Yahooのトピックスに、ややセンセーショナルな見出しの記事が紹介されていた。
Yahooトピックス:残業規制で所得8.5兆円減=生産性の向上が不可欠 大和総研
大和総研:第194回日本経済予測(注意:PDFファイル)の14~15頁の内容だ。
実は、日本の国民総生産=GDPは、アメリカ、中国に次いで第3位、ということはご存じの方も多いはずだ。
ところが、一人当たりになると、その順位はぐっと下がってしまう。
世界の一人当たり名目GDP 国別ランキングによると、22位になり同じアジアの国であるマカオ(4位)やシンガポール(10位)、香港(12位)よりも下位になってしまう。
国全体では、生産力は高いが労働者一人ひとりは、決してそうではない、ということなのだ。
もちろん、ドルベースで推移しているので「円高・円安」などによる影響は、少なくない。
それを割り引いてみても、「国民総生産」と「一人当たりの国民総生産」とでは、随分違っているのが現状だ。
確かに、マカオやシンガポールなどは「ものづくり」による経済というよりも、「金融中心の経済」なのだが、それにしてもこのギャップを知ると、ガッカリされる方も多いと思う。
そして今回の大和総研のレポートを見ると、もしかしたら日本人のビジネスパーソンは「残業によって生活を支えているのでは?」という、気がしてくるのだ。
もちろん、この数字の中には「サービス残業」などは、含まれてはいないと思う。
それでも8兆円を超える金額が、残業代として支払われている。
当然の事ながら、残業をしない分誰かが、その残業分の仕事をしなくてはならない。
AIなどが導入され、仕事そのものの見直しが将来的にはされるとは思うが、今の状況では「誰が残業分の仕事をするのか?」という問題をこのレポートでは、指摘をしている。
すなわち、フルタイムで働く人を増やす、ということだ。
それだけで、問題が解決するのか?というと、決してそうではないような気がしている。
上述した通り、「残業代が、生活を支えている」というビジネスパーソンが、少なからずいるのでは?ということだ。
そしてその8.5兆円が、日本の内需を支える一部となっているのでは?ということなのだ。
8.5兆円分の、仕事をする人=新たに収入を得る人が増え、可処分所得が増えるのであれば、さほど国内消費に影響はないかもしれない。
もしそうでなければ、国内消費は冷え込んでしまうのでは?という、懸念が起きる可能性はある。
基本給が全体に上がり、残業代に頼らなくても生活ができる、という人が増えることが一番であることに、変わりはない。
この残業代の金額をどうとらえるのか?
とらえ方次第で、生活者の姿が違って見えるかもしれない。