テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 夢と、うつつの ~

2020-08-11 22:41:43 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 ぱふゥ! おつかれさまァなのでスゥ!」
「がるる!ぐるっるるる!」(←訳:虎です!頑張ったよね!)

 こんにちは、ネーさです。
 今日8月11日、八王子の最高気温は39.3℃……
 全国各地で今年いちばんの猛暑を乗り切った皆さま、
 お疲れさまでした。
 ようやっと帰宅してホッと一息ついたなら、
 さあ、読書タイムです♪
 本日は、こちらの御本を、どうぞ~!

  


 
   ―― 世界 幻想とファンタジーの情景 ――



 編者はパイ インターナショナルの皆さん、
 2019年2月に発行されました。
 『The World of Greatest Fantastic Scenery』と英語題名が、
 『まるで空想の世界のようなファンタジックな名景』と
 日本語副題が付されています。

 先日ご紹介しました『世界の美しくてミステリアスな場所』では、
 冷気で首筋を撫でられたような、
 謎めいた場所の写真たちに
 う~むと唸らされました。

「こわいィ~んだけどォ!」
「ぐぅっるがっるるるるるる~!」(←訳:ちょっと行ってみたくなる~!)

 『世界の美しくてミステリアスな場所』に先立って、
 同じパイインターナショナルさんから刊行された
 こちらの『世界幻想とファンタジーの情景』は、
 ええ、ミステリアス路線よりも
 ファンタジック路線を走っている名景写真集です。

 ディズニー映画のモデルになりそうな、
 ドイツのリヒテンシュタイン城。

 紫の花ジャカランダに目を奪われる
 南アフリカの首都プレトリア。

 アニメ『紅の豚』の、
 主人公ポルコさんの隠れ家のモデルでは?という、
 ギリシアのナヴァイオ・ビーチ。

 映画『ロード・オブ・ザ・リング』のロケ地となった、
 ニュージーランドのワイカト地方にある
 アレキサンダー牧場。

「おおッ♪ まァるいィ~とびらァ!」
「がるっるるぐる!」(←訳:ホビット村だね!)

 日本のファンタジック名景も
 取り上げられていますよ。

 ジブリの背景画みたい!ということで話題になった
 千葉県の濃溝の滝。
 
 雲海に浮かぶ、
 岡山県の備中松山城。

「これはァ、わんだふるゥ!」
「ぐるるるるがるぐるる!」(←訳:黒澤監督の映画みたい!)

 わお♫メルヘンチックな美景ばかり♪
 ……と気を抜いてはいられません。

 英国の、とっても”絵になる”某庭園のお写真には、
 有毒植物の花が。
 
 ブルガリアの旧共産党本部は
 廃墟となっていて。

 『火星年代記』を彷彿とさせる異景の
 米国カリフォルニア州のモノ湖は、
 水位の低下で存在が危ぶまれている?

「むむむゥ~…こんかいィもォ、やぱりィ~…!」
「がるるっるるるぐる!」(←訳:怖くなってきたかも!)

 そうして、122~123ページにかけ、
 本文のトリを飾っているのは。

 イタリアはポルトフィーノ村近くの、
 海底のキリスト像。

 伝説のダイバー、ダリオ・ゴンザッティさんが
 1947年に命を落とした場所に設置されている
 哀悼の石像は、
 悲劇の象徴のようにも見えなくもない……。

「すいこまれるゥ~…!」
「ぐるるる!」(←訳:怖ろしや!)

 ファンタジックだけれども、
 ただ大甘なファンタジーではなく、
 畏怖の念を覚える世界各地の絶景、奇景。

 写真好きな御方はもちろん、
 暑さに疲れ果ててしまって、
 ややこしい長編小説や
 ノンフィクションを読む気力は
 無いんだよう~という活字マニアさんに
 おすすめしたい一冊です。

 日常の彼方の、
 幻にも似た世界を
 ぜひ覗いてみてくださいね♪
 
 
  
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~ 歴史の、ほんの一瞬 ~

2020-08-10 22:25:34 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 きあいィ~さくれつゥ!でしたでス!」
「がるる!ぐるがるる!」(←訳:虎です!圧がスゴい!)

