日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

スマホが無いと、友達が作れない・・・か?

2015-04-09 20:40:54 | 徒然

3月に行われた東大の教養学部の石井洋二郎学部長の卒業の式辞とともに、先週末行われた信州大学の山沢清人学長の式辞が話題になっている。
特に信州大学の山沢学長のことばが、朝日新聞で「スマホ止めますか?大学辞めますか?と入学式で学長が新入生に迫る」という、センセーショナルな見出しを付けたために、式辞の内容よりも、この見出しのほうが話題になってしまった感がある。
見出しというのは、ある程度センセーショナルな書き方をするので、割り引いて考えるようにしているが、確かにこの見出しはセンセーショナル過ぎた感がある。

ところで東大の石井学部長と信州大の山沢学長の式辞をよく読むと、共通している点がある。
それは「情報の元は、自分で確認をする」という点だ。
巷にあふれるさまざまな情報をうのみにするのではなく、自分で考え、情報の元を自分でたどり、調べる」ということの大切さを言っている。
東大の石井学部長は、これまで伝説?の式辞とまで言われた「肥った豚になるよりも、痩せたソクラテスになれ・・・」という式辞を引用し、その式辞そのものがオリジナルではなかったこと、しかも式辞では使われていなかったことなどを挙げ、情報の拡散による「虚偽から生まれる真実性の危険性」のようなことを指摘された上で、ニーチェの言葉を引用している。

一方、信州大の山沢学長の言葉は、朝日新聞の見出しほどではなかったものの、新入生にとっては「衝撃」だったようだ。
朝日新聞に掲載されていた、入学式後の新入生の言葉に「スマホがないと、友達も作れない」という言葉が、象徴的だと思う。
この言葉を見たとき、「イヤイヤ、スマホが無い時代のほうがず~~~~~~と長く、その間に学生生活を送った人たちは、スマホが無くても十分友達はできたし、大学時代の友達が、生涯の友達となっているけど!」と、ツッコミそうになられた方も多いのではないだろうか?

確かに「スマホ」そのものは、便利なツールでさまざまな事柄を「検索」するのは、短時間で楽だ。
連絡を取り合うのも、相手の都合を考える必要もなく、メールやLineで連絡をすることができる。
その「短時間で楽」の裏に潜む、思考力と「人としての知的さの喪失」という問題点がある、と思っている。
コミュニケーションというのは、ネットの上ではなく本来人と人が顔を合わせ、その人の言葉で話をすることだ。
そこには、相手の表情を見たり、語気を感じたりするための「感覚や感性」が必要になる。
それこそ、自分の持っている「感」をフル活動させなくてはならないのが、コミュニケーションだ。
なにより、ネット上にある情報の多くは「発信者のバイアスがかかった情報の賛同者」によって拡散している、ということを理解する必要があると思う。
そのようなトレーニングもされないまま、ネット上の情報を信用したり、ネット上の付き合いをコミュニケーションだと考えることは、「知の喪失」だということを、二人の先生は言っているのでは?と思う。