テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 北欧の花 ~

2015-06-10 21:33:54 | ミュゼ
「こんにちわッ、テディちゃでスッ!
 あじかいィのおはなァ、さきまくりィ!」
「がるる!ぐるるるがるるぐーる?」(←訳:虎です!アジサイ観光もピーク?)

 こんにちは、ネーさです。
 アジサイで有名な観光地といえば鎌倉♪
 なんですけど、鎌倉プチ旅を予定している御方は注意してくださいね。
 海に近く、アジサイが美しいお寺として知られる成就院さんは現在、
 参道の改修工事とアジサイの植え替えが行われています。
 2017年くらいまでは《アジサイはおやすみ》とのことですよ
 (工事中でもお参りはできます)。
 新たな花の名所が完成するのを待ちながら、
 本日は、展覧会情報を、どうぞ~♪

  



        ―― ヘレン・シャルフベック 魂のまなざし ――



 東京・上野の東京藝術大学大学美術館(3階)にて、
 会期は2015年6月2日~7月26日(月曜休館、ただし7/20は開館し7/21に休館)、
 《フィンランドの国民的画家》と呼ばれる
 Helene Schjerbeckヘレン・シャルフベックさんの代表作を集めた
 日本では初の回顧展となります。

「じょせいィがかさんでスねッ!」
「ぐるる!」(←訳:珍しい!)

  

 そうね、
 時代を考えると、珍しい、と言えるかもしれません。

 ヘレン・シャルフベックさんは1862年生まれ、1946年没。
 19世紀末から20世紀前半にかけて
 活躍した画家さんでした。

「しかもォ、ふぃんらんどォ!」
「がるる!」(←訳:北欧だ!)

  

 ヨーロッパでも北方の、
 明らかに南欧のものではない光、色調――

 けれど、シャルフベックさんはパリで学んだこともあるのです。
 セザンヌさんやマネさん、ホイッスラーさんから影響を受け、
 ジャポニズムの流行も体験し、
 サロンへの出品も果たし、
 フランスのブルターニュ地方、
 英国のコーンウォール地方にも滞在し、
 その上で母国に戻り、
 辿り着いたのが、この色、この線、筆使い、でした。

「なんだかァ、みすてりあすゥ??」
「ぐるがるぅ~…」(←訳:独特だなぁ~…)

 フィンランドでは、
 シャルフベックさんはとても愛され、
 作品は国宝のように扱われているのだとか。

「ちょうゥゆうめいじんッ、なのでスかッ」
「がぅるるるるるぐるるる!」(←訳:フィンランドの花なんだ!)

 フィンランド国立アテネウム美術館コレクションを中心に、
 日本初公開となる作品も多いこの展覧会は、
 8月には仙台の宮城県美術館、
 10月末からは広島の奥田元宋・小由女美術館、
 2016年1月には神奈川県立近代美術館葉山へも
 巡回します。

 アート好きさんは、お近くの美術館での展覧会へ、ぜひ♪





   さて、なにやら久しぶりのような気がするオマケ画像も、はいっ!
   
   『グリコ』さんの
   《冷えシャリコロン キャラメルマキアート》♪
   「ふァいッ!ひやすとォ、たしかにッ」
   「ぐぅるるる!」(←訳:シャリリン!)
   体調を崩しやすい梅雨期ですから、
   皆さま、どうか御自愛を。


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“情景”の記憶。

2015-06-09 21:50:11 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 やたッ! すいすにィ、しょうりィしましたでス!」
「がるる!ぐるる……」(←訳:虎です!でも芝が……)

 こんにちは、ネーさです。
 2015カナダ女子W杯開幕!
 日本はまず一勝を獲得しましたが、
 人工芝って、あんまり良くないような。
 フットボールは天然芝でしょお?と首をヒネリつつ、
 本日の読書タイムは、こちらの《シネマブック》を、どうぞ~♪

  



                ―― 銀の森へ ――



 著者は沢木耕太郎(さわき・こうたろう)さん、2015年3月に発行されました。
 先日ご紹介した沢木さんの著作『銀の街から』の、
 いわば姉妹編にあたる御本です。

「だいめいィ、にてまスゥ!」
「ぐっるるがるるる?」(←訳:どっちがお姉さん?)

