「こんにちわッ、テディちゃでス!
くッ? くらいィ~でスゥ!」
「がるる!ぐっるるる!」(←訳:虎です!真っ暗闇だ!)
こんにちは、ネーさです。
はい、落ち着いて、落ち着いて~!
暗闇といっても夏の肝試しの話題じゃありませんよ。
本日の読書タイムは、
《光と闇》をテーマにした美術評論書に登場していただきましょう。
さあ、こちらを、どうぞ~!

―― 闇の美術史 ――
著者は宮下規久朗(みやした・きくろう)さん、2016年5月に発行されました。
『カラヴァッジョの水脈』と副題が付されています。
「うむゥ! あのォがかさんッ、でスかァ~!」
「ぐるるがるる~!」(←訳:確かに闇だね~!)
御本の表紙にもなっていますね、
ミケランジェロ・メリージさん――通称カラヴァッジョさん(1571~1610)の
《聖マタイの召命》(1600年制作)。
つい先ごろ、
カラヴァッジョさんの展覧会が大々的に開催されましたが、
この有名な、カラヴァッジョさんの代表作とも言える傑作は
来日しませんでした。
ローマの教会に収められている作品なので、
移動はほぼムリ、なものですから
仕方ないんですけれど、
カラヴァッジョさんのファンの方々は、
一度は見たい!と熱望する傑作中の傑作でしょう。
黒――闇に浮かび上がる、
人間たちの姿態と、
聖なる御方の横顔……
「げんだいィのォ、あぶらえェとはァ~…」
「がるぐる~!」(←訳:全然違う~!)
西洋絵画は中世の終わりから一貫して、
光と闇の対比を追及してきた――
と、著者・宮下さんは御本冒頭の
『はじめに 光あれ』で記しています。
そしてまた、
19世紀後半の印象派にいたって、
ようやく画面から闇が放逐された。
とも述べておられます。
「ふむむゥ、そういえばッ?」
「ぐるるっるがるる!」(←訳:印象派って明るい!)
そうなのよね、
言われてみると、はっきり分かります。
モネさんが描いたスイレンの花咲く水面、
白い日傘をさしている女性の画も、
みなみな光の中に在る――
そう、印象派の作品を思い浮かべた後に
カラヴァッジョさんの画を、
(たとえ複製画であれど)眺めれば、
背骨が冷えるような心地とともに
実感できます。
ああ、ここに描かれているのは、
紛うことなく、闇だ……と。
「ただァくろいィ、だけじゃなくてェ~」
「がるるるる!」(←訳:黒以上の黒!)
西洋の画家さんたちが
古代ギリシャの昔から絵画の基本としてきた
陰影。
陰影を用いて、
対象を立体的に描くこと。
それは、17世紀の初めに、
カラヴァッジョさんが写実主義を確立した瞬間、
多大な影響を当時の画家さんたちに、
また後代の画家さんにも及ぼしました。
暗黒主義(テネブリスム)と呼ばれる、
光と影の対立、
その圧倒的な心理効果、インパクト!
「えいがァみたいィ~でス!」
「ぐるる!」(←訳:演劇的!)
著者・宮下さんは、
多くのページを費やし、
カラヴァッジョさんの功績と、
闇の中に――ダークサイドに呑み込まれてしまった
彼の短い生涯を綴ります。
大勢の評論家さんクリエイターさんが
カラバッジョさんの評伝を著していますけれど、
宮下さんの文章はことのほか素晴らしく、
どうしようもなくやるせなく、
天才であり、
悪漢であったひとりの画家の輪郭を
闇の向こうに輝かせます。
自滅してゆく以外に
生きる術を持たなかった・持てなかった或る男の、
変えられぬ最期も。
「それでもォ、いまもォ!」
「がるるぐるる!」(←訳:世界を魅了中!)
西洋美術の光と闇、
そして第6章では、日本美術の光と闇も
綿密に、誠実に、取り上げられています。
アート好きさんに、
展覧会でカラヴァッジョさんに惚れ直した!という方々に、
おすすめのこの御本、
『あとがき』までも含めて
ぜひぜひ、一読を!
