日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

生活者は、案外冷静に見ているかも知れない

2014-12-12 21:20:18 | アラカルト

先日、朝のFM番組を聞いていたら今回の衆議院選挙についての街頭インタビューを紹介していた。
場所は、名古屋の大須商店街。
名古屋以外の方にとって、「大須商店街」という場所のイメージが湧かないと思うのだが、東京の「巣鴨」の様な一面を持っていながら、「秋葉原」のような「オタク文化」の発信地でもあり、ここ20年位はすっかり若者の街として生まれ変わった、「大須観音」の門前町の商店街だ。

その様な商店街でのインタビューなので、インタビューに答える人たちも様々。
子育て中の主婦、サラリーマンやお年寄り・・・。
一応に答える内容は、当たり障りのないようなものだったのだが、その中でおそらく20代であろうと思われる若い女性の言葉に、驚いたのだった。
その内容とは・・・。
「え~っと、今って自民党だっけ?別に自民党とかどこの党でもいいんだけど、安倍さん、辞めてほしい!だって、全然良いことやってないじゃん!税金あげるとか戦争できるとか、好き勝手なことばっかりしてるじゃん」
おそらく、朝のFM番組で名古屋の街頭インタビューということもあって、このような放送ができたのかもしれない。

話し方から察すると、普段は政治に関心がなさそうな若い女性という印象。
しかし、なかなかの核心をついている。
一部では若い世代の保守化、ということが言われ、その保守的な若者たちは安倍さん支持というメディアなどの報道もある。
確かに、生活志向などでは「保守的」になっていると思われるところが多い。
たとえば、このインタビューに答えた20代の女性の半数は「専業主婦になりたい」と、思っているといわれている。
その理由の一つとしてあげられるのが、今の40代以上の働く女性たちを見てきて「働くことの意義は十分理解しているけど、男性のような働き方を求められ、そのうえに家事や子育てがのしかかってくる」という現状を、見ているからだといわれている。
安倍さんが打ち出した「子育て3年抱っこし放題(だったか?)」のような政策では、とてもではないが今の若い女性に「働きながらの子育て」などは理解されない、ということだろう。
「保守化」と言いながら、本当のところは「リスク回避志向」ということなのかもしれない。

そう考えると、「若者の保守化=安倍支持」というほど、単純ではなさそうだ。
確かに、勇ましい発言をする安倍さんの姿は民主党政権時の鳩山さんや菅さんとは、ずいぶん違う印象がある。
「グイグイ、国民を引っ張って行ってくれそう」な雰囲気があるようにも、見える。
問題なのは、安倍さんが国民を引っ張っていきたい方向だ。
選挙では「アベノミクスの継続、経済の発展」ということを掲げる安倍さんだが、すでに国内外から「アベノミクスは失敗であった」という声が出始めている。
「円高誘導で、輸出産業の推進・・・」という、それこそ「昭和40年代」の輸出産業を中心とした、経済モデルの再来を考えたように思われる「アベノミクス」。
しかし現実は、バブル崩壊後それまでの主要輸出産業であった自動車産業や電器産業などは輸出先での「現地法人」による生産体制へと切り替え、日本国内の生産拠点を減らしていってしまっている。
「輸出産業の大幅黒字」というのは、それこそ「数字のマジック」でしかなく、その内容がわかれば「アベノミクス」は、決して成功し、継続できるものではない、ということがわかる。
にもかかわらず「アベノミクス」にこだわるのは、安倍さんがこの2年間で行った他の政策に、目を向けさせないためだろう。

そういう安倍さんや自民党の姿勢を、国民は敏感に感じ取っているのではないだろうか?
少なくとも、インタビューに答えた20代と思われる女性の「安倍さん、辞めてほしい!」という言葉には、そう感じさせるものがあった。