 こんにちは、ネーさです。
 昨夜8月9日放送の『半沢直樹』、
 面白くも凄まじい顔圧大会でしたわね……!
 俳優さんたちスタッフさんたちに感謝の拍手を送りながらの
 本日の読書タイムは、
 時代劇を想わせる勧善懲悪なスタイルに敬意を表し、
 こちらの御本を、さあ、どうぞ~♪

  


 
    ―― 時代小説 ザ・ベスト2020 ――



 編者は日本文藝家協会の皆さん、2020年6月に発行されました。
 2019年に発表された歴史時代小説の中から選出された
 短編作品11篇が収録されています。

 著者さんと作品は収録順に(せーの!)、

 奥山景布子さん著『太郎庵より』
 林真理子さん著『仮装舞踏会』
 村木嵐さん著『あかるの保元』
 蓑輪諒さん著『宇都宮の尼将軍』
 佐々木功」さん著『沈黙 細川越中守忠興御事』
 矢野隆さん著『鴨』
 植松三十里さん著『雪山越え』
 大塚卓嗣さん著『脱兎』
 川越宗一さん著『ゴスペル・トレイン』
 青山文平さん著『剣士』
 浮穴みみさん著『貸し女房始末』

 また、巻末には
 末國善己さんによる解説を兼ねたエッセイ
 『節目の時代に読者に夢を与える歴史時代小説』
 も載っていますよ。
 ふぅ~…(←やり遂げた感)。

「じだいィ、とォいッてもォ~」
「ぐるるるがる!」(←訳:いろいろです!)

 ええ、そうですね、
 平安時代から近代まで、
 物語によって
 背景となる“時代“はさまざまです。

 活字マニアさんには馴染み深い戦国時代、
 江戸時代の物語も魅力的ですが……

 ここは《話題のドラマ》つながり、ということで、
 林真理子さんの『仮装舞踏会』を
 ちょっとだけ御紹介いたしましょう。

「どらまァつながりィ~?」
「がぅるぐるる!」(←訳:じゃあつまり!)

 2018年のNHK大河ドラマの原作は、
 林真理子さん作『西郷(せご)どん!』でした。
 
 『西郷どん!』は、
 幕末から明治を背景とする長編作品で、
 主人公は、いうまでもなく
 西郷隆盛さん。

 そして、
 『西郷どん!』を書き終えた後、
 編集者さんに、
 スピンオフを!と請われ、執筆したのが
 『仮装舞踏会』であったそうです。

 短編作品『仮装舞踏会』での主人公は、
 “もうひとりの西郷どん”ともいうべき、
 西郷従道(さいごう・じゅうどう)さん。

 明治10年(1877年)の西南戦争から
 10年の時が過ぎた頃。

 従道さん(1843~1902)は、
 いまや押しも押されもせぬ明治政府の重鎮です。
 でも。

 なんでこんなもんが、と
 一通の書状を手に顔をしかめます。

 それは、招待状でした。
 来たる9月、
 鹿鳴館で舞踏会を催す。
 ぜひ出席賜りたい――
 差出人は外務大臣・井上馨(いのうえ・かおる)氏です。

「ろくめいんかんッ!」
「ぐるるぅがるる!」(←訳:いいなぁ舞踏会!)

 いえいえ、それがねぇ。
 生粋の薩摩男たる従道さんにとっては、
 男女が抱き合ってくるくる舞うとか、
 女性に礼をするとか、
 もんのすご~く高価なドレスだとか、
 正気の沙汰とは思えなくて。

 それでも、
 諸外国に後れをとってはならぬのだ、
 すべてお国にためだと自分を説き伏せては、
 舞踏会なるものに出席してきましたが。

 この上、
 仮装せよとは!

「えェ~? たのしそうゥでスよゥ!」
「がるるるぐるがるる♪」(←訳:仮装して踊るなんて♪)

 当日、ぷりぷり怒りながら、
 従道さんは鹿鳴館へと馬車を走らせます。

 なんと腹立たしく、忌々しいバカ騒ぎかと
 決めつけていた従道さんは、
 しかし、舞踏会場で
 意外な人物と再会することに……。

「ながれるゥ~おんがくゥ!」
「ぐるるがるる!」(←訳:夕闇に点る灯!)

 明治という、
 日本史にも稀な時代の、ひとつの姿。

 『半沢直樹』に劣らぬ豪華な出演陣で
 ドラマ化してほしくなってしまう
 『仮装舞踏会』をはじめ、
 歴史好き&時代小説好きな活字マニアさんに
 おすすめしたい快作が並ぶ
 『時代小説ザ・ベスト』、
 書店さんや図書館で
 ぜひ、探してみてくださいね~♪
 
 
 
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~ つながる《縁》 ~

2020-08-09 23:31:04 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 わううゥ! せみのォぬけがらァ、はッけんッ!」
「がるる!ぐっるるがるるるぅ!」(←訳:虎です!いっぱい落ちてるぅ!)

 こんにちは、ネーさです。
 降り注ぐ蝉時雨の中、
 75年前の長崎を想っては平和を祈った一日の終わりは、
 さあ、肩の力を抜いて読書タイムですよ。
 本日は、こちらの御本を、どうぞ~!

  



    ―― 御朱印でめぐる 神奈川のお寺 ――



 著者は『地球の歩き方』編集室の皆さん、
 2020年6月に発行されました。
 《地球の歩き方 御朱印》シリーズの第22号です。

「ごしゅいんッ! きょねんはァ、おおさわぎィだッたのでス!」
「ぐるるるがるるる!」(←訳:大行列もできたよ!)

