テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 八面六臂のネコたち ~

2020-09-20 22:27:43 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 たたたたッたいへんでスよゥ~!!」
「がるる!ぐっるがぅーる!」(←訳:虎です!ビッグニュース!)
 
 こんにちは、ネーさです。
 《2020ツール・ド・フランス》第20ステージ、
 今大会唯一のタイムトライアルでは、
 21歳の新星タデイ・ポガチャルさん(国籍はスロベニア)が
 歴史的な大逆転で首位に躍り出ました!
 しかも、マイヨポワ(山岳賞)と
 マイヨブラン(ヤングライダー賞)も獲得!……って、
 超人か!!と度肝を抜かれましたが、
 さあ、ここからは読書タイムですよ。
 本日は、こちらの御本を、どうぞ~♪

  


 
     ―― 世にもふしぎな化け猫騒動 ――



 訳・解説は今井秀和(いまい・ひでかず)さん、
 2020年7月に発行されました。
 
 先日ご紹介しました
 大島健夫さん著『外来生物のきもち』では、
 在来生態系の脅威であり、
 侵略的外来種ワースト100入り!
 という驚きの事実が明らかにされた生きもの――
 それは。

「にゃんこッ!」
「ぐるるる!」(←訳:イエネコ!)

 まさか、ネコたちが。
 外来種で、環境の脅威だとは。

 でも、まあ、よ~く考えてみると。

 確かに、ネコって外国からやって来た、のよね。

「むかァ~しィむかしィはァ~…」
「がるるっる!」(←訳:いなかった!)

 御本冒頭の『はじめに』では、
 日本の《ねこ史》について触れられています。

 『古事記』や『日本書紀』、
 『万葉集』などにも
 猫の記述は一切なし。
 
 猫についての記述が登場するのは、
 平安時代になってからで、
 『日本霊異記』が初である、と。

「ようやくゥ!」
「ぐるがる!」(←訳:出番だよ!)

 初登場となる『日本霊異記』で、
 しかし、ネコたちは
 離れ技をやってのけます。

 いきなり、転生譚!

「あはァ! はやッてまスねッ!」
「がるるるるぐるがっる!」(←訳:転生したら〇〇だった!)

 近年流行の、
 転生したらスライムだったり、
 魔王や悪女や魔法使いだったりする物語を、
 いち早く体現していたのは、
 ネコ、だったのでしょうか。

 この御本では、

 Ⅰ『しゃべる猫』
 Ⅱ『古代・中世の猫』
 Ⅲ『江戸期の猫』

 と、3つのパートに分けて
 ネコたちが登場する伝説、説話集、随筆などが
 現代語訳文とともに
 収録されています。

「いッちばんッじゅうじつゥ、してるのはァ~…」
「ぐっるるがる!」(←訳:やっぱり江戸!)

 ええ、質量ともに、
 《ネコ異聞》が花盛りを迎えるのは、
 やはり江戸時代ですね。

 伝説になってしまうほどのネコといえど、
 中世の頃には、
 シッポはシッポのまま。

 ネコのシッポが二又に割れて、
 《猫又》なる妖怪に変化するのは、
 もっと時代が下ってからのことで。

 江戸期になると、
 《化け猫》も《猫又》も《怪猫》も、
 一気にメジャーに!

「おしばいィにィ!」
「がるるる!」(←訳:百物語に!)

 名刀《猫丸》命名のエピソード。

 ネコの置物――招きネコは
 いかにして誕生したのか。

 可愛い子ネコが焼きおにぎりをパクリ!としたら、
 ああら不思議、
 そこに大猫が? 

 そして、あの有名な、
 鍋島家の化け猫退治。

「ふゥ! だいにんきィ!」
「ぐるる!」(←訳:大活躍!)

 良くも悪くも引っ張りダコ、
 八面六臂の活躍をみせてくれる
 文学の中のネコたち。。

 日本のネコ史が俯瞰できる
 御本巻末の『おわりに』も必読の一冊は、
 ネコ好きさん、
 怪談好きな活字マニアさんにもおすすめですよ。
 ぜひ、手に取ってみてくださいね~♪
 
 
 
  
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~ 付録が魅力で? ~ 

2020-09-19 21:51:22 | 文具&グッズ
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 くんくんッ! あきのォ~かおりィ~♪」
「がるる!ぐるるるがるるる!」(←訳:虎です!銀木犀が咲いたよ!)

 こんにちは、ネーさです。
 秋の香りを代表するような
 銀木犀の香りに包まれて、
 さあ、週末だし、連休だし、
 たまには読書をサボって、
 本日は↓こ~んな付録付き雑誌の情報を、どうぞ~♫
 
  


 
    ―― リンネル 2020年11月号特別号 ――


 
 今日9月19日に発売された『リンネル』の特別号には、
 はい、すてきな特別付録が!

