テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 《なぜ?》の光跡 ~

2020-08-21 22:45:32 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 かまきりィせんせいィ、かッこいいィ~でスゥ!」
「がるる!ぐるるがるるるる?」(←訳:虎です!次回はいつですか?)

 こんにちは、ネーさです。
 今日8月21日放送のNHK・Eテレ『香川照之の昆虫すごいぜ!』、
 後半部分しか見れなかったんですけれど、
 画面に釘付けになりました……!
 カマキリ先生、嬉しそうに暴走してらしたわね♪
 再放送は明日22日の午後4時30分から、とのことで、
 予約録画の設定を終えたら、
 さあ、読書タイムですよ。
 本日は、こちらの新書を、どうぞ~!

  



     ―― 映画には『動機』がある ――



 著者は町山智浩(まちやま・ともひろ)さん、
 2020年6月に発行されました。
 『動機』には『わけ』とルビが付されています。

 映画評論家&コラムニストである著者・町山さん、
 『週刊文春』誌上に
 在住するカリフォルニア州バークレーから
 ライブ感いっぱいの米国現地情報を連載中です。

 が、この御本は、映画一色!

 複雑な政治情勢やら何やらは脇に置いといて、
 ひたすら映画にのめり込みますよ。
 そのテーマは、というと……

「なぜッ?」
「ぐるるる?」(←訳:どうして?)

  《なぜ、この人はこの映画を作ったんだろう?》

 そんな《なぜ》の答えを探して
 町山さんが向き合うのは、
 
 ギレルモ・デル・トロさんの
 『シェイプス・オブ・ウォーター』

 マーティン・マクドナーさんの
 『スリー・ビルボード』

 ジム・ジャームッシュさんの『パターソン』

 など、12の映画作品。
 
 名作、傑作と呼ばれるそれらの作品の中には、
 かならず作り手の『動機』が隠されている……?

「どれもォ、にんきィたかいィのでスよゥ!」
「がっるぐるるる!」(←訳:ヒットしたしね!)

 12の作品に対する12の考察を
 ぜ~んぶバラしちゃうのはルール違反ですので、
 ここでは第8章の《なぜ?》を
 ちょっとだけ御紹介いたしましょう。

 第8章の題名は、

   《なぜ少年の顔に蠅がたかるのか?
    ――『君の名前で僕を呼んで』》

「ぶたいィはァいたりあァ、でしたでス!」
「ぐぅるるーるるがるるるる!」(←訳:ティモシーくん大ブレイク!)

 そうね、『君の名前で僕を呼んで』は、
 俳優ティモシー・シャラメさんを
 世界的に認知させ、
 一躍スターダムに押し上げた作品だと言えますし、
 監督のルカ・グァダニーノさん、
 原作者のアンドレ・アシマンさんも
 大いに脚光を浴びました。

 けれど、町山さんは、
 出演者さんや監督さんよりも
 脚本家さんに注目します。

 『君の名前で僕を呼んで』で
 2016年のアカデミー賞で脚色賞を受賞したのは、
 ジェームズ・アイヴォリーさん。

 『眺めのいい部屋』(1986年)、
 『日の名残り』(1998年)他の作品で知られる
 映画監督さんですね。

「ふァいッ! ふぁんでェ~ス!」
「がるるるるぐるがるるぐる!」(←訳:眺めのいい部屋大好きです!)

 自ら監督したかったけれど、
 映画化権を取得できなかったため、
 アイヴォリーさんは脚色担当として
 制作に参加します。

 それほどまでにして、
 アイヴォリーさんが『君の名前で僕を呼んで』という作品に
 関わりたかったのは、何故なのか。

 町山さんはそこに、
 同性愛者さんたちが経験してきた苦難の道のりを
 想い重ねたのでした。

「かいがいィとォ、にほんッ……!」
「ぐるるがるるる!」(←訳:事情が違うんだ!)

 海外の国々では、ごく近年まで
 同性愛は処罰の対象となる犯罪でした。
 いうなれば、刑事罰が制定された刑事事件扱いで、
 拘留や禁固刑は当然、
 長期の実刑判決が下されるほどに
 罪悪視されていたんです。
 現在でも、
 厳しい刑罰が処せられる国があります。

 町山さんは静かに記します。

  《彼もまた同性を愛する人だったから》。

 アイヴォリーさん、
 そして
 今はもうこの世を去った
 アイヴォリーさんのパートナーさん。

 ふたりにとって、
 小説『君の名前で僕を呼んで』は
 どのような意味を持ったろうか、と。

「やるせないィ~…!」
「がるるる!」(←訳:さみしい!)

 『君の名前で僕を呼んで』ファンの方々に、
 何を措いても読んでいただきたい
 美しい文章です。

 もちろん、
 この他の章でも
 町山さんの筆は《なぜ》を問い続けながら
 果敢に闇を切り裂いてゆきますよ。

「えいやッ!」
「ぐるっ!」(←訳:とうっ!)

 その快刀乱麻ぶりを、
 映画好きな活字マニアさんは
 ぜひ、一読してみてくださいね~♪
 
 
 
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~ 平安女子の、恋ごころ ~

2020-08-20 22:37:56 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 むむむッ! にかんッたッせいィ~!」
「がるる!ぐるるる~!」(←訳:虎です!めでたや~!)