 そうですね、
 令和元年の記念すべき初日、ということで、
 2019年の5月1日、有名な神社さんの境内では
 御朱印を求める行列が長く延び、
 ニュースになったほどでした。

 かくも全国で大人気の御朱印ですけれど、
 そもそも……

 御朱印って、なぁに?

「うッ?」
「がるっ?」

 この御本の、本文10ページ、
 『寺院の御朱印とは』に、
 ↓以下のような解説文が掲載されています。
 
   《御朱印は寺院に参拝し、
    写経を納めた証に頂くものでした。
    そこで御朱印を
    納経印とも呼ぶのです》

 が、現在では、参拝の証に
 御朱印を頂けるようになって、

   《御朱印はそのお寺のご本尊から頂くもので、
    ご本尊との縁が結ばれたことになります》

 という次第なんですね。

「ふァ~…ごほんぞんさまッ!」
「ぐぅるがるるぐるるる!」(←訳:じゃあ大切にしないと!)

 御朱印の誕生時期について
 ネットなどで調べたところ、
 起源には諸説あるものの、
 江戸時代初期には存在していた、ようです。

 そして、
 私たちが知っている
 紙を折りたたんだような仕立ての
 『屏風折(折り本)』スタイルの御朱印帳が生まれたのは、
 大正時代あたり、と。

「いまではァ、いろんなおみせでもォ~」
「がっるるるぐるるる!」(←訳:売ってます御朱印帳!)

 実は、私ネーさが御朱印帳に興味を持ったのも、
 Loftさんの文具売り場で
 とっても可愛らしい御朱印帳に出会ったから、
 なんですけれども。

 で、これだ!という御朱印帳を
 入手したとして。

「どうしたらァいいのッ?」
「ぐるるるがるるるぐるがる?」(←訳:御朱印をいただくためには?)

 この御本では、
 前半部分に御朱印と御朱印帳に関する基礎知識、
 後半部分には
 御朱印をいただける神奈川県内の
 お寺さんがずらりと紹介されています。

 お寺さんでの参拝のお作法は
 神社さんでのお作法とは
 こんなところが違うんだなぁとか、
 『寺院の基本』、
 『さまざまな仏様』、
 『仏像の種類』、
 『キーワードで知るお寺と仏教』などなど、
 知っているようで知らないことだらけで……
 うう、恥じ入るばかりでございます。

「それではァ、いざッ!」
「がるるるる!」(←訳:お寺さんへ!)

 平和を、平穏を、
 祈り願いながら、
 拝し頂く印と墨痕――
 
 《地球の歩き方 御朱印》シリーズには、
 《神社シリーズ》と
 《お寺シリーズ》があり、
 全国、関東、関西、
 東京、鎌倉、東海、京都……と、
 エリアごとに分けて発刊されています。

 すでに御朱印帳をお持ちの方も、
 これから御朱印をいただいてみようかと
 考えている方々にも、
 きっと参考になる《御朱印》シリーズ、
 ぜひ、一読してみてくださいね~♪
 
  
 
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~ 怖さを、見る・語る ~

2020-08-08 22:00:54 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 ざんしょォおみまいィもうしあげまスゥ~!」
「がるる!ぐるるがるるぐるる!」(←訳:虎です!今日もアチチでした!)

 こんにちは、ネーさです。
 残暑きびしいこの季節の風物詩といえば……
 はい、そうです、
 《怪談》です!
 そこで本日の読書タイムは、
 怖~い題材の絵画ばかりを集めたこちらのアートブックを、
 さあ、どうぞ~♪

  



     ―― 奇想の国の麗人たち ――



 編者は中村圭子(なかむら・けいこ)さん、
 2020年6月に発行されました。
 『絵で見る日本のあやしい話』と副題が付されています。

「ひゅゥ~どろろんッ?」
「ぐるぅ!」(←訳:出たぁ!)

 あやしくも怖ろしい伝説や伝承、
 怪談や噂話、と聞いて
 私たちが思い浮かべる図像は、
 北斎さんの妖物でしょうか、
 応挙さんの幽霊がでしょうか、
 それとも
 百鬼夜行の素朴な怪物たちでしょうか。

 編者・中村さんは、

  《日本人が長年語り続けてきた、
   伝説や古典文学を、
   その物語にまつわる絵画とともに紹介します》

 と、御本冒頭の『はじめに』で述べています。

「うむゥ! こてんぶんがくゥ、こわいィでス!」
「がるぐるるるがっるる!」(←訳:鬼もオバケもいっぱい!)

