お昼前の★★駅行き… バス停で止まるたびに乗客が増えたり減ったりしていたが、だいたい20人くらいのお年寄りと4~5人の若者を乗せて走っていた。もちろん“助手席”にも誰かが座っていたけれど、それがお年寄りなのか若者なのか、男なのか女なのか、私は把握していなかった。というか、把握する気もないけれど…
路線の半分を過ぎた頃… ある交差点を左折する時、私は安全確認のため、周囲をじっくりと見ていたところ… 助手席の人が“何か書いている”ことに気が付いた。一瞬「モニターか!?」と思ったが、さすがに“そんなバレバレの席”には座らないだろう。
そうそう、今月は“接客サービスなんちゃって月間”ということで… お役所の手先が大挙して乗り回っているらしいので、私は「そうか、そうに違いない! きっと、終点で多くのダメ出しを食らうんだろうなぁ~」と思った。
終点の★★駅に到着… いつの間にか30~40人ほどに増えていた乗客が、前&中扉から一斉に降りて行く… が、案の定、助手席の人に動く気配はなかった。そして、全員が降車を終えると同時に席を立ち、私に声を掛けてきた。
見ると、その人は“とても上品で優しそうなお婆さん”で、私に一枚のメモを手渡したのである。そこには、外見に見合った“上手で丁寧な文字”で「あなたを愛して…」 否、「揺れるバスで…」と書かれていた。
一瞬、私は「えっ!? バスが揺れるって… 先日のモニター!? そんなバカな…」と思いながら、文章を最後まで読んでいたところ、お婆さんが補足してくれたのだが… 要するに“揺れるバスの中で、目の周りの化粧をしている女性が(背後席に)いたので、危ないから注意するように、車内放送とポスターをお願いしたい”とのことだった。
正直なところ、私は「はぁ!? そんなこと…」と思ったけれど、お婆さんの上品さに敬意を評して、とりあえず「ありがとうございました」と答えて、立ち去るお婆さんの後ろ姿を見送ったのだった…
あくまでも、お婆さんのニュアンスは“化粧禁止!”ではなく“目を傷付けないように~”であった。きっと、お婆さんは仏様のような方… 否、実は“既に仏さん”だったりして!? ひぇ~!(オマエに近寄ってくるのは、そんなもんだろうな。ハハハ…)