「わはほォ!」
「ぐるる!」

  

 特別付録は、
 ↑《オサムグッズ》の
 『トレー大小3枚セット』。

 ええ、もう正直に言っちゃいます。
 雑誌本体よりも、
 可愛い《オサムグッズ》が本命、でございました……。
 
「ざッしもォ、おもしろいィのでスよゥ!」
「がるるるるぐぅーる!」(←訳:蒼井優さんキュート!)

 この11月号は、
 ヴェネツィア映画祭で監督賞を受賞した
 『スパイの妻』が隠れたテーマなのでしょうか、
 ファッションのページには
 『スパイの妻』主演の蒼井優さんが、
 そして
 《私を見つめる金沢・加賀の旅》のページには、
 高橋一生さんが登場しています。

「いいなァ~かなざわァ♪♫」
「ぐるがる!」(←訳:加賀もね!)

 金沢といえば、
 泉鏡花さんの故郷だなぁ~と見惚れつつ、
 お料理のページ、
 靴を特集したページや、
 《わたしに癒しをくれる猫》のページも
 楽しく読ませていただきました♪

  

 《オサムグッズ》が付録になっている
 この『リンネル』11月号特別号は、
 セブンイレブン店舗と
 セブンネットショッピング限定で
 販売されています。

 《オサムグッズ》のトレー欲しい!
 でも近所にセブンイレブンがない!
 忙しくてお店に行く時間がない!
 という御方は、
 セブンネットショッピング
 もしくは
 宝島社さんの公式サイトから
 注文してみてくださいな。
 
 セブンイレブン限定の『リンネル』11月号には
 2つの種類があって、
 11月号増刊には
 《オサムグッズ》のステンレスボトルが
 付録になっているんですよ。

「こッちもォ、きゃわゆいィ~!」
「がるるるるぐるるるっる!」(←訳:大好きですオサムグッズ!)

 販売店や付録についての詳細は、
 宝島社さんの公式HPをご参照くださいね。
 



    では、ここでオマケ画像も~!
   
    新たに入手したマスクは、
    アウトドア用品&ウェアのブランド
    『mont-bell(モンベル)』さんの
    《ウックロン ポケマスク》です。
    「あきにィなッてもォ!」
    「ぐるるるがるる!」(←訳:まだまだ警戒を!)
    3密を回避しつつ、
    皆さま、どうか穏やかな休日を。




    
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~ 金の光の木馬たち ~

2020-09-18 22:43:14 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 わァ~おッ! よんれんきゅうゥ?」
「がるる!ぐるがるぐる!」(←訳:虎です!秋の連休だよ!)

 こんにちは、ネーさです。
 はい! 秋とは思えぬ残暑の中、
 連休がやって来ましたね♪
 ならば、本日の読書タイムは、
 休日に相応しいこちらの御本を、
 さあ、どうぞ~!

  


 
    ―― CAROUSEL EL DORADO ――



 著者は吉村和敏(よしむら・かずとし)さん、
 2020年2月に発行されました。
 『カルーセル エル ドラド』と日本語題名が付されています。

「あはァ! としまえんッ!」
「ぐるがるるるぐる!」(←訳:あの回転木馬だね!)

 先頃、閉園してしまった遊園地『としまえん』の、
 ”象徴”と言えるアトラクションといえば、
 この《カルーセル エル ドラド》でした。

 8月31日の、閉園の模様を伝えるニュース映像にも
 《カルーセルエルドラド》が写っていましたね。

「はなやかァでしたでス!」
「がるぐる!」(←訳:光の芸術!)

 著者・吉村さんは、
 《としまえん》閉園が決まってから
 《カルーセル エル ドラド》の写真を
 撮り始めたのではありません。

 もうずっと以前から、
 《としまえん》の正式な許可を得て、
 毎月のように足を運んではカメラを向けた、
 といいます。

「くるくるゥ~まわるゥ~!」
「ぐるるるるがるる!」(←訳:お馬さんと豚さん!)

 カラフルな馬具を着けた白馬たち、
 白馬の真似をしているかのように
 疾走する豚さんと、
 馬車風のソファーや長椅子。

 世にも美しい回転木馬《カルーセル エル ドラド》の生みの親は、
 “遊園地の王様“と呼ばれたドイツの機械工
 エヒューゴ・ハッセさん。

 1907年、
 ミュンヘンのオクトーバーフェストで初公開された
 《カルーセル エル ドラド》は、
 たちまち大評判となりました。

 3段の舞台がそれぞれ異なる速度で回転し、
 天井や柱に施されたアールヌーヴォー様式の装飾を
 あたたかく浮かび上がらせる照明……

「ゆめのォ、のりものォでスよゥ!」
「がるるぐるるるがるる!」(←訳:大人も子どもも大喜び!)

 製作者ハッセさんは
 カーニバル(移動遊園地)業者でもありましたから、
 ヨーロッパ各地で行われるカーニバルに
 回転木馬を巡業させましたが。

 大きな回転木馬に設置できるスペースを確保する難しさ、
 厳寒の冬期にはカーニバルが運営困難であること、
 当時の政情不安などを考慮して。

「もくばをォ、あめりかにィ!」
「ぐるるるがるる!」(←訳:新大陸へ運ぼう!)

