テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

ノンフィクションであることの、重さ。

2015-01-09 21:28:53 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 のーもあッゆきやこんこんッ!」
「がるる!ぐるるがる!」(←訳:虎です!強風もNO!)

 こんにちは、ネーさです。
 成人式のお支度真っ最中の方々には、
 どうぞ温暖な天候と平穏な祝日を。
 そうでない方々には、充実の読書タイムを。
 さあ、連休直前の本日は、こちらの御本を、どうぞ~!

  



             ―― 殺人犯はそこにいる ――



 著者は清水潔(しみず・きよし)さん、2013年12月に発行されました。
 『隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件』と副題が付されています。
 活字マニアの皆さまは、おそらく、
 とうにこの御本の評判を耳にしておいででしょうが……

「ものすごいィ~のんふぃくしょんッ!」
「ぐるるがるる!」(←訳:書評も高評価!)

 ええ、そうなんです、その通りなんです。
 
 だからこそ、私ネーさ、どうしたらいいのか分かりません。
 この御本と、どう折り合いを付ければよいのか、わからないんです。

 だって、ノンフィクションなんですよ?

 小さな女の子が、5人も被害に遭っている大事件なんですよ?

 普通ならフィクション作品の中の出来事でしょう、
 こういうのは。
 子どもが行方不明になって、
 大事件に発展して、
 結果は悲劇的……などという事態は、
 フィクションの中でしか
 起こってはいけないこと、なんです。

 でもこれは、絵空事では、まったく無かった……。

「そもそもはァ、れんぞくじけんでもォ、なかッたでス!」
「がるぐるるるるっる!」(←訳:誰も気付かなかった!)

 2007年、6月。
 著者・清水さんは、
 誰も気付かなかった事実に気付きました。

 日本テレビ報道局に所属する清水さんは
 報道特番の企画に加わり、
 《未解決事件》の資料調査を行っていたのですが。

 群馬県で起こった幼女誘拐事件?
 隣の栃木県でも類似した事件が起きているんだな?
 いや違う、
 隣県というには、近過ぎる……?
 隣りの市、じゃないか!

 
「ならばァ、これはッ!」
「ぐるるるがるる!」(←訳:連続する事件だ!)

 現在であれば、そう言い切れます。
 けれど、2007年当時、
 そう思った人は清水さん以外にいたかどうか……

 そこには、壁がありました。
 事件はもう解決しているものと皆に誤解させる壁が。

「はんにんはァ、たいほッされてたッ??」
「がるるる!」(←訳:刑も確定!)

 容疑者は逮捕され、送検。
 有罪の判決が出て、身柄は刑務所の内。

 そう、犯人は捕まっていて、事件は解決しているはずで……

 でも。
 それが、冤罪だったなら。
 
 犯人とされている人が、無実なら。

「なんというゥ、たかいィかべッ!」
「ぐるるるるるぅ!」(←訳:超えられないぃ!)

 いわゆる《足利事件》。
 その裏側どころか真裏で走り回って事件と格闘していたのが、
 著者・清水さんでした。

 
    私は記者だ。
    誰かの利害のために取材したり書いたりはしない。

 御本の本文でこう記しながらも、
 清水さんと彼のチームは、
 やはりたぶん、“誰かのために”
 睡眠時間を削り、靴底を減らし、取材を続けます。
 高い壁を、超えるべく。

「だからァ、かなしいィでス!」
「がるるぐる!」(←訳:怒るのです!)

 この御本を読んで、理系の活字マニアさんは怒り狂うかもしれません。
 正確でなくてはならない分析の鑑定結果が
 どうしてこうなる?
 こんないい加減な分析の結果で
 人間の運命を決定するとは、どういうことだ?

「ゆるしてェいいのかッ?」
「ぐるるる!」(←訳:よくない!)

 殺人犯はそこにいる。

 逮捕されず、監視もされず、
 周囲から警戒されることもなく。
 それで、いいのか?

 ――そんな事実と、
 折り合いをつける方法は、あるのでしょうか。

 ただただ祈りながら、
 事件が解決される日が来ることを願います。
 すべての活字マニアさんが、
 いえ、私たち皆が読むべき、読まなくてはならない一冊です。
 どうか、一読を。
 
 
 
 
コメント
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