おぢのニセコ山暮らし

山暮らしと世間のあれこれを書き綴ります

区域外滑走による死亡事故その2

2013年01月30日 | Weblog

午前6時の気温はマイナス7度。雪が降っております。いまのことろ5~6センチ程度。これからズンズン増える気配でござる。

午前7時を過ぎて、スキー場方向から発破の音がドンドンと響いております。雪崩防止のため、人工的に雪崩を起こしておるのでしょう。関係者の皆さま、早朝からまことにご苦労さんなことでございます。

先日の区域外滑走による死亡事故ですが、聞くところによると、窒息死だそうな。

数少ない読者の中にも、深雪ファン、新雪ファンがいるでしょうから、よくおわかりでしょう。ふあふあした浮遊感、むせ返るような粉雪を胸から頭までかぶりながらの滑走、なんともいえない快感なのでござる。

この魅力に取りつかれてご当地に移住する人は、おぢだけではございません。亡くなったニセコ町の方もレンタルコテージを経営する50代後半のベテラン深雪ファンだと聞いております。

一度、深雪の魅力にはまったら、もう抜けられませんのです。ただ、どうしてあの日、ルールを無視して滑ったのか。

いい感じで深雪があったので、おぢも滑りたかったのですが、吹雪のあとは雪崩の危険が大きく、だからこそ、ゲートは閉じておったのに… まことに残念なことです。

一般に深雪で転倒すると、起き上がるのがたいそうしんどい。おぢのような年齢だと、体力的にもかなりの疲労でござる。起き上がるまで疲れること、疲れること、ハンパないのでござる。おまけに一人で滑走して転倒すると、不安にもなりますしね。

とにもかくにも、一旦転んだら、底付きのない深雪ですから、もがいても、もがいてもなかなか起き上がれない。

スキーの場合は、ストックを突こうにもずぶずぶどこまでも埋まる。いまどきは、ストックの先についているリングもゲレンデ用の小さな輪から深雪用の大きな輪までありますが、その大きな輪ですら、深雪で転ぶとほぼ役に立たない。

立ち上がろうと、ストックを下向きに突き立てても、ずぶずぶ。この時ばかりは昔の竹でできたチョー大きな輪のストックが重宝すると思うけど、いまは売っておるのか?

なんとか起き上がるには、斜面に対して横向きになり、腹筋やら何やら、あっちこっちの筋肉を使い、さらに体制を整えて、ストックを短く持って、ようやく起き上がる。ホッとすると同時に、どっと疲れも出るのです。

おぢのようにメガネを着用しておると、起き上がってもゴーグルからメガネから雪まみれであたりがまるで見えない。さらにホワイトアウトしておったら、どっちが山側で、どっちが谷側かもわからない。起き上がって、いきなり谷側に倒れてしまったこともありましたです。

ニセコアンヌプリ山頂からの滑走だと、山スキーとほぼ一緒。滑ってる人は見えてもはるか遠くで、声も届かない。一応、笛は身に着けてますけどね。

転倒した場合、これに加えてリーシュ(流れ止め)を付けていないと、スキーが外れて行方不明になる。深雪の中なら、外れたスキーを探すだけでも、周りに数人仲間がいても1時間もかかる場合だってある。

実際、今シーズンも管理されたスキー場内にもかかわらず、リフト下で延々30分以上も子供のスキーを探しておる外人スキー客がおりましたね。

たいていは、転倒して止まった地点のかなり上、3~5メートルも上にスキーが埋まってる場合が多いです。

そんなことで、足とスキーをつないでスキーが逃げないようにしておく、ひも状のリーシュは、深雪を滑るときの必須アイテムでござる。

ことほど左様で深雪で転倒すると、たいそう危険でヤバい。ひとりで区域外に入るときは、「ニセコなだれ情報」をきちんとチャックするとともに、パトロールの指示に従い、けっしてロープをくぐってはいらないことが肝要でござる。

まして今回のように亀裂に落ちたら、這い上がるのは至難の業。深い亀裂なら、そのまま完全に雪に埋もれます。身動きがとれずに窒息死するのも無理ないのでござる。

世界に誇る魅力あるご当地の深雪ですが、命の危険も多くはらんでおる。くれぐれも装備を整え、ルールに従って滑走していただくよう、ご当地を愛する深雪ファンのひとりとして、切にお願いいたしまする。