 こんにちは、ネーさです。
 藤井棋聖が、新たに王位を獲得して二冠に!
 ものすごい何かを見せていただいたわ……!
 おめでとうございますと拍手を送りながら、
 将棋関連ワードがSNSトレンドを席捲した一日の締め括りは、
 さあ、読書タイムですよ。
 本日は、こちらの御本を、どうぞ~♪

  



   ―― 平安女子は、みんな必死で恋してた ――

 

 著者はイザベラ・ディオニシオさん、
 2020年7月に発行されました。
 『イタリア人がハマった日本の古典』と副題が付されています。

 著者・ディオニシオさんは、
 いえ、ここは敢えてイザベラさんと呼ばせていただきましょうか、
 えへん、イザベラさんは、
 イタリア生まれのイタリア人さんなのですが、
 ヴェネツィア大学で日本語を学んでしまったのが、
 ああ、運のツキ……。

「にほんごのォ、ほんやくかさんにィ~!」
「ぐっるぅっる!」(←訳:なっちゃった!)

 2005年に来日して以降、
 翻訳者として、
 また、翻訳プロジェクトマネージャーとして
 活躍中のイザベラさん。

 イザベラさんが、
 『東洋経済オンライン』に連載した
 《日本人が知らない古典の読み方》を加筆修正し、
 完成したこの御本は……

 いやー、爆笑しちゃいました!
 私ネーさ、腹筋がつりそうです~!

「だッだめでスよゥ、わらッちゃうゥのはァ!」
「がるるぐるる!」(←訳:真面目なんだ!)

 ええ、はいはい、分かってます。
 イザベラさん、決してふざけてる訳じゃないんです。

 けれど、目次を読んだだけでも、
 イザベラさんの視点と斬り口の見事さ新鮮さが
 読み手の私たちに
 ひしひしと伝わってくるんですよ。
 例えば――

  《平安京を騒がせたプロ愛人》とは、
   和泉式部『和泉式部日記』。
 
  《語り継ぎたい破天荒カップルたち》は、
  『伊勢物語』の女たち。

  《給湯室ガールズトークの元祖》というのは、
   紫式部さんの『紫式部日記』。

「ぷふふふふッ♫」
「ぐるるるっ♪」

 本文の文章中でも、
 イザベラさんの筆は名刀のごとく冴え渡ります。

 清少納言さんを
 《平安時代のココ・シャネル的存在》
 と喝破し、

 菅原孝標女(すがわらのたかすえのむすめ)さんの
 『更級日記(さらしなにっき)』は
 乙女なヲタクの全力妄想日記で、

 小野小町さんと深草少将の
 “百夜通い(ももよはよい)“伝説に、
 映画『ニュー・シネマ・パラダイス』中の
 エピソードを想う……。

「わおゥ! にほんとォ、いたりあァにィ~」
「がるるぐるるる?」(←訳:意外なつながり?)

 しかし、ああ、しかし。

 これぞイタリア女子イザベラさんの真骨頂!
 と絶賛したくなるのは、
 本文のラストを飾る、

 《イタリアの超奥手こじらせ男子》
  ダンテ『新生』vs平安女子

 の章なんです。

 イザベラさんいわく
 “全イタリア人のトラウマ”――
 それは、高校時代の授業の思い出。

 イタリアの高校では、
 3年かけて、
 ダンテさんの作品を、
 作品全文を、
 読む、いや、読まされる。

 高校生の手に余る、
 ムズイ、あまりにムズイ、
 とイザベラさんが回想し形容するその授業内容は、
 はたしてどれほど過酷なのでしょうか。

 私たち日本人が中高生時代に、
 古文の授業で『枕草子』や『源氏物語』に
 苦労させられるのなんて
 比較にならないくらい、なのかしら……?

「だんておじさんッ、おそるべしィ……!」
「ぐるっるがるるるるぐるるる!」(←訳:頑張ってイタリアの学生さん!)

 ダンテさんと平安女子さんたちの
 恋愛事情とそれぞれの悲喜こもごもを
 イザベラさんは照らし合わせ、
 思いを巡らせます。
 
 好奇心旺盛な若きダンテさんが
 清少納言さんや和泉式部さん、
 紫式部さんたち平安女子と出会って、
 知的な会話を交わすことができたら
 さぞ楽しかったことだろう――と。

「うむゥ~…たのしくもォありィ~…」
「がるるるるぐる?」(←訳:怖ろしくもあり?)

 書物を読む愉しさ、喜びを、
 あらためて教えてくれる
 イザベラさんの《古典文学恋愛論》は、
 古典好きさんに、
 イタリア文化好きな御方に、いえ、
 全活字マニアさんに熱くおすすめしたい一冊です。
 ぜひ、手に取ってみてくださいね~♫
 
 
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~ いきものたちの江戸 ~

2020-08-19 22:05:41 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 ふわわァ~…すなねこォ、きゃわゆいィ~♪」
「がるる!ぐるるる!」(←訳:虎です!小さいね!)

 こんにちは、ネーさです。
 スナネコの赤ちゃんが新たに那須どうぶつ王国で誕生し、
 そのあまりの可愛らしさに言葉もありません……
 那須どうぶつ王国HPでは
 赤ちゃんズの映像が公開されているので、
 皆さまもご覧になってくださいね♪
 さあ、では、ここからは読書タイムですよ。
 本日は、こちらのアートな図鑑本を、どうぞ~!

