テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

 ~ 変容が招くモノ ~

2015-01-18 21:12:25 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 くうきがァ、かんそうゥしてまスゥ~…」
「がるる!ぐるるがる~…」(←訳:虎です!こんな時は~…)
「のどあめェ!」

 こんにちは、ネーさです。
 私ネーさの愛用のど飴は『ヴィックスメディケイテッドドロップ チェリー味』!
 今日も1粒、パクっとお喉に放り込んで、
 さあ、読書タイムと参りましょう~♪

  



                ―― 荒神 ――



 著者は宮部みゆきさん、2014年8月に発行されました。
 先週末、本屋さんに宮部さんの新作
 『悲嘆の門』(上・下)が並んで、また話題になってますね。

「ふァいッ! べすとせらーにィ、らんくいんッ!」
「ぐるるがるぐる!」(←訳:さすが宮部さん!)

 本日ご紹介いたしますのは、
 2013年3月~2014年4月の間、朝日新聞紙上に連載された
 『荒神(こうじん)』の単行本です。

 本屋さんでは御本の帯に、
 或いはネット書店では簡単な内容紹介の欄に、
 こんな風に記されています――

    東北の小藩の山村が、一夜にして壊滅状態となる。

 そしてまた、その山村に現れたのは

    “化け物”

 であった、と。

「ううゥ~ッ、おばけッ!」
「がるるるる!」(←訳:グロテスク!)

 東北、とはいっても、
 御本に掲載されている地図によれば、
 当の小藩があるのは下野(しもつけ)の、やや北方。
 雪深く、貧しい最果ての地、ではありません。

 それとも、見方によっては、
 極端に貧しい土地ではない、という事こそが、
 物語の要なのかもしれません。

「ふァ? まずしくないィからァ?」
「ぐるるがるっ?」(←訳:なんでまたっ?)

 “化け物”が現れたのは江戸時代、
 それも元禄の頃だったのです。

 元禄期とは、歴史の上では
 一種の《転換期》でもありました。

 戦乱の世が完全に終わって、
 徳川家の支配体制が固まり、
 “武力”中心から“経済”中心の社会が
 出来上がりつつある、という状態なのです。

 武士が刀を持つ意味を失いつつあり、
 経済を動かす力に長けた者たちが幅を利かせてゆく時代――

「ふむゥ! おさむらいさんはァ~」
「がっるぅるぐる!」(←訳:困っちゃう時代!)

 変容してゆく社会機構は、
 一見どこも奇妙なところのない山間の村に、
 いびつなひび割れを起こし、
 病んだ膿(うみ)の塊となって襲いかかります。

 村の守り手のような存在の女性・朱音(あかね)さま。
 少年、蓑吉(みのきち)。

 村人から平安な日常を奪い盗る、
 “化け物”の姿、威容、災厄。

 いったい、“化け物”の正体とは、
 その性質=本質とは、何なのか――

「こわいィけどォ、はらはらどきどきィ!」
「ぐるがるるる!」(←訳:先が読めない!)

 宮部さんらしい、怪異譚にして壮大なファンタジー。

 新聞掲載時、毎日しっかり読み続けていたもん!という御方も、
 どうか改めて単行本を読んでみてくださいね。
 物語の終盤には加筆がされていて、
 新聞版と単行本とでは
 読後感がまるで違います!

「じだいしょうせつゥまにあさんにもッ」
「がるるるぐるー!」(←訳:おすすめですー!)
 


コメント
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