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今回の米国大統領選から見える、様々なアメリカ(あくまでも私見)

2020-11-08 21:29:07 | アラカルト

開票がすべて終了した訳ではないが、どうやら次の米国大統領はジョー・バイデン氏に決まったようだ。
バイデン氏が高齢ということを考えると、もしかしたら1期で退任をし次の若い世代へバトンを渡すのでは?という気がしない訳ではないが、とにかく4年間はバイデン氏とカマラ・ハリス氏のコンビで、アメリカという国を背負っていくことになるはずだ。

このバイデン氏の勝利宣言を受け、全米各地では様々なことが起きているようだ。
ニューヨークでは、バイデン氏勝利が決まったことで「お前は、クビだ」というコールが一斉に起こったという。
この「お前は、クビだ」というのは、トランプ氏が大統領になる前に出演していたテレビ番組での、トランプ氏の決め台詞だった。
正に、今回の大統領選挙でトランプ氏は、多くの国民から「お前は、クビだ」と言われてしまったということになる。

とはいっても、トランプ支持者にとってこの敗戦を受け入れがたいという気持ちが強くあるようだ。
その極端で象徴的な行動として表れているのが、トランプ支持者がライフルなどの銃を持って集会に集まった、というニュースだろう。
毎日新聞:「トランプ氏への変わらぬ支持」誓い集会 銃所持者も多数 米ミシガン州

銃を所持して集会に参加した人達の中には、「(今回の選挙で)治安が悪くなる、極左が暴力。準備を怠るわけにはいかない」というコメントに、「一体、何を彼らは恐れているのだろうか?」という、気がしたのだ。
確かにこれまで地震などの自然災害が発生した時や、今回の大統領選にも影響を及ぼしたであろう「#Blacklivematter」運動などに乗じて暴動が起きたことは、事実だろう。
だからと言って、このような集会に銃を持って出かける、というのはよほどの「恐怖心や不安」が、あるからなのではないだろうか?

このような動きを見て感じることの一つは、これまで「白人が当たり前のように持っていた(?)であろう、様々な既得権益を奪われる」ということへの恐怖であったり、不安なのではないだろうか?ということなのだ。
「これまで当たり前に持っていた自分の利益を奪われる」というのは、不満を持って当然だろうし、それに代わる利益を創り出し、新しい価値観を生み出すということは、武力を行使するよりも難しく、大変なことだ。
手っ取り早さという点では、銃は護身というよりも、相手を威嚇し従属させるには、有効な方法でもあるのだ。

確かに十数年後、今現在マイノリティーと言われる人たちのほうが、マジョリティーとなるのでは?という指摘がある。
言い換えれば、今マジョリティーである白人が、マイノリティーな存在になってしまう、という危機感もあるのかもしれない。
特に、トランプ支持の中心となっている「忘れ去られた人々」と言われる人たちが多い、中南部地域では「福音派」という共和党の大票田となる支持層というだけではなく、マジョリティーであるはずの白人の中でも経済的問題を抱えている人たちが多い。
そのような人たちにとって、マイノリティーの人たちの台頭は「自分たちの存在を凌駕する存在」という、危機感が極端な行動へと向かわせているのかもしれない。

もちろん、現在マイノリティーの存在となっている人たちは、人種や文化が多様なのでその中での争いが起きる可能性は高いと思われる。ただ銃なのではなく「ことばと寛容性」によって、相手を理解するような社会を創り出していくことができれば、それは「アメリカ」という国が再び世界のリーダーとなる可能性へと繋がっていくのではないだろうか?