  


 
     ―― 江戸の美しい生物画集成 ――



 監修は狩野博幸(かの・ひろゆき)さん、
 2020年5月に発行されました。
 江戸期の絵画や浮世絵に描かれた生きものたちと、
 博物学者さんたちが描いた博物図譜を収集したこの御本は、
 “お江戸動物画エンサイクロペディア”とでも申しましょうか。

「えェ~とォ、すなねこちゃんはァ~…」
「ぐるるる?」(←訳:いますか?)

 残念なことにスナネコちゃんは載っていないわね……
 江戸時代って、
 学者さんも庶民さんも
 珍しい生き物が大好き!だったといいますが、
 本文は収録順に、

 《鳥類》
 《獣類》
 《蟲類》
 《両生類・爬虫類》
 《魚類》
 《甲殻類》
 《貝類》

 と、7つの《類》に分けて構成されています。

 そして、この7《類》の中でも
 圧倒的にページを占めているのが
 《鳥類》だという点に
 ちょっと驚かされます。

「うむうむッ、くじゃくゥにィ、しらさぎィ!」
「がるぐるるるがるる!」(←訳:鶴にスズメにオウム!)

 本文16~17ページに掲載されているのは、
 カモ……なんですけど、
 スズガモ、ヨシガモ、クロガモ、オナガガモなど、
 15種類の成鳥カモたちと、
 アヒルの幼鳥、
 カルガモの幼鳥も!

 関東では”あひる”を”あひ“、
 京では”ひる“といった、とも解説されています。
 そうね、
 カモっていちばん身近な水鳥ですから、
 観察しやすかったのでしょうけれど、
 のめり込み度が半端じゃありません。

 鵜、ニワトリ、ウズラ、タカにワシ、
 カラス、スズメ、ツバメ、ホトトギス、フクロウ……
 見たことないはずの鳳凰(ほうおう)だって
 ちゃあんと描き上げます。

「みたことないィ~のはァ~」
「ぐるるるがる!」(←訳:ドラゴンもね!)

 神獣だから、なのでしょうか、
 龍は《獣類》に分類されています。
 虎も、殆どの絵師さんは見たことがなかったワケで、
 想像力勝負!といったらいいのかしら、
 限りなくネコっぽいトラ模様の何かが……
 でも、そんなトラちゃんたちが
 けっこうカワイイのよね♫

「わふゥ! これはァ、たのしィでス!」
「がるるる~!」(←訳:虫だらけ~!)

 世界中を見渡しても、
 おそらく他に例がないであろうと思われるのは、
 《蟲類》の昆虫たち。

 蝶や蜂は、西欧でも図案化されている虫ですが、
 アゲハチョウ各種の幼虫たち、
 コオロギやスズムシ、カブトムシ、
 さらにはセミまで。

 セミなんて、南フランス以外では
 誰も気にしないんじゃないかレベルの虫さんですもの、
 よくまあ描いたわよね。

「こがねむしィもッ!」
「ぐるるる!」(←訳:ホタルも!)

 《魚類》や《甲殻類》、
 《両生類・爬虫類》、
 《貝類》も、
 もちろん見どころ満載です。

 また、
 お喋りの話題にうってつけの江戸の静物画に加え、
 御本冒頭の監修者・狩野さんによる
 『歌麿と博物画』は
 歴史好きな活字マニアさんに
 おすすめの一篇ですよ。

 思うように夏休みを過ごせなかった
 大人の方々も
 少年少女さんも、
 江戸の画家さんたちが描いた美しい生物画の世界へ
 ぜひ、飛び込んでみてくださいね~♫
 



 
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~ 旅せよ、フィルムの国へ ~

2020-08-18 21:52:09 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 きゃほゥ♪ さいかいィ、けッていィ~!」
「がるる!ぐるがるるぐっる!」(←訳:虎です!9月14日だって!)

 こんにちは、ネーさです。
 NHK朝ドラ『エール』放送再開日時は9月14日!
 我らが御手洗ミュージックティーチャーは
 どこかで登場するのかしら?
 出演してほしいわ!と期待を高めつつ、
 さあ、読書タイムです。
 本日は、“映像“つながりということで、
 こちらの御本を、どうぞ~♫

  



     ―― 世界・夢の映画旅行 ――



 編著者はパイインターナショナルの皆さん、
 2020年6月に発行されました。
 『A DREAMY JOURNEY INTO THE MOVIES AROUND THE WORLD』
 と英語題名が付されています。

 先日は、
 同じくパイインターナショナルさんより刊行された
 『世界 幻想とファンタジーの情景』を御紹介し、
 映画『ロード・オブ・ザ・リング』のロケ地他について
 お喋りいたしましたが――

「ほびッとのォ、おうちィ!」
「ぐるるっるるぅ!」(←訳:可愛かったねぇ!)

 この御本のテーマは、
 映画の舞台となった場所、です。

 映画史に残る名作、
 話題になったアート系作品、
 ハリウッドの大作、
 近年公開された異色作まで、
 全部の55本の映画作品と
 映画の撮影地となった場所や背景などが
 取り上げられています。

「あッ、これはァ~…!」
「がるるるぐるる!」(←訳:見たことあるよ!)

