午前6時の気温はプラス8度。
曇り空の静かな朝でござる。
今朝は久々、午前5時過ぎに目が覚めました。風邪から完全復帰です。
寝込んだりしなくなったのは、「ニンニクの酢漬け」の効果でしょうか?
ところで、
泊原発の事故を想定した原子力防災訓練がきのう、ご当地など30キロ圏内の13町村で行われましたです。
呆れたのは「南からの風が吹いたとの想定」。それってなんじゃらほい?
これだと、放射性物質は海に流れるのですが、現実的には、冬なら北風だし、ほとんどは偏西風で札幌方面へ風が流れるわけで、なんとも現実的ではないのです。
そもそも、そこらあたりがなんとも怪しい訓練なのじゃ。
で、今回は初めて自家用車での避難と、これによる渋滞を想定したそうな。
おぢはこの日朝から「原発ホワイトアウト」を読んでおりました。
この本の終盤、原発事故が発生し、避難する人たちの車で大渋滞が起き、それに伴って交通事故が相次ぎ、道路はにっちもさっちもいかなくなる。
人々は、放射性物質が飛び交う中を歩いて避難することになる。
過日も書きましたけど、アメリカには避難計画が十分できないから、原子炉が完成しても稼働できなかった原発がある。
ところが我がニッポン国では、原発がありながら、ろくな避難もできないわ、避難計画もないわのお寒い実態なのじゃ。
ご当地周辺でも、狭い片道1車線の道路しかないわけで、原発事故に伴う避難では当然のことながら渋滞、そして事故でござる。ホントヤバイです。
それにしても、この原発ホワイトアウト、一気に読んじゃいましたけど、まことに興味深い内容でした。
なんといっても、「原子力ムラ」が、なにで、どう支えられておるのかがよくわかる。
電力会社、官僚、政治家がカネとコネで強力に結びついておる実態が、著者である官僚ならではの視点で描かれておる。
これを支えておるのは、「総括原価方式」そのものだ。
経費が増えれば増えるほど、電力会社の利益が増えるのが総括原価方式。
このため電力会社から発注される資材調達、燃料の購入、工事、施設設備から清掃、広告宣伝にいたるまでが、通常より2割は高いのだとか。
だから電力会社と取引する会社にとって、電力会社はまことにありがたい「お得意様」でござる。
競争社会にさらされる企業にとって、電力会社は「お大名」ということ。
原発に賛成しておれば、電力会社は一般より2割高い金額で発注してくれるわけで、こんなおいしいことはない。
このように、企業には通常より2割も多い儲けがあるのですが、実はそのうちの5%を供出、還流させるのだそうな。
この本では、関東電力(東京電力)が「東営会」という組織を作り、そこに4%を還元させている。
関東電力の外部発注は年間2兆円だそうだから、約800億円が実質的に関東電力が自由に使えるカネとなる。
これが全国の10電力会社すべてで行われているわけで、これこそが「法的に問題のない裏金作りの実態」なのじゃ。
このカネで与野党双方の政治家のパーティー券を購入し、大学への寄付金にもなる。
大学への寄付金は、選挙に落選し、金に困っておる「今後有力とみられる野党議員」を講師や特任教授などの名目で雇ってもらうため。
与野党を問わず、カネで恩を売り、電力会社の味方を作り出す。
加えて自民党なら電力会社が会社を挙げて支援するし、民主党なら電力労組が支援する。
しかも与野党双方の選挙には、電気料金の支払い情報が活躍する。
地域の営業所長が詳しく書き込んだ、誰が民生委員か、小学校の校長か、電力会社からの受注をしている会社はどこかなどを与野党双方の候補に流す。
しかも、電気の支払い料金と可処分所得は相関関係があるそうで、その地域の誰が金持ちか貧乏人かも一目瞭然なのだそうな。
電力会社の味方となる議員が、与野党から誕生するシステムがこれだ。
そして、この本ではこう書いておる。
「電力会社にとっては、核のゴミや原発の後始末といったことに頬かむりすれば、原発はジャラジャラ金が流れてくる現金製造機みたいなもんです」
主人公の資源エネルギー庁次長が呟くセリフでござる。
原発推進派の皆さんは「原発がなくては、ニッポン経済が立ち行かない」とか申します。
しかし、電力は足りてますし、原発ゼロでも経済はいまんとこ、まるで影響がない。
原発がないと困るのは「原子力ムラ」のカネに群がる国会議員と、電力会社からおいしい発注を受ける企業。
そして電力会社と官僚だけでござる。
彼らにとっての「現金製造機」に苦しめられる、一般国民ってなんじゃらほい? と思うのはおぢだけか。
原発推進派の皆さんも反対派の皆さんも「原発ホワイトアウト」のご一読をお勧めいたします。
官僚の皆さんから見た、ニッポンの原発の実態がここにあるのです。
ニッポン国は、ありゃりゃなことになってますよ~