 『銀の街から』には、
 朝日新聞に2007年から2014にかけて掲載された映画評……というか、
 映画エッセイが収録されていました。

 そして、こちらの『銀の森へ』では、
 同じく朝日新聞紙上に1999年から2007年にかけて掲載された
 映画評90編が収録されています。
 (あとがきによれば、90編のうち約1/3は
  沢木さん著『シネマと書店とスタジアム』に収録済み、
  しかし新たに加筆修正してこの御本に再収録したのだそうです)

 ということは、時系列の上では、
 『銀の森へ』がお姉さん、
 『銀の街から』が妹ちゃん、かなぁ。

「うむッ! こちらがァ、おねえさんッ!」
「がるるるぅ!」(←訳:よろしくぅ!)

 映画好きさんにとっては、
 お姉ちゃん、じゃなくて、えーと、
 こちらの『銀の森へ』の方が、
 うん、映画評っぽいぞ!と思われるかもしれません。

 『銀の街』は、映画評、というよりも、
 映画を主題にした重厚なエッセイ、という趣きがありました。
 
「どッちもォ、きゃッこいいィでスよゥ!」
「ぐるるがるるる!」(←訳:着目点あざやか!)

 そうですね、
 両方の作品で、著者・沢木さんは揺るがず、
 封切られては記憶の底にしまわれてゆく
 幻影のような《映画》に眼を据え、
 思いを馳せます。

 ここに何が刻まれているのか。

 鑑賞者のこころに残る、
 或いは、身に沁みるほどの
 何かが籠められているのか。

 そう、どんな作品が沢木さんの琴線に触れたのかを
 挙げるなら、たとえば――

 『蝶の舌』(1999年、スペイン)、
 『ビューティフル・マインド』(2001年、アメリカ)、
 『戦場のピアニスト』(2002年、アメリカ)、
 『8 Mile』(2002年、アメリカ)、
 『ミスティック・リバー』(2003年、アメリカ)、
 『そして、ひと粒のひかり』(2004年、アメリカ/コロンビア)
 『長い散歩』(2006年、日本)……

「ないちゃッたりィ?」
「がるるるぐるる?」(←訳:ため息したり?)

 まさに今の今、読んでいてハッとさせられるのは、
 『ビューティフル・マインド』の評でしょうか。

 映画に登場する主人公のモデルである数学者ジョン・ナッシュさんは、
 つい先頃、交通事故で亡くなられました。
 その悲しい最後と、
 沢木さんの文章を照らし合わせれば……
 ええ、自然と溜め息が洩れますね。

「なッしゅさんごふさいのォ、ごめいふくをォいのりまス……」
「どうか安らかに……」(←訳:ぐるるがるるる……)

 ときとして、
 両手でも持ち上げられないほど重くなり、
 はたまた足に羽が生えたように身を軽くしてくれる、
 映画というもの、
 映画を観る眼(とココロ)。

 映像好きな御方も、
 活字マニアさんも、
 もちろん沢木さんのファンの方々も、ぜひ一読を♪



 
 
 

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まるまる、ころころ♪

2015-06-08 21:48:33 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 くひゃァ~! かわいそうゥでス!」
「がるる!ぐるるるがるる?」(←訳:虎です!バカンスないの?)

 こんにちは、ネーさです。
 CL決勝が終わって選手さんたちはバカンス……どころか、
 休むひまもなく、
 コパ・アメリカや代表合宿に召集されちゃいました。
 ならば、代わりに私たちがお休みしましょう~♪

「ふァいッ??」
「ぐるっ?」(←訳:休みっ?)

 ええ、ちょっと目先を変えて、
 本日はこちらの、DVD作品を、どうぞ~♪♪

  



            ―― ベイマックス ――



 製作総指揮はJ・ラセターさん、製作はロイ・コンリさん、
 監督はドン・ホールさん、クリス・ウィリアムズさん、
 2015年4月に発行されました。
 
 前回記事では、映画《バットマン》シリーズの世界をジオラマ化した
 『凄い!ジオラマ』を御紹介しましたが、
 こちらのアニメーション作品からも……

「くんくんッ!」
「がるる!」(←訳:匂うぞ!)

 そうなのよね、
 アニメ『ベイマックス』の原作作品は
 《バットマン》等と同じ、
 アメコミ作品――
 マーベルコミックス社刊の『Big Hero 6』、
 《X-men》系列のコミックスで、
 描画を担当しているのはデビッド・ナカヤマさん。

 伝統的なアメコミと日本テイストが
 いろいろな面で程よく融合した
 コミックだったんですね。

「それがァ、えいがにィ、なッちゃうとォ!」
「ぐるるがる!」(←訳:ガチでSF!)