 そうね、本文は、

 《ロマンチックな旅》
 《ノスタルジックな旅》
 《エキゾチックな旅》
 《スリリングな旅》
 
 と4つのパートに分けられていて、
 さほどマニアックな映画ファンではない方々も、
 これは知ってる!
 観たことあるぞ!
 と頷きたくなる作品名が並んでいます。

 『アメリ』のパリ。

 『君の名前で僕を呼んで』のイタリアはシルミオーネ。

 『リリーのすべて』の、ブリュッセルのカフェ。
 
 『天空の城ラピュタ』の、ウェールズの風景。

 『ムーンライト』の、マイアミのサウスビーチ。

「わおゥ! このォ、たてものォ」
「ぐるがる!」(←訳:この内装!)

 『レオン』の撮影に使用されたのは、
 ニューヨークのホテル・チェルシー。 
 熱心な「レオン」ファンの方々にとっては”聖地“ですね。

 『オデッセイ』の火星の風景は、
 実は、ヨルダンの砂漠ワディ・ラム。

 『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』で、
 ロケ地として選ばれたのは
 “マージ―サイド“ことリヴァプールの、
 歴史ある街角……。

「うむうむッ、これをォ、みてるとォ~」
「がるるぐるるるるがっるぅる!」(←訳:映画を観返したくなっちゃう!)

 私ネーさが、
 時間を忘れてボ~ッと見入ってしまったのは、
 本文66~67ページの写真です。

 日本でも人気の、
 『ショーシャンクの空』。

 囚人さんたちが収監されていたショーシャンク刑務所は、 
 米国オハイオ州に実在する刑務所。

 そして、作品の余韻を決定付ける、
 あの青い海のシーン――
 カリブ海の米国自治領ヴァージン諸島の
 セント・クロイ島の光景。

「なんだかァ、なつかしィ~!」
「ぐるるるがっる!」(←訳:調達屋のレッド!)

 映画館で、
 自宅のモニターの前で、
 わくわくしながら、
 或いは不安に苛まされながら、
 “開幕”を待ったあの瞬間。
 エンドロールの白い文字を
 追いかけながらの溜め息――
 
 映画好きさんに、
 映画の原作作品ファンの方々にも
 おすすめの一冊です。

 それぞれの写真から、
 いまにも映画のテーマ曲が流れて来そうな
 記憶と感覚の視覚旅行へ、
 皆さま、ぜひ♪



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~ ひっそりと、珍商売? ~

2020-08-17 22:20:38 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 やッたでス! なんばァわんッ、なのでスゥ!」
「がるる!ぐるるるがるるる?」(←訳:虎です!30超えもありそう?)

 こんにちは、ネーさです。
 昨日8月16日放送の『半沢直樹』は25.5%の高視聴を率獲得!
 令和のドラマでは№1!とのことで、
 30%超も射程圏内になってきましたね♪
 出演者さんたちスタッフさんたちにエールを送りつつ、
 さあ、読書タイムですよ。
 本日は、人気ドラマに負けないドラマティックな物語を、
 張り切って、どうぞ~!

  



       ―― 誘拐屋のエチケット ――



 著者は横関大(よこぜき・だい)さん、
 2020年3月に発行されました。
 横関さんといえば、ドラマ化された《ルパンの娘》シリーズが
 大人気ですけれど、こちらの作品は……

「ゆッ、ゆうかいィ~…!」
「ぐるがるるぐるるる!」(←訳:それマズいですよう!)

 はいはい、落ち着いてくださいな。
 御本の題名にある“誘拐”ってね、
 身代金だ、受け渡し方法はこれだ、っていう、
 いわゆる“誘拐事件”とは違う”誘拐“なのよ。

 田村健一(たむら・けんいち)さんは、
 裏社会では有名な
 《誘拐屋》です。

 指定された人間を誘拐し、
 指定された場所まで送り届ける。

 それが、《誘拐屋》のお仕事です。

 暴力団絡みや、
 政治絡みでの依頼もあり、
 あるいは今回のように、
 スキャンダルを起こしてしまった芸能人を
 雲隠れさせる、
 といったケースもあるんですよ。

「それッてェ、まるでェ~…」
「がるるるぐるる?」(←訳:夜逃げの手助け?)

 夜逃げだろうと雲隠れだろうと、
 ベテラン《誘拐屋》田村さんなら
 成功疑いなし。

 サッとさらって、
 ササッと届けて、
 ハードボイルドに決めてみせる……予定でしたが。

「あやしいィひとかげッ!」
「ぐるるぅ?」(←訳:これ誰ぇ?)

 仕事の依頼筋である“組織”が、
 後進の育成のため、と称して、
 新人さんを押し付けてきたんです。

 コンビになれば仕事の幅も広がる、
 断ればもう仕事を回せない、と通告され、
 しぶしぶ相棒を受け入れることにした田村さん。

 でもねえ、この新人さんってのが、ねえ……。

「とんちんかんッ!」
「がるるる!」(←訳:へんてこ!)

 “誘拐”した相手と、
 ペラペラお喋りして、
 愚痴を聞いてやって、
 同情した挙句にぽろぽろ泣き出してしまう。

 無理だ、とさすがの田村さんも嘆息します。
 コイツとはやっていけん!と。

「そこはァ、がまんッ!」
「ぐるるがるるる!」(←訳:耐えるしかない!)