 1911年、木馬は大西洋を渡りました。
 
 翌年、ニューヨーク州コニーアイランドの
 スティーブルチェース遊園地に売却され、
 新たに《カルーセル エル ドラド》と名付けられて、
 1964年に遊園地が閉園するまで、
 大勢の人びとに愛されたのでした。

「それからァ、にほんッ!」
「がるぅ!」(←訳:来たぁ!)

 1969年、
 《としまえん》に購入され、
 《カルーセル エル ドラド》は再び海を渡り、
 横浜港へと到着しました。

 あらためて日本で公開されるまでには
 たいへんな努力があった、と
 舞台裏が語られているのは、
 御本巻末の『カルーセルエルドラドの物語』。

 アメリカ製の電動機は、
 もう動かなくなっている……
 部品が壊れたり、失くなっている……
 木馬たちの塗装も剥げている……

「むううゥ~んッ!」
「ぐるるるる……!」(←訳:ボロボロだ……!)

 疲れ切り、
 傷だらけだった《カルーセル エル ドラド》を、
 日本の技術者さんたちは、
 そして遊園地の職員さんたちは、
 時間と情愛を注いで再生させました。

「むかしのォままッ!」
「がるるる!」(←訳:元気な姿!)

 今年、
 惜しまれながら
 2度目の眠りについた木馬たちが、
 いずれまた目覚めることを
 確信させられる写真集です。

 ただ、現在は版元品切れになっているらしく、
 入手困難のようですが、
 図書館には収蔵されている筈ですので、
 皆さま、ぜひ地元の図書館に
 リクエストをしてみてくださいね♪
 
 

 
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~ それは、海の彼方で ~

2020-09-17 22:24:30 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 のぼッてェ~くだッてェ~!」
「がるる!ぐるがるるるる!」(←訳:虎です!また登るんです!)

 こんにちは、ネーさです。
 《2020ツール・ド・フランス》第17ステージは、
 超級山岳2つの登攀を強いられる最難関ステージ!
 マクロン大統領も駆け付けての熱戦は
 見応えありまくりでした♪
 選手さんたちに労いの拍手を送ったあとは、
 さあ、読書タイムですよ。
 本日は、こちらの御本を、どうぞ~!

  



      ―― サムライ留学生の恋 ――



 著者は熊田忠雄(くまだ・ただお)さん、
 2020年7月に発行されました。
 次代は明治――
 海の彼方で”恋に落ちた日本男児たち”をテーマにした
 ノンフィクション作品です。

「めいじのォりゅうがくせいィ、というとォ~…」
「ぐるるるるがるるる?」(←訳:森鴎外さんみたいな?)

 そうね、
 明治時代に海外へ留学して、
 そこで恋もしちゃって、
 大騒動になっちゃって……ってこれ、
 まず第一に思い浮かべるのは
 森鴎外さんのお名前ですけれど。

 著者・熊田さんは
 御本冒頭の『はじめに』で、
 石附実さん著『近代日本の海外留学史』を参照にしつつ、
 次のように述べています。

   海外留学のピークは、
   明治3年(1870)から同4年にかけてで、
   その数は350人から360人にのぼったという――

「さんびゃくゥごじゅうゥ??」
「がるるるぐる!」(←訳:そんなに大勢!)

 明治政府も思い切ったことするわね~と
 感心させられるものの、
 不安を覚えずにはいられません。

 言葉が通じない異国……
 食事は美味しくないし……
 文化や習慣は違うし……
 そんなところへ行って、
 学問を修めよ、
 技術を習得せよ、と命じられて……

「ううッ、すとれすゥでス!」
「ぐるがるっるぅーるる!」(←訳:凄いプレッシャーだよ!)

 出身地や年齢にバラつきはあっても、
 留学生さんたちは
 日々不安でたまらなかったことでしょう。

 そんな彼らの、
 揺れ動く心をなぐさめ、
 励ましてくれたのは。

「れんあいィ……!」
「がるぅ……!」(←訳:恋かぁ……!)

 第一章『ドイツ女性との恋』
 第二章『イギリス女性との恋』
 第三章『アメリカ女性との恋』

 と、3つの国ごとに、
 活写される留学生さんの恋模様は、
 離別もあれば、
 成就もあります。

「そのォなかでもォ、ちゅうもくはァ~…」
「ぐる!」(←訳:ここ!)

 本文40ページ、
 『ドイツ女性との恋』の章に収められているのは、

 《北白川宮能久親王と
  ベルタ・フォン・テッタウ》。

 なんと、
 明治天皇の叔父にあたる正真正銘の華族さまの
 プロシア(ドイツ)への留学、
 かの地での恋愛が描かれています。

 能久親王さまは、
 旧幕府軍に同調同行したために、
 ”朝敵”と目されたこともある
 一種複雑な経歴を持つ御方として知られますが、
 まさか、留学先で大恋愛をして、
 問題を起こしていたとは……!

「まわりはァ、はらはらッ!」
「がるっるぐるる!」(←訳:パニックだよう!)

 親王さまの恋の行方は――

 いえ、ノンフィクション作品であるとはいえ、
 これ以上の記述は
 ネタバレになってしまいますので、
 控えます、が。

 150年の昔、
 現代とはあまりにも多くの事柄が隔たっている中で、
 留学生さんたちが何を見、
 何を求めたか。

 もしかしたら、それは意外にも……

「いまもォ~おなじィ!」」
「ぐるる!」(←訳:かもね!)

 歴史好きな活字マニアさんに、
 ノンフィクション好きな方々にも
 おすすめの一冊です。
 ぜひ、手に取ってみてくださいね~♪
 

 
 
 
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― 視るものたちの ものがたり ―

2020-09-16 22:03:21 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 あるぷすゥ、きましたでス!」
「がるる!ぐるるがる!」(←訳:虎です!決戦の山岳!)

 こんにちは、ネーさです。
 《2020ツール・ド・フランス》は、
 2度目の休息日を終え、
 選手さんたちのPDR検査結果陰性も確認されて、
 いよいよアルプスでの過酷なステージへ!
 ガードレールなしの崖道で転倒しないよう
 選手さんスタッフさんの無事を祈りながら、
 さあ、読書タイムですよ。
 本日は、こちらの御本を、どうぞ~♪

  



  ―― 濱地健三郎の幽(かくれ)たる事件簿 ――



 著者は有栖川有栖(ありすがわ・ありす)さん、
 2020年5月に発行されました。
 《心霊探偵・濱地健三郎》シリーズの第2作目です。

「……しんれいィ?」
「ぐーる、がるる……」(←訳:えーと、それは……)
「おそろしィ~よかんッ!」

 探偵・濱地健三郎(はまじ・けんざぶろう)さん。
 いえ、探偵は探偵でも
 “心霊”がくっついちゃっている濱地さんは、
 いうなれば”視える”ひと。

 そう、幽霊が視えてしまう濱地さんは、
 心霊現象専門の探偵さんなんです。

 なぁんて説明すると、
 とっても怪しい人物のようですが、
 腕と人柄は確かなものですし、
 何より、
 濱地さんには推理力もあるんです。

「ということはァ~…」
「がるぐる?」(←訳:鬼に金棒?)

 視える力と、推理の力。
 ふたつの能力の両立は、
 鬼に金棒……であるかどうかは不明ですけれど、
 今日も濱地さんの評判を伝え聞いて、
 南新宿の小さな事務所へ
 依頼人さんはやって来ます。

 御本の冒頭に収録されている
 『ホームに佇む』では、
 ひとりの男性が奇妙な悩みを訴えます。

 ……有楽町駅が、怖い……

「ふァ? えきィ??」
「ぐるがるる?」(←訳:駅が怖いの?)

 依頼人さんが有楽町駅を怖がる、
 その理由とは。

 日帰り出張で名古屋から新幹線に乗り、
 もうすぐ東京駅に着く、という頃合い。

 何気なく窓の外を見やれば、
 そこは有楽町駅のホーム。

 ホームには、或る人影が。

 ……最初は、おかしいとは思いませんでした。
 けれど、
 その日の夕方、
 名古屋行きの新幹線に乗った依頼人さんは
 朝方と同じ人影を
 有楽町駅のホームに見出してしまうのです。

「そそそッ、それはァ~」
「がるる!」(←訳:変です!)

 程なく、依頼人さんは気付きました。

 あの人影が見えるのは、自分だけ。
 他の誰も、見えていないらしい……?

 そんなの気のせいだ、
 放っておけばいい――のかもしれませんが、
 真面目な性分の依頼人さんには
 放っておくことが出来ません。

「そこでェ、そうだんッ!」
「ぐるるるるるる!」(←訳:心霊探偵さんに!)

 ホームに佇む人影の謎を探る
 『ホームに佇む』に始まって、

 『姉は何処(いずこ)』
 『饒舌な依頼人』
 『浴槽の花婿』
 『お家がだんだん遠くなる』
 『ミステリー研究会の幽霊』
 『それは叫ぶ』

 と、計7篇の連作から成る
 《幽(かくれ)たる》事件の数々の中で、
 私ネーさのおすすめは、
 『ミステリー研究会の幽霊』です。

 怖いような、
 甘くて苦いような、
 学園青春モノの変型ともいえる物語を、
 皆さま、ぜひ♪


 
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~ ずっと、彼らと ~

2020-09-15 23:21:14 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 それはァ、はるゥ~かなァむかしィ~…」
「がるる!ぐるるがるる!」(←訳:虎です!歴史の分岐点!)

 こんにちは、ネーさです。
 長~い時間をぐんぐんと、
 慶長5年(1600年)の今日9月15日まで遡ってみれば……
 美濃国関ヶ原では『関ヶ原の戦い』が!
 はい、という次第で、
 本日の読書タイムは
 日本の歴史にまつわるノンフィクション作品を御紹介いたしますよ。
 さあ、こちらを、どうぞ~♪
 
  



      ―― 愛犬の日本史 ――



 著者は桐野作人(きりの・さくじん)さん、
 吉門裕(よしかど・ゆたか)さん、
 2020年7月に発行されました。
 『柴犬はいつ狆(ちん)と呼ばれなくなったか』
 と副題が付されています。

「ふァ? わんこォ??」
「ぐるるがるぐるるる??」(←訳:関ヶ原からワンコへ??)

 関ヶ原の戦いと、犬。

 一見、何の関連もないように思われます……
 が、実は。

 そこには、歴史の表側には登場しにくい、
 或る”因縁”が存在していたのでした。

「いんねんッ?!?」
「がるるぐるぅ?」(←訳:ホントかなぁ?)

 それは天正15年(1587年)のこと。

 豊臣秀吉さんは20万の大軍勢を率いて
 九州に攻め込みました。

 九州西部方面への侵攻を任されたのは、
 秀吉さんの弟・秀長(ひでなが)さん。

 秀長さんが指揮する10万の大軍を前に、
 島津氏は敗北したのですが、
 講和後、
 秀長さんは島津氏側に書状を送ります。

 『唐犬をよこせ』と。

「ええッ? わんこをォ?」
「ぐるる!」(←訳:無体な!)

 唐渡りの犬、
 つまり外国から輸入した貴重な犬。

 島津氏家中の、上井覚兼(うわい・かつけん)さんが
 飼っていた評判の唐犬を、
 勝者の特権をふりかざして、所望する。

 著者・桐野さん&吉門さんは、
 唐犬が豊臣側に献上されたのか否かは
 資料に書き残されていない、と
 記しています(本文30ページ)。
 唐犬くんがどうなったのかは分からない、と。

 ……でもね、問題の本質はそこじゃないのよ。
 
 お前のワンコを差し出せ!
 なんて命令されたら、どう?
 そんなこと言われて、
 愛犬家さんが喜ぶと思う?

「おッ、おもわないィでス!」
「がるるぅ!」(←訳:怒るよぉ!)
「ゆるさないィ~!!!」

 そんなの些細なことだよ、って
 笑われるかもしれませんけど、
 一事が万事、って謂うわよね。

 こういう小さなことが積もり積もって、
 結局は関ヶ原での勝敗が決まった、のだとしたら。
 ちっぽけな恨みが、
 何年も前の記憶が、
 関ヶ原の戦場で
 よみがえったのだとしたら……?

 おっと、
 話が逸れました。

 関ヶ原に於ける島津氏の心情はさておき、
 戦国武将のワンコ愛、
 お江戸の武士さんたちのワンコ愛、
 幕末から明治大正のワンコ愛、
 そして現代へと連なる
 日本人のワンコ愛史、
 も~うハチャメチャな面白さです!

 特筆すべきは、
 20世紀後半、
 第二次世界大戦後のワンコたちへ向けられる
 ”無償の愛”でしょうか。

「わんこをォたすけようゥ!」
「ぐるるがる!」(←訳:感染症撲滅!)

 狂犬病、ジステンバー、
 フィラリア。

 命を奪う恐ろしい病気から
 犬たちを守ろうと、
 進駐軍と日本の獣医師さんたちの
 ひそかな共闘が存在した事実は、
 もっと広く知られてもいいんじゃないかしら。

「まだまだァこれからもォ!」
「がるぐるる!」(←訳:進め獣医学!)

 日本にやって来たワンコたち、
 日本から巣立っていったワンコたち。

 やわらかな目線で
 犬と人の歴史の流れを追うノンフィクション作品は、
 ワンコ好きさんに、
 歴史好きな活字マニアさんにも
 おすすめの力作です。
 ぜひ、一読してみてくださいね~♫
  
 
 
 
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~ レトロに呆然 ~

2020-09-14 22:35:14 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 くろさきィさァ~んッ!」
「がるる!ぐるるぅるるぅ!」(←訳:虎です!泣けちゃうよぉ!)

 こんにちは、ネーさです。
 『半沢直樹』第8話では黒崎検査官の後ろ姿に泣き、
 《2020ツール・ド・フランス》第15ステージでは
 激坂を登る選手さんたちの雄姿に泣き、と
 涙腺ウルウルの週明けは、
 さあ、読書タイムですよ。
 本日は、こちらの御本を、どうぞ~♪

  


 
  ―― 決定版 増田さんちの昭和レトロ家電 ――



 著者は増田健一(ますだ・けんいち)さん、
 2020年6月に発行されました。
 『とっておきユニーク家電を蔵出し!』と
 副題が付されています。

 《昭和レトロ》――
 ここ数年、あちこちで目にする機会が
 増えてきましたね。

「えいがァ、とかッ!」
「ぐるるがる!」(←訳:文具や雑貨!)

 テキスタイル、フォント、
 食器、包装紙、看板などでも、
 昭和レトロ風のデザインは
 人気のようですね。

 ただし……
 可愛いティーカップ、お皿やポットを復刻したり、
 それらしく真似て作ることは出来ても、
 こればかりは
 リプロダクトも容易ではない、
 というモノがあって。

「それがァ、かでんせいひんッ!」
「がるるるるぐるがるる!」(←訳:見たこともないような!)