 リドリー・スコットさんの『ブレードランナー』の美術を、
 ぐっとクリーンにして、
 レプリカントを愛らしいケア・ロボットにしたら、
 この『ベイマックス』になる、
 って、言い過ぎかしら?

「べいまっくすくんッ、ほしィでス!」
「がるるぐるるるっるる!」(←訳:一家に一ベイマックス!)

 天才少年ヒロくんは、
 兄のタダシくんを喪い、
 生きるチカラをなくしかけています。
 そこへ現れたのが、皆さまも既に御存知の、
 まるまる、ころころとしたルックスのケア・ロボット、
 ベイマックスくん。

 お兄さんの“形見”でもあるころころロボットは
 (アイザック・アシモフさんもびっくりの機能と効果で?)、
 ヒロくんの日々を変えてゆくことになりますが――

「やるねッ、ころころォろぼちゃんッ!」
「ぐるるがるっるぐるー!」(←訳:これがロボットパワー!)

 《バットマン》や《スパイダーマン》、《スーパーマン》、
 現在盛んに宣伝中の《アヴェンジャーズ》と同様、
 “心に傷を負った少年”が主人公であることは、
 やはり、アメコミの王道路線ですかしら。

 お子ちゃま向け、などと決めつけず、
 オトナの皆さんに観賞していただきたい作品です。
 ぜひ♪
 
 


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凄さに拍手!

2015-06-07 21:35:56 | ブックス
 こんにちは、ネーさです。

 ……届きませんでした。

  

 激闘を制したのは、バルセロナ。
 我がユヴェントスは、一歩、届きませんでした。
 けれど、素晴らしい決勝戦でした!
 両チームの選手さんたち&スタッフさんたちに、心よりの感謝を!

「こんにちわッ、テディちゃでス!
 ネーさッ、げんきにィゆきましょうッ!」
「がるる!ぐるがるる!」(←訳:虎です!胸を張ろう!)

 そうね!
 すっご~くカッコよかったカンピオーネさんたちをリスペクトして、
 本日の読書タイムは、さあ、こちらの御本を、どうぞ~♪

  



             ―― 凄い!ジオラマ ――



 著者は情景師アラーキーこと荒木智(あらき・さとし)さん、2015年5月に発行されました。
 『超リアルなミニチュア情景の世界』と副題が付されています。

 皆さまは御記憶でしょうか、
 昨秋――2014年秋のこと、
 とある画像がネットで話題になっていたのを。

「うゥ~んッ? ええとォ?」
「ぐるるがる?」(←訳:どんな画像?)

 ネットで、次第に他メディアでもニュースになったのは、
 著者・荒木さんが制作したジオラマ作品、
 《ゴッサムシティ(GOTHAM CITY)》。

 あの、映画《バットマン》シリーズ、
 それもクリストファー・ノーランさん監督の3部作に登場する、
 暗黒都市ゴッサムシティを、
 荒木さんはジオラマに作ってしまったのです。

 幅486mm、奥行き395mm、高さ531mm、
 という大きさの中には
 荒れた路地、ススけた舗装の道路、
 歩道に散乱するゴミ、
 その中央にバットモービル……!

「むゥ! ばッともーびるゥ!」
「がるるるぐるるがるる!」(←訳:聞いてるだけで凄そう!)

 見てみると、もっと凄いんですよ♪
 映画のエッセンスをギュギュっと詰め込んだ、
 “異様”とさえ言える造形力。
 
 この御本では、
 《ゴッサムシティ》を中心に、
 荒木さんが制作したジオラマ作品と、
 ジオラマを作るコツや技法などが荒木さん御自身によって
 解説されています。

 先日は、プロのミニチュア作家さんの名作品競演集『ミニチュア・ワールド』を
 御紹介いたしました。
 ドールハウスのパーツとなるミニチュア、
 そしてジオラマとでは、まったくジャンルが異なるのですが……
 
 極小の美、という点では、共通するものがありますね!

「ちいさいッてェ~」
「ぐるる!」(←訳:良き哉!)