 エチケット:1『女の話は信用しない』
 エチケット:2『たまには音楽を聴く』
 エチケット:3『ボランティアなどやらない』
 エチケット:4『贔屓の力士を応援する』
 エチケット:5『飛んできたボールはよける』
 エチケット:6『コンプライアンスは基本守る』
 エチケット:7『なるべく披露宴には行かない』

 と、7つの連作短編で構成される物語の中で、
 私ネーさのイチ推しは、
 4の『贔屓(ひいき)の力士を応援する』。

 今度の獲物はこれ、と
 田村さんに提示された案件は……大物です。
 そう、
 身長190センチ、
 体重150キロ、
 半年前に大関に昇進したばかりの力士さん!

「ひゃッ、ひゃくきゅうゥじゅうゥせんちィ??」
「がるるぐるぅ??」(←訳:150キロぉ??)

 巨漢の相撲取りさん相手に、
 トンチンカンな新人さんと
 《誘拐屋》田村さんはどう立ち向かうんでしょう?

「しんぱいィでスゥ!」
「ぐるがるる!」(←訳:不安だよう!)

 思わず笑っちゃう珍商売《誘拐屋》の行く末は?

 ミステリ好きな活字マニアさんに、
 ああ面白かった!と満足したい作品をお探しの方々に、
 激おすすめのエンタ作品です。
 ぜひ、一読してみてくださいね~♪
 

 
 
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~ 楽しもう《きもの》の美! ~

2020-08-16 22:16:06 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 おおおッ! ゆうだちィ~!」
「がるる!ぐっるがるぅ!」(←訳:虎です!ホッとするぅ!)

 こんにちは、ネーさです。
 お盆の送り火を終えた直後、
 遠雷に続いて雨が!
 やった!これで涼しくなる~♪と喜んだのも束の間、
 雨雲はスタコラサッサと通り過ぎてしまいました……
 もう少し降っておくれよぅと願いつつ、
 さあ、読書タイムですよ。
 本日は、こちらの御本を、どうぞ~!

  


 
    ―― ようこそきものの世界へ ――



 著者は長崎巌(ながさき・いわお)さん、
 2020年3月に発行されました。
 『An Introduction to Kimono』と英語題名が付されています。

 現在、東京国立博物館の平成館で開催中の
 特別展『きもの KIMONO』の関連書籍、
 というべきでしょうか。

「していけんッ、ひつようゥなのでス!」
「ぐるるるがっるる!」(←訳:行く前に買ってね!)

 本来でしたら、
 2020年4月14日~6月7日であった会期は、
 非常事態宣言によって博物館が臨時休館となったため、
 2020年6月30日~8月23日に変更されました。
 
 特別展『きもの KIMONO』は、

 鎌倉時代から現代までを通覧する
 初めての大規模きもの展!

 とのことですが、
 この御本では、
 桃山時代から江戸時代、
 そして明治から昭和初期に制作されたきものが
 数多く取り上げられていますよ。
 
「ふほほゥ! はなやかァでス!」
「がるるるるぐる!」(←訳:デザインも超絶!)

 昔むかしのきものって、
 色合いが地味で単調で……というのは誤解で、
 平安時代の頃から
 染めに使われた色数は
 決して少なくはなかったんです。

 色合いが何となく地味~…に見える主な原因は、
 染料が褪色してしまったり、
 日に焼けて変色してしまったり、
 生地が劣化してしまったため、
 といったところですね。

 なので、
 この御本に収録されている写真には、
 えっ!と驚かれる方々もいるんじゃないかしら。

 桃山時代の小袖、
 江戸初期の小袖も
 と~っても色鮮やかです♪
 制作当初は、
 もっともっと鮮やかだったはず♫

「はなもようゥ、ありィ~」
「ぐるがるるぐるるがる~」(←訳:雲や流水の模様もあり~)
「なんでもォありィ?」

 そう、近代のきものは、
 化学染料とモダニズム風の図柄も相まってか、
 若々しく、冒険的な仕上がりです。

 本文の内容は、

 第1章『《きもの》という言葉、《小袖》という言葉』
 第2章『移り行く流行』
 第3章『様々な技法と素材』
 第4章『きものの装身具』

 の4章に分かれていて、
 明治以降のユニークなきものたちには
 思わず目を瞠らされますよ。

 ユニークといえば、
 解説の文章には英訳文が併載されていますので、
 細部を照らし合わせながら
 日本語と英文を読み比べてみるのも
 面白そうです。

 『鹿の子』は、ずばり『kanoko』、
 『観世水』は
 『kanzemizu(whirling water)』だったり?

「もッとォ、しりたいィ~!」
「がるるるぐる!」(←訳:きものの世界!)

 特別展『きもの KIMONO』に
 行きたいけれど行かれない、という方々に
 おすすめのこの御本は、
 書店さんのアート本コーナーで
 探してみてくださいね。

 東京国立博物館へ行きたい!行きます!という御方は、
 8月23日までの開催ですから、
 ぜひ、楽しんできてくださいな~♪
 
 
 
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~ 祈りは何処へ ~

2020-08-15 22:16:27 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 ほッきょくへェ、ゆきたいィ~ッ!」
「がるる!ぐるるるがる!」(←訳:虎です!南極でもいい!)

 こんにちは、ネーさです。
 75年前の今日8月15日は
 たいそう暑かったと伝えられていますが、
 2020年も暑い一日となりました……
 永く平和を希求しながらの
 本日の読書タイムは、
 さあ、こちらの御本を、どうぞ~!