 第一章『異類の怪』
 第二章『地獄と極楽』 
 第三章『霊魂の物語』
 第四章『両性具有の神』
 第五章『日本の古典はボーイズラブの宝庫』

 と、5つの章に分けられた本文には、
 中世の絵巻物から、
 現代の作品まで、
 《怪》なる物語についての解説と図版資料が
 多数掲載されています。

 最もクラシカルかつトラディショナルな
 “怖いおはなし”は、
 狐や蛇、
 蜘蛛や鬼たちが登場する
 第一章の『異類の怪』かしらね?

「ううッ、くもッ!」
「ぐるるがぅるるるるがるるる!」(←訳:オバケじゃなくてもヤダよう!)

 新奇さを感じさせる
 第四章と第五章で目立つているのは、
 高畠華宵さんの美しいモノクロイラストの数々です。
 
 源氏物語の『夕顔』の巻を題材にした
 歌川国貞(二代目国貞)さんの浮世絵や、
 平家の怨霊について解説されている
 第三章『霊魂の物語』も、
 活字マニアさんの興味を惹くことでしょうが――

「びッくりィしちゃッたのはァ~…!」
「がるぐるる!」(←訳:これだよね!)

 第一章『異類の怪』の、
 《きつねの嫁入り》。

 本文10ページから11ページにかけて、
 着物のお写真が載っていて、
 これにはもう私ネーさ、引っくり返りましたよ。

 1920年代に制作されたという、
 着物に描かれた《狐の嫁入り》……

 えええ?
 着物の絵柄に《狐の嫁入り》を選ぶの?
 なぜそんなオーダーを?
 注文主さんは誰なの??

「こッちにもォ、ありまァ~ス!」
「ぐるるるる!」(←訳:舌切り雀だ!)

 48ページから49ページにかけては、
 《舌切り雀》の図柄の着物が……

 これ、三つ紋が入っているから
 割と格が高いものよね……?
 フォーマルなお着物に《舌切り雀》、って、
 いったいどういうことなの?
 ああ、やっぱり注文主さんの意図が分からない……

「えェ~とォ、たぶんッ?」
「がるるるるぐるるる?」(←訳:お金持ちの気まぐれ?)

 怖い絵、多数。
 悲劇あり、
 嘆きの涙なり、
 けれど、どこかに
 ほんのちょっぴり可笑しみも潜んでいそうな
 《あやしい》物語と、絵画。

 アート好きさんに、
 歴史好きさん、
 とりわけ挿し絵好きな活字マニアさんに
 熱~くおすすめしたい一冊です。
 ぜひ探してみてくださいね~♪




    では、週末恒例のオマケ画像も、ここで!
   
    猛暑日には、これですこれ!
    『ウィルキンソン』!
   
    あ、レモンフレーバーも美味しいわよね♪
    「うゥ~んとォ、ひやしてェ~」
    「ぐるるる~っる!」(←訳:ごくごく~っと!)
    たっぷり水分補給して、
    どうか皆さま、穏やかな連休を♫
    

 
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~ 虫たちが 呼ぶ ~

2020-08-07 22:21:44 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 ……りッしゅうゥ??」
「がるる!ぐる~!」(←訳:虎です!立秋~!)

 こんにちは、ネーさです。
 今日8月7日は立秋……ってウソよ!ウソでしょ!
 と言いたくなるくらい猛暑な昼間を乗り越え、
 涼しいお家に帰り着いたなら、
 さあ、読書タイムです。
 本日は、こちらのミステリ作品を、どうぞ~♪

  


    
       ―― 蝉かえる ――


 
 著者は櫻田智也(さくらだ・ともや)さん、
 2020年7月に発行されました。
 第73回日本推理作家協会賞候補作『コマチグモ』を含む
 短編5作品が収録されています。

「せみィ??」
「ぐるるがるる?」(←訳:主役は蝉なの?)

 或る意味では、そうね、
 物語の主役は蝉……なのかもしれないのは、
 表題作品『蝉(せみ)かえる』。

 深い緑に覆われた山形盆地の、
 《御隠(おかくし)の森》と呼ばれる一画で
 糸瓜京助(へちま・きょうすけ)さんは
 物思いにふけっておりました。

 ここは、学生だった頃に
 ボランティアとして
 訪れた場所だけれど……

「むッ? だれかァきましたでス!」
「がるるるるぐる?」(←訳:観光客さんかな?)

 神社の境内を散策する
 糸瓜さんの前に現れたのは、
 男女のふたりづれでした。

 ひとりは、
 長野の大学で昆虫食の研究をしている
 鶴宮(つるみや)先生。

 もうひとりは、
 昆虫採集を専門とする
 魞沢泉(えりさわ・せん)さん。

 初対面ではありましたが、
 糸瓜さんは昔の出来事を
 打ち明けられずには
 いられなくなります。

   以前、
   ぼくはこの森で幽霊をみたようなんです――

「ゆッゆうれいィッ!」
「ぐるる!」(←訳:あわわ!)

