テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

『祇園会』、その変貌。

2015-08-18 21:45:48 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 もうそろそろぉ、おわりィかなァ~?」
「がるる!ぐーるるがるる!」(←訳:虎です!シーズン的にね!)

 こんにちは、ネーさです。
 日本の各地で行われる《夏まつり》も、
 今週末あたりで一段落、でしょうかしら?
 本日の読書タイムは、
 お祭り!
 と聞くと体温が上がっちゃう祭り好きさんにもおすすめの、
 こちらの御本を、さあ、どうぞ~♪

  



           ―― 絵画史料が語る祇園祭 ――



 著者は河内将芳(かわうち・まさよし)さん、2015年7月に発行されました。
 『戦国期 祇園祭礼の様相』と副題が付されています。

「わはァ♪ ぎおんまつりィ~♪」
「ぐるがるるっ!」(←訳:京都ですねっ!)

 今年2015年の祇園祭は、
 台風の影響による荒天で
 前祭巡行は雨に見舞われ、
 しかし後祭巡行は打って変わった好天だったことも
 話題になりましたね。

 ユネスコ無形文化遺産にも登録されている、
 日本の三大祭のひとつ――
 祇園祭。

 この御本は、昔むかしの祇園祭のありようを探る
 ノンフィクション作品です。

「えッとォ~、そもそもォ~」
「がるるるぐるるる?」(←訳:祇園祭の始まりは?)

 古い呼び方でいえば『祇園会(ぎおんえ)』。
 その歴史は、諸説ありますが、
 天延二年(974年)の6月14日に行われた
 『御霊会(ごりょうえ)』であったと謂われています。

 生まれたばかりの『御霊会』と
 現在の『祇園祭』、
 もろもろの違いがあるのは当然でしょうけれど、
 どんな変化があったのか?
 時代によって、大きな差違があったのだろうか?
 という疑問を、
 御本の著者・河内さんは
 或る絵画史料をもとに
 解いてゆこうと試みます。

「かいがしりょうゥ? というとォ~?」
「ぐるがる?」(←訳:絵巻とか?)

 いえ、絵巻ではないんです。

 それは、屏風。

 洛中洛外図屏風、というものです。

「むッ! きいたことォ、ありまスッ!」
「がるるるぐるる!」(←訳:きんきら屏風だ!)

 『歴博甲本洛中洛外図屏風』こと
 国立歴史民俗博物館所蔵の、甲本洛中洛外図屏風。

 『上杉本洛中洛外図屏風』こと
 米沢市上杉博物館所蔵の、洛中洛外図。

 そして、サントリー美術館所蔵の、
 『日吉山王(ひえさんのう)・祇園祭礼図屏風』。

 これら3点の、貴重な文化財が
 昔日の祇園祭の在り様を語ってくれるのです。

「びょうぶのォ、なかにィ、おまつりィがッ?」
「ぐるるるるる?」(←訳:描かれてたの?)

 洛中洛外図は、“京都のガイドマップ”であり、
 “京都名物&歴史ガイド”でもありました。

 つまり、描き手さんは、
 意図して屏風の中に描き込んだのです。
 《これが京都だ!》的な、
 細々した情報と歴史ネタを、びっしりと緻密に。

 そこで、3点の屏風を較べてみれば、
 祇園祭の変容の歴史もまた見えてくる――

「ふむむゥ、むかしといまとではァ~」
「がっるるぐっるるぅ!」(←訳:けっこう違ってるぅ!)

 山鉾巡行が目立ってあいまう現代の祇園祭と、
 神輿渡御が重要であったかつての祇園祭。
 著者・河内さんは、室町~戦国時代の祇園祭を中心に
 祭礼の変容を明らかにしてゆきます。

 祭り見物のギャラリーさんたちの移り変わり、
 京都の町の歴史、
 将軍さんたちと祭礼のかかわり、など
 マニアな歴史好きさんは
 必見必読の『史料』ですよ。

「きょうとォ~だいすきなァおかたもッ!」
「ぐるるがるる!」(←訳:読んでみよう!)

 ちょっとカタめな歴史本ですが、
 日本史好きさん、ぜひ!!

 
 
 
 
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