 “読む”よりも“手に取ってつくづく見入る”タイプのこの御本、
 ええ、もう、説明するよりも
 皆さま、本屋さんで、図書館で、探してみてくださいな♪
 また、荒木さんは
 ブログ『情景師アラーキーのジオラマでショー』を
 開設しておられますので、ぜひ検索を。

「みたらァ、きッとォ、さけんじゃうゥのでス!」
「がるー!っるる」(←訳:凄いー!ってね)

 特に《バットマン》大好きな御方は、必見です♪♪
 


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映画と本、手に手をとって。

2015-06-06 21:53:26 | ミュゼ
「こォんにちわゥ、テディちゃでス!
 ♪せまるゥ~♪しょッかァ~♪」
「がるる!ぐるるがる~♪」(←訳:虎です!地獄の軍団~♪)

 こんにちは、ネーさです。
 あのね、テディちゃ、虎くん、違ってますよ!
 迫っているのはCL決勝戦開始時刻!
 なんかもー、ハラハラドキドキ、
 緊張と期待で何も手につかない状態ですが、
 いってみましょう、週末の展覧会情報~♪

  



         ―― シネマブックの秘かな愉しみ ――



 東京都中央区京橋の東京国立近代美術館フィルムセンターの展示室(7F)にて、
 会期は2015年4月14日~8月2日(月曜は休室)、
 『The Discreet Charm of Film Books』と英語題名が付されています。

「しねまぶッくゥ??」
「ぐるるる?」(←訳:映画の本?)

 チラシ(フライヤー)の解説文によれば、

    《映画》と《映画の本》は離れられない運命的な仲

 なのだそうです。
 映画の本とはどんなものかというと、例えば、
 ↓下の画像は、“俳優本”――

  

 映画俳優さんたちが著したエッセイや楽屋話、
 撮影時の裏話などの御本です。

 一方こちら、↓下の画像に映っているのは――

「おおッ、からふるゥでスゥ!」
「がるるるぐるる!」(←訳:レトロな表紙画!)

  

 対訳シナリオの『モーション・ピクチュア・ライブラリー』(1946~1949)、
 表紙になっている映画の名場面を描いたイラストは
 野口久光さんによるものです。

 そして、映画評論、映画史、
 映画人さんの評伝や自伝、
 映画美術や技術の御本、と、
 多様な《映画の本》の数々も
 この展覧会では紹介されています。

「おうごんじだいィのォ、えいがッてェ~♪」
「ぐっるがるる!」(←訳:カッコよすぎ!)

 連続講座も予定されていますよ。
 映画評論家の山根貞男さん(8月1日予定)、
 ブックデザイナー鈴木一誌さん(6月13日予定)などなど♪
 また、学生さん向けのフィルムセンター図書室見学会も
 申し込み受付中~♪

「えいがまにあァさんにはァ~」
「がるるるるぐるるがる!」(←訳:ワクワクな展示と企画!)

 映画好きな活字マニアさんも、
 ぜひ、お出掛けを!
 



    ではやはり!本日の〆はこのオマケ画像で!!
   
    リーグ制覇のセレモニーで
    喜びを炸裂させているユヴェントスのおにいさんたち!
    「がんばッたでスねッ!」
    「ぐぅるがるるる!」(←訳:じゃあ決勝戦も!)
    それがね、ここまで来ると、
    むしろ結果は気になりません。
    ただ、ベストな試合、
    一世一代の名勝負を見せてほしい!!

    チャンピオンズリーグ決勝戦は、フジTV系の地上波でも放送されます。
    日本時間では7日の未明になりますので、
    早起き型の皆さまは、御覧くださいな~♪♪
    
  

  
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足跡を、辿って、辿って…?

2015-06-05 21:47:17 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 べるりんへェ、しゅッぱァ~つゥ!」
「がるる!ぐるがるぐる!」(←訳:虎です!街はCL一色!)

 こんにちは、ネーさです。
 ユヴェントス、そしてバルサの選手さん&スタッフさんたちも
 決勝の地ベルリンへと出発しました。
 今頃は、ホテルに到着して、記者会見の準備をしてるところ、かな?
 運命の女神さまは、どちらのチムーに微笑みかけるのか……と、
 どうにもそわそわしちゃうこんな日の読書タイムは、
 思いっきりフィクショナルな、
 こちらの御本を、さあ、どうぞ~♪

  



              ―― 黄泉眠る森 ――



 著者は長崎尚志(ながさき・たかし)さん、2015年3月に発行されました。
 『醍醐真司の博覧推理ファイル』と副題が付されています。

「……ほひょッ? そのォおなまえェはァ~…?」
「ぐるるる?」(←訳:どこかで?)

