「こんにちわッ、テディちゃでスー!
おせんべいィにィ~、ぽてとちッぷゥ~!」
「がるる!ぐぅるるがる!」(←訳:虎です!チョコはNG!)
こんにちは、ネーさです。
風邪を引いちゃうと甘い物より塩っぱい物が欲しくなるのは
どんなマジックなのでしょうか?
本日の読書タイムでも、
身体メカニズムのマジックを探る一冊を御紹介いたしましょう。
こちらを、どうぞ~!

―― ぼくは物覚えが悪い ――
著者はスザンヌ・コーキンさん、原著は2013年に、日本語版は2014年11月に発行されました。
英語原題は『PERMANENT PRESENT TENSE The Man with No Memory,and What He Taught the World』、
『健忘症患者H・Mの生涯』と日本語副題が付されています。
「えッとォ~? けんぼうしょゥッてェ~…」
「ぐるるる?」(←訳:何ですか?)
健忘症(amnesia)とは、
“後日意識して思い出すことができるような記憶を形成できない状態”
を意味します。
『H・M』と医師たちに呼ばれる患者ヘンリー・モレゾンさんは、
健忘症に苦しめられていました。
著者・コーキンさんは
モレゾンさんが置かれた状況を次のように表現しています――
《ヘンリーは、永遠に『現在』のなかに閉じ込められてしまった》
「むむゥ! どうしてまたァ?」
「がるるぐる?」(←訳:そんなことに?)
ヘンリーさん、てんかん治療のために
脳外科手術を受けたのでした。
少年時代から起きていたてんかんの発作は
成長するにつれ頻繁になり、
お薬も効かなくなり、
ヘンリーさんの生命を危険にさらすようになって、
主治医は決断したのです。
手術によって、
ヘンリーさんの脳の一部を除去することを。
いわゆる、ロボトミー手術。
「ひいいいいィ!」
「ぐるるー!」(←訳:やめてー!)
そうよね、現代に暮らす私たちなら、
映画『カッコーの巣の上で』のストーリーを御存知の方々なら、
そういう拒否反応は当然ですよね。
でも、当時――1953年は、事情が違いました。
ロボトミー手術で病状が良くなる、と考えた医師がいたのです。
27歳の時、ヘンリーさんは手術を受けました。
手術後、ヘンリーさんのてんかん発作は激減しましたが、
同時に……
健忘症となってしまったのでした。
「なにもォ、おぼえてェいられないィ?」
「がるぐるるぅるる?」(←訳:すぐ忘れちゃうの?)
今日が何日か、朝ごはんに何を食べたか、
数分前に両親が何を言ったか、
ヘンリーさんは思い出せません。
手術前の出来事は(ある程度は)憶えています。
父母、学校の友人たち、スミ暮らした家や、休暇先での記憶。
チビっ子の頃、飛行機に乗せてもらった体験。
「でもォ、それいがいィはァ……?」
「ぐるるがる……?」(←訳:何にもなし……?)
理解していただきたいのは、
ヘンリーさんは健忘症ではあったけれど、
それ以外の疾患を負ってはいなかったことです。
ヘンリーさんの知能は高く、
自分が物事を覚えていられない、
そのために周囲に迷惑をかけている、と認識し、
深く悲しんでもいました。
「わかッているのにィ、なにもできないィ~…」
「がるるぐるるるぅ~…」(←訳:それはつらいよぅ~…)
ヘンリーさんの症状は、やがて、医学界の注目の的になってゆきます。
記憶、とは何なのか。
脳の中で、何が起きているのか。
ヘンリーほど一つの科学分野を完璧に変えた患者の例を私は他に知らない。
著者・コーキンさんにそう述懐しています。
それほどの、
ヘンリーさんが秘めていたチカラ。
可能性と、未来。
ヘヴィなノンフィクション作品であり、
ロボトミー手術がもたらした数々の悲劇も記されていますが、
これは《読むべき》一冊です。
すべての活字マニアさん、ぜひ!
「のーべるしょうはァ、へんりーさんにィ!」
「ぐるるるるっ!」(←訳:おくりたいっ!)