 いまも鮮明に思い出せる
 16年前の奇妙な出来事。

 糸瓜さんが目撃したその“幽霊“とは、
 いったい何を意味するものなのか、
 解き明かしてゆくのは
 昆虫マニアの魞沢さんです。

「うむむゥ! おみごとォでスゥ!」
「がるる!」(←訳:慧眼だ!)

 そして、
 表題作『蝉かえる』以上に
 おすすめしたいのは、
 『コマチグモ』でしょうか。

 交差点での交通事故から始まる物語で、
 “謎解き”の先導を務めるのは
 またしても魞沢さん。

 或る蜘蛛の習性から、
 交通事故の背後に隠された
 複雑な事情を、
 魞沢さんはまっすぐに見抜きます。

「そそッ、そうだッたのかァ!」
「ぐるるるがるる!」(←訳:まさかの着地点!)

 続く3編、
 『彼方の甲虫』
 『ホタル計画』
 『サブサハラの蠅』でも
 魞沢さんの知力が大いに発揮される
 連作短編集は、
 ミステリ好きさんに、
 昆虫好きな方々にも
 きっと気に入っていただけることでしょう。

 連休の読書タイムに、
 何を読もうか迷ったなら、
 ぜひ、手に取ってみてくださいね~♪
 
 
 
 
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~ 多面体メモワール ~

2020-08-06 22:33:44 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 おッ? とんぼォ、はッけんッでスよゥ~!」
「がるる!ぐるるるるる!」(←訳:虎です!アカトンボだ!)

 こんにちは、ネーさです。
 広島からのTV中継と、
 のどかに飛び回るトンボくんを見比べては、
 平和のありがたさと尊さを痛感する朝でした……
 明日も穏やかな朝であれと祈りつつ、
 さあ、読書タイムですよ。
 本日は、こちらの御本を、どうぞ~♪

  



     ―― 夢でもいいから ――



 著者は亀和田武(かめわだ・たかし)さん、
 2020年6月に発行されました。
 『小説宝石』2013年3月号~2020年1月号掲載の
 『夢でまた逢えたら』から厳選し、
 再編集・加筆修正したエッセイ集は、
 《硬派!》な仕上がりです。

 この御本で大きなテーマとなっているのは、

   もう一度会いたいひと、
   もう二度と会えないひと。
   
   TVや雑誌が熱気に満ちていた
   1980年代~90年代の出来ごと。

「まずゥ、まくあけはァ~…」
「ぐるるるる!」(←訳:尾崎豊さん!)

 『尾崎豊には一度だけ会っている』――
 と回想する亀和田さんの筆致は、
 優しく、冷静です。

 不思議な若者。
 気弱で繊細な表情と、
 ボロボロのダメージジーンズ。

「うむむゥ~…めにィうかびまスゥ!」
「がるるるぐるるがる……!」(←訳:消えない思い出だね……!)

 教育評論家の尾木直樹さんとの、
 TV番組でのやり取りをはじめ、
 いわゆる“ワイドショー“のエピソードも、
 次々と明かされます。

 若き三谷幸喜さんが発揮した
 抜群の構成力。

 ワイドショーでも報じられた
 オウム事件。

 そしてラジオからは、
 大瀧詠一さんの愉快そうに喋る声が。

「あはァ! おおたきィさんッ!」
「ぐるるるるがるるる!」(←訳:ボクたちも大好きさ!)

 TV界の舞台裏話に限らず、
 亀和田さんの思い出は四方八方へ
 飛び跳ねます。

 仕事の場を、
 長く付き合っている局から、
 他局へ移した時に味わった
 何とも言えないほろ苦さ。

 1960年代の、SFファンの集まり。

 競馬の馬主さんや、
 世に知られざる落語家さんや、
 内田裕也さんや……。

「わだいィ、つきませんでス!」
「がっるぐるるるるるよ!」(←訳:もっと聞きたくなるよ!)
  
 編集者、作家、コラムニスト、キャスター、コメンテーター、
 競馬評論家、と多ジャンルで活躍する
 著者・亀和田さん。

 亀和田さんの眼がとらえた
 今も記憶から薄れない
 幾百もの《出会い》の糸の道筋の物語を、
 皆さま、ぜひ♪

 
 
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~ こころは いまも ~

2020-08-05 23:35:26 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 みえましたァでスかッ?」
「がるる!ぐるがるるるぅ!」(←訳:虎です!見て欲しいよぅ!)

