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小売とは何か?ということを考えさせる、ルミネ会長のインタビュー

2017-08-24 19:38:34 | ビジネス

Huffpostに、新宿ルミネの広告と会長さんのインタビューが掲載されている。
Huffpost:バーゲンで人生を無駄にしない ルミネ会長の゛理想の買い物”レベルが高すぎる
     ZOZOで服が買える時代、リアル店舗のルミネに行く意味あるの?

残念ながら、私はルミネで買い物をしたことがない。
地方出身で今現在も名古屋に住んでいる私としては、ルミネはとても遠い存在なのだ。
しかし、インタビューを受けている会長さんの言葉は、十分理解できる。
「ルミネ」という店舗ではなく、「実店舗」と読み替えれば、それは多くの小売業に共通することだからだ。

考えてみれば、百貨店で洋服を買ったのはどのくらい前だっただろう?と、思い起そうとしても、思い出せない自分がいる。
百貨店ではなく、ファストファッションの雄であるユニクロなら、1カ月ほど前にパジャマ替わりに着る予定でTシャツとイージーパンツを買った。
洋服をどこで購入したか?と言えば、ベルメゾン(千趣会)かランズエンドだった。

何故百貨店ではなく、通販で洋服を購入したのか?と言えば、今の百貨店には私が着てみたい!と思うような物がないからだ。
不思議に思うことなのだが、百貨店の売り場は大体「世代別」で構成されているように感じている。
ところが「世代別」そのものが、意味をなさなくなっているのが「今」だと思っている。
むしろ「ライフスタイル」や「ファッション志向」で、売り場構成をして欲しい、と感じている。
何より、百貨店そのものが「売り場貸し」が事業の中心になってしまっている為に、「小売り」そのものを重視しているとは思えない部分もあるように思う。

百貨店ではなく、「小売り」という切り口で考えた時、大切なことの一つは「買い物の楽しさ」ということではないだろうか?
販売をする人の豊富な知識、ファッションのトレンドなど、販売をする人が多角的な視点で「私」を見て提案をしてくれる、それが「実店舗」で購入する楽しさなのだと思う。
多くのお客様は、「私の話を聞いて、提案をしてくれる」ということを期待しているのでは、ないだろうか?
対面で一人ひとりの購入者と対話することで、見えてくる市場もあるはずなのだ。

ファストファッションでは、そのような「会話」の期待はほとんどない。
まして通販となれば、皆無と言って良いだろう。
最近では数多くの通販サイトでは「チャットで相談」というサービスを展開しているが、この「チャットで相談」こそが、実店舗で当たり前に行われてきたことなのだ。

もう一つ言うなら、通販のように欲しい物を検索すると、数多くの似たような商品がPC(やスマホ)の画面に表示される。
それだけで購入者は、混乱している場合も多いはずなのだ。
何故ならどれを見ても「同じ」ようにしか見えないからだ。
結局何を基準に選ぶのか?と言えば、「価格」と「レビュー評価」になる。
「自分の欲しい物」とは限らないのだ。
そのような「生活者の不安」を実店舗側は、積極的に取り組むことができれば「価格」や「レビュー評価」ではない、「生活者が欲しかったもの」を提案することができるのでは?

ルミネ会長の「バーゲンで人生を無駄にしない」という言葉は、センセーショナルだがその本意は小売り実店舗の当たり前のことのように思える。