 記憶にひっかかる著者さんのお名前……
 本棚へ目をやれば、
 ああ、分かりましたよ。

 浦沢直樹さんの漫画『MASTERキートン Reマスター』では
 ストーリーを担当している共著者さん、
 それが著者・長崎さんなのでした。

 以前、長崎さんは出版社で浦沢さんの担当編集者をしてらした、と
 聞いたことがありますが、
 なぁるほどねえ。

「ふァいッ? なるほどォ、とはァ?」
「がるるるぐる?」(←訳:どういうこと?)

 この小説で描かれているのは、出版界。
 それも、マンガ雑誌の編集者さんたちが主人公です。
 つまり、著者・長崎さんが最もよく知る世界……

 にしては、ずいぶんと不穏なのですが。

 ほぉら、ヒュルル~と吹いてくるのは――

「なまぬるいィ~かぜッ?」
「ぐるがるる?」(←訳:この気配は?)

 漫画雑誌《コミックホープ》の新人編集者・安田肇(やすだ・はじめ)さんは
 困惑し切っていました。

 安田さんが担当する漫画家・椋洸介(むく・こうすけ)さんが、
 失踪してしまった?
 奇妙なメールを送って寄越したきり、
 連絡がまったく取れません。
 家を訪ねてみると、そこは空っぽ……
 引っ越したらしく、転居先も不明、って。

「それはッ、いわゆるゥ!」
「がるる!」(←訳:夜逃げ!)

 でもない様子なので、解せないのです。

 借金をしていたわけではないし、
 お仕事は順調だったみたいだし、
 先日会ったときも別に変わりはなくて。
 いったい、何がどうしちゃったのか?

 椋さんの消息を求めて、
 安田さんが接触したのは
 醍醐真司(だいご・しんじ)さんという、
 もと編集者さん。

 現在は会社を辞めてフリーになっている醍醐さんは、
 椋さんの担当編集者だったといいますから、
 彼に訊けば何か分かるかも、と期待して。

 けれど、この醍醐さんていう御方が……

「くせものォ、なのでス!」
「ぐぅっるがる?」(←訳:ちょっと変人?)

 クセのある、かつ切れ者とおぼしき醍醐さんに
 突つかれるようにして、
 安田さんは椋さんの捜索に本腰を入れます。
 なぜ、気鋭のホラー漫画家はなぜ姿を消してしまったのか――

「えええェッ? ほらーッ???」
「がるぐるるがるぐるる!」(←訳:怖い予感が怖い確信に!)

 変人編集者さんのお手並みやいかに?

 4話から成る連作ミステリは
 コミック好きな活字マニアさんにおすすめですよ。
 シリーズ第一作『闇の伴走者』も、ぜひ♪
 
 
 
 
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練達の《本》。

2015-06-04 21:45:06 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 うむむッ!じょしさッかーもォ、はじまりまスぞッ!」
「がるる!ぐるるるがる!」(←訳:虎です!カナダでW杯!)

 こんにちは、ネーさです。
 そうですね、CL決勝の後には女子サッカーW杯も開幕♪
 ならば、本日の読書タイムも
 女性が主役の小説作品を御紹介いたしましょう。
 さあ、こちらを、どうぞ~!

  



             ―― 太宰治の辞書 ――



 著者は北村薫(きたむら・かおる)さん、2015年3月に発行されました。
 ああ、高野文子さんによる表紙画が麗しい!
 長いこと、この御本を待っていた方々も多いんじゃないかしら?

「ねッきょうてきなァ、あいどくしゃさんッ!」
「ぐるるがる!」(←訳:待望の一冊!)

 主人公にして語り手である《私》が最初に登場したのは、
 著者・北村さんのデビュー作品『空飛ぶ馬』。
 そのとき、《私》は大学生さんでしたけれど、
 この御本でシリーズの愛読者さんたちを

「ひえええェッ!」
「がるるるぅ!」(←訳:ホントにぃ!)

 と、驚かせちゃったのは、
 時を経て、
 《私》が一人前の編集者さんになり、
 結婚をして、
 中学生の息子さんもいる、
 と、彼女を巡る状況の激変ぶり、でしょうか。

「べつじんッ、みたいィでス!」
「ぐるぅ~…」(←訳:でもぉ~…)

 ええ、そう、《でも》なんです。

 時を経ても、《私》の中身は変わっていません。
 お仕事の上でも
 プライヴェートでも、
 本が欠かせない毎日。

 いま、《私》が手にしているのは
 芥川龍之介さんの『舞踏会』、
 三島由紀夫さんの全集、座談会の記録、
 ピエール・ロチさんの『日本印象記』、
 そして、太宰治さんの『女生徒』――

 これらの御本の中に、
 《私》はどのような“謎”、というか、
 或る“秘密”を見出すのですが……

「じけんッ、でスかッ??」
「がるるるるぐる?」(←訳:文学史上の事件?)

