先日、文化庁が18の「日本遺産」を認定した。
文化庁:「日本遺産(Japan Heritage)」の認定結果及びロゴマークの発表について(注意:PDFファイル)
「日本遺産」という言葉そのものは聞きなれない言葉だと思うが、文化庁が海外からの観光客誘致のために、日本各地の魅力をアピールする目的で、認定した地域のことだそうだ。
今回は、18地域を「日本遺産」として認定したが、応募そのものは83地域あったようだ。
今回認定された18地域だが、特定の自治体の限定しているところもあれば、「四国お遍路」のように四国各県が一緒になって申請をした地域もある。
その範囲は様々なのだが、共通している点は「特定の地域だけ」をPRするというのではなく、いくつかの点を結び、線と線をつなげ、一つの「ものがたり」を創っている、という点だ。
これは、文化庁が応募の基準として設けていたのだが、この「点と点を結び、線と線をつなげ、ものがたりを創る」という視点が今までの観光地には、なかった点だと思う。
たとえば世界遺産として登録された、「白川郷」。
白川郷に行く人は増えていると思うのだが、その途中の観光を楽しむ、という人はほとんどいないのではないだろうか?
それが悪いわけではないが、白川郷だけを観光するのではなく、白川郷という地域がなぜ今でも残っているのか?という「ものがたり」があったり、その周辺地域との関連性が加わることによって、「白川郷へ行く」ことの楽しみを増やしてくれると思うのだ。
そう考えると、残念だな~と感じる地域もある。
たとえば、ナショナルジオパークに認定されている、山陰海沿岸。
おそらく地元の方たちは、一生懸命その魅力を伝えようとしていらっしゃるとは思うのだが、その魅力がなかなか外には伝わってきていないように感じる。
上述した通り、点として魅力を伝えるよりも線や面(周辺地域を含めた)で歴史や文化、祭りなどを紹介したほうが、スケールメリットが生まれ、観光客の滞在時間が長くなる。
「滞在時間」が長くなるは、経済的な意味でも大きい。
何より、個々の地域では伝えきれない魅力を伝えやすくなる。
そしてこのような「点と点を結び、線と線をつなぐ」ということは、観光事業に限ったことではない。
下町の町工場なども、それぞれが得意としている分野の技術を持ち寄ることで、大企業でもできないような大きな事業を展開することもできる。
それが「下町ロケット」であったりする。
先日亡くなられた村田昭治先生は、「ものがたりを創る」大切さを常々お話をされていたのだが、「ものがたりを体験する」という意味でも、この文化庁の「日本遺産」の認定は、画期的なことだと思う。