぐる??」(←訳:SF??)
「みすてりィ??」

 それら全てのジャンルのいいとこどり!をしたような物語は、
 さて、いつの時代が舞台なのでしょうか。

 江戸時代?
 もうひとつ遡って、室町時代?

 お城には将軍家が、、
 御所には帝さまがおわす世、ではあるのですが、
 私たちの知る過去の歴史とは
 明らかに違う事柄が、幾つも。

「うゥ~んッ? そうかなァ~??」
「がるるぐるるるぅ?」(←訳:みんな着物だしぃ?)
「おさむらいさんもォ、いるしィ?」

 一見したところは、お江戸風の社会。
 でも、よくよく目を凝らせば。

 ほぉら。
 足元でピョンピョン跳ねてる一匹の蟋蟀(こおろぎ)くん。
 なんだかヘンでしょ?
 小さな身体の内側から、
 キリキリ、ミシミシ、と明らかに機械が軋むような音が
 していませんか……?

「うきゃッ!」
「ぐるる?」(←訳:まさか?)

 人々は、密かに噂しています。
 
 本物と区別がつかないツクリモノ。
 それは、
 幕府精錬(せいれん)方手伝・釘宮久蔵(くぎみや・きゅうぞう)作の、
 機巧人形(オートマタ)であろう、と。

    小さな小さな人造の蟋蟀。
    極彩色の、南国産の鸚哥(インコ)。
    久蔵さまなら造れるにちがいない。
    いやいや、虫や鳥だけじゃなく、
    久蔵さまの手にかかれば、もっともっと、
    ありえないようなモノも……。

「それはァ~…!」
「がるるぐるるっ?」(←訳:さらにまさかっ?)

 ヒトと、
 ヒトが造り出したモノが織り成すドラマ。

 命とは、どこから来たのか?
 魂が宿る場所とは?
 ヒトと、ヒトではないモノの差とは?

 メアリ・シェリーさんの『フランケンシュタイン』、
 アイザック・アシモフさんの『鋼鉄都市』、
 手塚治虫さんの《アトム》シリーズ、
 リドリー・スコットさんの映画『ブレードランナー』の流れに連なる、
 《生命》の謎を抉るSFミステリ作品は、
 堂々の2014年ベスト本候補です!

「かならずゥ、よむべしィ!」
「ぐるるがるるるる!」(←訳:後悔はさせません!)

 全活字マニア諸氏に、熱烈おすすめですよ~♪



 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする