日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

社会の変化と共に事業内容も変化する

2019-02-08 21:34:31 | ビジネス

昨日「自動運転」のシステムについて、「スタンダード(=世界標準)」を獲得した企業が、市場の優位性を持つことになる、という内容のエントリをした。
その中で、2つ注目したいコトがあった。
一つは、半導体メーカーのIntelだ。

随分前、「Intel、入っている?」というCMを覚えていらっしゃる方もいると思うのだが、ご存じのようにIntelは、半導体メーカーだ。
「半導体メーカーだった」と、過去形にしたほうが今のIntelを表しているかもしれない。
PCの中枢機能を担っている、といっても過言ではない半導体だが、その主なメーカーであるIntelが、自動運転などの技術分野に進出している、というのが昨日のエントリの内容の一部だ。
Intelが今目指しているのは、半導体のメーカーではなく「半導体を使った情報システム」を構築する企業へと、変わろうとしている、という姿が「自動運転」事業への参入だといえるのだ。
そう考えると、今のIntelのライバル企業は、AppleであったりMicrosoftかもしれない。

そのAppleも、最新のiPHONEの不振などがあり、これまでの好調さが減速し始めている、という指摘がされている。
しかしApple自体も、手をこまねいているわけではない。
iPHONEというツールを使って、Appleミュージックなどのストリーミングサービスに力を入れ始めている。
それには、今年のアカデミー賞の候補にノミネートされている作品の中に「Netflix」と「Hulu」で配信された作品があるからだ。
WIRED:2019年のアカデミー賞、ついにNetflix、Amazon、Huluすべてが受賞候補に?

これまでのようにアカデミー賞の対象作品となるのは、映画館で上映された作品のみだった。
それが今年ネット配信サービス会社が製作した作品が、候補作として挙がったのだ。
これは、著名な俳優陣で膨大な製作費によってつくられてきた劇場映画から、生活者が「映画を楽しむ場所」が変化し、そのためのツールを提供する企業が、有名・無名ではなく演技力のある俳優を使い、配信サービスの利用による収益の中から映画作品をつくり、話題を提供しながら、配信サービスの利用者を増やしていく、というこれまでの映画産業の在り方とは全く違うビジネスモデルが、世界最高峰ともいえるアカデミー賞で認知されるようになった、ということでもある。

そのような「配信サービス」が一般化していくことを考えれば、既にiTunesなどを通じてストリーミングサービスを提供してきたAppleが、Appleミュージックなどのストリーミングサービスに力を入れ、iPHONEなどはそのためのツールという考えに変わっていくのも当然だといえる。
そのような変化を理解しているからこそ、Intelも半導体メーカーではなく、通信会社などが得意とする「自動運転技術」などへ、積極的に参入していると、考える必要があると思う。

もう一つが、昨年秋に発表された「トヨタ自動車とSoftbankのMaaS事業の提携」だ。
経済紙などに掲載されたトヨタ自動車の豊田章夫社長とSoftbankの孫社長の握手をした場面などは、MaaSという事業に関しての主役はトヨタ自動車ではなく、Softbankなのだ、という印象を十二分に与えるモノだったように感じている。

「自動運転」などによって、主役となる産業は自動車メーカーではなく、通信事業を主体とした企業なのだ。
しかもその主体となる企業の中でも、いち早く「スタンダード(=世界標準)」を勝ち取った企業の、一人勝ちとなっていく可能性も含んでいる、と考える必要があるのでは?

社会の変化と共にいち早く中心となる事業を変化させ、「スタンダード(=世界標準)」を勝ち得た企業が、これからの経済の中心となっていくのでは?と感じている。