テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 東の《こわさ》と、西の《怖さ》 ~

2021-04-18 23:37:32 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 じゅゥわッちィ!」
「がるる!ぐぅるっ!」(←訳:虎です!ジュワッ!)

 こんにちは、ネーさです。
 エレキングだ!カプセル怪獣だ!
 《サンダーバード》さながらの出撃シーン!
 と、BSの『ウルトラセブン』に
 大声援を送った日曜夜のしめくくりは、
 はい、読書タイムですよ。
 本日は、こちらの新書を、どうぞ~♪

  


 
     ―― 異形のものたち ――



 著者は中野京子(なかの・きょうこ)さん、
 2021年4月に発行されました。
 『絵画のなかの《怪》を読む』と
 副題が付されています。

 前回記事では、
 『北斎 展』に出展されている
 北斎さんの《百物語》について
 ちょこっとお喋りしました。

「さらやしきィ!」
「ぐる!」(←訳:般若!)

 北斎さんが描いた『こはだ小平二』や『笑ひはんにや』が
 東洋の《怪》だとするならば、
 著者・中野さんがこの御本で取り上げているのは、
 西洋世界の《怪》であると申せましょうか。

 第1章『人獣』
 第2章『蛇』
 第3章『悪魔と天使』
 第4章『キメラ』
 第5章『ただならぬ気配』
 第6章『妖精・魔女』
 第7章『魑魅魍魎』

 という7つの章には、
 図版も豊富に掲載されていて……

「むむむゥ! ちがいィまスよゥ!」
「がるるる!」(←訳:違うよね!)

 北斎さんの作品は、
 浮世絵らしくデフォルメされていましたし、
 怖さだけでなく
 哀愁や寂寥、
 ユーモアさえ感じられました。

 対して、
 西洋の画家さんたちは、
 (当然ではありますが)
 油彩画や銅版画で《怪》を描き出しています。

 その結果、
 画面から流れ出てくるのは、

 ”生々しさ”。

 ゴヤさん描く《魔女》、
 ベックリンさん描く《人魚》、
 ボッティチェリさん描く《ケンタウロス》も、
 絵の具をぼってり重ねた
 3Dの迫力。

 本文115ページには、
 歌川国芳さん作『京都鵺大尾』の図版もありますが、
 ルーベンスさんやティントレットさんの作品の前では、
 どうしても平面的に見えてしまう……。

 そう、
 西洋の《怪》は、“濃い“んですね。

 そして、その“濃さ”が、
 時を経て日本に流れてくると。

「ひかりのォくにィからッ!」
「ぐるるるがる!」(←訳:ボクらの星へ!)

 ウルトラマン、
 そしてウルトラセブン。

 銀と赤の、
 輝くばかりの造型。

 20世紀の日本が、
 昭和の時代の日本が生んだ彼らもまた、
 ひとつの《異形》であり、
 《怪》でしょうか。

 王女アンドロメダを救う英雄ペルセウス、
 身を挺して人類を護る
 現代のプロメテウスを想わせる
 ヒトを越えた存在。

「こわくゥないィのならァ~」
「がるるぐる!」(←訳:大歓迎です!)

 気付けば、すぐそこに。
 すぐ隣りに。

 神話に、伝説に、
 日常生活の中に、
 素知らぬ顔で紛れ込もうとする
 《異形》たちの物語は、
 著者・中野さんの《怖い絵》シリーズファンの方々、
 歴史好き&怪談好きな活字マニアさんに
 おすすめですよ。
 ぜひ、手に取ってみてくださいね~♪
 
 
 
 
コメント
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