  


 
   ―― 特捜部Q ― アサドの祈り ― ――



 著者はユッシ・エーズラ・オールスンさん、
 原著は2019年に、画像の日本語版は2020年7月に発行されました。
 原題は『OFFER 2117』、
 人気シリーズ《特捜部Q》の第8作目となる長編作品です。

「ぶあついィのでスゥ!」
「ぐっるるがるる!」(←訳:ずっしり重いよ!)

 思い返せば、シリーズ第一作目の
 『檻の中の女』では。

 新設部署の責任者として
 《特捜部Q》を率いることになった
 カール・マーク警部補が与えられたオフィスは、
 コペンハーゲン署の小綺麗な一室……ではなく、
 窓すら無い薄汚れた地下室、でした。

 しかし、第八作目となるこの物語――
 『アサドの祈り』の幕開けは、
 カール・マークさんと仲間たちが
 捜査の拠点としてきた地下のオフィスとは
 遠く離れた場所から始動します。

「たいようゥ、まぶしィ!」
「がるぐる!」(←訳:南欧だね!)

 スペインの北東部、
 バルセロナの市街地。

 将来に絶望し、
 すっかり思い詰めていた
 ジャーナリストのジュアン・アイグアデルさんは、
 ふとしたきっかけで
 難民問題の取材に活路を見出します。

 この取材をやり遂げたなら、
 俺もまだまだ捨てたもんじゃない!
 いっぱしの、いや、
 一流のジャーナリストになれる!

「ぎゃくてんのォ、ほーむらんッ!」
「ぐるるるるがる!」(←訳:起死回生の一撃!)

 ジュアンさんは
 難民収容所があるキプロスへ向かい、
 本格的な取材に取り掛かります。

 そして、聞き取った取材の成果を
 次々と新聞に発表してゆくのですが。

「あれれッ?」
「がるるるるぐるるがる?」(←訳:どうしたのアサドさん?)

 取材先とは遠く離れた、
 コペンハーゲンの地で。

 新聞を目にして
 とめどなく涙を流したのは、
 《特捜部Q》の一員、
 アサドさんでした。

 カール・マークさんの助手であり、
 特捜部の活躍に寄与してきたアサドさんは、
 新聞に掲載された写真に
 過去からの声を読み取ったのです。

「だァれもォ、しらないィ~…!」
「ぐるるるるるがる!」(←訳:アサドさんの過去!)

 過去から現在へ、
 さらには未来へも続いてゆく
 悲劇の傷を癒し、修復すべく、
 カール・マークさんと《特捜部Q》の面々は
 立ち上がります。

 難民を生み出す紛争や内戦、
 戦争がもたらす憎悪の連鎖を断ち切るには、
 さて、どうしたらいいのか?

「かんじんなのはァ、やぱりィ!」
「がるぐる!」(←訳:現場です!)

 アサドさんの祈りは、
 はたして届くのか――

 エンターテインメント作品ではありますけれど、
 戦争の悲惨さ、虚しさを
 緻密に描き切った著者・オールスンさん渾身の一作は、
 ミステリ好きな方々のみならず、
 全活字マニアさんにおすすめです。
 ぜひ、手に取ってみてくださいね。
 




   では、週末恒例のオマケ画像も、ここで!
   
   入手しました、冷感マスク!
   でも、ですね……
   「きおんがァ、たかすぎてェ~!」
   「ぐるがるるるる!」(←訳:よく分かんない!)
   秋よ早く来ておくれ、と切望する猛暑日……
   皆さま、御自愛しつつ、
   どうか穏やかな休日を。
 

 
 
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~ お喋りバス旅、ふたたび ~

2020-08-14 22:30:23 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 せかいじゅうゥでェ、もうしょッ??」
「がるる!ぐるるがるる~!」(←訳:虎です!どこもアチチ~!)

 こんにちは、ネーさです。
 今年は欧州も日本と同じような猛暑で、
 セーヌの岸辺には水着姿のパリっ子さんが集い、
 涼しいはずの英国南部では34℃超が続いたそうですよ。
 夏バテの恐怖と戦いながらの本日の読書タイムは、
 ゆる~くてホッコリ♪な
 ↓こちらのミステリ作品を、さあ、どうぞ~!

  


 
      ―― バスへ誘う男 ――



 著者は西村健(にしむら・けん)さん、
 2020年4月に発行されました。
 先日ご紹介しました『バスを待つ男』の続編となる
 シリーズ第二作目、ですね。

「あはァ! ばすのォおじさんッ!」
「ぐるがるるぐるるがる!」(←訳:あの都バスマニアさん!)

 トラベルミステリーといえば、
 夜行列車など長距離の鉄道の旅や
 豪華客船の豪華な一等船客フロアが主戦場!

 というのは、過去の話で。

「あらたなァ、ぶたいィ!」
「がるるぐる!」(←訳:それはバス!)

 前作『バスを待つ男』は、
 東京都が運行する都バスが物語の舞台となりました。

 引退前は刑事さん、
 リタイアした今は毎日の~んびり……
 いや、のんびり過ぎて張り合いがない!
 何か趣味を見つけなくちゃ!
 と焦る主人公さんが見つけたのは、
 シルバーパスを使っての
 気ままな一日バス旅。

 あちらの路線、こちらの路線と乗り継ぐうち、
 小さなミステリーに遭遇しては、
 解決の糸口を探し当ててゆく。

 その姿勢は、
 続編であるこの御本でも
 変わっていなくて。

「ただァ~しィ!」
「ぐるるるるがるるる!」(←訳:主人公さん交代です!)

 語り手の『私』は、
 路線バス旅のコーディネーター。

 お客さまの要望をもとに、
 バス路線旅のプランを考案して、
 ガイド役も務めます。

 え、代金ですか?
 いえいえ、これは
 引退後の道楽のようなものだから、
 代金はいただきません。

「うむゥ! ここにもォ、いたのでス!」
「がるぐるがるるる!」(←訳:路線バスマニアが!)

 或る日、お客さまを案内しての
 バス旅が終わったあとのこと。

 『私』は声を掛けられます。

 ―― もしかして貴方、バス旅の……?――

「るいはァともォ、なのでスよゥ!」
「ぐるるぅっるる!」(←訳:呼んじゃったね!)

 『私』と、
 前作の主人公であった元刑事さんが出会うのは
 必然だったのでしょう。

 元刑事さんの名は、炭野さん。

 路線バスという共通の話題で意気投合、
 盛り上がるふたりのお喋りは、
 これもまた必然なのでしょうか。

 バス旅にかかわる
 疑問や迷い、
 謎を解き明かしてゆくことに。

 電車でもタクシーでもなく、
 わざわざ路線バスの旅を選ぶお客さんたち。

 彼らが抱える
 ささやかな、
 けれど本人にとっては決して小さくはない、
 謎の終着点とは。

「とりびあァ、もりだくさんッ!」
「がるぐるるがる!」(←訳:旅の楽しみです!)

 それぞれの謎の細部については、
 ネタバレを避けるためにも
 これ以上はお話しできませんけれども。

 物語のそこかしこに仕掛けられている
 東京の地理&歴史に関する雑学が
 と~っても面白いんです。

 本文51ページの記述では、
 西新井大師さんの三重塔は
 都内に残る唯一の栄螺堂(さざえどう)である
 ……って、
 そうなのぉ!!

「わァおゥ!」
「ぐるる!」(←訳:螺旋だ!)

 会津若松の栄螺堂は有名ですけれど、
 東京都内にも栄螺堂が!
 現在は非公開になっているとはいえ、
 江戸後期に建立された珍しい建築が
 都内にあるなんて!
 知らなかったわ!
 いや、ということは、
 昔むかし、お江戸の町には
 いくつもの栄螺堂があったのかしら?
 
「わくわくゥ!」
「がるぐるる~!」(←訳:見てみたい~!)

 謎と、路線バスと、
 尽きぬお喋り。

 のんびりした休日の読書タイムに
 おすすめのシブ~いミステリ作品は、
 東京の町歩きが大好き♪な方々にも
 手に取っていただきたい一冊です。
 お盆休みの夕暮れに、
 皆さま、ぜひ♫
 

 
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~ 庭を 育てる ~

2020-08-13 22:20:04 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 えッ? にじィ~??」
「がるる!ぐるるるる~?」(←訳:虎です!どこなの虹~?)

 こんにちは、ネーさです。
 昨日に続いて今日も雷雨が発生し、
 都心部の渋谷・新宿・練馬あたりでは
 雨上がりに大きな虹がかかったそうですよ。
 いいな~見たかったなぁ虹~…と羨みつつ、
 さあ、読書タイムです。
 本日は、こちらの御本を、どうぞ~♪

  


 
   ―― 庭園家 ガートルード・ジーキル ――



 著者は川端有子(かわばた・ありこ)さん、
 2020年7月に発行されました。
 『ヴィクトリア朝の女性キャリア』と
 シリーズ題名が付されています。

 ガートルード・ジーキル(Gertrude Jekyll)さんのお名前は、
 うーん、どうかしら、
 日本ではあんまり、いえ、殆ど……

「しられてないィのでスゥ!」
「ぐるるがるる!」(←訳:一部を除いて!)

 そう、ジーキルさん、
 或るジャンルではとてもとても有名な、
 《巨匠》扱いされちゃってる物凄い御方です。
 では、そのジャンルは何かと申しますと。

 庭園、なんです。

「はなとォ、みどりィ~♫」
「がるるぐーる♪」(←訳:バラのアーチ♪)

 18世紀の英国で
 どのような庭園が主流であったか、というと、
 《風景式庭園》でした。

 貴族の邸宅に付随する広壮な領地を、
 あちこち改造して作り上げる《風景式庭園》は、
 ピクチャレスクで、
 パノラミックで――

「いかにもォ、おとのさまッ!」
「ぐるるがるぐるる!」(←訳:庭園が自慢なんだ!)

 19世紀も半ばを過ぎると、
 庭園造成に新たな傾向が生まれます。

   もうちょっと、彩りが欲しいわよね?
   もうちょっと、こじんまりしててもいいんじゃない?

 それは自然な流れだったのかもしれません。
 産業革命による工業化の嵐に、
 疲弊したり、
 うんざりしている人は少なくありませんでしたから。

「せきたんのォけむりィよりもォ~」
「がるるるるるぐるる!」(←訳:美しいものが欲しい!)