 収録されているのは、順に、
 『花火』
 『女生徒』
 『太宰治の辞書』
 の3編。

 『花火』と『女生徒』の2作品で素地を整え、
 そして、
 『太宰治の辞書』で一気に疾走!

「やくどうかんッ、ありまスゥ!」
「ぐるる!」(←訳:大跳躍!)

 パッと見は地味、のようでいて、
 少しずつ謎を読み解いてゆく愉悦、
 知識を突き詰めてゆく過程を疑似体験する歓びは、
 実になんとも華々しいものです。
 
 著者・北村さんの本領ここにあり!ですね。

「ほかのォだれにもォ~」
「がるぐるるがるるる!」(←訳:このお話は書けない!)

 たぶん、ミステリに属する?作品ですから、
 これ以上のお喋りは控えましょう。
 けれど、じっくり読めば読むほど唸らされるこの御本、
 全活字マニアさんにおすすめです!
 ぜひとも、
 慌てず騒がず、
 時間をかけて読破してくださいますよう~♪




 
 
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困った兄と、マジメな弟?

2015-06-03 21:51:30 | ミュゼ
「こんにちわッ、テディちゃでスッ!
 じわじわァ~ッとォ!」
「がるる!ぐるるるがるる!」(←訳:虎です!カウントダウン!)

 こんにちは、ネーさです。
 何のカウントダウンかというと、梅雨入りの?
 いえいえ、6月6日(日本時間では7日)に行われる
 CL(チャンピオンズリーグ)決勝戦のカウントダウンですよ♪♪
 では本日はチカラの籠ったフットボール談義を……
 じゃなくて、展覧会情報を、どうぞ~!

  



         ―― 着想のマエストロ 乾山 見参! ――



 東京都港区赤坂のサントリー美術館にて、
 会期は2015年5月27日~7月20日(火曜休館)、
 『The Maestro of Conception,KENZAN is here!』と英語題名が付されています。

「……しゃれッ、でスかッ!」
「ぐるがる?」(←訳:乾山見参?)

 思わず美術館学芸員さんも韻踏みに走ってしまった
 乾山さんとは、
 尾形乾山(おがた・けんざん)さん(1663~1743)。

  

「これがァ、さくひんッ?」
「がるぐるる!」(←訳:形が可愛い!)

 江戸期の陶芸美術作家としてつとに名高い乾山さんには、
 つとに名高い兄が、
 いえ、名高くも悪名高い、とんでもないお兄ちゃんがおりました。

 そのお兄ちゃん、尾形光琳さんと申されます。

「あはァ! ききおぼえェ、ありまスゥ!」
「ぐるがるる!」(←訳:巨匠だもん!)

 巨匠であっても、
 とんでもないお兄ちゃんはとんでもない事をやらかしてくれます。

 かつては織田信長に、
 やんごとなき御所の方々にも愛顧された
 京都の呉服商『雁金屋(かりがねや)』を受け継いだものの、
 放蕩三昧の末、ツブしてしまいました。

 ああ、歴史ある名門の大店が……。

「おにィちゃんッてばァ~」
「がるっ!」(←訳:もうっ!)

 フツーはね、
 しっかり者の兄とやんちゃな弟、っていう構図なんですけど、
 尾形家では逆だったみたいね。
 遊興に耽る兄と、
 物静かで読書家、早くから陶芸と絵画に打ち込んでいた弟……。

「ふァ~…」(←溜め息)
「ぐるぅ~…」(←こちらも溜め息)

  

 この展覧会では、
 重要文化財に指定されている数々の乾山さんの作品、
 尾形兄弟が生きた17~18世紀の京都文化、
 江戸で継承された“乾山デザイン”が紹介されます。

「おでかけするゥ~おかたはァ~」
「がるるぐるるる!」(←訳:HPにアクセス!)

 サントリー美術館HPには
 入場料がお得になる割引クーポンのページがありますので、
 お出掛け前に、携帯電話・スマートフォン・PCで、
 ぜひ、クーポン取得をお忘れなく~♪



   じゃ、ここでオマケ画像も見参! 
   
