日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

左党に、厳しくなるこの頃?

2015-04-28 21:17:15 | アラカルト

昨年、サッポロが「極ZERO」という、第3のビールを発売した。
しかし、国税から「第3のビールではなく、税率の高い発泡酒」だと指摘され、追徴課税された上一時生産を中止、改めて「第3のビール」として発売をした、という経緯があったということは、ご存じの方も多いと思う。
その後、サッポロ側が「第3のビールなのか、発泡酒なのか」調べたところ、やはり「第3のビール」であったことが確認され、追徴課税分の115億円分の税金の返還を求めていたが、国税側からは「返還しない」と通知していたようだ。
サンケイBIZ:国税当局がサッポロビールに「115億円返還しないと通知」酒税分類問題

これまで、ビール会社と国税との間には「酒税」を巡って様々な攻防戦が繰り広げられてきた。
「攻防戦」というと穏やかではないが、ビール会社側はビールの酒税が上がるたびに、顧客の確保のために「発泡酒」を創り、「第3のビール」を創ってきた。
それだけではなく、これまでのビールよりも「美味しさ」を追及した「プレミアムビール」の開発にも取り組んできている。
結果として、普段の晩酌には「第3のビール」、お給料日や何かうれしいことがあったときやギフトでは「プレミアムビール」という、「ビール」という市場の中で、棲み分けのようなものができてきた。
これは、ビール会社の努力と生活者の需要と家計のやりくりからできてきた「市場」だとも言える。

その「市場」に水を差すような格好になったのが、今回のサッポロ「極ZERO」の酒税分類だったのだ。
サッポロという大きな飲料メーカーであっても、115億の収益を上げるというのは並大抵のことではない。
せっかく「ビール風味(とあえて呼ばせていただくが)のお酒で、楽しんでいる」左党の方々にとっても、「企業努力分を認めて、楽しく飲ませてよ」という気持ちになっているのではないだろうか?

そして左党の方々にとっては、「どうして?!」と思うような動きも最近でてきている。
それはお酒の大型ディスカウントストアに対する、規制という案だ。
私自身、ほとんどお酒を口にすることはないのだが、お酒のディスカウントストアには時々行ったりする。
というもの、お酒だけではなく独自の輸入ルートで、海外の珍しいジュースなども販売しているからだ。
日本ではなかなかお目にかかれない「ブラッドオレンジジュース」や「ザクロジュース」などは、このようなお店でなくてはなかなか手に入らない、というのが現状だと感じている。
もちろん、海外の珍しいジュースを輸入しているのだから、独自のルートで日本では紹介されていないような小さなワインメーカーやビール会社、時には共同開発といった商品もある。

おそらく、政府が規制したいと考える理由は、現在ある小規模店舗の酒屋さんを保護するためなのだと思う。
小規模店舗の酒屋さんからすれば、ディスカウントストアーの大規模店舗は、脅威だと思うし昔のような商売では成り立ってはいかない。
だからと言って、政府がディスカウントストアーの規制を考えるというのは、いかがなものだろう?
大規模チェーンのディスカウントストアーは、それなりのリスクをとってオリジナルの商品開発や独自の輸入ルートを持つ努力をしている。
小規模店舗の酒屋さんの顧客は実は個人ではなく、飲食店で昔ながらの「御用聞き」のような、小さいからできる機動力のようなところで、商売をしている。

そのような事情も理解されず、なんとなく一部の人たちの都合で様々な規制がされ、生活者の楽しみがなくなるような気がするのだ。
いずれにしても左党の方にとっては、ゆっくりとお酒を楽しめなくなりそうな話題が目立つこの頃だ。