 この御本で紹介されているのは、
 家電コレクターとして知られる
 著者・増田さんが所蔵する
 昭和30~40年代に制作・販売された
 家電製品たちです。

 錆び、汚れがほとんど無い“美品“家電の数々は、
 発想も造形もユニークすぎて、
 SF映画の小道具と言われても
 納得しちゃうわよね。

「せんぷゥきィ!」
「ぐるがるるる!」(←訳:自動卵ゆで器)
「こたつゥ!」
「がるるるー!」(←訳:ドライヤー!)

 SF的デザイン志向がことに強いのは、
 ラジオ、でしょうか。

 早川(現シャープ)さんの宇宙ロケット型ラジオ、
 松下(現パナソニック)さんのブレスレット型ラジオ、
 東芝さんの蒔絵形トランジスタラジオも、
 ラジオとだとは信じ難いデザインで……
 これ、本当に電波を受信できるのかしら?

「むむむむゥ~んッ?」
「ぐるがる……!」(←訳:微妙です……!)

 自動ハサミ?
 乾電池消しゴム?
 は? 電気缶切り?
 電気鰹節削りって……? 

「ふァ~…これはァ、やぱりィ?」
「がるぐるるがる?」(←訳:SFマンガかも?)

 この御本では、

 第1章『百花繚乱 デザインの家電』
 第2章『21世紀にもつながる驚きの家電』
 第3章『各社が競い合って進化しました』
 第4章『時代を映したユニーク家電』
 第5章『美しさを手助けする美容・健康家電』
 第6章『個性があふれる生活家電』

 と6つの章で往時の家電製品を取り上げ、
 また、
 もと松下電器デザイナー・岩永泉さんへのインタビュー、
 もとシャープのデザイン本部長・坂下清さんの寄稿、
 コラム、年表なども収録されています。

「おしゃしんッ、きれいィでス!」
「ぐるるがるるるるる!」(←訳:解説も分かりやすい!)

 それにしても
 感心させられるのは、
 熱い企画力!

 当時のメーカーの社員さんたちが
 どんな未来を思い描いていたのかが、
 製品のデザインから伝わってきます。

 おそらくは、
 大阪万博の頃の
 元気に満ち満ちた造形力、
 と言ったらいいんでしょうか……。

「これがァ、しょうわのォでざいんッ!」
「がるるぐる!」(←訳:昭和の空気!)

 《昭和レトロ》好きな御方、
 近代史好きな活字マニアさん、
 そしてもちろん
 家電コレクターさんにも
 おすすめの一冊です。

 新しくて懐かしい昭和の暮らしを、
 ぜひ、覗いてみてくださいね♪
 
 
 
 
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~ 長~い旅路に ~

2020-09-13 22:22:39 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 やッとォさいかいィ、なのでスゥ~!」
「がるる!ぐっるるるる!」(←訳:虎です!待ってたよう!)

 こんにちは、ネーさです。
 NHK朝ドラ『エール』が明日14日から再開!
 『わたナギ』『MIU』が終わってしまったのは残念ですが、
 『半沢直樹』は大詰めだし、
 『麒麟』も復活したし、と
 秋のTV鑑賞を楽しみながら、
 さあ、読書タイムもしっかりと!
 本日は、こちらの御本を、どうぞ~♪

  


 
      ―― 外来生物のきもち ――



 著者は大島健夫(おおしま・たけお)さん、
 2020年6月に発行されました。
 『外来生物って何でしょう』と
 表紙に大書されているこの御本は――

「のんふぃくしょんッ!」
「ぐるがぅるるるー!」(←訳:でもファンタジー!)

 前々回記事で御紹介しました
 『も~っと わけあって絶滅しました』では、
 《根絶された生きもの》の存在について
 触れられていました。

 この『外来生物のきもち』には、
 まさにその
 “ヤツらを根絶せよ!”
 “ここからいなくなれ!”
 と、怨嗟の標的にされている動植物たちが
 取り上げられています。

「うまれェそだちィはァ~…」
「がるぐる!」(←訳:遠い外国!)

 どこから、
 どうやって、
 外来生物はやって来たのか。

 その複雑な経緯を
 私たち読み手にナビゲートしてくれるのは、
 田んぼの水路に住む
 カミツキガメくん。

 原産地は北アメリカ、
 特定外来生物の代表格として、
 四面楚歌のカミツキガメくん……ですが、
 彼にも言いたいことがあるようです。

「はこんでェきたのはァ~…」
「ぐるがるるる……!」(←訳:人間なんだよ……!)

 人間によってこの国に運ばれてきて、
 捨てられたり、
 放置されたりした生き物たち。

 そんな外来生物たちを、
 カミツキガメくんは訪ね、
 インタビューします。

「どこからァ、きたのでスかッ?」
「がるるるるぐる?」(←訳:住み心地はどう?)

