テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ ざわめく波のものがたり ~

2020-09-10 22:22:01 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 きょうはァ、ぜんりょくゥ~すぷりんとッ!」
「がるる!ぐるるがるぐる!」(←訳:虎です!平地を激走です!)

 こんにちは、ネーさです。
 《2020ツール・ド・フランス》第11ステージは、
 大西洋岸から内陸へと向かう平坦なコースでしたので、
 スプリントを得意とする選手さんたちの
 熱い闘いにゴール付近は大盛り上がり!
 私たちも歓声と拍手を送った後は、
 さあ、読書タイムですよ。
 本日は、こちらのミステリ作品を、どうぞ~♪

  



       ―― 潮騒のアニマ ――



 著者は川瀬七緒(かわせ・ななお)さん、
 画像の単行本は2016年に10月に発行されました。
 現在は文庫版も刊行されています。

「あわわッ! またァでスねッ!」
「ぐるるるるる!」(←訳:ムシ屋さんだ!)

 はーい、そうです。
 このところ私ネーさがすっかりハマっている
 《法医昆虫学捜査官》シリーズの、
 第5作目がこちらの『潮騒のアニマ』なんですね。
 
 物語の主役、というか、
 “探偵”さんの役どころを担うのは、
 法医昆虫学者の
 赤堀涼子(あかほり・りょうこ)さんと、
 警視庁捜査一課の捜査員である
 岩楯裕也(いわだて・ゆうや)主任。

「めいこんびィ、なのでス!」
「がるるるぐぅるるる!」(←訳:迷コンビじゃないよ!)

 法医学のジャンルのひとつ、
 法医昆虫学の“先進国”は、米国。
 一方、日本では、
 その存在すらあまり知られていなくて、
 データベースも整っていません。

 この状況を打破すべく、
 学者の赤堀さんと
 警察官の岩楯さんは、
 ムシが係わる事件発生と聞けば、
 都内のどこへでも
 ㇲッ飛んでいっている訳ですが……

「こんかいィはァ、ほんとにィ~とびましたでスよゥ!」
「ぐるるがる!」(←訳:飛行機でね!)

 事件の現場は、
 神ノ出島(かみのでじま)。

 神ノ出島は、
 東京から飛行機で約40分、
 高速船で3時間ほどの、
 伊豆諸島の島のひとつで、
 東京都に属しています。
 つまり、れっきとした警視庁の管轄区域、なのね。

「しッ、しまッ!」
「がるぐるるる!」(←訳:島のミステリ!)

 島か!
 孤島ミステリか!ってなると、
 横溝正史さんの名作が思い浮かびますが、
 あれほどセンセーショナルでは……
 いえ、そうね、横溝さんの作品と同じくらい
 センセーショナルかも知れないわ。

 何故ってこの事件、
 TVのワイドショーでは
 《謎のミイラ事件!》
 《衝撃のミイラ化!》などと
 報道されちゃってるほどですから。

「……みいらッ??」
「ぐるるがるる?」(←訳:日本でミイラ?)

 日本ではおよそ有り得なさそうな、
 奇怪な事件の鍵は、
 赤堀さんが現場で採集した
 赤いアリにある……?

 ええ、そうです、
 『法医昆虫学捜査官』と
 『スワロウテイルの消失点』を御紹介したときは、
 どんなムシが登場するのか、
 それをここで記してしまうと
 ネタバレになってしまうかもしれないと考え、
 ムシの名前を伏せておりましたが。

 この作品では、
 たぶん大丈夫!

 事件の鍵=アリと書いちゃっても、
 ネタバレにはならないでしょう。

 そう、鍵は、アリンコ!

「しィ~ッ!」
「がるるるるぐる!」(←訳:それ以上はNG!)

 金田一耕助さんならぬ
 赤堀さんと岩楯主任さんが、
 島と本土を往復しながら、
 アリの痕跡を辿りながら、
 少しづつ、
 しかし確実に追いつめて行く”犯人”とは……?

「ゆだんッたいてきィ!」
「ぐるるがるぐるるるる!」(←訳:一瞬も気を抜けないぞ!)

 アニマ(anima)とはラテン語で、
 魂や霊魂を意味するのだとか。

 赤堀さんと岩楯さんの耳が捉える
 寄せては返す潮騒のミステリを、
 活字マニアの皆さま、
 ぜひ、一読してみてくださいね~♪

 
 
 
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~ いま、光の幕が上がる ~

2020-09-09 23:28:11 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 せんしゅさんもォ、すたッふさんもォ、がんばッ!」
「がるる!ぐるるるる!」(←訳:虎です!めげないで!)

