「こんにちわッ、テディちゃでッス!
きょうはァ、おひさまのォひッ!」
「がるる!ぐるがる~!」(←訳:虎です!夏至です~!)
こんにちは、ネーさです。
一年でいちばん昼間の時間が、
つまり、お日さまが照っている時間が長~い今日6月21日は、
陽光燦々なギリシアの島を舞台にした
ノンフィクション作品を御紹介いたしましょう♪
さあ、こちらを、どうぞ~!

―― ナチュラル・ボーン・ヒーローズ ――
著者はクリストファー・マクドゥーガルさん、
原著は2015年に、日本語版は2015年8月に発行されました。
英語原題は『NATURAL BORN HEROES』、
『人類が失った“野生”のスキルをめぐる冒険』と日本語副題が付されています。
えーと、繰り返しになりますが、
この御本、ノンフィクションです。
行動科学と呼ばれる研究の、
とても真摯な、真面目な、真剣な論作なのです、けれど。
とんでもない人たちが登場するので、
内容もとんでもないことになってます。
「まるでェ、はりうッどえいがァ、でス!」
「ぐるがるる!」(←訳:冒険大活劇!)
ハリウッドの映画会社でも、
どうかしら、イマドキはこんな脚本が持ち込まれたら
ノーサンキューって低調にお断りするんじゃないかしら。
なぜかと言いますと。
そこは、第二次世界大戦下の欧州、
ギリシアの、
クレタ島です。
「あはァ! テディちゃ、しッてるでスよッ♪」
「ぐるるるがる!」(←訳:神話の島だね!)
迷宮に忍び込み、
ミノタウルスを退治したテーセウスの物語を、
活字マニアの皆さまは御存知でしょう。
そのクレタ島が、
ナチスドイツの軍隊に占領されました。
クレタは、
ヴェネツィア共和国とオスマン帝国が地中海の覇を競い、
王さまたちが十字軍の船団を率いてエルサレムを目指した頃から、
東西通行の要衝とされてきた島でした。
事情は、20世紀になっても変わりません。
ロシア(ソ連)攻略のための、
物資の中継基地として、
ドイツ軍はなんとしてもクレタを手に入れたかった、
のですが……
「おもわぬゥ、じゃまがッ!」
「がるるるるるぐぅるる!」(←訳:信じられないジャマが!)
その邪魔とは。
ドイツ軍の兵隊で溢れる島に潜入し、
勇猛果敢で名高いドイツ軍の司令官を、
専属の警備隊や
数百人の兵士たちの目をかすめ、
堂々と、
誘拐する。
さらにまた、
誘拐者たちはさらった将軍を連れ、
クレタの島内をあちらへ、こちらへ、
変幻自在に逃げ延びる――
っていうんですから、本当にとんでもないわ!
「にんげんわざァじゃないィ、のでス!」
「ぐるるるー!」(←訳:クレイジー!)
映画でしょ、それ?
ホラ話だわよね?と確認したくなるこの出来事は、
啞然とさせられることに、事実です。
途方もない作戦に従事し、
1944年4月24日、
ドイツ軍のグライペ将軍を誘拐してのけたのは、
わずか数人の英国軍エージェントと、
クレタのレジスタンス兵士たち。
正規の精鋭兵ではない、
物資を補給してくれる応援部隊もない、
武器もろくに持っていない彼らに、
はたしてそんなことが出来るのか?
「できッこないィ!……はずゥだけどォ~…」
「がるるるぐるるる?」(←訳:どうして出来たの?)
できるはずがないことを、
どうやってやり遂げたのか。
著者・マクドゥーガルさんは、
人間が本来持っている能力、技能の“限度”に注目します。
人間の身体能力は、
我々が想像以上に高いのではないだろうか?
少量の食糧で長距離を歩く、走る。
腱を、筋力を駆使して、高く飛ぶ、登る。
「よいしょッうんしょッ!」
「ぐっるるがっる!」(←訳:すったかたった!)
戦時下のクレタ島と、
マクドゥーガルさんが必死に調査を進める現代、
ふたつの時代を行き来しながら、
明らかになってゆくのは
神話の英雄たちが有していた特性ともいうべきもの、です。
彼らは、剛力だから英雄になった、のではない。
真のヒロイズムとは、
権力でも財力でもなくて――
「いがいなァものッ、でス!」
「がるるるるぐる!」(←訳:意外だけど納得!)
限界とは、どこに在るのか。
人間の能力にも、
クレタ島の戦争秘話にも仰天させられてしまう、
不思議に魅力的な作品です。
著者さん&役者さんに拍手を贈りつつ、
ノンフィクション好きな御方も、
フィクション好きな御方も、
どうか、ぜひ一読を♪
きょうはァ、おひさまのォひッ!」
「がるる!ぐるがる~!」(←訳:虎です!夏至です~!)