 有名なところでは、
 アライグマ、
 ジャンボタニシとも呼ばれるスクミリンゴカイ、
 ミドリガメの名で知られるミシシッピアカミミガメ、
 ブラックバスことオオクチバス、
 ハクビシン……

 意外なところでは、
 シロツメクサ、
 ダンゴムシことオカダンゴムシ、
 コブハクチョウ……

「えッ? こぶはくちょうゥ??」
「ぐるるがるるる??」(←訳:白鳥も外来生物??)

 ごく稀には、
 増えても歓迎される外来生物もいます。

 ホンビノスガイの名は、
 米国文学好きな活字マニアさんでしたら、
 御存知かもしれませんね。
 大西洋岸側のメイン州あたりでは
 とても人気の二枚貝であるホンビノスガイは、
 クラムチャウダー作りには欠かせない食材です。

 近年、東京湾などに生息していて、
 これ美味しいわ!と好評なんですよ。

「やいてェよしィ!」
「がるるるぐるがる!」(←訳:酒蒸しにして良し!)

 他方で、
 ハクチョウ以上に馴染み深く、
 ホンビノスガイ級に歓迎されていながら、
 全世界的に在来生態系の脅威とされ、
 世界の侵略的外来種ワースト100、
 日本でも侵略的外来種ワースト100入りしているのは……

 イエネコ。

「えええええェ~ッ?」
「ぐるぅ??」(←訳:ねこぉ??)

 まさか、ネコが。

 モフモフで、フワフワの、
 猫好きさんたちに
 ひたすら愛されるニャンコたちが、
 侵略的外来生物だとは。

 では、その理由は?
 どうしてネコたちが
 侵略的外来生物に指定されているのか?

 ネコくんがカミツキガメくんに語る
 驚きの“ネコ史”とは……?

「ねこのォれきしィ~…!」
「がるるるぐるがるる!」(←訳:いろいろ初耳でした!)

 外来生物とは何なのか、
 なぜ”彼ら“が外来生物と呼ばれるようになったのか。

 世界&日本の地理や歴史と結びつく、
 生きものたちの履歴書は、
 歴史好きな活字マニアさんに、
 動物好きな少年少女諸氏にも
 おすすめの一冊です。
 本屋さんで、図書館で、
 ぜひ、探してみてくださいね~♫
 


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~ バラの描き手 ~ 

2020-09-12 21:50:33 | ミュゼ
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 のぼりざかァ、くだりざかァ~!」
「がるる!ぐるるがるるるぐるる!」(←訳:虎です!見てるだけでもキツい!)

 こんにちは、ネーさです。
 《2020ツール・ド・フランス》第13ステージは、
 フランス中欧山塊を走る高難易度のコースで、
 落車あり、有力選手さんのリタイアあり……
 総合優勝候補さんが徐々に絞られてきたかな?
 とハラハラしながら、
 さあ、週末の今日は読書タイムをサボって、
 こちらの展覧会情報を、どうぞ~♪
 
  



   ―― 宮廷画家ルドゥーテとバラの物語 ――



 東京・八王子市の八王子市 夢美術館にて、
 会期は2020年9月18日~11月8日
 (月曜休館、ただし9/21は開館し9/23が休館)、
 “花の画家””バラの画家”として名高い
 ルドゥーテさんを特集する企画展です。

「わァおッ! うれしィ~でス!」
「ぐるがるぅるる!」(←訳:期待しちゃうよ!)

 あの有名なバラの画が、
 私たちの地元・八王子の美術館で見られるのかと思うと、
 ホントにもう、
 嬉しくて小躍りしたくなっちゃいます♪♫
 
 では、来週から始まる
 展示の内容はと申しますと……
 
  

 ピエール=ジョゼフ・ルドゥーテさん(1759~1840)は、
 現在のベルギー南部サン・チュベール出身の、
 フランスで活躍した画家さんです。

 ルドゥーテさんが得意としたのは、
 いうまでもなく、
 花や植物を主題とする精密な《花の画》であったため、
 植物画家、花の画家などと呼ばれたりもしますが――

「ばらのォ、がかさんッ!」
「がるるるる!」(←訳:なんだよね!)

 そう、ルドゥーテさんの代表作であり
 最高傑作とされているのは、
 『バラ図譜』。

 1817年から1824年にかけて刊行された
 『バラ図譜(Les Roses)』(全3巻)は、
 ナポレオン一世の皇后ジョゼフィーヌが愛した
 マルメゾン城のバラたちを描いたものとしても
 広く知られています。

  

 『バラ図譜』の原画は、
 残念なことに
 1871年のルーブル図書館の火災によって
 焼失したと言われていますが、
 この展覧会では、
 『バラ図譜』全作品とともに、
 ルドゥーテさんの肉筆画2点も
 展示されます。

「それはァ、ぜひともォ!」
「ぐるがるるるるぅ!」(←訳:見にゆかなくちゃ!)

