以前、何かで読んだサーカスの面白い話で、
まだ力も弱い子供の像の足に、
動けないように鉄球を付けて育てると
成長し大人になっても同じ鉄球を付けるだけで、
その場を動かないそうです。
大人になって力も数倍になっていて、
そんな小さな鉄球を動かそうとすれば
動かせるはずなのにです。
この話の真贋は確かめてはいませんが、
子供の頃の体験によって思いこんだものは、
大人になってもこんなに強く影響を与えることを
示している話となっています。
この話を聞いて、
「動物は馬鹿だなあ。」
「動物は愛嬌があるなあ。」と
他人事ではなく、
動物ごとと思う方もいるかもしれませんが、
これ、人間にもしっかりと当てはまる話です。
まだ幼い頃、
人との関わりや何かの結果によって
強く思いこんだものを信じ込み、
その信じ込んだものが
成長し大人になった自分の
手枷足枷となってしまっているものに、
気付かずにいる方も多くいます。
また逆に、大人になった自分の支え、
力となっているものもあるのですが。
このような人は特例ということではなく、
殆どの人に大なり小なりあるものです。
「本当にお前は出来の悪い奴だなあ。」と「お前は凄いなあ。」
両親や幼稚園の先生、
仲間から何気なく言われた言葉。
一度や二度ならまだしも、何度となく言われた言葉。
子供の頃からしっかりひねくれているなんてことはまずなく、
誰しもが純粋で素直な心を持っています。
周りから投げかけれらた言葉を
素直に吸収してしまいます。
褒められ、おだてられたことばが多く、
それを意識するしないに関わらず、
どこかのレベルで思い込めたら、
その言葉が心の奥で原子炉のように
燃え続けていたりしますから、
本来の能力を十分発揮したり自己受容が強くなったりして、
そのまま、どんどん調子にのっちゃえば良い訳です。
しかし、否定的な言葉や態度が多く向けられた場合、
「そうか、僕って(私って)頭が悪いんだ。」とか、
「そうか、僕って(私って)邪魔な子なんだ。」とか、
思いこんでしまったら、困ったことになります。
そんな一件や、
言葉がさほど影響なく育ったように思えても、
ある時、ある環境で、ある状況になった時、
それまで感じることがなかった手枷足枷が、
その一歩先へと踏み出すことを
強烈に阻む存在として突如現れ、
行動に制限をかけます。
この時、「自分はそうだから仕方が無い。」と、
その思い込みに呪縛されている自分を
心から受容出来れば良いのですが、
その先へ行けない自分を駄目な奴だと評価して、
自分を責め、そして、辛さや苦しみを
感じてしまうことが多くあります。
この手枷足枷を引きちぎるための方法として、
前回のブログで紹介した催眠ブースターもその一つです。
催眠ブースターで、
信じている自分の枠外の行動を取ることで、
思い込み信じていることが壊れ、
新たな自己イメージが形成されていきます。
行動療法的な意味合いと効果をねらったものです。
ただ、このやり方は
あくまで一つのやり方でしかなく、
思い込み信じ込んでいるものが、
とても強烈である場合には、
枠の外の行動をしたとしても、
「それはたまたまである。」とか、
「いつもそうはいかない。」とか、
「調子に乗ると後でえらい目にあう。」とか、
思い信じ込んでいる自分像を
維持しようとする力が働くことがありますから、
私の場合は、一発を狙うのではなく、
まず、本人の思い信じている自己像を
揺るがすことから始めるようにしています。
何故、順番がそうであるのかを紹介すると長くなるので、
今回は、ここまで。
催眠療法&心理療法 神戸ストレスカウンセリング・ルーム花時計