朝9時前… あるバス停を発車しようとしたら、前方から懸命に走ってくる一人の女性を発見した。が、広い歩道の“車道とは反対側”をずっと走っていて、バス停に近寄ってくる雰囲気ではなかった。
もちろん、手を上げるなどのアピールもなかったので、私は「自分は乗客ではないと教えてくれているのだろう」と思って前扉を閉め、バスを発車させつつ“念のため”様子を窺っていた… ららら! 急に進路を変えてバスの方へ近寄ってきたので、私はすぐにバスを止めた… なんでやねん!
また、あるバス停では3人が待っていた。そこには他の系統のバスも来るので、私は「○○行きです」と案内しながら前扉を開けた。すると、2人だけがバスに乗り、もう1人… お婆さんだけは乗らずにベンチに腰掛けた。
私は周囲を見回して「他には… 誰か走ってきてるとか… うん、誰もいないな」と確認してから前扉を閉め、右ミラーで後続車の動きを確認しながら発車~ と、その時! 「すいません、すいません!」という声が聞こえたのである。
驚いた私が反射的に左を見ると、前扉のすぐ外側に一人のお婆さんが…!!! 私はバスを止めて前扉を開けながら「このお婆さん、いつの間に… 何処からやって来たんだ!?」と思ったけれど、すぐに“ベンチに腰掛けいたお婆さん”がいないことに気が付いた… なんでやねん!
お婆さんが「ごめんなさい、フリーパスが見つからなかったもんで…」と言ったので、私は「そういうことだったのか! でも、そういう場合は乗ってから探すんだけど… ビックリさせないでよぉ~」と思った。
しかし、後になって考えてみると… そのお婆さんは「乗ってから探していたら… ましてや見つからなかったら、みんなに迷惑を掛けてしまう。それならば、次のバスでもいい」と気を遣ってくれたのかも…
でも、フリーパスが見つかった瞬間、まだ目の前にバスがいたもんだから… ついつい急いで呼び止めて… 結局、時間をロスさせて… あぁ、人間って… いくつになっても誘惑に弱いものなのねん。ハハハ…