 この企画展は、
 時間指定制にはなっていませんけれども、
 入場制限を行う場合があることを
 ご了解くださいね。
 また、
 毎週土曜日は小・中学生さんは入場無料ですので、
 少年少女の皆さんも、
 ぜひ、お出掛けしてみてくださいな~♪
 
 



    はい、ここで恒例のオマケ画像も…じゃじゃん!
   
    『ブルボン』さんの
    《ミニビットアソートチョコレート》は、
    ハロウィン仕様のパッケージが可愛いでしょ。
    「きらきらァでス!」
    「がるるるぐるる!」(←訳オバケも可愛い!)
    猛暑がひと段落して、
    ちょっぴりリラックスできそうな週末ですね。
    皆さまも、どうか穏やかな休日を♫
 


  
   
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……未来は、どこへ……?

2020-09-11 22:29:47 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 にげまスゥ、にげますゥ~!」
「がるる!ぐるるる~!」(←訳:虎です!引き離せ~!)

 こんにちは、ネーさです。
 《2020ツール・ド・フランス》第12ステージの優勝者は、
 独走に持ち込んだマルク・ヒルシさん(国籍はスイス)!
 グランツールは今回が初参加で、
 この勝利がプロとしては初優勝!って、
 まさに自転車競技選手の誉(ほま)れだわね♪
 盛大な拍手を送りながら、
 さあ、ここからは読書タイムですよ。
 本日は、こちらの御本を、どうぞ~!

  



   ―― も~っと わけあって絶滅しました ――



 監修は今泉忠明(いまいずみ・ただあき)さん、
 著者は丸山貴史(まるやま・たかし)さん、
 2020年7月に発行されました。
 《わけあって絶滅しました》シリーズ第3冊目には、
 『世界一おもしろい絶滅したいきもの図鑑』
 と副題が付されています。

「ぜつめつゥ、それはァ~…」
「ぐるるがる!」(←訳:地球の歴史!)

 御本冒頭の『はじめに』では、
 こう述べられています。

   地球の歴史は絶滅の歴史。
 
   絶滅とは、その種類の生き物が
   この世から一匹残らず消えること。

   地球が誕生して以来、
   数え切れないほどの生き物が生まれ、
   そして絶滅してゆきました……

「でもォ、それだけじゃァないィのでス!」
「がるるぐるる!」(←訳:進化もあるよ!)

 そうね、『はじめに』には

   絶滅と進化を繰り返し、
   地球は多種多様な生き物が暮らす
   豊かな星になったのです――

 とも書かれています。

 それを証明するかのように、
 本文は、

  1『よかれと思って絶滅』
  2『予想外に絶滅』
  3『理不尽に絶滅』
  4『わけあって絶滅しそうです』
  5『絶滅した…と思ったら生きてた』
  6『わけあって繁栄しました』

 と、6つのパートに分けて
 生きものたちの興亡が描かれています。

「ぜつめつゥとォ、はんえいィ……!」
「がるぐるるる!」(←訳:鏡像みたいだ!)

 取っ手のような
 背びれがジャマで
 絶滅しちゃったのは、
 古生代の軟骨魚類のファルカトゥス。

 ジュラ紀の硬骨魚類
 リードシクティスは、
 巨大化したのはいいけれど、
 身を守るすべを持たなかったため、
 絶滅……。

 新生代のほ乳類
 ジャイアントビーバーは、
 巣を作る習性がないという、
 ビーバーとしては致命的な欠陥のため、
 自滅に近い絶滅……。

 対照的なのは、

 家畜になったために繁栄した、ウシ。
 
 好奇心の強さが
 繁栄に結び付いた、カラス。

 釣りが流行ったことがきっかけで、
 輸入されたら、
 あれよあれよという間に
 日本の河川で増えていった
 ブラックバス。

「うゥ~むゥ、おおきくゥなりすぎるゥのもォ~…」
「ぐっるるがるぐる!」(←訳:すっごく不利かも!)

 絶滅の理由も、
 繁栄のきっかけも、
 些細で、気まぐれで。

 しかし、結果は、
 天と地ほども
 差がついてしまったのでした……。

「いッすんさきィはァ~」
「がるるるるる?」(←訳:闇なんだよね?)

 また、別冊付録の
 《根絶》をテーマとする小冊子
 『わけあって根絶されました』は、
 複雑な思いなしには読めません……

 例を挙げるなら、
 天然痘。
 
 天然痘ウイルスが根絶されたのは
 いいことだと思うし、
 この際、
 コロナウィルスも!
 虫歯菌も!
 他のヤバいヤツらも!
 どんどん根絶へ向かわせてほしい!
 のだけれど……

「みちのりはァ~…」
「ぐるがる……!」(←訳:未だ遠し……!)

 進化の未来、
 生き物の未来の行く先は、はたして?

 カラフルなイラストと、
 クスっと笑える解説の文章で迫りくる
 絶滅現象の裏話図鑑は、
 チビッ子諸氏はもちろん、
 大人な活字マニアさんにもおすすめです。
 ぜひ、一読してみてくださいね~♪
 
 
 
 
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