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「物語のある」ものづくり

2017-08-03 21:11:41 | マーケティング

Yahoo!のトピックスバナー広告に、ホンダのNシリーズが表示されるようになった。
ご存じの通り、ホンダのNシリーズというのは、現在ホンダが販売している「軽自動車」のことだ。
その「Nシリーズを一新します」という、告知広告が表示されているのだ。

その告知広告の動画(=CM)が、どことなくこれまでのホンダが創ってきた「クルマづくり」のメッセージのように思えて、気になりサイトへアクセスしてみた。
サイトには、「Nヒストリー」というコンテンツがあり、まさに「ホンダのクルマづくり」という「物語」があった。
ホンダ:Nヒストリー

トップに置かれている真っ赤なクルマは、ホンダが初めて四輪を手掛け、市場に出した「N360」だ。
今となっては、「軽自動車の排気量が360㏄であった」ということすら、忘れてしまうくらい昔の話になるのだが、「N360」の360という数字は、発売当時の軽自動車の排気量を指している。
そしてこの「軽自動車」というクルマ文化は、日本独自で発展をし現在ではアジア全体に広がってきている。
ご存じの通り、スズキ自動車がインドで製造販売をしている車も「軽自動車」が中心だ。
もちろん、欧州のカーデザイナーの中には「日本の軽自動車(欧州では「ミニマムカー」と呼ばれるようだ)」は、「経済的で、欧州の狭い石畳の道も走ることができる」と、評価する方もいらっしゃるようだ。
乗り物ニュース:「カウンタック」を手がけた名デザイナーも愛用 日本の軽カー最強説

おそらく日本で「軽自動車」という、独特のクルマ文化が生まれたのは、Nヒストリーに書かれているような事情があったからだろう。
「経済性と、広い公道が少なかった」ことが、独特のクルマ文化を創り上げ、自動車メーカー各社それぞれの「物語」を紡いでいったのでは?と、思っている。

ホンダの場合、このような過去のクルマづくりを物語の中心に置いたCMを数年前に放映している。
残念ながら、現在では見ることができないのだが、放映した年のACC「CMフェスティバル」で最高賞・総務大臣賞を受賞している。
Hondaニュースリリース:企業広告「負けるもんか」がACC CMフェスティバルで「総務大臣賞/ACCグランプリ」受賞

このCMを見た時も、ホンダという企業の「ものづくり」に対する思いや企業姿勢を感じたのだが、と同時に「物語づくり」が上手い!とも感じた。

と同時に、「物語があるものづくり」というのは、ある種の強みを持っているのでは?と感じている。
それは「ブランド力」と重なる部分でもあるのだが、購入者とクルマの間でつくられていく「物語」であり、それが「親しみ」や「信頼」へと繋がっているのではないだろうか?
「物語」を通して、企業メッセージだけではなく、多くの生活者に共感を与える、それが「ブランド力づくり」にもなっている、と感じるホンダの広告だ。