   『ロッテ』さんの
   《ハーシーズ チョコレートチップクッキー》!
   「おおッ? こらぼッでスかッ??」
   「ぐぅるるる!」(←訳:チョコ味だ!)
   美味しいクッキーをかじりつつ、
   東京国立博物館のHPを見ては私ネーさ愕然……
   『鳥獣戯画展』、すっごいことになってます!
   博物館に入るのに30~40分、
   平成館内の甲巻展示室に入るのに180分待ち???
   うう~ん、スゴすぎます……。



   
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20点を巡れ!

2015-06-02 21:45:16 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 ♪るるゥ~♪はなのォみやこォ~♪」
「がるる!ぐるるがるる~♪」(←訳:虎です!パリを目指せ~♪)

 こんにちは、ネーさです。
 ジロ・ディ・イタリアが終わってしまって、なんだかガックリ……
 より華やかなツール・ド・フランスの開幕を切望しております。
 では、本日の読書タイムもスポーツネタ……じゃなくて、
 アートな一冊を、さあ、どうぞ~!

  



           ―― 謎解き ヒエロニムス・ボス ――



 著者は小池寿子(こいけ・ひさこ)さん、2015年4月に発行されました。
 《とんぼの本》シリーズらしさ全開、
 フルカラー&拡大画像満載のアートドキュメントです♪

「でたなッ、おばけめッ!」
「ぐるるるる!」(←訳:ラスボスだ!)

 ラスボスではありません、ボスさんです。
 以前は、ドイツ風にボッシュと表記されることもありましたが、
 現在はオランダ語の発音である『ボス』が
 一般的になっているようです。

 ヒエロニムス・ボスさん――

 本名は、ヒエロニムス・ファン・アーケンさんと謂い、
 生涯を暮らしたスヘルトーヘンボスという都市の名から
 『ボス』と呼ばれたのか、
 それとも自ら『ボス』と名乗ったのか……。

「むッ? わきゃらないィのでスかッ?」
「がるるるる!」(←訳:謎めいてる!)

 ええ、ボスさんの詳細については
 判明していないことがとても多いんですよ。

 生年は、たぶん1450年頃だと考えられています。
 病気によって没したのは、1516年のこと。

 これは、レオナルド・ダ・ヴィンチさんと
 時代的にほぼカブっているといえますね。
 レオナルドさんは1452年生まれ、1519年没。

 かたやスヘルトーヘンボス(現オランダ)の華、
 かたやイタリアルネッサンスの華。
 ただし、作風は大きく違いますが。

 ボスさんの画調というと、いちばん目につくのは、

「あくまッ! おばけッ!」
「ぐる!がるる!」(←訳:妖怪!異世界!)

 そうね、もっとも有名な作品『快楽の園』や『最後の審判』、
 『聖アントニウスの誘惑』は、
 西洋版百鬼夜行絵巻のようでもあります。
 不思議な建物や植物、
 奇妙な動物たち、
 小さく細密に描かれた人間たち……。

 けれど、この御本でも紹介されているのですが、
 ボスさん、正統派の祭壇画も制作しているんです。
 いや、正統に近い、と申し上げるべきでしょうか。

「ふァ~、ほんとゥでスゥ~…」
「がるぐるるるがるる!」(←訳:東方三博士の図だね!)

 本文106ページ掲載の、
 『東方三博士の礼拝』は北方ルネッサンスの息吹きを感じさせる、
 ちょっとだけ怪しくも、
 静謐で美しい《キリスト降誕》の画です。

 先日は《ルーブル美術館展》の
 フェルメールさん作『天文学者』を御紹介しましたけれども……
 ボスさんの作品は、どうかなあ、
 来日の可能性の低さでは
 フェルメールさんを上回っているんじゃないかしら。

 『快楽の園』も『最後の審判』も、
 なにしろレオナルドさんと同時代の作品ですから
 (『モナ・リザ』や『巌窟の聖母』と同じように)、
 もう、軽々と動かせるものではなくなってしまいました。

「よォしッ、それじゃッ!」
「ぐるがるる!」(←訳:観にゆこう!)

 著者・小池さんもそうお考えなのか、
 《全真作20点巡礼MAP》が
 本文12~13ページを占めています♪

 そう、ボスさんの作品、少ないんです!
 真作とされるのは、油彩画がわずか20点、
 素描はたったの8点!

「それだけェでスかァ?!?」
「がるっ!」(←訳:少なっ!)

 ボスさん作品の聖地とされているのは
 スペインはマドリッドのプラド美術館。
 『快楽の園』『東方三博士の礼拝』を含む5作品が
 プラドに収蔵されています。

 なぜプラドかというと、
 スペインの王さまフェリペ2世さんが
 ボスさんのファンだったから♪

「おうさまもォ、とりこにしちゃうゥ~」
「ぐるるるるがる!」(←訳:ラスボスの魅力!)