 こんにちは、ネーさです。
 今日8月5日の19時45分頃に、
 宇宙ステーション《きぼう》が
 日本上空を通過!
 と聞いたので楽しみにしていたのに、
 うっかり見そびれてしましました……
 次回は見逃さないようにしなくちゃ!と心しつつ、
 さあ、ここからは読書タイムに舵を切りましょう。
 本日は、こちらの御本を、どうぞ~♪

  


 
      ―― 二重拘束のアリア ――



 著者は川瀬七緒(かわせ・ななお)さん、
 2020年7月に発行されました。
 《賞金稼ぎスリーサム!》とシリーズ題名が付されています。

「あのォさんにんぐみィがァ~!」
「ぐっるるるる!」(←訳:帰って来たよ!)

 先日ご紹介しました
 シリーズ第一作『賞金稼ぎスリーサム!』に
 すっかり惚れ込んだ私ネーさ、
 新作が刊行されたと知って
 本屋さんへ走りました。

 ふむふむ、前作の表紙は赤みがかったオレンジ色でしたが、
 こちらの新刊は、
 夜を想わせる深いブルー……。

「あのォさんにんぐみィはァ、おげんきィでスかッ?」
「がるっ?ぐるがるる~…!」(←訳:うんっ?噂をすれば~…!)

 《チーム・トラッカー》。

 解決未解決にかかわらず、
 刑事事件の再調査と
 現在進行形の事件捜査を
 主な業務とする、
 日本初の刑事事件専門調査会社は
 記念すべき旗揚げの日を迎えました。

 元は警察官の、薮下浩平(やぶした・こうへい)さん。

 一流企業の御曹司にして警察マニアの、
 桐生淳太郎(きりゅう・じゅんたろう)さん。

 そして、
 24歳の若さながら
 敏腕ハンターとして名を轟かせている
 上園一花(うえぞの・いちか)さん。

「じッせきィ、ありまァ~ス!」
「ぐるがっるるる!」(←訳:賞金ゲットだぜ!)

 第一作目の『賞金稼ぎスリーサム!』では、
 或る国際手配指名犯に関する重要な情報を提供し、
 薮下さん・桐生さん・上園さんの3人組は 
 みごと賞金を手にしました。

 これで解散しちゃうのは惜しい!

 そう考えた薮下さんたち3人は、
 チームを会社として発足させ、
 特別報奨金制度が適用された事件――
 つまり、
 “犯人を捕まえたら賞金が貰える!“事件に的を絞り、
 捜査を始めようとした、のですが。

「たたたッ、たいへんッ!」
「がるるる!」(←訳:依頼人だ!)

 なんと、開業早々、
 宣伝もしていないのに、
 依頼人さんがやって来ました。

 それも、とびきりの難事件を抱えて。

「これはァ~…むりィ!」
「ぐるがるる~?」(←訳:無理だよね~?)

 警察がとっくのとうに
 カタをつけてしまった事件を、
 どう捉え、
 分析し直すか。

 見た目は、
 私立探偵モノであるこの物語の、
 実体はおそらく、
 警察小説、でしょうか。

 チームのリーダーである薮下さん、
 警部という階級章を捨て
 離職した現在に到っても、
 ココロは警察官のまま。

 ですから、
 警察官の手法と思考で
 未知なる敵を追い詰めてゆきます。

 “犯人”は、どこにいる……?

「まずはァ、てがかりィ!」
「がるるるるぐる!」(←訳:見つけないとね!)

 ネタバレ回避のため、
 これ以上の詳述は出来ませんけれども、
 前作を上回る“先が読めない“展開は、
 まさにエンターテインメントの王道です。

 ミステリ好きな方々に、
 サスペンス好きな活字マニアさんにも
 おすすめしたいこの御本、
 書店さんの新刊コーナーで
 探してみてくださいね~♪
 
 

 
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~ お江戸の殿さま 一代記 ~

2020-08-04 22:28:44 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 すいぶんッ、えんぶんッ!」
「がるる!ぐるがる!」(←訳:虎です!睡眠もね!)

 こんにちは、ネーさです。
 暑~い戸外から帰宅して、
 しっかりクールダウンした後は、
 読書タイムと参りましょう♪
 本日はこちらの新書を、さあ、どうぞ~!

  


 
      ―― 遊王 徳川家斉 ――



 著者は岡崎守恭(おかざき・もりやす)さん、
 2020年5月に発行されました。
 徳川第十一代将軍となった
 家斉(いえなり)さんの生涯と治世を主題とする、
 ”珍しい“ノンフィクション作品です。

「めずらしィ~??」
「ぐるるがるる?」(←訳:なんでなんで?)

 徳川家斉さん(1773~1841)。

 家斉さんの、世に広く知られた特徴として、
 おそらく最初に挙げられるのは、

 確認されているだけで妻妾16人!
 男の子26人&女の子27人のパパであった!!

 ということでしょうか。

「ふゥわァ~…ごじゅうゥさんにんッ??」
「がるるる!」(←訳:超大家族!)

