最近FM番組を聞いていると、聞きなれない言葉を耳にするようになった。
「ハイレゾ」という言葉だ。
普段聞いているFMではなく、「高音質音楽専用衛星デジタルラジオ」の番組で使われている。
ただ、最近ではこのような高音質の衛星デジタルラジオだけではなく、ネットでも「ハイレゾ」の音楽が聴けるようになってきたようだ。
ソニーはすでに「ハイレゾ対応のウォークマン」を発売している。
「ハイレゾ」という、CDよりも高音質で原音に近い音楽が楽しめるようになるのは、音楽ファンにとってはうれしいことだ。
しかし考えてみれば、「音質」がよくなることで楽しみが増えるのは、何も音楽に限ったことではないと思う。
たとえば、映像の分野だ。
一時ブームとなった(?)3D映像。
家庭用テレビでも、デジタル放送に次ぐ新しい映像技術として期待されたが、結果はご存じのとおりだ。
その後、4Kテレビが今年登場し、家電メーカー各社が力を入れているようだが、4K映像を受信するための専用チューナーなどが必要なこともあり、普及には程遠い感がある。
最近「ハイレゾ」という言葉を聞くたびに、映像ばかりが進化して、音質がおざなりになってしまっているのでは?という気がしているのだ。
もともと「ハイレゾ」を十分堪能するのは、上述した通り「音楽」向けだ。
しかし、「原音に近い」という点を考えてみれば、映画やドラマ、スポーツなども映像とともに、「音」も重要なのではないだろうか?
映像ばかりが迫力があっても、音がその映像にともなっていないと、魅力は半減してしまうのではないだろうか?
趣味として本格的な映像とオーディオシステムが楽しめる専用の「オーディオルーム」が持てるような人であれば、問題はないと思うのだが、そのような「本格的なオーディオルーム」が持てる人ばかりではない。
映像と同じだけの迫力ある音で、テレビが楽しめたら「テレビの楽しみ方」そのものも変わってくるのではないだろうか?
その意味では、もしかしたら低迷しているソニーなどは期待できるかもしれない。
他の家電メーカーにしても、YAMAHAなど世界的にも優れた音響技術を持っている日本の企業とジョイントすることで、これまでとは違う市場を創り出すことができるかもしれない。
そのためには、日本のテレビ局も番組を制作する方向を変える必要があるかもしれない。
なぜなら、安直なバラエティ番組では「ハイレゾ音源」で、「ハイビジョン映像」を楽しむ必要がないからだ。