 21世紀は、フェルメールさん巡礼の旅よりも
 ボスさん巡礼の旅が流行するかもしれませんよ。
 アート好きな活字マニアさんは、
 この御本を読んで、
 さあ、密かに旅の支度をしてみませんか~♪



 
 
 
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~ 煉瓦の巨人の、確かな足跡 ~

2015-06-01 21:48:35 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 てがたくゥ~ゆうしょうッ、だッたのでス!」
「がるる!ぐるるがる!」(←訳:虎です!王者は強し!)

 こんにちは、ネーさです。
 2015年のジロ・ディ・イタリアはミラノに無事ゴール!
 “王者”と仇名されるアルベルト・コンタドールさんが
 総合優勝を達成しましたよ♪

「おめでとうゥございまス!」
「ぐるがる!」(←訳:まず一冠!)

 ツール・ド・フランスも優勝か?二冠は可能なのか?
 自転車競技界の話題をさらうキングに敬意を表し、
 本日の読書タイムは、
 日本建築界のキング、いえ、マエストロの評伝作品を、
 さあ、どうぞ~!

  



               ―― 辰野金吾 ――



 著者は河上眞理(かわかみ・まり)さん&清水重敦(しみず・しげあつ)さん、
 2015年3月に発行されました。
 『美術は建築に応用されざるべからず』と副題が付されています。

 辰野金吾(たつの・きんご)さん――

 去年あたりから、この御名前がよく話題になっていますね。
 辰野さん(1854~1919)といえば、

「ふァいッ! テディちゃ、しッてるでスよゥ!」
「がるるる!」(←訳:駅だよね!)
「とうきょうゥえきィ~!」

 ええ、そうです。
 建築当初の姿に復原され、大きなニュースとなった
 首都・東京の顔である東京駅舎。

 辰野金吾さんは、その東京駅――東京駅丸ノ内本屋の
 設計者として知られています。

「あかいィ、れんがづくりィ、なのでス!」
「ぐるぅるる!」(←訳:オシャレだ!)

 おしゃれな赤煉瓦の東京駅舎……
 ならば、設計者の辰野さん御自身も
 おしゃれでリッチなお家に生まれ育ち、
 優雅な人生を送った、のかというと、
 そうではなかったようです。

 生家は、肥前(現在の佐賀県)唐津藩の、
 下級役人の家柄でした。
 時代が江戸で止まっていたら、
 立身出世などとても望みようもない身分だったのかもしれませんが。

 維新です。
 明治です。
 辰野さんは、工部省工学寮(現在の東大工学部)に
 第一回生として入学(1873)、
 明治12年(1879)には造家学科を
 主席で卒業しました!

「やッたァ!」
「がるーるぐぅる!」(←訳:エリートじゃん!)

 そうなのよね、
 この御本で、あらためて知りました。
 明治という時代であったからこそ
 道は開けたのでしょうが、
 辰野さん、エリート街道まっしぐらです。

 官費の奨学金や留学費用を得て、
 卒業後は英国に留学。
 ロンドン大学で学び、
 さらにはグランドツアーに出発!

 フランスに渡ってパリと近郊、南仏、
 そしてイタリアではジェノア、ミラノ、ヴェローナやヴェニス、
 フィレンツェ、ローマも訪れます。

 これは、日本人建築家としては初のグランドツアーでした。

「えりーとォなのにィ~♪」
「ぐるるるるるるがっる!」(←訳:パイオニアでもあった!)

 やがて、辰野さんが見出す
 《美術建築》なる建築観――

 辰野さんが留学していた当時の英国で用いられていたその思潮を、
 帰国した辰野さんは、どう設計に活かし、
 実際に建物を造っていったのか。

 御本の冒頭にはカラー口絵、
 本文中にはモノクロの写真資料、
 巻末には略年譜が掲載されていて、
 辰野さんが手がけた建物たちのイメージが
 ゆっくり浮かび上がってきます。

 東京駅だけではない、
 明治の日本建築の群影が――

「にほんぎんこうゥ、とかッ♪」
「がるるるるるぐる!」(←訳:京都文化博物館とか!)

 東京駅マニアさんに、
 そしてもちろん建築マニアさんにおすすめの、
 或る建築家さんの足跡を辿る一冊です。
 明治文化好きな御方も、ぜひ♪



 
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