 奥さんがたくさんで、
 子どももたくさんで。

 こういう《レッテル》を一度貼られてしまうと、
 どうしてもね、
 イメージが固定されるんですけれども。

 他の見方もある、と
 著者・岡崎さんは示唆します。

 家斉さんの、将軍としての在任期間は、
 1787年から1837年――
 50年間。

 将軍を50年、って
 これは破格かつ最長です。

 徳川将軍家歴代の在位期間ランキングでは、
 1位が家斉さんの50年、
 2位は第八代将軍・吉宗さんの29年、
 3位は第四代将軍の家綱さんの28年、
 とされていますから……

「ぶッちぎりィ!」
「ぐるるるるるがるる!」(←訳:最長不倒記録なんだ!)

 本文では、

 はじめに『家斉のススメ』
 第一章『《斉》の全国制覇』
 第二章『十一代将軍への道』
 第三章『《生》への執念』
 第四章『《政》はお任せ』
 第五章『あれもこれも』 
 第六章『赤門の溶姫様』
 第七章『江戸の弔鐘』
 エピローグ『浜御殿』

 と、家斉将軍誕生以前から、
 在位中の50年が活写されています。

 さらには、
 家斉さんの治世が終わってのち、
 徐々に傾いて行く江戸幕府の様子も……。

「むむゥ! かすかにィ、きこゆるゥはァ~…」
「がるるぐる!」(←訳:黒船の波音!)

 今までは、
 多くの映画や小説で
 常に脇役に甘んじてきた家斉さん。

 その脇役さんを
 堂々たる主役に引っ張り上げた
 “珍しい“歴史ノンフィクション作品は
 時代小説好きな活字マニアさんに、
 日本史好きな方々にも
 おすすめの力作です。

 江戸文化を完成させたとも言える
 お殿さまの一代記を、
 皆さま、ぜひ♪
 
 
 
  
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~ 花咲く読書遍歴 ~

2020-08-03 22:27:15 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 かえるゥちゃァ~んッ! おげんきィでねッ!」
「がるる!ぐるるるるるぅ!」(←訳:虎です!寂しくなるよぉ!)

 こんにちは、ネーさです。
 今日8月3日、渋谷駅前のシンボルとなっていた
 東急初代5000系車両《青ガエル》くんが、
 ハチ公くんの故郷・大館市へと旅立ってゆきました……
 大事にしてもらうんだよ~と
 陸送される《青ガエル》くんの映像に手を振りながら、
 さあ、読書タイムですよ。
 本日は、こちらの御本を、どうぞ~♪

  



      ―― ぜんぶ本の話 ――
 


 著者は池澤夏樹(いけざわ・なつき)さん、
 池澤春菜(いけざわ・はるな)さん、2020年6月に発行されました。
 
 作家さんであり詩人さんであり翻訳家であり、
 世界文学全集や日本文学全集の編纂までもこなす
 “文学強者”池澤夏樹さん。

 そして、
 声優さんであり歌手さんであり
 エッセイストでもある池澤春菜さんは、
 池澤夏樹さんの愛娘さんであることを――

「しらなかッたでス!」
「ぐるるっるるる~!」(←訳:そうだったんだ~!)

 さらに加えて。

 池澤夏樹さんのお父上は、作家の福永武彦さん。
 お母上は、詩人の原條あき子さん。

「わおゥ! ぶんがくゥふぁみりィ~でスかッ♪」
「がるぐっるる!」(←訳:日本きっての!)

 この御本では、
 本棚の神さまに愛されているに違いない
 池澤夏樹さんと春菜さん父娘が、
 とことん本について語り合います。

  何か面白い本読んだ?
  これ良かったよ。

「おやこでェ、じょうほうゥこうかんッ!」
「ぐるがる!」(←訳:大切です!)

 おふたりの間で話題に上るのは、
 難解な純文学ではなくて、
 大人にも子どもにも親しみやすく、
 馴染み深いロングセラー作品ばかりです。

 SFだったら、
 レイ・ブラッドベリさんの『火星年代記』や、
 H・G・ウェルズさんの『宇宙戦争』。

 海外ミステリだったら、
 クリスティーさんの『アクロイド殺し』『おしどり探偵』、
 日本のミステリでは
 中井英夫さんの『虚無への供物』、
 小栗虫太郎さんの『黒死館殺人事件』、
 宮部みゆきさんの『火車』。

 という具合で、
 私たちも、うんうんと頷いたり、
 共感できるのが嬉しいところですね。

「とくにィ、これッ!」
「がるぐる~!」(←訳:児童文学~!)

 “最初に読んだ本はおぼえている?”

 池澤夏樹さんのそんな問いかけから始まる
 おふたりの回想談義は、
 かつて子どもだった活字マニア諸氏の心を
 大いに刺激するのではないでしょうか。

 『ガリヴァー旅行記』
 『ガンバとカワウソの冒険』
 『床下の子どもたち』
 『エーミールと探偵たち』……

「いまもォ、よみつがれてェいまス!」
「ぐるるがるるるぐるー!」(←訳:児童書売り場のスター!)

