テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

まっすぐな世界へ。

2016-06-10 22:04:26 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでッス!
 くんかッ、くんくんッ! よいィかおりィ~♪」
「がるる!ぐぅるるるる!」(←訳:虎です!ジャスミンだ!)

 こんにちは、ネーさです。
 信号待ちをしていたら、漂ってきたのは
 ジャスミンの花の香り……
 どこで咲いているのかは分かりませんでしたが、
 パァっと心が軽くなるような香りでした。
 本日の読書タイムも、
 心がふんわり、或いは、ぐいぐい、きりきり、と
 動き、ゆらめくような一冊を御紹介いたしますよ。
 さあ、こちらを、どうぞ~♪

  



         ―― 小泉今日子 書評集 ――



 著者は小泉今日子(こいずみ・きょうこ)さん、2015年10月に発行されました。
 2005年1月から2014年12月の間、
 著者・小泉さんは読売新聞書評欄で読書委員を務めました。
 この御本は、小泉さんによる5期10年分の書評と、
 巻末の特別インタビューで構成されています。

「こいずみさんッ、どくしょかさんッなのでスゥ!」
「ぐるるるが~る!」(←訳:読書歴も長~い!)

 小泉さんが読書に目覚めたのは、
 ちょっと悲しい経緯がありました。

  読書をしている人間には、
  話しかけ難いものだろう――

 忙しかった十代の頃、
 テレビ局の楽屋で、移動の乗り物の中で、
 そう思いながら、
 誰も話しかけないで下さいと願いながら、
 いつも本を開いていたのだと、
 御本冒頭の『はじめに』で小泉さんは記しています。

 小泉さんにとって、
 本は、防壁。

 こころない干渉から自分を守ってくれる、
 バリアのようなもの、だったのでしょうか。

「むううゥ~…かなしィ~でスゥ~…」
「がるる~…」(←訳:切ない~…)

 本が防壁の役目を果たしたのか否かは分かりませんが、
 本を好きになった、と小泉さんは書いています。
 活字マニアの私たちにとっては
 ホッと胸を撫で下ろしたくなる一言ですね。

「ほんはァ、ともだちィ!」
「ぐるるるがる!」(←訳:ボクらの味方!)

 この御本に収録されている、
 小泉さんの“友”であり“味方”となった本たちは、
 小説、エッセイ、詩歌集、絵本、コミックなど
 ジャンルは多岐にわたっています。

 おそらく、熱心に書店に通う方々ならば、

 あ、これ知ってる!
 わたしも読んだわ!

 という作品がどこかに見つかることでしょう。

 三崎亜美さん著『となり町戦争』、
 ゲッツ板谷さん著『ワルボロ』、
 片桐はいりさん著『わたしのマトカ』、
 佐藤多佳子さん著『一瞬の風になれ』、
 万城目学さん著『鹿男あをによし』、
 天童荒太さん著『悼む人』、
 益田ミリさん著『ほしいものはなんですか?』
 ほしよりこさん著『逢沢りく』、
 猫好きさんに評判の『世界で一番美しい猫の図鑑』……

「あはァ! そうでしたでス!」
「がるるるぐるる!」(←訳:小泉さん猫好き!)

 難しい文章で論じるのではなく、
 まっすぐに、
 肩肘張らず、
 でもほんのちょっとだけ
 お腹の底に怒りを湛え、
 なおかつ優しく、
 書物と向き合う。

 そんな書評が、
 読み手の好奇心を動かさなかったはずはなく、
 本来は2年任期のところを
 請われて5期、
 読書委員を続けることになったのでした。

「ことばがァ、ちかたづよさッ!」
「ぐるるるるがるぅるる!」(←訳:それでいてナチュラル!)

 『その本を読みたくなるような書評を目指して』
 という一言が、
 私ネーさにとっては
 ずっしり重く感じられます。
 
 まだ知らぬ一冊を探しに、
 知りたかった世界を探しに、
 活字マニアの皆さま、
 ぜひ!
 
 
コメント
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