 こんにちは、ネーさです。
 休息日明けの《2020ツール・ド・フランス》は、
 選手さんたち全員のPCR検査結果が陰性と判明して、
 ホッとひと安心……と思ったら、
 なんと大会ディレクターさんに陽性反応が出、
 自主隔離へ?
 予想外の出来事に動揺を抑えきれませんが、
 とにかく選手さんスタッフさんの無事を願いつつ、
 さあ、気力を奮い起こして読書タイムです……!
 本日は、こちらの御本を、どうぞ~!

  



 ―― 華麗なる『バレエ・リュス』と舞台芸術の世界――



 解説・監修は海野弘(うんの・ひろし)さん、
 2020年8月に発行されました。
 『The Great ”Ballets Russes ”and Modern Art』と英語題名が、
 『ロシア・バレエとモダン・アート』と
 日本語副題が付されています。

「おッ、おもいィ~!」
「ぐる~!」(←訳:厚い~!)

 はい!
 海野弘さん監修のもと、
 パイインターナショナルさんから刊行されている
 《夢見るアートブック》シリーズの最新作は、
 シリーズ最厚!
 重い!
 なおかつ、
 重さに相応しい内容超充実ぶりですよ。

「そこはァ、はなのォみやこォ……!」
「がるるぐる!」(←訳:憧れのパリ!)

 20世紀初頭、
 ロシアからやって来た『バレエ・リュス』は、
 フランスに、いえ、欧州全体に
 大きな衝撃をもたらしました。

 それは、一言でいうと……

「こんなばれえェ、みたことォないィ!」
「ぐるる!」(←訳:魂消た!)

 セルゲイ・ディアギレフさん(1872~1929)。
 彼が率いるバレエ団の公演は、
 当初はロシアの文化を色濃く打ち出したものでしたが、
 やがては欧州の一流芸術家さんたちの協力を得て、
 世紀を象徴するムーブメントへと
 転換してゆきます。

 ピカソさん、シャネルさん、
 バクストさん、ストラヴィンスキーさん。
 さらには、
 バレエ団の柱ともいうべき伝説のダンサー――
 ニジンスキーさん、タマーラ・カルサ―ヴィナさん、
 レオニード・マシーンさんたちなしに
 現代のバレエを語ることはできません。

「いしょうゥ、すばらしいィでス!」
「がるるるる!」(←訳:舞台美術も!)

 この御本では、
 
 第1章 銀の時代――ロシアの世紀末『バレエ・リュス』の源泉

 第2章 『バレエ・リュスの時代』1909-1929 ロシアから世界へ

 第3章 『バレエ・リュス』と同時代の舞台美術

 と3つの章に分けて、
 『バレエ・リュス』に於ける
 舞台美術の軌跡が描かれています。

 とりわけ驚倒させられるのは、
 第2章の『バレエ・リュス』最盛期!
 衣装デザイン画の革新度の高さ!

「いまァみてもォ~」
「ぐるがるるる!」(←訳:全然古くない!)

 100年前のデザイン画なのに、
 今も変わらぬ”新しさ“を
 私たちに伝えてくれるのは、
 海野さんの頼れる解説文と、
 デザイナー原条令子さんによる妖美な装幀です。

 1ページ1ページごとの、
 これしかない!な配色と、
 こう来るか!な意匠は、
 眼福としか言いようがなくて。

「ますますゥきたいィ、しちゃうゥのでスゥ!」
「がるるぐるるる??」(←訳:次作はどうなる??)

 晩年のディアギレフさんは、
 情熱の対象を
 バレエからオペラに移していたといいます。

 もしも、ディアギレフさん版の豪壮な《指輪》や
 『魔笛』『椿姫』が創られていたら……?
 などと楽しく夢想させられるアートブックは、
 全活字マニアさんにおすすめですよ。

 書店さんのアート本コーナーで、
 ぜひ、探してみてくださいね♪

 
 
 
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~ 棕櫚の下に眠る ~

2020-09-08 22:27:32 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 きゅうそくびィ、なのでスよゥ~!」
「がるる!ぐるがるるる!」(←訳:虎です!まずは体力回復!)

 こんにちは、ネーさです。
 現地時間9月7日の《2020ツール・ド・フランス》は、
 トレーニングライドやメディア対応、
 全員がPCR検査を受けたり、と
 選手さんスタッフさんには大忙しの“休息日“となりました。
 第2週目の熱戦にいっそうの期待を抱きつつ、
 さあ、日本の私たちは読書タイムです♪
 本日は、こちらの御本を、どうぞ~!

  



     ―― タマ、帰っておいで ――



 著者は横尾忠則(よこお・ただのり)さん、
 2020年4月に発行されました。
 『REQUIEM for TAMA』と英語題名が付されています。

 画家・横尾忠則さん……
 いや、ちょっと待った。
 画家……と御紹介して、いいんでしょうか。
 実は、横尾さんは――

「ぶんぴつかさんッ、なのでス!」
「ぐるるがる!」(←訳:驚異の筆力!)

 私ネーさは知っています。

 土曜日の朝刊、
 朝日新聞の書評欄に載る
 横尾さんの文章の素晴らしさを。
 
 小説家さんや学者さんといった
 プロの文筆家さんたちの書評が紙面を埋める中で、
 横尾さんの文章は、
 ひとり、突出していることを。

「ほかのォ、だれともォちがうゥ~のでス!」
「がるるぐるるる!」(←訳:それが横尾さん!)

 超一流の、画力と、文筆力。

 その両方を兼ね備えた横尾さんが、
 この御本で書き、描いているのは、
 タマちゃんの肖像です。

 タマちゃんはネコ――
 ノラ猫でした。
 
 庭に来ていた何匹かのノラの一匹で、
 彼女だけが家の中に入ってきたので
 その日から飼った、
 というタマちゃん。

 以来、15年間を
 横尾さんとタマちゃんは
 ともに過ごしました。

「ふたりはァ、なかよしィ~♫」
「ぐるるるがるぐるがるる!」(←訳:アトリエでも一緒なのさ!)

 横尾さんのお家の、
 おひさまのような存在であったタマちゃんは、
 けれども、
 2014年の春、
 体調を崩してしまいます。

 横尾さんの奥さまに看取られ、
 タマちゃんが旅立ったのは、
 2014年5月31日のことでした。

「たまちゃんッ!」
「がるぐぅる!」(←訳:タマちゃん!)

 ページを捲るたび、
 いえ、表紙のタマちゃんの画が
 視界を占めたそのときから、
 私たち読み手は、
 横尾さんの心情に取り込まれます。

 タマ、どこにいる?
 タマ、どこなんだい?

 タマ、帰っておいでよ。

「ごはんだよゥ~!」
「ぐるるがるる!」(←訳:寝床もあるよ!)

   ドアを開ければ、タマが。
   足元に、タマが。
   てのひらに、タマの体温が。

   夢の中に、タマが。

 声にして呼べば、
 いまにも帰ってきそうなタマちゃんの肖像を、
 横尾さんは描きます。
 この御本に掲載されているだけでも、
 91点のタマちゃん画。

「いまごろォはァ、もッとォ~!」
「がるるるぐる!」(←訳:増えてるかも!)

 絵にも、
 文章にも宿る、
 横尾さんの思い。

 ロス、などという言葉では到底足りない、
 もっと大きな、
 もっと尊い何か。

 横尾さんのその声を、祈りを、
 皆さまも、ぜひ。
  
  
 
 
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~ 《隘路》アンソロジー ~

2020-09-07 22:34:03 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 あううゥ~…ねぶそくゥなのでスゥ~…」
「がるる!ぐるがるっる……!」(←訳:虎です!台風怖かった……!)

 こんにちは、ネーさです。
 皆さま、御無事でしょうか。
 ここ八王子は台風の進路から隔たっているとはいえ、
 我が家の近くには河川や水路があるため、
 戦々恐々としておりました……
 もう今年は年末まで、
 いえ、来年もその先もずっ~と、
 災害がありませんようにと心の底から祈りながら、
 さあ、読書タイムで気分転換ですよ。
 本日は、こちらの御本を、どうぞ~♪

  



     ―― 殺意の隘路 (下) ――



 編者は日本推理作家協会の皆さん、
 単行本は2016年に、
 画像の文庫版は2020年5月に発行されました。
 『日本ベストミステリー選集』と副題が付されています。

 人気ミステリ作家さんが競演する
 贅沢なアンソロジーのテーマは
 《隘路(あいろ》、ですね。

「ふァいッ! テディちゃ、しッてまス!
 せまァ~いィみちィのことでスゥ!」
「ぐる~!」(←訳:細道~!)

 そうね、あらためて辞書で調べてみましたら、
 《隘路》は、
   細くて通行困難な道
   険しい道や崖路
 の他に、
   行く手を阻む支障
 などの意味合いも有るようです。

「つまりィ~…」
「がるるるぐるがるるぐる!」(←訳:行かない方がいい所だね!)

 この御本には、

 今野敏さん著『人事』
 長岡弘樹さん著『夏の終わりの時間割』
 初野晴さん著『理由ありの旧校舎――学園密室?――』
 円居挽さん著『定跡外の誘拐』
 麻耶雄嵩さん著『旧友』
 若竹七海さん著『副島さんは言っている 十月』

 と、それぞれの作家さんの特色があらわれている
 短編作品が収録されていますが、
 読み終わったところで――

「あれれッ?」
「ぐるっ?」(←訳:おやっ?)

 なんて具合に首を傾げてしまうのは、
 今野敏さんの『人事』でしょうか。

 『人事』は、
 私ネーさも大ファンの、
 人気シリーズ《隠蔽捜査》から生まれた
 スピンオフともいうべき作品です。

 真っ直ぐすぎる警察官・竜崎伸也さんが
 陣頭指揮に立つシリーズ本編……とは違い、
 ここでの主人公は
 警視庁の野間崎(のまざき)管理官さん。

「むゥ! そのひとッてェ!」
「がるぐぅる!」(←訳:敵役じゃん!)

 竜崎さんとは
 意見が合わない、法の解釈も合わない、
 行動指針も合わなくて、
 徹頭徹尾ソリが合わない、
 そんな立ち位置の野間崎(のまざき)さん。

 けれど、この『人事』に於いては、
 意見が合わないなどと
 言ってはいられないようです。

 新たな本部長がやってきた!

 これすなわち、
 新しい上司さんが来た!
 に他なりませんから、
 野間崎さんも安穏としていられません。

「うまくゥやッてゆけなかッたらァ~…」
「ぐるるるる?」(←訳:どうしよう?)

 警察は厳格な階級組織。
 その中にあって、
 いつもは小憎たらしい敵役の野間崎さんも
 木の葉のように翻弄されます。

 その原因は……やっぱり、竜崎さん?

「ぷふふふぅ♪」
「がるるっ♫」

 マジメなのに、
 ハラハラさせられ、
 ラストではちょっぴり笑いがこみあげてきてしまう
 変わった風合いの警察小説は、
 《隠蔽捜査》シリーズファンの方々に
 おすすめですよ。

 なお、『殺意の隘路』は
 ↓こちらの『(上)』巻も刊行されています。
 
  

 ミステリ好きな活字マニアさんは
 巻末の解説も併せて、
 ぜひ、一読を♪
 

 
 
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~ いつか『出雲』に乗って ~

2020-09-06 22:20:15 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 じょういじんにィ、いへんありィ~!」
「がるる!ぐるがるるる~!」(←訳:虎です!先が読めない~!)

 こんにちは、ネーさです。
 《2020ツール・ド・フランス》第8ステージは、
 一級山岳峠と超級山岳峠が連続!
 優勝候補の有力選手さんたちもたまらず脱落……
 明日もさらなる波乱が?
 とドキドキしながら、
 さあ、ここからは読書タイムです。
 本日は、こちらの御本を、どうぞ~♪
 
  



       ―― 夜行列車の記憶 ――



 著者は松本典久(まつもと・のりひさ)さん、
 2020年8月に発行されました。
 『Memories of the night trains』と英語題名が、
 『昭和・平成の名列車がよみがえる』と
 日本語副題が付されています。

「わァ~♫ やこうゥれッしゃァ~♪」
「ぐるるるるっるぅる!」(←訳:歌いたくなっちゃう!)

 そうね、気持ちは分かるわ、
 夜行列車を題材にしたり、
 歌詞に織り込んだ名曲って多いですよね。

 旅情を誘う、
 夜のホームと鉄路、
 車窓に映る払暁の光――

 けれど、
 本文24ページで
 著者・松本さんは嘆いています。

  《現在、日本で定期運行されている夜行列車は、
   寝台特急『サンライズ出雲』
   『サンライズ瀬戸』だけになってしまった》

「ええッ! そうなのォでスかッ?」
「がっるぐるる?」(←訳:たったふたつ?)

 今は、たったふたつ。

 では、以前はどうだったのでしょうか。
 ふかふかシートの夜行バスや、
 格安航空便が乱立する、
 いえ、それよりも前の、
 新幹線もなかった頃は?

 夜行列車が全盛を誇ったのは、
 まさにそんな“新幹線がなかった”時代、でした。

「うえのえきィにィ、とうきょうえきィ!」
「ぐーるがるぐるるるる!」(←訳:ホームには夜行列車が!)

 東京駅を発着する
 『はやぶさ』『あさかぜ』
 『出雲』『銀河』『大垣夜行』。

 上野駅を発着する
 『北斗星』『ゆうづる』『津軽』『十和田』
 『越前』『普通227列車』。

 京都・大坂駅発着の
 『あかつき』『明星』『日本海』
 『天草』『玄海』『快速1395M』。

 北海道・九州内の夜行列車
 『大雪』『普通552列車』。

 いまはもう
 姿を消してしまった列車たちを中心に、
 松本さんは乗車時の貴重な体験を語ります。
 
「ぎんがッ、かッこいいィでス!」
「がるるるぐるる!」(←訳:北海道の大雪も!)

 写真集ではないので、
 列車の内装や社内設備の画像などは
 多くはないのですけれども、
 時刻表に連なる駅名を見ては
 なるほどこのペースで運行していたのかと感心し、
 『あさかぜ』が瀬戸内海沿いに走る雄姿に
 ぼ~っと見惚れてしまったり。

 鉄道ファンでない方々も、
 新幹線や高速バスが誕生する以前、
 国内の東西南北を繋げていた
 列車たちの記録と記憶には、
 ちょっとね、
 うるうるしてしまうのではないかしら。

「にぎやかなァ、しょくどうゥしゃりょうゥ!」
「ぐるがっるるぐる!」(←訳:3段ベッドの寝台!)

 夜行列車の旅に
 未来があるとしたら
 それは、どんなかたちをしているのでしょうか。
 
 いまこの瞬間も、
 ひた走ってゆく列車たちに
 エールを送りたくなるノンフィクション作品です。
 鉄道好きな御方も、
 旅好きな活字マニアさんも、
 ぜひ、一読してみてくださいね♪
 
  


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~ 悠然と 海を飛べ ~

2020-09-05 22:05:12 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 てんかいィはァ、よそうゥがいィ~!」
「がるる!ぐるがる!」(←訳:虎です!思惑交錯!)

 こんにちは、ネーさです。
 《2020ツール・ド・フランス》第7ステージは、
 強風のため混乱気味の展開に?
 どうにかゴールしたものの、
 近付くピレネー山脈の難坂が波乱を予想させます……!
 明日の結果速報を待ちながら、
 さあ、読書タイムです♪
 本日は、こちらの御本を、どうぞ~!

  



     ―― ペンギンごよみ365日 ――



 編著者は水口博也(みずぐち・ひろやさん、
 長野敦(ながの・あつし)さん、2020年3月に発行されました。
 『365 Penguin days』と英語題名が付されています。

 ハガキよりひと廻り大きなサイズの、
 どっしり厚めなこの御本、
 たぶん書店さんでは
 動物本か写真集のコーナーに
 置かれていることと思われますが……

「うんにゃッ!
 ただのォしゃしんしゅうではァないィのでス!」
「ぐるがる!」(←訳:ほぼ事典!)

 季節ごとの、
 ペンギンくんたちの生態、
 表情やしぐさ。

 ぐ~ッとアップで、
 あるいは引きで、
 ペンギンくんたちを撮影した写真が、
 1月から12月の毎日、
 一日につき1枚で365日分も載っているんですから、
 確かに写真集ではあるのですが。

 写真に添えられたキャプション、
 というか、
 解説の文章が、
 すっごいんです!

「みじかいィのにィ~!」
「がるるぐる!」(←訳:鋭くて深い!)

 氷の世界を照らす陽光が、
 一瞬にしてかげり、
 暗雲に閉ざされてゆく様子。

 成鳥まであと少し、の頃の、
 育ち盛りのヒナの毛の色合い。

 海でのエサ取りから巣へと戻る途中、
 岩棚でのひと休み。

 そして、
 エルニーニョ現象が起きれば、
 ガラパゴスのペンギンたちは、
 いえ、ペンギンだけではなく、
 ガラパゴスアシカや
 ガラパゴスオットセイ、
 その他の海鳥たちもも、
 ことごとく子育てや育雛に失敗するという、
 切ない現実……。

「しらなかッたでス!」
「ぐるるがるる……!」(←訳:そんな悲劇が……!)

 もちろん、鮮明な写真も
 見ごたえ充分ですよ。

 ペンギンくんたちのルックスの、
 小さな差異に
 目を凝らせば。

 ロイヤルペンギン、
 マカロニペンギン、
 イワトビペンギン、
 マユダチペンギン、
 キマユペンギン……
 似ているけれど別人、いえ、別ペンギン。

 ヒゲペンギン……
 くしゃっとしたお顔が可愛くて
 マンガみたいだわ♪

 あら? キンメペンギンって、
 羽の色素が薄い、のかな?

「おなじィにィ、みえてもォ~」
「がっるるぐるる!」(←訳:けっこう違うぞ!)

 365日分の全解説を読破すれば、
 いつしか貴方も
 ペンギン博士に。

 ペンギンマニアさんはもとより、
 動物写真好きな活字マニアさんに
 おすすめの一冊です。
 ぜひ、手に取ってみてくださいね~♫
 
 
 
 

    では、ここで週末のオマケ画像も!
   
   『シャトレーゼ』さんの
   《ふんわりロール山梨県産シャインマスカット》ですよ。
   「わふふッ!だいこうぶつゥ!」
   「ぐるるっるがるるる!」(←訳:マスカット好きです!)
   フルーツ好きな御方は必食!のロールケーキでした♪

    大型台風の接近で、
    今週末は荒れ模様となりました……
    どうか皆さま、くれぐれも御自愛を。


    
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~ ガラス、その美 ~

2020-09-04 22:22:19 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 やまをォのぼッてェ~ふぃにッしゅゥ!」
「がるる!ぐるるーるがる!」(←訳:虎です!山頂ゴールです!)

 こんにちは、ネーさです。
 《2020ツール・ド・フランス》第6ステージのゴールは、
 彼方に地中海を望むが広がるモン・エグアル山頂でした。
 木漏れ日の並木道や、
 白い岩肌の崖、険しい坂……と、
 美しい南仏の風景を堪能した後は、
 さあ、読書タイムですよ。
 本日は、こちらのアートブックを、どうぞ~♪

  


 
   ―― ルネ・ラリック 北澤美術館所蔵 ――



 編者は北澤美術館の皆さん、著者は池田まゆみさん、
 2020年2月に発行されました。
 『RENÉ LALIQUE Kitazawa Museum of Art Collection』と
 英語題名が付されています。

 この御本は、
 東京都庭園美術館では2020年2月1日~4月7日、
 宇都宮美術館では2020年4月26日~6月21日に、
 そして今後は
 兵庫陶芸美術館へ巡回を予定している
 『ルネ・ラリック アールデコのガラス モダンエレガンスの美』展の
 公式図録なのですが、
 一般の書店さんでも取り扱われています。

「がらすのォ、まじゅつしィ~!」
「ぐるるるがるるる!」(←訳:工芸界の巨匠さん!)

 ルネ・ラリックさん(1860~1945)は、
 フランス北東部シャンパーニュ地方、
 マルヌ県のアイに生まれました。

 ちょうどいま、
 ツール・ド・フランスの選手さんたちが駆け抜けているのは
 風光明媚な南フランスの地ですが、
 シャンパーニュは、
 言わずと知れたシャンパンの産地!ですね。

 ラリックさんは、自然豊かなシャンパーニュの、
 母方の実家で祖父母に教育され、
 少年時代を過ごしました。

 おそらく、この、
 少年の頃に親しんだ”自然の美しさ“が、
 そののちの、
 アーティストとしてのラリックさんを
 形作った、のではないでしょうか。

「えェ? なんでェ?」
「がるるるぐるるる?」(←訳:どうして自然の美?)

 アールデコは
 直線と曲線の美。

 アールヌーヴォーは、
 流線と草花模様の美。

 などと形容されることがありますが、
 ラリックさんの作品は
 両方の要素を有しています。

 ガラスの大皿や、壺、照明器具。

 全体のシルエットは
 あっさりしているのに、
 ガラスの上にはツタがうねり、
 ワスレナグサが咲き、
 ツバメが飛び、
 蝶々が舞う。

 日本のリンゴの木、
 バラとユリの花、
 トンボ、孔雀、妖精といったモチーフも。

「どれもォ、かわいいィ~♪」
「ぐるがるるぐる!」(←訳:特に小鳥がいい!)

 アールヌーヴォーと
 地続きの、
 アールデコ。

 この御本では解説文で、

   前半生はジュエリー作家、
   後半生はガラスの産業芸術家

 とラリックさんを評していますが……

「りょうほうのォ、いいとこどりィ!」
「がるるぐるるがるる!」(←訳:そして工芸の頂点へ!)

 収録されている図版資料はとても精緻で、
 細部までくっきりと写っています。
 御本後半の略伝・年譜も分かりやすく、
 ラリックさんファンの方々は
 必見必読ですよ。

 コロナ禍の臨時休館や自粛で
 展覧会に行かなかったアート好きさんに、
 ガラス工芸好きな方々にも
 おすすめのアートブックです。
 本屋さんや図書館で、
 ぜひ、探してみてくださいね~♪
 
 

  
 
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~ 怖さも忘れて? ~

2020-09-03 22:38:45 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 ゆうしょうゥあらそいィにィ、へんかァありィ!でス!」
「がるる!ぐるるがるる?」(←訳:虎です!新たな首位は?)

 こんにちは、ネーさです。
 《2020ツール・ド・フランス》第5ステージを終え、
 総合首位の座をつかんだのは
 アダム・イェーツさん(国籍は英国)!
 イェーツさんに拍手を送りつつも、
 私ネーさの眼は現地で配布されているという
 《ツール》のロゴ入りオリジナルマスクに釘付けです。
 あのマスク欲しいわ!
 フランスに行きた~い!と歯噛みしながら、
 さあ、読書タイムですよ。
 本日は、こちらの御本を、どうぞ~♫

  



     ―― スワロウテイルの消失点 ――



 著者は川瀬七緒(かわせ・ななお)さん、
 2019年7月に発行されました。
 ミステリ好きさんに人気の《法医昆虫学捜査官》シリーズ、
 その第7作目にして最新作、ですね。

 前々回記事で御紹介したシリーズ第一作
 『法医昆虫学捜査官』から
 いきなり最新作に飛んじゃいましたが、
 えーと、そのぅ、
 ちょっと覗いてみようかな~と手に取ってみましたら、
 これが止まらなくなっちゃうくらいの
 面白さだったもので。

「……ううッ、こんかいィもォ~」
「ぐる……!」(←訳:虫だ……!)

 はい、虫です。

 『法医昆虫学捜査官』では、
 口にするのもはばかられる
 或るムシがどっかんどっかんと登場し、
 私たちを恐怖のどん底に叩き込んでくれました。

 この御本でも、出ます。
 大量に、出ます。

 それが何の種類の虫であるかは、
 ネタバレ回避のためにも、
 ここでは明かせないのですが、
 ただひとつ言えるのは。

 本来ならば、
 日本にはいないはずのヤツら……!

「ふァ? いないィ??」
「がるぐるがるるる?」(←訳:それ矛盾してるよ?)

 矛盾しているけれども、
 歴とした事実。

 この不可解な謎に立ち向かうのは、
 昆虫学者の赤堀涼子(あかほり・りょうこ)さんと、
 警視庁捜査一課の
 岩楯祐也(いわだて・ゆうや)主任です。

 赤堀さん岩楯さんをはじめ、
 管理官さんや所轄の警察署長さん立ち合いのもと、
 或る事件に関する
 司法解剖が開始された直後、
 異変が起こりました。

 突如、
 その場に居合わせた全員の体調に異変が!

「ええッ? ぜんいんッ?」
「ぐるるがる??」(←訳:なんでまた??)

 その原因を探るうち
 浮かび上がったのが、
 前日しましたように、
 “日本にはいないはず”のムシ、なのでした。

 いないはず、であるのに、
 どうしてここに?

 いえ、
 どこからここに?
 と言い換えるべきでしょうか。

「むむゥ~…むずかしィもんだいィでス~」
「がるるぐるるぅ~…」(←訳:経路の探索かぁ~…)

 日本にいるムシ、
 いないムシ。

 難問の解明に取り組むのは、
 もちろん赤堀さん&岩楯さんの名コンビ♪
 なんですけれど、
 肩入れしたくなる愉快な脇キャラさんたちが
 我も我もと出現してくれます。

 現場の捜査に初めて参加することになった
 捜査分析支援センターの技術者・波多野(はたの)さん。

 岩楯さんの部下を務める
 深水(ふかみ)巡査部長。

 彼らチームが一丸となって
 ようやっと見出した
 細く、かすかな痕跡とは……?

「てがかりィ、でスねッ!」
「ぐるがるぐるる!」(←訳:この先に真相が!)

 ムシ?
 いやだよう!
 読みたくないよう!

 と拒否したくなる活字マニアさんも
 おられるかもしれません。
 が、恐怖を忘れさせてくれる面白さの
 エンタなミステリは
 全活字マニアさんにおすすめですよ。
 ぜひ、一読してみてくださいね~♪
 


 
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~ 強くて、素朴で、たのもしく ~

2020-09-02 21:44:49 | ミュゼ
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 あううゥ~…ろすゥなのでスゥ~…」
「がるる!ぐるるる~!」(←訳:虎です!さみしい~!)

 こんにちは、ネーさです。
 ドラマ『私の家政夫ナギサさん』が
 大好評のうちに最終回となり、
 多部未華子さんファンの私たちは寂しい思いをしております……
 特別編に期待しつつ、
 どうか続編も!とも期待しつつ、
 さあ、本日は読書……をサボって、
 ↓こちらの展覧会情報を、どうぞ~♪
 
  



         ―― 大津絵 ――



 東京・千代田区丸の内の東京ステーションギャラリーにて、
 会期は2020年9月19日~11月8日
 (月曜休館、ただし9/21と11/2は開館)、
 『ŌTSU-E:ANOTHER HISTORY OF EDO PRINTING』と英語題名が、
 『もうひとつの江戸絵画』と日本語副題が付されています。

「わほゥ! これはァ~…?」
「ぐるるがるる?」(←訳:鬼さんだよね?)

  

 江戸時代の初期から、
 東海道の宿場町・大津(おおつ)周辺で作られ、
 みやげ物として、
 また実用品としても好まれた
 《大津絵(おおつえ)》。

 時代が明治に変わって以降、
 街道名物の役割を終えた《大津絵》ですが……

「じつはァ、いるのでスゥ!」
「がるるるるぐる!」(←訳:愛好家さんがね!)

 文人画家の富岡鉄斎さん、
 洋画家の浅井忠さん、
 民藝運動創始者の柳宗悦さん、
 染色家の芹沢銈介さん他
 多くのアーティストさんたちは、
 大津絵を愛し、
 コレクションしていました。

  

 この展覧会は、
 いままでは博物館や資料館等で
 歴史や民俗学の資料として扱われてきた《大津絵》を、
 初めて”美術“として捉え直す
 異色の企画展です。

 鬼や、弁慶、藤娘、金剛像、と
 かつての日本で
 庶民のごく身近に在った
 “ありきたり“だけれど“頼もしく”も“心強い“絵画は、
 どことなく、
 今春夏に大ブレイクした
 アマビエさま像を
 連想させるものが
 あるような……?

「そぼくゥ、でスねッ!」
「ぐるがるる!」(←訳:でも可愛い!)

 現存する貴重な作品150点が
 一挙公開される『大津絵』展は、
 チケット事前購入(日時指定)制となっています。

 チケットの販売期間は9月7日から、とのことですので、
 詳細については美術館HPで確認の上、
 皆さま、ぜひ、お出掛けしてみてくださいね~♫
 
 
 

    では、ここでオマケ画像も!
   
    9月だ!秋だ!
    チョコレートの季節だ!
    と張り切ってお店に行ってみたものの、
    新作ショコラは見当たらなくて、
    久々に買ってみましたよ、
    『森永製菓』さんの
    《ダース》を。
    「あんていィのォ、おいしさッ♪」
    「がるるぐるー!」(←訳:ロングセラー!)
    《ミルク》もいいけれど、
    おすすめはやはり《ビター》です!




    
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~ 怖きモノ、それは… ~

2020-09-01 22:30:18 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 ふァふゥ! すずしいィ~!」
「がるる!ぐるるがる!」(←訳:虎です!これが9月!)

 こんにちは、ネーさです。
 カレンダーが9月に変わった途端、
 猛暑の出口が見えてきたみたいですね。
 今日も《2020ツール・ド・フランス》の速報を気にかけつつ、
 さあ、読書タイムですよ。
 本日は、こちらの御本を、どうぞ~♪

  


 
      ―― 法医昆虫学捜査官 ――



 著者は川瀬七緒(かわせ・ななお)さん、
 単行本は2012年に、
 画像の文庫版は2014年8月に発行されました。

 先日ご紹介しました《賞金稼ぎスリーサム!》シリーズで、
 すっかり川瀬さんの大ファンになってしまった私ネーさ、
 勇躍……ではなくて、
 恐る恐るこちらの文庫作品を
 手に取ってみましたよ。

「むゥ? おそるゥおそるゥ??」
「ぐるがるるるぐる?」(←訳:なぜ恐る恐るなの?)

 ええ、“恐る恐る“にはワケがあります。

 以前から、評判を伝え聞いてはいたんです。
 《法医昆虫学捜査官》シリーズは
 すっごく面白い!と。

 けれども……
 題名にも入っている
 《昆虫学》というのが只者じゃないんです。

 だってね、この御本に出てくる昆虫って、
 NHK・Eテレ『香川照之の昆虫すごいぜ!』で
 カマキリ先生が追いかけてるような
 キラキラのカブトムシくんやトンボくん、
 クマゼミくんたちじゃないのよ……

 なんたって法医ってのが
 くっついてる昆虫学だから、だから……

「……いやァ~なァ、よかんッ!」
「がるぐるるがる!」(←訳:予感よりも確信!)

 物語は、大学の法医学教室地下にある
 解剖室から始まります。

 ポーカーフェイスを装いつつも
 内心は困惑し切っている立会人さんたち注視の下、
 おもむろに作業を開始してゆく
 司法解剖医さん。

 そう、これは“事件”なんです。

 解剖に立ち会っている
 岩楯祐也(いわだて・ゆうや)警部補は、
 このところ頻発している放火事件を
 思い浮かべずにはいられません。

 はたして、この被害者さんは、
 放火事件に巻き込まれたのか、
 それとも……?

 と、そこへ。

「うわわわァ~んッ!」
「ぐぐぐぐるるっ!」(←訳:ここここれはっ!)

 とある事象が勃発して、
 解剖室はパニック!

 いままで司法解剖には
 幾度となく立ち会っている岩楯警部補をも
 震え上がらせたそれは――

「わわッ、だめェでスゥ~!」
「がっるぅぐるる!」(←訳:言っちゃだめだ!)

 そうね、言えないわよね。
 まあヒントだけ記しておきますと、
 これを映像化してTVで放送しようものなら、
 全国から悲鳴と、
 山のような苦情が殺到するのは
 疑いない、ということでしょうか。

 それはそうとして、
 岩楯警部補さんたちは
 驚いてばかりはいられません。
 これはいったいどういうことなのか、
 何の意味があるのか、
 突き止めなくては。

「そこでェ、でばんッ、なのでス!」
「ぐるるが~る!」(←訳:専門家さ~ん!)

 専門家として
 白羽の矢が立ったのは、
 法医昆虫学者の
 赤堀涼子(あかほり・りょうこ)准教授。

 かくも恐ろしい事象の解析には、
 彼女の知識、経験、知見が
 大いに役に立って……くれますよね?

「えェ~とォ、それはァ~…」
「がるるるぐる!」(←訳:五里霧中です!)

 オープニングはリアルな警察小説、
 であったのが、
 赤堀准教授の登場とともに、
 どんどん意外な方向へ?

 ところどころで冷や汗したり、
 目が回りそうになったりしますが、
 確かに面白さ超級の
 《法医昆虫学捜査官》シリーズ第1作、
 怖いもの知らずな活字マニアさんに
 おすすめのミステリです。
 ぜひ、手に取ってみてくださいな~♪

 

 
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