おせんべいィにィ~、ぽてとちッぷゥ~!」
「がるる!ぐぅるるがる!」(←訳:虎です!チョコはNG!)
こんにちは、ネーさです。
風邪を引いちゃうと甘い物より塩っぱい物が欲しくなるのは
どんなマジックなのでしょうか?
本日の読書タイムでも、
身体メカニズムのマジックを探る一冊を御紹介いたしましょう。
こちらを、どうぞ~!

―― ぼくは物覚えが悪い ――
著者はスザンヌ・コーキンさん、原著は2013年に、日本語版は2014年11月に発行されました。
英語原題は『PERMANENT PRESENT TENSE The Man with No Memory,and What He Taught the World』、
『健忘症患者H・Mの生涯』と日本語副題が付されています。
「えッとォ~? けんぼうしょゥッてェ~…」
「ぐるるる?」(←訳:何ですか?)
健忘症(amnesia)とは、
“後日意識して思い出すことができるような記憶を形成できない状態”
を意味します。
『H・M』と医師たちに呼ばれる患者ヘンリー・モレゾンさんは、
健忘症に苦しめられていました。
著者・コーキンさんは
モレゾンさんが置かれた状況を次のように表現しています――
《ヘンリーは、永遠に『現在』のなかに閉じ込められてしまった》
「むむゥ! どうしてまたァ?」
「がるるぐる?」(←訳:そんなことに?)
ヘンリーさん、てんかん治療のために
脳外科手術を受けたのでした。
少年時代から起きていたてんかんの発作は
成長するにつれ頻繁になり、
お薬も効かなくなり、
ヘンリーさんの生命を危険にさらすようになって、
主治医は決断したのです。
手術によって、
ヘンリーさんの脳の一部を除去することを。
いわゆる、ロボトミー手術。
「ひいいいいィ!」
「ぐるるー!」(←訳:やめてー!)
そうよね、現代に暮らす私たちなら、
映画『カッコーの巣の上で』のストーリーを御存知の方々なら、
そういう拒否反応は当然ですよね。
でも、当時――1953年は、事情が違いました。
ロボトミー手術で病状が良くなる、と考えた医師がいたのです。
27歳の時、ヘンリーさんは手術を受けました。
手術後、ヘンリーさんのてんかん発作は激減しましたが、
同時に……
健忘症となってしまったのでした。
「なにもォ、おぼえてェいられないィ?」
「がるぐるるぅるる?」(←訳:すぐ忘れちゃうの?)
今日が何日か、朝ごはんに何を食べたか、
数分前に両親が何を言ったか、
ヘンリーさんは思い出せません。
手術前の出来事は(ある程度は)憶えています。
父母、学校の友人たち、スミ暮らした家や、休暇先での記憶。
チビっ子の頃、飛行機に乗せてもらった体験。
「でもォ、それいがいィはァ……?」
「ぐるるがる……?」(←訳:何にもなし……?)
理解していただきたいのは、
ヘンリーさんは健忘症ではあったけれど、
それ以外の疾患を負ってはいなかったことです。
ヘンリーさんの知能は高く、
自分が物事を覚えていられない、
そのために周囲に迷惑をかけている、と認識し、
深く悲しんでもいました。
「わかッているのにィ、なにもできないィ~…」
「がるるぐるるるぅ~…」(←訳:それはつらいよぅ~…)
ヘンリーさんの症状は、やがて、医学界の注目の的になってゆきます。
記憶、とは何なのか。
脳の中で、何が起きているのか。
ヘンリーほど一つの科学分野を完璧に変えた患者の例を私は他に知らない。
著者・コーキンさんにそう述懐しています。
それほどの、
ヘンリーさんが秘めていたチカラ。
可能性と、未来。
ヘヴィなノンフィクション作品であり、
ロボトミー手術がもたらした数々の悲劇も記されていますが、
これは《読むべき》一冊です。
すべての活字マニアさん、ぜひ!
「のーべるしょうはァ、へんりーさんにィ!」
「ぐるるるるっ!」(←訳:おくりたいっ!)