セブンイレブンの本部とFC店との間で、営業時間について対立をしている、という報道があった。
Huffpost:セブンイレブン「24時間営業限界」 FC店と本部対立
今の人手不足という状況の中で、学生アルバイトを雇うにしてもなかなか難しい、というのはFCのオーナーが言う通りだろう。
それに最近では「バイトテロ」と呼ばれる、アルバイトの不適切な動画をSNSによって拡散、最悪の場合は相当の被害を被り、閉店に追い込まれるようなこともあり得る。
そのようなリスクを抱えながら、24時間営業の為に無理にアルバイトを雇う必要があるのだろうか?という、疑問が無いわけではない。
もちろん、セブンイレブン本部側としては、営業をしていれば何らかの売り上げがありるだろうから、「売上」から決まった%のフランチャイザー料を支払ってもらうことを期待しているのだろう。
FC店の光熱費や人件費などは売上とは関係が無いので、セブンイレブン側にとっては営業時間が長ければ、何等かの売り上げがあるという目算があるため、FC店の現実と大きく乖離した「24時間営業」を強要するのでは?という気がしている。
確かに24時間営業していれば、便利(=コンビニエント)だという気がする。
しかし、その便利さの為にFC店の経営者やアルバイトだけではなく、実はもっと多くの人たちに様々な「無理」を強いているのでは?という気もするのだ。
例えば、コンビニなどで問題になる「食品の廃棄」。
お弁当やサンドウィッチ、総菜パンなどは消費期限が決まっており、期限が過ぎた商品は廃棄となってしまう。
廃棄する為の手間も大変だろうし、その分の廃棄費用も必要になる。
廃棄する商品があれば、当然仕入れられる商品もある。
コンビニオリジナルの「焼きたて」を謳うパンなどは、仕入れ時間に合わせて製パン工場で焼かれ、配送される。
実は、コンビニの24時間営業には、このような商品を提供する側、商品を配送する側にも24時間対応を強いている、ということにもなっているはずなのだ。
おそらく、コンビニ本部側は仕入先の人たちに「無理を強いている」という感覚は、無いと思う。
むしろ「そのような契約をしているのだから、契約履行は当たり前」程度に思っているのでは?
確かに「契約」としては、問題が無いと思う。
思うのだが、どこかで「膨大なロスを発生させている」という感覚もある。
何故なら、東京の繁華街であれば24時間営業の意味はあっても、地方都市の住宅地にあるコンビニに、24時間営業である必要はあまり感じられないからだ。
我が家から最寄りの地下鉄の駅周辺には、コンビニ各社のFC店がある。
地下鉄の駅近くということもあり、終電までは利用する人も少なくないはずだが、終電後はどれほどの人たちがこれらのコンビニを利用しているのだろう?
ということは、「コンビニ営業にかかる光熱費だけではなく、食品廃棄の為の人件費と費用、新に仕入れる食品を製造・配送の為の費用と人件費」など、様々なロスが発生しているように思えるのだ。
コンビニ本部が、本気で24時間営業をFC店にさせたい、と思うのであれば、全国的な立地環境のデータを基にした話をFC店オーナー側に示す必要があると思うのだ。
それは単に「時間別売上データ」というだけではなく、実際に廃棄される食品の量とそのための費用、食品の仕入れに関する取引先へのヒヤリングなど、総合的なデータが必要なはずだ。
「食品廃棄」などに関するデータは、「食品ロス対策」という意味でも必要なデータとなっているはずだ。
そのうえで、FC店オーナーといっしょに「地域から必要とされ、愛されるコンビニとは?」ということを考える時代になってきており、今のコンビニの営業を見ていると「24時間営業の自縛」のように思えてくる。
少なくとも、セブンイレブンについてはこのところあまり良い話題が無く、それがボディーブローのようにFC店に影響を与え始めていると本部が認識する必要があると思う。