昨日の朝日新聞の朝刊に、米国・トランプ大統領の記事が1面と2面に掲載されていた。
朝日新聞:トランプ王国、冷めぬ熱狂 集会「ヒーローの凱旋だ」
トランプ勝利「象徴の地」、さびついたままの日常
ご存じの通り、トランプ氏の支持率は超が付くほどの低空飛行が続いている。
就任1年目からこれほど低い支持率の大統領は、過去にはいなかった、とまで言われている。
しかし、トランプ氏を熱狂的に支持する人達は、今だにいる。
その人達の多くが、かつてアメリカ経済を支え、今は忘れ去られた地域「ラストベルト(=さび付いた工業地帯)」で生活をしている人たちだ。
確かに、トランプ氏の支持者の多くが「白人・低所得者」ということは、以前から言われてきたことだ。
記事を読んで驚くことは、「ラストベルト」と呼ばれる地域の人たちの多くが、ドラッグ中毒や自殺によって30代半ば~40代で亡くなっている、という点だ。
経済的問題という背景も十分あるとは思うのだが、その実態から生活者自身の「荒んだ暮らし」が見えてくるような気がするのだ。
と同時に感じることは、彼らの多くが「かつての栄光の時代」から、「労働思考」がまったく変わっていない、という点だ。
「あの頃は良かった・・・」と、懐かしんでいるのではない。
「あの頃と同じような労働と暮らしがしたい」と、望んでいるように思えるのだ。
鉄鋼業や石炭などによる火力発電に携わっていた人が、30年、40年前と同じ労働をすることで、生活を維持できると真剣に思っているような節がある。
これほど、IT化が進みAIの時代がすぐ近くに来ているにもかかわらず、その労働思考が変わっていないのでは?と、感じるのだ。
これは、アメリカの「ラストベルト」と呼ばれる地域の人たちに限ったことなのだろうか?
本来であれば、時代の変化と共に「仕事や労働に対しての意識や思考」が、変わっていく必要がある。
かつて、人の手で行われていた組み立て作業が、オートメーション化によって人の手が必要では無くなり、働く人はそれまでとは違う知識やスキル、技能を習得する必要になった。
時代の変化と共に、企業側は新しい知識やスキル、技能を積極的に習得するよう、労働者側に働きかける必要があるだろうし、労働者側も積極的に習得する努力が求められるはずだ。
場合によっては「働き方」そのものを、見直す必要があるかもしれない。
まさに今の日本が抱える問題の一つが、その「働き方」なのではないだろうか?
そのための回答は、簡単に導きだされるものだとは思わない。
ただ、「働き方を考えつづける」ことが、大切なのでは?と、この記事の熱狂的トランプ支持者は教えているような気がするのだ。