正月以来の第２部の連載が始まり、毎朝万感胸に詰まるものをこらえて読んでいる。記者の粘り強い取材力、記憶がたどたどしい高齢者から聴き取る賢明な分析努力がひしひしと伝わってくる。想像を絶する戦争がもたらした悲劇、あってはならない出来事が発生しても何もできずに、時が過ぎていく。そこには、規律正しい、秩序ある美しい日本人では生きていけないものが多分にある。人は、究極の事態が発生したときにどういう行動をとるのか思い浮かばない。シベリア抑留で死人の服やナイフで分けるパン屑を奪い合う、出撃前に終戦、命が助かった人が亡き友をいつも忘れることができずに、心から楽しめない気持ち、目の前で殴られ生き途絶えた親、『Ｎｏ Ｍｏｒｅ Ｗａｒ』これ以上戦争は起こしてはならない。当たり前のこの秩序を乱すのは、狂った権力者である。そんな人物が日本にも誕生するのではないかと大変危惧する時代になってきている。