日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

目先の売り上げよりも・・・「廃棄恵方巻」にかかる負担

2019-02-02 22:01:27 | ビジネス

昨日の一部新聞に、「恵方巻廃棄にかかる費用」という内容の記事があった。
Huffpost:廃棄される恵方巻の金額、年10億円超 試算した研究者「予想より高く、驚いた」

正直、私もこの試算額には驚いた。
「恵方巻」そのものは、2月3日の節分の日1日の為に販売される商品だ。
そのため「年10億円超」という数字は、厳密にいえば2月3日前後の2,3日を対象とした日にちであって、厳密にいえば年間という数字ではない。
わずか2,3日で10億円を超える金額が、廃棄される為にかかっている、というのは「非生産的」といっても良いのでは?という、気がしている。

この「恵方巻」が、話題になり始めたのは10年余り前からだと思う。
元々は関西、特に大阪が始まりだったように記憶している。
それが、コンビニなどで「恵方巻」として、全国的に販売されるようになると、一気に「節分の食べ物」として認知されるようになった。
問題は、認知されるようになったと同時に、コンビニなどのアルバイトに無理やり買わせる「自爆営業」のような売り方が、行われるようになった。
それはコンビニに限らず、スーパーや百貨店でも同様かもしれない。
ただ扱う量として、コンビニは圧倒的に多く「自爆営業」として無理やり購入させられるなど、「欲しくもない商品を無理やり目先の売り上げの為に買わさせる」という行為が、まかり通るようになり社会問題となった。

このような記事を読むと「恵方巻」が悪いように思えるが、大阪のローカルな「節分行事食」としてデパ地下などで販売されていた時には、それほど問題ではなかったはずだ。
もちろん、当時から廃棄される恵方巻は、あったとは思うのだが、10億円を超すほどの廃棄はされなかったはずだ。
すなわち「恵方巻」そのものが悪いわけではなく、「消費の掘り起こし」という名目(というべきか?)で「恵方巻」を必要以上に販売しようとする側に、大きな問題があるのだ。
それは「恵方巻」に限ったコトではなく、クリスマスが終わった後、大量に廃棄される「クリスマスケーキ」にしても、同じだろう。

日本では「飽食の時代」といわれて久しい。
それほど「食べるものに不自由をしない」というのは、とてもありがたいことでもある。
世界をみれば、今日・明日の食糧が無く飢えと隣り合わせの生活を余儀なくされている人たちが、数多くいる。
そのような人たちからすれば、大量に廃棄される食べ物は「もったいない」とか「(捨るほどあるなんて)羨ましい」ということになるかもしれない。

しかし冷静に考えれば、「恵方巻」をつくる為に調達される様々な食品にも、輸送コストを含む様々な費用が掛かっている。
廃棄にかかる費用以上の費用が、「恵方巻」にはかかっているのだ。
それらの費用そのものが、「無駄」ということになる。
コンビニに限らず「自爆営業」の要素を含んだ、売り上げというのは一見売り上げに貢献しているように見えるが、その実売り上げ以上の費用負担を強いている、ということになる。
そろそろ「目先の売り上げ」ではなく、身の丈に合った「無駄を生まない商売」というものを、コンビニをはじめとする「恵方巻」に熱狂する小売業は考える必要があるのではないだろうか?