 色彩豊かな花々の園へと、
 やがては英国の庭園史に
 少なからぬ影響を与えることになる
 ガートルード・ジーキルさんの生涯を、
 著者・川端さんは5つの章で構成してゆきます。

 第1章『少女時代』
 第2章『画家として工芸家として』
 第3章『マンステッド・ハウスとマンステッド・ウッド』
 第4章『執筆よ造園と』
 第5章『イギリスの庭園の歴史』

 各章の間にはコラムが、
 巻末にはジーキルさんの略年譜、
 ジーキルさんが改良した草花のリストも
 掲載されています。

 この御本で残念なのは、
 カラー図版が一枚もない!ことなのですが、
 ジーキルさんのお庭の様子を知りたい御方は、
 画像検索してみてくださいな。
 私たちが思い浮かべる
 《理想のイングリッシュ・ガーデン》が
 そこにあるはずですよ。

「いちどはァ、ゆきたいィ~!」
「ぐーるるーるぐる!」(←訳:ガーデナーの聖地!)

 庭園巡り好きな方々に、
 造園の歴史に興味をお持ちの方々に
 英文学好きな活字マニアさんにも
 おすすめしたいレアな一冊です。
 本屋さんで、図書館で、
 ぜひ、探してみてくださいね~♪

 
 
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~ 愛しき彼らと ~

2020-08-12 21:56:06 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 りゅうせいぐんッ、きてまスよゥ~!」
「がるる!ぐるるるがるる!」(←訳:虎です!見えないけどね!)

 こんにちは、ネーさです。
 今日8月12日がピーク!のはずの
 ペルセウス座流星群は……
 雲のおかげでまったく見えませんが、
 その代わりとばかり、虫たちが元気よく歌っています。
 もう少ししたら秋がやって来るのね~と実感しながら、
 さあ、本日の読書タイムは、
 こちらのノンフィクション作品を、どうぞ~♪

  



     ―― 日本人と動物の歴史 ――



 著者は實吉達郎(さねよし・たつお)さん、
 2020年7月に発行されました。
 『日本人にとって動物とは何か』と日本語副題が付されています。

  《日本の歴史は常に動物とともにあった》

 と語るのは、
 動物研究家である著者・實吉さん。

 神話の時代から現代に至るまで、
 私たち日本人の日々の暮らしの中の、
 あっちにもこっちにも、
 動物たちが顔を出している――
 そう、例えば。

「いぬにィ、ねこッ!」
「ぐるがるぐるる!」(←訳:馬と鳥と蛇と龍!)
「たぬきィにィ、かッぱァ!」
「がるっ?ぐるる?」(←訳:ええっ?河童も?)

 空想上の動物も、
 實吉さんは動物としてカウントします。

 ヤマタノオロチ。
 因幡の白兎。
 鵺(ぬえ)に雷獣(らいじゅう)、
 巨大な妖怪ガマガエルだって
 見落としませんよ。

 なぜなら、
 彼らの存在にはちゃあんと”意味“がある、んですから。

「やまたのおろちィもォ、うさぎィさんもォ~」
「ぐるるがーるーるる!」(←訳:歴史のキーパーソン!)

 第一章『神話とともに始まった《日本》』は、
 古代から平安時代まで。

 第二章『人と動物のパートナー化が進んだ時代』は、
 鎌倉時代から室町時代まで。

 第三章『京都から江戸へ、文化の中心が大移動した時代』は、
 江戸時代を。

 第四章『日本、そして動物たちにとって大転換期の到来』では
 明治時代以降を。

 章ごとに描きながら、
 ときとして人間以上の活躍を見せる動物たち、
 文化史上に爪痕を残した動物たちを、
 實吉さんは丁寧に掘り起こしてゆきます。

 鹿たちが奈良の街を
 自由にそぞろ歩いているのは何故なのか。

 伝え継がれる養蚕の技術。

 現在は日本サッカー代表チームのエンブレムにもなっている、
 三本足の八咫烏(やたがらす)。

 調べてみても不明な点が多い《狐の嫁入り》。

「んむッ? これはァ~…?」
「がるるぐるる?」(←訳:戦場のワンコ?)

 本文120ページで紹介されているのは、
 ……日本初の軍用犬!

 武将・新田義貞(にった・よしさだ)さんの側近、
 畑時能(はた・ときよし)さんの愛犬である
 犬獅子(けんじし)くんは、
 敵陣偵察や、
 侵入もやってのけるスーパードッグだったといいます。

 つまり、
 日本で最初の軍用犬、
 もしくは忍犬?

「そんなァわんこがァ~…!」
「ぐるるがるるる?」(←訳:本当にいたんだ?)

 20世紀――昭和初期の東京では、
 或る動物がセンセーションを巻き起こしました。

 昭和11年7月、
 上野動物園の猛獣舎から、
 黒ヒョウくんが脱走したんです!

「ひええええェ~ッ!」
「がるぐるる!」(←訳:それヤバい!)

 有名な《黒ヒョウ脱走事件》の顛末を、
 私ネーさ、初めて詳しく知りました。
 これはびっくりしちゃうお話よねえ、
 上野周辺を東奔西走する黒ヒョウ捜索隊、
 なんと総勢700人!
 ラジオや新聞ではトップニュース!
 
「おおさわぎィでス!」
「がるるぐる!」(←訳:大混乱だし!)

 黒ヒョウくんは何処に潜んでいたのか、
 そしてその後の戦時下では、
 どのような運命が動物たちを待っていたのか……。

 神話の聖獣から、
 渋谷のハチ公くんまで、
 ヒトと動物の係わりを辿るこの御本、
 図版資料も多数掲載されていて、
 “見る”動物本としても楽しめますよ。
 動物好きな御方も、
 歴史好きな活字マニアさんも、
 ぜひ、一読してみてくださいね~♪


 
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