 昔むかしに読んだあの一冊。
 夏休みや冬休みに、
 ゆっくり時間をかけて
 読みふけり、夢中になったあの作品。

 御本の後半部分には
 池澤夏樹さんによるエッセイ『福永武彦について』、
 春菜さんによる『ぜんぶ父の話』
 も収録されていますし、
 『まえがき』『あとがき』、
 巻末部分には
 この御本に登場する書籍リストも記載されていて
 どれも必読の楽しさ!

 新刊じゃない本が読みたいなぁ、
 なつかしい物語を読み直してみたいぞ、
 と思ったら、
 活字好きな皆さま、
 ぜひ、この御本を手に取ってみてくださいね~♪
  

 
 
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~ 始まる&つづく 遊びの時間 ~

2020-08-02 21:57:45 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 はちがつゥはァ、はなびィ~たいかいィ?」
「がるる!ぐるるがるるる!」(←訳:虎です!派手に上げよう!)

 こんにちは、ネーさです。
 『あつまれ どうぶつの森』では
 8月から毎週日曜日の夜に花火大会が開催されていますね。
 私ネーさ、家族がやっている『あつ森』を眺めては、
 小さなポケットにジンベイザメが入っちゃうの?
 シャコ貝も入るの?
 質量保存の法則はどうなってんだ~と笑い転げております。
 本日の読書タイムでも、
 さあ、ぷふふ♪と笑っちゃう作品を、どうぞ~!

  


 
    ―― 遊びの時間は終わらない ――


 
 著者は、鈴木光司(すずき・こうじ)さん、天祢涼(あまね・りょう)さん、
 嶋中潤(しまなか・じゅん)さん、都井邦彦(とい・くにひこ)さん、
 2019年12月に発行されました。

 都井邦彦さん著『遊びの時間は終わらない』――
 1984年、第2回小説新潮新人賞を受賞したこの作品は、
 特異な経歴を有しています。

 受賞後、
 1985年にTVドラマ化され、
 1991年に本木雅弘さん主演で映画化、
 2007年には韓国映画としてリメイク、
 そして今年2020年には
 中国で映画化&舞台化の予定が!

「わァ~おォ!」
「ぐるるるる!」(←訳:世界進出だ!)

 その快挙を記念して企画されたこの御本は、
 《遊びの時間》
 をテーマとするアンソロジーです。

「まずはァ、ちょッとだけェ~」
「がるーるーぐるがるる!」(←訳:ストーリー紹介します!)

 好天の5月、
 JR吉祥寺駅から徒歩数分の、
 賑やかな通りに面した金融機関でのこと。

 うららかなお天気に
 似合わぬ緊張が走りました。

 レインコートの男が
 窓口の係員さんに見せた紙切れには、

 『黙って、この鞄に金を詰めろ』……!

「ひいッ! ごうとうゥ??」
「ぐるる~!」(←訳:ヤバい~!)

 いや、しかし?

 どこか様子がヘン、ですね。
 緊張はある、けれども、
 肌がヒリヒリするような緊迫感はありません。

 というのも、
 実はこれ、
 防犯訓練の一環なワケで。

「なァんだァ~」
「がっるるるる!」(←訳:ホッとしたよ!)

 犯人は警察官に身柄を取り押さえられ、
 訓練はちゃっちゃっと終了、
 その後は適当に反省会をして、
 打ち上げの飲み会でカンパ~イ♪

 防犯訓練に参加した皆が
 そんな展開を予想、
 いえ、確信していたのに対し、
 ひとりだけ。

 予想の斜め上をゆく者がいたおかげで、
 計画のすべてが引っくり返ったのでした。

「ななめうえッ?」
「……ぐるる!」(←訳:……まさか!)

 犯人役の警官さんが、
 取り押さえる役の警官さんを
 制圧してしまい、
 建物内部に立て籠もり?

 訓練を監察していた警察の幹部さんたちは啞然、
 取材に来ていた報道記者さんたちが
 ニヤリとする中、
 訓練でなくなった訓練は、
 コントロール不能な方向へ!

「はちゃめちゃッ、でスよゥ!」
「がるぐるるる~」(←訳:暴走してるね~)

 国内外のクリエイターさんたちを魅了する
 都井さんの『遊びの時間は終わらない』と併せ、

  鈴木光司さん作『生きる時間は終わらない』

  天祢涼さん作『遊びの時間は終っても』

  嶋中潤さん作『遊びの時間が凍りつく』

 の短編3作品も楽しめる
 おトクな一冊は、
 ミステリ好きさんにも
 アンソロジー好きな活字マニアさんにも
 おすすめです。
 本屋さんで、図書館で、
 ぜひ、探してみてくださいね♫
 

 
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