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バレンタインのチョコと恵方巻の違い。そしてこれからのチョコレートのビジネス。

2019-02-14 20:00:32 | アラカルト

日経新聞のコラムCOMEMOに、面白い内容のコラムがあった。
COMEMO:バレンタインデーに”チョコレート”を考える
この記事を書いた方は、「義理チョコが大量に捨てられる」という前提で書かれているようだが、「バレンタインのチョコが大量に廃棄された」というニュースを聞いた記憶のある方は、どれくらいいらっしゃるのだろう?
おそらく、ほとんどいらっしゃらないのでは?

大量廃棄で問題になった「恵方巻」とバレンタインのチョコレートの違いは、「消費期限と賞味期限」の違いのように思う。
「恵方巻」の消費期限は、当日限りのはずだ。
「恵方巻」は「生もの」であり、衛生管理上販売される「恵方巻」は「消費期限×月×日××時」となっているはずだ。
一方、一部の「生チョコレート」を除き、多くのチョコレートは「賞味期限×月×日」となっている。
賞味期限で表示されるチョコレートの場合、「賞味期限=美味しく食べられる期限」なので、バレンタインデーに貰ったからといって、その日のうちに食べなくてはいけない、というものではない。
ハードタイプのチョコレートであれば、3ヶ月くらいの賞味期限はあるはずだ。
そうなれば、家に持ち帰り家族で食べても良いだろうし、一人で少しづつ食べても問題はない。
もちろん、テレビなどで活躍しているアイドルや俳優、スポーツ選手などの元へは、大量の「バレンタイン・チョコレート」が送られているとは思うが、多くの場合、児童施設などへ寄付されている、という話を聞いたことがある。
例え送られた本人が食べなくとも、寄付という形で使われる可能性があるのが「バレンタインのチョコレート」でもあるのだ。
その違いが、「食物廃棄」の差となっているはずなのだ。

もちろん、このコラムで指摘されているように「カカオ農家の労働環境の悪化」という点は、現実の問題となっている。
カカオの産地の多くはいわゆる途上国であるために、労働力の一部に就学児童年齢の子どもたちが駆り出される、ということもあると聞く。
当然のことながら、主な労働力が子どもたちとなれば、カカオそのものの価格は低いものとして流通することとなる。
2016年だったか?ネスレやゴディバを含む欧州の有名チョコレートメーカーのいくつかが、子どもを主な労働力として収穫されたカカオを輸入している、という指摘がされ話題になった。
ANONHQ.COM:7Famous Brands That Use Child Slaves To Make Your Chocolate

チョコレートというよりも、チョコレートの原材料となっているカカオに対して、子どもを労働力として使っている、ということや安価な価格で買い叩かれている、という問題のほうが大きく、これが「フェアトレード商品」として、チョコレートが数多く扱われる理由となっている。
今では、京都のチョコレート専門店・DariKや明治製菓の「The chocolate」のコンセプトのように、産地のカカオ農家と直接買い付け、栽培指導(だけではなく、地域の経済活性化を目指す)ような動きも出てきている。

今年のトレンドは「ルビーチョコレート」だったが、美味しいチョコレートというだけではなく、生産者とチョコレートを創る人、そして食べる人という、繋がりが感じられる「産地別チョコレート」がトレンドとなっていくかもしれない。