くッ? くらいィ~でスゥ!」
「がるる!ぐっるるる!」(←訳:虎です!真っ暗闇だ!)
こんにちは、ネーさです。
はい、落ち着いて、落ち着いて~!
暗闇といっても夏の肝試しの話題じゃありませんよ。
本日の読書タイムは、
《光と闇》をテーマにした美術評論書に登場していただきましょう。
さあ、こちらを、どうぞ~!

―― 闇の美術史 ――
著者は宮下規久朗(みやした・きくろう)さん、2016年5月に発行されました。
『カラヴァッジョの水脈』と副題が付されています。
「うむゥ! あのォがかさんッ、でスかァ~!」
「ぐるるがるる~!」(←訳:確かに闇だね~!)
御本の表紙にもなっていますね、
ミケランジェロ・メリージさん――通称カラヴァッジョさん(1571~1610)の
《聖マタイの召命》(1600年制作)。
つい先ごろ、
カラヴァッジョさんの展覧会が大々的に開催されましたが、
この有名な、カラヴァッジョさんの代表作とも言える傑作は
来日しませんでした。
ローマの教会に収められている作品なので、
移動はほぼムリ、なものですから
仕方ないんですけれど、
カラヴァッジョさんのファンの方々は、
一度は見たい!と熱望する傑作中の傑作でしょう。
黒――闇に浮かび上がる、
人間たちの姿態と、
聖なる御方の横顔……
「げんだいィのォ、あぶらえェとはァ~…」
「がるぐる~!」(←訳:全然違う~!)
西洋絵画は中世の終わりから一貫して、
光と闇の対比を追及してきた――
と、著者・宮下さんは御本冒頭の
『はじめに 光あれ』で記しています。
そしてまた、
19世紀後半の印象派にいたって、
ようやく画面から闇が放逐された。
とも述べておられます。
「ふむむゥ、そういえばッ?」
「ぐるるっるがるる!」(←訳:印象派って明るい!)
そうなのよね、
言われてみると、はっきり分かります。
モネさんが描いたスイレンの花咲く水面、
白い日傘をさしている女性の画も、
みなみな光の中に在る――
そう、印象派の作品を思い浮かべた後に
カラヴァッジョさんの画を、
(たとえ複製画であれど)眺めれば、
背骨が冷えるような心地とともに
実感できます。
ああ、ここに描かれているのは、
紛うことなく、闇だ……と。
「ただァくろいィ、だけじゃなくてェ~」
「がるるるる!」(←訳:黒以上の黒!)
西洋の画家さんたちが
古代ギリシャの昔から絵画の基本としてきた
陰影。
陰影を用いて、
対象を立体的に描くこと。
それは、17世紀の初めに、
カラヴァッジョさんが写実主義を確立した瞬間、
多大な影響を当時の画家さんたちに、
また後代の画家さんにも及ぼしました。
暗黒主義(テネブリスム)と呼ばれる、
光と影の対立、
その圧倒的な心理効果、インパクト!
「えいがァみたいィ~でス!」
「ぐるる!」(←訳:演劇的!)
著者・宮下さんは、
多くのページを費やし、
カラヴァッジョさんの功績と、
闇の中に――ダークサイドに呑み込まれてしまった
彼の短い生涯を綴ります。
大勢の評論家さんクリエイターさんが
カラバッジョさんの評伝を著していますけれど、
宮下さんの文章はことのほか素晴らしく、
どうしようもなくやるせなく、
天才であり、
悪漢であったひとりの画家の輪郭を
闇の向こうに輝かせます。
自滅してゆく以外に
生きる術を持たなかった・持てなかった或る男の、
変えられぬ最期も。
「それでもォ、いまもォ!」
「がるるぐるる!」(←訳:世界を魅了中!)
西洋美術の光と闇、
そして第6章では、日本美術の光と闇も
綿密に、誠実に、取り上げられています。
アート好きさんに、
展覧会でカラヴァッジョさんに惚れ直した!という方々に、
おすすめのこの御本、
『あとがき』までも含めて
ぜひぜひ、一読を!