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牛乳石鹸のCMで感じる、本音

2017-08-23 12:23:16 | ライフスタイル

牛乳石鹸のCMが、話題になっているらしい。
Huffpost:「さ、洗い流そ。」牛乳石鹸のPR動画に困惑が止まらない・・・゛珍説"も登場

テレビCMに困惑する必要など無いと思うのだが、受け止め方によっては、随分不快と感じる方もいらっしゃるようだ。
「不快と感じる方」は、「子どもの誕生日に、部下と飲んで帰ってくるなんて信じられない!」とか「ゴミ出し程度で、家事を手伝っているみたいに思われてもね」という内容のコメントまで、様々だ。

個人的な感想は、「今時のお父さんたちの本音だろうな~」だ。
私の親世代(=昭和一桁~昭和10年代前半)は、働き盛りの頃が高度成長期だったこともあり、「仕事が一番、二番も仕事」という思考が強かったと思う。
だからと言って「家庭を顧みない」訳ではなく、家族に対する思いは強かったように思っている。
表現の仕方が、今とは違うだけだという気がしている。

おそらく主人公の父親も、似たような感覚を持った父親だったのだろう。
CMの設定年齢から考えると、主人公の父親は「団塊の世代」だと思われ、私の親世代の生き方や考え方を反面教師のようにし、比較的家族の時間を大切にしてきた世代だと考えると、「ズレ感」を覚えるのだが、「父親と遊んでもらえなかった」という、寂しい思いを子供の頃にしたことから、父親の姿を反面教師にしてきた、というストーリーは十分理解できる。
ただ、主人公である男性も父親と同じ位の年齢や会社でのポジションになってきたことで、「父親の気持ち」が分かり始めのでは?という気がしている。
だからこそ、それまで「反面教師」として見てきた父親の姿と、家族に優しく物分かりのよい父親を演じることに、疑問を持ち始めただけなのではないだろうか?

確かに「子どもの誕生日に部下といっしょに飲みに行く」というのは、✖かもしれない。
兼業主婦として、「ゴミ出し」程度で家事を手伝っていると思われるのも、不満なのもわかる。
でもそれは、女性側からの思いであって、主人公である男性の気持ちではないはずだ。
実際、CMでは主人公である男性は、不満を言ってはいない。
心の中で「思いを呟く」だけだ。
その「思い」が、私には「今の(物分かりのよいやさしい)お父さんたちの本音」のように聞こえるのだ。
「本音が言い合えない」コミュニケーション不足、ということになるのかもしれないが、もしかしたら「本音」を言わせなくさせているのは、案外女性側にもあるのでは?という気もしている。
何故なら「ケーキお願い」とか、「プレゼントも買ってきて」と仕事中にメールで連絡をしたり、「どうして、みに行くかな~」と一方的に話しをし、主人公である父親側に口を挟ませない(もしくは、口を挟ませない雰囲気を出している)のが、母親側だからだ。

CMで表現したかったことは「日常生活の中にある辛いこと・不満も、お風呂に入って(体の汚れといっしょに)洗い流しましょう」ということなだけだと思う。
それを難しくしてしまった、という点ではCMとして難があるかもしれないが、今という時代の空気感を感じさせる、という点では考えさせられるCMだと思う。