日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

「ポイントカード」合戦に思う

2015-04-29 21:14:33 | ビジネス

最近、街を歩いていて目にするモノの一つに「〇〇ポイント」というのぼりがある。
特に目立つのは、昨年ソフトバンクが加わった「Tポイント」と、楽天が展開している「Rポイント」だろうか?
他にも、イオングループの「WAON」やローソンの「Pontaポイント」などだろうか?
ネット通販でも「アマゾン」や家電量販店の「ヤマダ電機」なども、購入額に応じてオリジナル(?)のポイント制の運用をしている。

この中で、イオンの「WAON」や「アマゾン、ヤマダ電機」のポイントというのは、ポイントを発行している企業と運用している企業が同じなので、使えるポイント先も限られている。
それに対して、「Tポイント」や「Rポイント」、「Pontaポイント」は、いくつもの企業が参加をしている「共通ポイント」になっている。

そして最近目立つのは、「Tポイント」と「Rポイント」のポイントカード発行競争(?)だ。
近所に複数のコンビニがあるので、日替わりというわけではないのだが、用事や品ぞろえ傾向に合わせて、いろいろなコンビニを利用する。
そしてどこのコンビニでも会計をするとき聞かれるのが、「〇〇(ポイント)カードはお持ちでしょうか?」だ。
「持っていない」というと、すぐさま「おつくりしましょうか?」と聞かれることになる。
そして丁重にお断りをすることになるのだ。

「ポイントを貯めれば、買い物のとき安くなるのに・・・」と思われると思うのだが、それと引き換えに相手に提供する様々な(個人)情報のことを考えると、ポイントカードそのものをつくる気になれないのだ。
というのも昨年ソフトバンクが参加を決めた「Tポイント」の規約の中に、購入履歴などを運用会社から個々の企業に提供する、という内容が話題になったからだ。

そもそも「ポイントカードを作ってもらう」ということは、顧客の囲い込みが目的としてある。
昔のような、「購入金額に合わせてスタンプを押してもらう」という程度であれば、購入履歴などは残らない。ポイントが貯まって商品購入の時、割り引いてもらうときに住所・氏名をポイントカードに記入しても、DM発信くらいにしか、使用することができなかった。しかし今の「ポイントカード」は住所、氏名、生年月日などとともに、共通ポイントカードであれば逐次購入履歴が残り、それこそ「購入履歴から、生活の姿」のようなものが、簡単に分析されてしまうような仕組みになっている。

マーケティングをする側としては、願ってもいない「顧客のビックデータ」となるのが、今の「ポイントカード」であり、それだけ企業が個人情報を得やすいともいえる。
逆に言えば、それだけ今の生活者の姿が見えにくくなりつつある、ということだと思うのだが、だからと言って「ポイントを貯めて、お値打ちに買い物」ということばかりを強調するのは、どうなのだろう?
楽天などの場合、毎月「現在のポイント数は☓☓、来月△△ポイント分の買い物をすると、シルバー会員(やゴールド会員)にランクアップ。ポイントも多く付きますよ」というメールが送られてきて、「買い物をしないと損ですよ」という気にさせられる。いまどき、そのメールでどれだけの人が「買い物をしようか!」という気になるのかはわからないが、個人的には、「なんだかな~~~」という気分になってしまう。

最近の「ポイントカード」合戦を見ていると、なんだか「個人情報獲得合戦」のように見えてくるのだ。