こんにちは、ネーさです。
一年でいちばん昼間の時間が、
つまり、お日さまが照っている時間が長~い今日6月21日は、
陽光燦々なギリシアの島を舞台にした
ノンフィクション作品を御紹介いたしましょう♪
さあ、こちらを、どうぞ~!

―― ナチュラル・ボーン・ヒーローズ ――
著者はクリストファー・マクドゥーガルさん、
原著は2015年に、日本語版は2015年8月に発行されました。
英語原題は『NATURAL BORN HEROES』、
『人類が失った“野生”のスキルをめぐる冒険』と日本語副題が付されています。
えーと、繰り返しになりますが、
この御本、ノンフィクションです。
行動科学と呼ばれる研究の、
とても真摯な、真面目な、真剣な論作なのです、けれど。
とんでもない人たちが登場するので、
内容もとんでもないことになってます。
「まるでェ、はりうッどえいがァ、でス!」
「ぐるがるる!」(←訳:冒険大活劇!)
ハリウッドの映画会社でも、
どうかしら、イマドキはこんな脚本が持ち込まれたら
ノーサンキューって低調にお断りするんじゃないかしら。
なぜかと言いますと。
そこは、第二次世界大戦下の欧州、
ギリシアの、
クレタ島です。
「あはァ! テディちゃ、しッてるでスよッ♪」
「ぐるるるがる!」(←訳:神話の島だね!)
迷宮に忍び込み、
ミノタウルスを退治したテーセウスの物語を、
活字マニアの皆さまは御存知でしょう。
そのクレタ島が、
ナチスドイツの軍隊に占領されました。
クレタは、
ヴェネツィア共和国とオスマン帝国が地中海の覇を競い、
王さまたちが十字軍の船団を率いてエルサレムを目指した頃から、
東西通行の要衝とされてきた島でした。
事情は、20世紀になっても変わりません。
ロシア(ソ連)攻略のための、
物資の中継基地として、
ドイツ軍はなんとしてもクレタを手に入れたかった、
のですが……
「おもわぬゥ、じゃまがッ!」
「がるるるるるぐぅるる!」(←訳:信じられないジャマが!)
その邪魔とは。
ドイツ軍の兵隊で溢れる島に潜入し、
勇猛果敢で名高いドイツ軍の司令官を、
専属の警備隊や
数百人の兵士たちの目をかすめ、
堂々と、
誘拐する。
さらにまた、
誘拐者たちはさらった将軍を連れ、
クレタの島内をあちらへ、こちらへ、
変幻自在に逃げ延びる――
っていうんですから、本当にとんでもないわ!
「にんげんわざァじゃないィ、のでス!」
「ぐるるるー!」(←訳:クレイジー!)
映画でしょ、それ?
ホラ話だわよね?と確認したくなるこの出来事は、
啞然とさせられることに、事実です。
途方もない作戦に従事し、
1944年4月24日、
ドイツ軍のグライペ将軍を誘拐してのけたのは、
わずか数人の英国軍エージェントと、
クレタのレジスタンス兵士たち。
正規の精鋭兵ではない、
物資を補給してくれる応援部隊もない、
武器もろくに持っていない彼らに、
はたしてそんなことが出来るのか?
「できッこないィ!……はずゥだけどォ~…」
「がるるるぐるるる?」(←訳:どうして出来たの?)
できるはずがないことを、
どうやってやり遂げたのか。
著者・マクドゥーガルさんは、
人間が本来持っている能力、技能の“限度”に注目します。
人間の身体能力は、
我々が想像以上に高いのではないだろうか?
少量の食糧で長距離を歩く、走る。
腱を、筋力を駆使して、高く飛ぶ、登る。
「よいしょッうんしょッ!」
「ぐっるるがっる!」(←訳:すったかたった!)
戦時下のクレタ島と、
マクドゥーガルさんが必死に調査を進める現代、
ふたつの時代を行き来しながら、
明らかになってゆくのは
神話の英雄たちが有していた特性ともいうべきもの、です。
彼らは、剛力だから英雄になった、のではない。
真のヒロイズムとは、
権力でも財力でもなくて――
「いがいなァものッ、でス!」
「がるるるるぐる!」(←訳:意外だけど納得!)
限界とは、どこに在るのか。
人間の能力にも、
クレタ島の戦争秘話にも仰天させられてしまう、
不思議に魅力的な作品です。
著者さん&役者さんに拍手を贈りつつ、
ノンフィクション好きな御方も、
フィクション好きな御方も、
どうか、ぜひ一読を♪